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ルピナス探偵団の憂愁 [読書・ミステリ]

ルピナス探偵団の憂愁

ルピナス探偵団の憂愁

  • 作者: 津原 泰水
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/07/14
  • メディア: Kindle版
評価:★★★

私立ルピナス学園・高等部で同級生だった
4人組を主人公とするミステリシリーズ、その第2巻。

本書は4話構成なのだけど、変わっているのは
時間軸が逆順になっていること。

社会人(25歳) → 大学3年生(21歳) → 大学2年生(20歳)
→ 高等部の卒業式(18歳) と、時代を遡って4人の姿が描かれていく。

25歳となった彼らは、それぞれの道に進んでいる。

吾魚彩子(あうお・さいこ)は語り手も兼任している。
かつて小説の新人賞に佳作入選したものの、
それ以後は鳴かず飛ばずの小説家志望で、現在はフリーター。

祀島龍彦(しじま・たつひこ)は彩子が密かに思いを寄せる相手。
古生物学を専攻する彼は、彩子と同じ大学を卒業した後はアメリカに渡り
博物館の学芸員になっている。本シリーズでの探偵役でもある。

桐江泉(きりえ・いずみ)は理系の大学を出たが出版社に就職、
彩子の本を出版することを目指している。

京野摩耶(きょうの・まや)はおっとりした美人。
短大を卒業後、資産家の御曹司と結婚し、
姓も日影(ひかげ)となったのだが・・・

「第一話 百合の木陰」
摩耶が突然の病で早世してしまい、彩子たちは葬儀に参列する。
しかし、日影家の人々からは摩耶の評判がすこぶる悪いようだ。
その原因は、摩耶が夫に働きかけて、婚家の財産である土地の一部を
地元の市に寄付してしまったかららしい。
しかもその土地には、曲がりくねった道までつくって。
摩耶の育った家庭の事情を知った龍彦は、彼女の真意を明らかにする。

「第二話 犬には歓迎されざる」
彩子と龍彦は、2人の通っている大学の教授・石神井玲(ほまれ)から
自宅に招かれることになった。
彼の家の敷地の中には、金網で囲われた別棟が建ち、
そこには小説家の蒲郡要(がまごおり・かなめ)が住んでいた。
2人が教授の家を出た直後、別棟に何者かが侵入し
蒲郡氏が重傷を負ってしまうが・・・
犯人の動機がかなり意外、というか珍しい?

「第三話 初めての密室」
桐江が設定した合コンに参加した彩子は、
そこで日野慶太という学生と知り合う。
彼こそ、4年前に起こった密室殺人事件の犯人の息子だった。
しかも、非公式ながら彩子はその事件の解決に関わっていた。
そのことをきっかけに、4年前の事件の真実が明らかになっていく。

「第四話 慈悲の花園」
彩子たちが在籍していたルピナス学園は、かつて経営難に陥り、
他の学校法人の傘下に入った。その結果、
新たな理事長・多々良翠(たたら・みどり)を迎え入れた。
その理事長が学園内の動物小屋の中で死体となって発見される。
しかもそれは彩子たちの卒業式の前の晩だった。
当年ながら式は延期となってしまうが、龍彦をはじめとする4人組は
真相究明のために、ある ”企み” を実行する・・・
ラストの卒業シーンには、ちょっと感動。

ミステリとしてはいまひとつかなぁとも思うけど
登場人物のキャラ立ちがはっきりしていて
青春ものとしては面白く読める。

第1話で摩耶が亡くなっていることが語られているので、
過去編である第2話以降で彼女が出てくると、切ない思いに駆られる。

巻末の解説によると、作者はこのシリーズをもう1冊分書く予定だという。
それは今まで発表された作品の時間軸の空隙を埋めるものになるのか、
「百合の木陰」以降の物語になるのかは不明なのだけど
私としては、彩子の小説家デビューが実現するのかどうか知りたいし、
彼女と龍彦の仲も決着させてほしいなあ。


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恋する空港 あぽやん2 [読書・その他]

恋する空港 あぽやん2 (文春文庫)

恋する空港 あぽやん2 (文春文庫)

  • 作者: 新野 剛志
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/12/04
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

主人公・遠藤慶太は大航ツーリスト本社から成田空港所に異動してきた。

旅客の搭乗手続き全般、そしてそれに伴うトラブルの解決が仕事だ。
大航ツーリストでは、空港(AIRPORT)の略称(APO)から、
そこで働く人たちを「あぽやん」と呼んでいる。

