犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 [読書・ミステリ]
評価:★★★
12星座と、それにまつわるギリシャ神話をモチーフとした
12の事件を、名探偵・法月綸太郎が解決していくという連作短編集。
本書はその後半ぶんを収録してる。
「[天秤座]宿命の交わる城で」
綸太郎の推理で、2つの殺人事件の間に
意外なつながりがあることが分かるんだが、
それだけで終わらないところがさすがだ。
「[蠍座]三人の女神の問題」
殺人事件が起こり、実行犯は自殺するが、
その背後で犯行を教唆した者がいる。それはかつての
3人組アイドルの中の一人らしい・・・
犯人と元アイドル3人とのメールのやりとりから、
綸太郎が一人に絞り込んでいく過程が面白い。
「[射手座]オーキュロエの死」
ペット関連の著作で人気者になった臨床心理士・佐治くるみ。
しかし彼女の婚約者が殺人事件の容疑者に。
事態が二転三転して最後に意外な真相が明らかに。
「[山羊座]錯乱のシランクス」
音楽評論家が殺害されるが、現場にはダイイング・メッセージが。
ドビュッシーの曲の解釈との関連が面白いが、
ラストはちょっと引っかけ気味かなあ。
「[水瓶座]ガニュメデスの骸」
カリスマ経営コンサルタント・三ツ矢瑞代が巻き込まれた
謎の "誘拐" 事件。綸太郎の推理が意外な過去を暴く。
登場人物の "ロザムンド山崎" って、どこをどう読んでも
マ○コ・○ラ○ク○がモデルだよねぇ。
「[魚座]引き裂かれた双魚」
美容会社社長・碓田可南子は、25年前に当時4歳の息子を亡くした。
いかがわしい霊能者・堤豊秋は可南子に取り入って
息子の"生まれ変わり"を見つけると称して、
3人の若者を候補者として呼び集めたが・・・
堤がインチキなのはもう分かりきっているのだが、
本作のキモは可南子が息子の生まれ変わりを探す理由だ。
綸太郎が明らかにするその真相には、正直驚いた。
「どひゃあ!」って叫ぶほどビックリするわけではないが
文庫で60ページほどの長さの中で、事件の展開や推理を
二転三転させてみせるなど、6作どれをとってもハズレなし。
本格ミステリが好きなら、手にとってみて損はない短編集だと思う。