当初、遠藤は1日でも早く本社へ戻ることしか考えていない男だったが、
同僚や旅行客と触れあい、トラブル解決に奔走するうちに
いつしか「熱血あぽやん」へと成長していく・・・というのが前巻。

とはいうものの、何せ前巻を読んだのは7年くらい前だからなぁ・・・
かなり忘れてたけど、続巻を読むのに支障はなかったよ。

「テロリストとアイランダー」
新人職員・枝元の教育係を務める遠藤だが、情熱と思い込みを
はき違えているような枝元の言動に振り回される毎日。
そんなある日、警察から要請が入る。
乗客名簿にある ”ハマ・コウ” という人物が
搭乗客として現れたら、通報して欲しいとのことだった。
ハマ・コウはテロリストとして指名手配されている人物だった。
当初は同姓同名の別人だと思われていたのだが・・・

「空港ベイビー」
男女二人の子供を連れた妊婦が客として現れるが、
搭乗前になって男の子が行方不明になってしまう。
子供を探して空港内を奔走する遠藤だが、やがて母親の事情に思い至る。

「ランチ戦争」
カウンターの女性職員が全員ランチに出かけてしまい、
接客ができないというトラブルが発生した。
担当だった職員を叱責する遠藤だったが
この事件がもとで女性陣から総スカンを食らってしまう。
女性が多い職場というのはたいへんだなぁ・・・
しかも上司である遠藤だけが男で、
部下は全員女性というのは特にやりにくかろう・・・

「台風ゲーム」
成田空港に台風が接近してくる。
公共交通機関が止まり、空港でも遅延が発生し始める。
出発が遅れ、苛立ち始める旅客を相手に
精一杯のサービスを提供しようとする遠藤たちだが・・・

「恋する空港(アポ)」
空港所は、韓流スターであるパク・ジフンの
ファン・ミーティングに向かう女性団体客を迎える。
同じ頃、空港所に意味不明な電話がかかってきて・・・

「マイ・スイート・ホームあぽ」
親会社である航空会社・大航の業務不振を受け、
大航ツーリストも業務を縮小、成田空港所も廃止されることが決まる。
しかしまだ一般職員には正式発表にはなっていない。
そんな中、遠藤はかつて自分が関わった搭乗客・川田美穂の話を聞く。
美穂は、遠藤の接客ぶりを見て一目惚れをしてしまったらしい。
しかも美穂の父親はメガバンクの取締役で将来の頭取候補だという。
遠藤が美穂といい仲になれば、大航への資金融資を
計らってくれるのではないか?
周囲の ”甘い期待” を受けて困惑する遠藤だが・・・

基本的に一話完結なのだけど、緩やかに物語は連続している。
また、それとは別に2つの事態が並行して描かれていく。

ひとつは、空港所の同僚にして契約社員である森尾晴子との関係。
仕事には真摯に取り組み、上司である遠藤にも
遠慮なく厳しいダメ出しをしてくる。
遠藤にとっては最も信頼の置ける存在でもあり、
やがてその感情は愛情へと変化していく。
しかし、森尾の方は滅多に感情を表に出すことがないので
今ひとつつかみ所がない。もっとも、彼女の振る舞いを読んでいると
遠藤のことを気にかけている素振りは十分に伝わってくるのだが・・・
本書では、森尾には密かに交際しているらしい男性がいることが判明、
遠藤は心穏やかでない日々を過ごすことになる。

もう一つは、親会社の業績不振に伴うリストラ。
空港所は閉鎖され、業務は別の系列会社に委託されるが
そちらへ移れるのは、現在の人員の半分のみ。
誰を残し誰を切るのかを選別し、そして切られる者へ
そのことを告げるのもまた遠藤の仕事になる。

この業務委託に関わるストレスは、次巻への伏線にもなっている。
完結編となる第3巻も読み終わっているので、近々記事にする予定。


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消えた少女 吉祥寺探偵物語 [読書・ミステリ]

吉祥寺探偵物語 : 1 消えた少女 (双葉文庫)

吉祥寺探偵物語 : 1 消えた少女 (双葉文庫)

  • 作者: 五十嵐貴久
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/12/12
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公・川庄(かわしょう)はフリーター。
女医の妻と離婚した後は、勤めていた銀行を辞め、
コンビニで働きながら一人息子で小学5年生の健人を育てている。

子供の養育費はもちろん、父子2人が暮らすマンションのローンも
慰謝料代わりに元妻が払ってくれているので
息子を寝かしつけた後は、毎晩のように飲み歩いている。

ある日、飲み屋で知り合った女子大生が持ち込んできた ”迷い猫探し” を
無事に解決したことで「探しものの名人」という噂が広がってしまう。

オカマの京子ちゃんが連れてきた、新たな「探しもの」依頼人は
柳沼純菜(やぎぬま・じゅんな)という専業主婦だった。

彼女の娘・裕美(ひろみ)は、小学生になったばかりだった
1年前の4月に、下校途中で忽然と姿を消してしまった。
警察の懸命の捜査にもかかわらず、少女は未だ行方不明のままだった。

素人に探し出せるわけはないと思いながらも川庄は依頼を受けることに。

銀行員時代に知り合った新聞記者の伝手を辿って
社会部の記者・岩村に会った川庄は、
事件を担当している警視庁の刑事・夏川を紹介してもらう。

さらに川庄は、純菜の夫で裕美の父である光昭と会う。
彼は資産運用会社に勤務する優秀なトレーダーで、
社内でもトップクラスの業績をあげ、高収入を稼いでいたが
周囲で彼のことを悪く言うものは皆無という人格者だった。

しかし光昭と会った直後から、川庄の携帯に
発信者不明の不審電話がかかり始める。自分の行動によって、
事件が再び動き出したことを感じる川庄だったが・・・

一介のフリーターが、セレブ家庭に降りかかった誘拐事件に関わっていく。
いったいどうやって探索行を始めるのだろうと思っていたが
作者は事件に関わった人間を巧みにつなぎ合わせて川庄に辿らせていく。
このあたりは本当に上手いと思う。

 夏川が事件の情報を部外者である川庄に開示するのは
 ちょっとやり過ぎな感もするが、
 夏川と川庄の行動に批判的な同僚刑事も登場するので、
 それでバランスを取っているのだろう。

後半になると川庄は一人の人物に狙いを定めて迫っていく。
その辺りの展開はいささか強引というか無茶なところもあるが
エンタメとしては許容範囲だろう。

ラストで明らかになる真相は、とてつもなく苦い。
本来なら星3つ半くらいにしたいところなんだけど
それを躊躇わせるくらいのインパクトで、星半分減(ごめんなさい)。

本書は全5巻になる文庫書き下ろしシリーズの第1巻。
続巻も手元にあるので、ぼちぼち読んでいく予定。


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死者はよみがえる [読書・ミステリ]

死者はよみがえる【新訳版】 (創元推理文庫)

死者はよみがえる【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/10/10
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

作家のクリス・ケントは、友人の実業家ダン・リーパーと賭けをする。
「南アフリカからロンドンへ無銭旅行ができるか?」

クリスはどうにかゴールであるロンドンの
ロイヤル・スカーレット・ホテルへたどり着くが、
空腹のあまり707号室の宿泊客を装って
レストランで無銭飲食をしてしまう。

しかしその部屋はケントの従兄弟ロドニー・ケント夫妻の部屋で
そこにはロドニーの妻ジェニーの死体が。

あわてたクリスは旧知のギデオン・フィル博士のもとへ駆け込むが
2週間前にロドニーが不可解な状況下で殺害されていたことを知る・・・

カー独特の語り口の上手さで、読んでいる間は楽しいのだけど
この真相は如何なものか。

ホテルでの事件の真相はかなりの時間的な偶然に頼ってるし
犯人の行動がねえ・・・これっていろんな意味で無理じゃないの?

そしてなんといっても、犯人の○○○に○○○があったなんて。
「いくらなんでもこれはないだろう」だよねぇ・・・
本書が発表された82年前(1938年)だって、これはNGじゃないのかなぁ。
伏線は張ってある、と言われればその通りなんだけど、
これで納得する人は少ないんじゃなかろうか。

 本書を読んだ人はどう評価してるのかと思って、
 ネットでちょっと検索してみたんだけど
 けっこう評価している人が多いのにも驚いた。
 だが、評価の基準は人それそれだ(byぺこぱ)。

カーの(というか創元推理文庫の)新訳プロジェクトの一冊なんだけど、
せっかく新訳にするなら、もっと優先すべき作品は
他にもあるんじゃないのかなぁ・・・なぁんて思わせた一冊でした。


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交渉人・籠城 [読書・ミステリ]

交渉人・籠城 (幻冬舎文庫)

交渉人・籠城 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 五十嵐貴久
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/10/30
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

交渉人・遠野麻衣子を主人公としたシリーズの3作目。

東京都目黒区で喫茶店「アリサ」を経営する福沢基之(もとゆき)。
彼は店にいた客8人を人質にとって、立て籠もり事件を起こす。

福沢は自ら警視庁に110番通報し、自分の犯行を告げる。
警察は岡部浩警視、遠野麻衣子警部、戸井田啓一巡査部長の
「交渉人」チームを現地へ派遣、福沢との交渉を開始する。

福沢の周辺捜査から、経営する喫茶店を3か月前に改装して
店内を外部から見えにくくし、さらには警察の突入が困難になるように
していたことが判明する。彼は周到に事件の準備を整えていたのだ。

さらに福沢は猟銃まで入手しており、岡部警視が撃たれて負傷、
交渉は麻衣子が一手に引き受けることになった。

やがて福沢から警察に対して要求が伝えられる。
「現場にマスコミを入れ、テレビカメラで事件を中継せよ」

3年前、当時小学1年生だった福沢の娘・亜理砂は
下校途中に誘拐され、翌日に惨殺死体となって発見された。
犯人として中学3年生の少年・小幡聖次が逮捕されたが
精神鑑定の結果、解離性同一障害と診断されて医療少年院に収容、
2年後には通常の少年院に移り、4か月前には出院していた。

今回の事件を引き起こした動機は、「少年法」に対する不満を
世間に対して訴えるためとも思われたが、同法の定めによって
未成年である犯人の情報を公表することは許されない。つまり
福沢が何を話すか不明なうちは、警察は要求を呑むことはできないのだ。

上層部の保身もあって交渉の選択肢を狭められる麻衣子だが
懸命に福沢との信頼関係を構築しようとする。

しかし福沢の要求はさらにエスカレートし、やがて警察に対して
前代未聞の要求を突きつけるのだった・・・

文庫で400ページ近い長さながら、緩んだところは全くない。
物語のほとんどすべてが、現場となる喫茶店周辺で進行するという
閉鎖空間の物語なのだが、巧みなストーリー展開と
麻衣子と福沢との緊迫したやりとりで、興味が途切れない。

詳しく書くとネタバレになるのだけど、事件の ”真の解決” を迎える
ラストまで、ページをめくる手が止まらない。

”ストーリーテリングの達人” とは、こういう人を言うのだろうと思う。


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あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 (PHP文芸文庫)

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 (PHP文芸文庫)

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★

同時発売で「イヤミス傑作選」なるものも刊行されていたのだけど
購入したのはこちらだけ。

もともと ”後味の悪い話” というのが好きではなかったのだけど
トシを取るにつれてますます苦手になってきたようで
「イヤミス-」のほうには全く食指が動かなかったよ。

「割りきれないチョコレート」近藤史恵
語り手の高築(たかつき)は小さなレストランで働いている。
ある日、店を訪れた客がデザートのショコラの味を猛烈に非難した。
その男は人気の新人ショコラティエ・鶴岡だった。
彼の店の詰め合わせセットに入るチョコレートの数は
2個、3個、5個、7個、11個、13個、17個・・・
なぜかみな ”素数” なのだった・・・
後半になると鶴岡の家庭事情、そして彼が
この ”素数” にこめた思いも明らかに。
これはなかなか感動的。

「鏡の国のアリス」加納朋子
探偵事務所を営む仁木順平は、息子の航平に呼び出される。
航平は白川由理亜(ゆりあ)という女性と結婚を考えているという。
しかし彼女は、航平が以前つき合っていた田中明子という女性から
つきまとわれていて、さまざまな嫌がらせを受けていた。
航平と別れたあと、由理亜と会った順平は
彼女を自分のマンションで保護することになったのだが・・・
たぶんこうなんだろう・・・と思わせてさらにひとひねりふたひねり。
流石です。そして、航平くんはたいしたものです。

「次の日」矢崎在美
作者は「ぶたぶた」というシリーズで有名なのだが、
これまで一度も読んだことがない。これが「初ぶたぶた」になる(笑)。
借金をつくって逃げた直之は、7年ぶりに妻子のいる家に帰ってくる。
妻の月子は旅行中で不在だったが、娘の穂波がいた。
散弾銃を手に、娘を人質に立てこもる直之に対して
刑事の山崎は、穂波との身代わりを申し出るのだが・・・
これが「ぶたぶた」なんですねぇ。たしかにユニークな設定ではあるし
独特のユーモアというか持ち味があるのは分かりますが
私には今ひとつ、良さが分かりません。ごめんなさい。

「君の歌」大崎梢
作者の短篇集「忘れ物が届きます」で既読。
高校の卒業式を終えた芳樹は、下校の途中で同級生の高崎に出会う。
高崎は芳樹に対して、なぜか3年前に彼の母校である中学校で起こった
ある "事件" について語り出す。
当時3年生だった女生徒が友人のメモで美術準備室に呼び出され、
そこで何者かに襲われて怪我をしたのだ。
犯人として疑われたのは3人組の不良生徒たち。
彼らは犯行を否定するが、3人組以外に
現場に出入りできる者はいなかったのだ。
密室状態からの犯人消失の謎を "解き明かす" 芳樹なのだが、
そもそも高崎は、なぜ出身中学校の異なる芳樹に対して
この事件の話をしたのか?
最後に明かされる意外な事実もそこに絡んでくる。

「ドルネシアにようこそ」宮部みゆき
時代はバブル景気の全盛時。地方から上京してきた伸司は、
父の営む速記事務所を継ぐため、速記の専門学校に通うかたわら、
六本木の速記事務所でアルバイトをしている。彼の唯一の気晴らしは
駅の伝言板に「ドルネシアで待つ 伸司」と書き込むこと。
ドルネシアは高級ディスコで、もちろん伸司は行ったことがない。
しかしある日、伝言板に返信があった。女性の文字で
「ドルネシアに、あなたはいなかったわね」と書かれていたのだ。
文庫で40ページに満たないページ数ながら
ちょっとした出来事から意外な結末まで読者を引っ張っていく。
真相に絡む事情が分かると、いかにも宮部みゆきらしいとも思う。
バブルな世情に浮かれず、地道に歩んでいる伸司を見ていると
「報われてほしいなあ」としみじみ感じるのだけど、
作者が彼に注ぐ視線も、限りなく優しい。


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セルフ・クラフト・ワールド (全3巻) [読書・SF]

セルフ・クラフト・ワールド 1 (ハヤカワ文庫JA)

セルフ・クラフト・ワールド 1 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 芝村 裕吏
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/11/30
  • メディア: 文庫
セルフ・クラフト・ワールド 2 (ハヤカワ文庫JA)

セルフ・クラフト・ワールド 2 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 芝村 裕吏
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/04/28
  • メディア: 文庫
セルフ・クラフト・ワールド 3 (ハヤカワ文庫JA)

セルフ・クラフト・ワールド 3 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 裕吏, 芝村
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★

日本で開発された、大規模多人数同時参加型
オンラインRPG〈セルフ・クラフト〉。

この電脳世界と現実世界が、相互に関わりながら
変化を遂げていく模様を描く。

「1」では、〈セルフ・クラフト〉内が舞台となる。

この世界の中では、”G-LIFE” と呼ばれる人工生命体が設定されたが、
〈セルフ・クラフト〉内での時間の経過と共に
現実世界での鳥や獣の存在に相当するものから
異形の怪物まで、様々な形態へと独自の進化を遂げていた。

 ちなみに〈セルフ・クラフト〉内の時間は、
 現実世界の100倍のスピードで流れている。

主人公・GENZ(ゲンツ)はプレイヤーとして
〈セルフ・クラフト〉にやってきた。
その目的は、”G-LIFE” の生態の研究だ。
ゲーム内のキャラクターである少女・エリスとともに旅するうちに、
謎のハッカー集団がゲーム世界内に ”侵入” しているところに遭遇する。

「2」では、〈セルフ・クラフト〉と現実世界が並行して語られる。

まずは総理大臣・黒野無明(くろの・むみょう)にスポットが当てられる。
ここで明かされるのは、〈セルフ・クラフト〉の現実世界での価値。
なんと、このゲーム世界は日本の技術革新の要となっている。
独自進化を遂げた ”G-LIFE” から様々な情報が
現実世界へとフィードバックされ、新たな技術を産み出していたのだ。

世界の各国でも同様の電脳世界の構築を目指していたが、
仮想生物の独自進化に成功したのは日本のみ。
よって、〈セルフ・クラフト〉は世界から垂涎の的であり、
常にハッカーの脅威にさらされていたのだ。

一方、〈セルフ・クラフト〉内では超戦士カトーが目覚め、
ゲームキャラの神官・えり子、半妖(はんよう)のマイドンと共に旅立つ。
カトーの目的は、〈セルフ・クラフト〉内に生きるキャラたちすべてに
”民主主義” を ”布教” することだった。

 なぜに「民主主義」? って思うのだが
 それはかなり後にならないと分からない。
 それにしても、ファンタジー世界のなかに
 民主主義を広める、って発想はなかなか斬新だ。

そして現実世界では、とてつもない災厄が起きようとしていた・・・

完結編となる「3」では、「2」の時代より25000年が経っている。
(あくまで電脳世界の中での時間経過であるが)

〈セルフ・クラフト〉内では、世界の一部が
原因不明のまま ”消失” していく現象が発生していた。
”民主主義教” を奉じる竜の高僧ミンドンは “消失” 現象の原因を究明し、
食い止めるために寺人エミカとともに旅立つ。

 ちなみに「寺人」というのは、作中では ”寺院の下働き” くらいの
 意味で使われてるようだが、本来の意味は違うみたいだ。

一方、現実世界では、「2」のラストで起こった大災厄によって
こちらも滅亡の危機に瀕していた。
〈セルフ・クラフト〉には、人類救済への希望が託されていた・・・

語り口はコメディ調なのだけど、ストーリー自体はかなり深刻。
とくに現実世界で起こる事象はかなり絶望的なのだけど
この作者の持ち味なのか、登場するキャラがみな楽天的というか
変に悲観的になって鬱になることがないのは救いだ。

ゲーム世界内では、恋愛フラグが立つと変な音楽が流れたり(笑)、
荷物は四次元ポケットみたいに収納できたり、
服装や髪型はコマンド一つで変更できたり。
まあゲームだから当然なのだが。

ゲーム内キャラのエリスが熊本弁で喋ったり
カトーとマイドンの掛け合いは往年のギャグマンガそのまんまだったりと
ユーモラスな描写も事欠かない。

エリスもえり子もエミカも、そして黒野首相の秘書AIも、
女性(?)電脳キャラがみんな実に健気なのもポイント高い(笑)。

〈セルフ・クラフト〉内の出来事と、現実世界の出来事が
必ずしも同時進行で描かれていないので、
何がどこでどうつながるのかが明かされる伏線回収は
終盤を待たなければならない。

ラストでは、滅亡に瀕した現実世界を救うために
〈セルフ・クラフト〉から ”ある技術” がもたらされるのだが・・・

このあたりは好みが分かれそう。私は今ひとつ好きになれないのだが、
滅亡から逃れる方法は作品ごとにそれぞれだからなぁ(笑)。

作者はハヤカワ文庫で既に3冊上梓しているのだけど、
本書は既刊の「この空のまもり」と同じ世界の話になっている。
というか、「この空ー」のほうが本書の前日譚という位置づけなのだろう。

田中翼くんも、その妻となった七海さんも出てくる。
七海さんは超少子化社会の中でも「ばんばん子供を産む」って
宣言してた人なのだけど、彼女の有言実行ぶりも描かれる。

あと、作品中のアイテムとして「まめたん」が登場する。
”まめたん開発に関わった伊藤夫妻”、って名前も出てくるので
「富士学校まめたん研究分室」も同じ世界の話なのだろう。

 どちらも、直接的なストーリーのつながりはないので
 本書の前に読んでおく必要はないけど、
 田中くんは後半になるとけっこう出番があるので
 「この空ー」を読んでいた方がより楽しめるかな。

 ”伊藤夫妻” はそれこそ名前だけしか出てこないのだけど
 「富士学校-」はとても面白い話なので、機会があったらぜひ。

こうなると「宇宙人相場」もつながっていてほしいのだが
少なくとも私が読んだ限りでは関連は見つからなかった。
まあ、本書の中に宇宙人が出てきたら、
それなりに厄介な話になったかも知れないからなぁ・・・


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犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー 探偵AI2 [読書・ミステリ]

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★

父・合尾創(あいお・つくる)が残した探偵AI・相以(あい)とともに、
探偵事務所を開いた合尾輔(たすく)。

しかし前巻で相以に敗北を喫した犯人IA・以相(いあ)は雪辱戦を挑む。

前巻で登場した公安警察官・右龍司法(うりゅう・かずのり)。
彼は三つ子の兄弟で、立法(たつのり)は与党の衆院議員、
行政(ゆきまさ)は外務省官僚だった(なんというネーミングだ)。
そして3人の母は日本初の女性総理・右龍都子(みやこ)。

AI戦略特別委員会リーダーでもある立法から、輔に仕事の依頼が入る。
長崎県壱岐で漁業組合長・板東が撲殺された。
凶器は現場に残されたスコップだったが、
現場には誰も出入りできない状態だったのだ。
さらに現場近くには韓国の硬貨が散乱していた。

一方、壱岐の北にある対馬には、
ゴムボートに乗せられた射殺死体が漂着していた。
それは韓国に出張中に行方不明になった右龍行政のものと判明する。

解決の糸口を見いだせないまま東京に戻った輔たちだが、
今度は首相官邸内で起こった殺人事件に遭遇する・・・

前巻は連作短篇だったが、今回は長篇。
ラストでは一連の謎が解き明かされるのだけど、
さらにその後ひとひねり、となる。

本書における事件では、右龍三兄弟の設定が大きなウエイトを占めている。
最先端のAIがテーマなのに、古典的な双子(三つ子)の
○○○○○や○○○○が出てくるのはちょっと違和感が。

ミステリの ”べからず集” である「ノックスの十戒」や
「ヴァン・ダインの二十則」にも載ってるのは、
それなりに理由があると思う。
もちろんこれらは絶対に守らなければいけないというものではないし、
意図的にこれを破った傑作もあるのは否定しない。
単に好みの問題なのでしょう。

壱岐の事件も偶然に頼りすぎだとは思うけど、
それを差し引いても、ミステリとしてはよくできてるとは思う。
でも、今ひとつ好きになれないんだよなあ。


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ジョン・ディクスン・カーの最終定理 [読書・ミステリ]

ジョン・ディクスン・カーの最終定理 (創元推理文庫)

ジョン・ディクスン・カーの最終定理 (創元推理文庫)

  • 作者: 柄刀 一
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★

ジョン・ディクスン・カー生誕100周年記念祭が日本で開かれ、
その展示物の一つとして1冊の本がやってきた。

それはイギリスで発行された未解決事件の記録集だったが
カー自身による短い走り書きが随所にあり、
その中にはカー自身の推測通りの真相が明らかになった事件もあった。

しかしその中で、カー自身が「推理で解決した」との書き込みをしながら
未解決に終わったものが1件だけあり、その事件は
”ジョン・ディクスン・カーの最終定理” と呼ばれていた。

 本書のタイトルは、数学者フェルマーが「証明した」と書き残しながら、
 その内容を記さなかったために後世の数学者が証明に奔走したという
 「フェルマーの最終定理」からとったものだ。
 ちなみに証明されたのは、フェルマーの死から330年後だという。

記念祭開催を4日後に控え、その本は三浦半島にある屋敷にあった。
そこは大学生・友坂の一族が所有する別荘で、
大学教授テイラーと、その教え子である大学生たちが集まっていた。

カーの書き込みをもとに、推理を巡らせる学生たちだったが・・・

本書では、3つの謎が提起される。

まずは「未解決記録集」から ”フランドル魔弾事件”。
自宅で病床にあった老婦人が、窓に向けて銃弾を放った。
同時刻、運河を挟んで対岸にあった治療院に入院していた
金貸しが銃弾を受けて死亡した。
しかし治療院は、老婦人の家からはどんな銃でも届かない距離にあり、
しかも、老婦人が撃った窓は、治療院とは正反対の方角だったのだ。

カー自身の書き込みをヒントに、学生たちは事件の真相に迫る。

2つめは、タイトルでもある ”ジョン・ディクスン・カーの最終定理”。
連続放火殺人事件が起こっていたイギリス。
マッギルとシュナイダーの2人は、かつての放火犯・ギャレットを訪ねる。
しかし彼らが目撃したのは、部屋の絨毯の上で炎に包まれている
ギャレットの焼死体だった。しかし、絨毯には一切の焼け跡はなく、
しかも遺体の左手の肘から先だけが生身で残っていた。

これにカーは ”解決した” と書き残したのだ。

そして3つめは、現在の事件。
別荘の中庭で友坂の死体が発見される。凶器は水中銃だったが
犯行時刻には現場は衆人環視の状態にあり、
犯人の出入りは不可能だったのだ・・・

文庫で270ページほどの中に3つも密室/不可能犯罪を放り込んで
ものすごく読者サービスにあふれた作品なのは間違いない。

ただ、現実の事件と並行して過去の事件が語られ、解決されていくので
どうにも現実の事件のほうの印象が薄くなってしまう。
私は現代編の登場人物、とくに学生たちの名前とかが
さっぱり頭に入らなくて終盤まで全員のキャラが把握できなかった。

 たんに、私のアタマがの記憶容量が小さくて
 なおかつマルチタスクできないだけなのだろうが・・・

私としては、最初に提示される魔弾事件の解決が好きだなぁ。
実現の可能性は低そうだが、あの時代ならアリかも、って思える。

放火事件と友坂殺害事件の解決には、
ある ”発想の転換” が適用されるのだけど、
このあたりはちょっと島田荘司的なモノを思い出させるかな。

終盤、この2つの事件に意外な共通点があることが分かるのだけど
ラストが今ひとつ不明瞭なんだよねぇ・・・
このへんも、私としては減点ポイントなんだけど。

これを余韻と取るか、中途半端と取るか。


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探偵AIのリアル・ディープランニング [読書・ミステリ]

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)

  • 作者: 早坂吝
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫
評価:★★★

人工知能(AI)という言葉もすっかりお馴染みになり
「シンギュラリティ」とか「2045年問題」とかいうものも
よく耳にするようにになってきた。
そして、ミステリの世界にも
AIが主役として登場してくるようになったみたいである。

AIの研究者・合尾創(あいお・つくる)が
密室状態の研究室の中で焼死体で発見される。

高校生の息子・輔(たすく)は、父が超大容量SDカードの中に残した
AI・相以(あい)と出合う。

父・創は ”探偵AI” としての相以と ”犯人AI” としての以相(いあ)と
2つのAIを開発し、”彼女ら” を仮想空間内で対決させ、競わせて
学習・成長させてきたのだという。

犯人AI・以相を奪取したのは、テロリスト集団「オクタコア」。
彼らの目的はAIによる人類の支配だった。
探偵AIである相以をも手に入れるため、「オクタコア」は次々と
輔に向けて ”刺客” を送り込んでくるのだが・・・

 こう書いてくると、なんだか昭和の頃のヒーローものみたいだが、
 「オクタコア」が差し向けてくるのは
 改造された怪人ではなく、犯人となる人間だ。

輔は相以とともに、以相&「オクタコア」が引き起こす事件を
解決していく・・・という連作短篇集である。

「第一話 フレーム問題 AIさんは考えすぎる」
輔と相以との出会いと、父・創の真相が語られる。

「第二話 シンボルグラウンディング問題
  AIさんはシマウマを理解できない」
自然保護団体・トーキョーゼブラの本部の緑地内で
リーダー・横島馬子(うまこ)が殺害される。
犯人は高さ5mほどの崖の上からロバを投げ下ろし、
馬子はその直撃で死亡したものと思われた・・・
オチを、海外の某有名長編へのオマージュととるか
単なるダジャレ(笑)ととるかは、人それぞれだろう。

「第三話 不気味の谷
  AIさんは人間に限りなく近づく瞬間、不気味になる」
輔は相以とともに、自宅で探偵事務所を開く。
そのころ、彼の通う高校では3週連続で謎の事件が起こっていた。
そして4週目、40代の男性教師が陸橋から突き落とされて
重傷を負ってしまう。
クラスメイトの間人波(たいざ・なみ)から、正式に探偵依頼を受けた
輔は相以とともに高校の中を探るが・・・

「第四話 不気味の谷2 AIさん、谷を越える」
輔の母・まもりは16年前に亡くなっていたが、
彼にはその経緯は知らされていなかった。
母の死亡時の詳細情報を入手した輔は、現場となった母の故郷へ向かう。
16年前に猟師だった祖父が亡くなり、その四十九日で帰郷していた母が
祖父の使っていた山小屋で焼死体で発見されたのだ。
しかし、死因は焼死ではなかった・・・

「第五話 中国語の部屋 AIさんは本当に人の心を理解しているのか」
「オクタコア」のアジトへと拉致されてきた輔は、
自らの解放を賭けたゲームに取り組むことになる。
これから会話をする相手のAIが、相以なのか、「オクタコア」が用意した
精巧なコピーなのかを見破る、というものだったが・・・

AIの進歩と、本格ミステリを絡めた趣向が目新しい。

例えば、現実世界の事件では、あらゆる可能性を考える必要がある。
通り魔殺人なら、極端に言えば人類全員が容疑者になり得る。
しかしミステリの世界では、犯人の範囲は登場人物に限定される。
これをAIの「フレーム問題」と対比させるというのは面白い。

各短篇の副題にもあるように「不気味の谷」なども有名だが
「シンボルグラウンディング問題」や「中国人の部屋」というのは
今回初めて知ったが、”意識” や ”思考” というものについて
いささか考えさせられた。

登場するキャラもなかなかユニーク。
警視庁の佐虎警部補、その元カレである公安部の右龍が
警察側として登場するが、右龍は日本初の女性総理大臣の息子で
極度のマザコンという設定がものスゴい。
ここまでやるかと思う描写もあるが、これは次巻への布石でもある。
対する「オクタコア」側も粒ぞろいの変人(?)ばかり。

どちらもアクが強すぎて、好みは分かれそうだが
主役である輔と相以が素直な性格なので、これでいい案配なのだろう。

続巻となる「犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー 探偵AI2」も
読了しているので、近々記事に挙げる予定。


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