2021年 読んだ本ベスト30 [読書全般]
新型コロナウイルス・デルタ株が落ち着いたかと思ったら、オミクロン株なる新型に翻弄されそうな新年が見えてきた2021年の終わり。
皆様は如何にお過ごしでしょうか。私 mojo はなんとか無事に生きております。
ということで、年末恒例のランキング発表です。
毎回書いてますが、私 mojo の独断と偏見で決めてます。皆さんの評価と一致しない場合もあるかと思いますが、私の好みの問題ですので、石を投げたりせずに(笑)ご寛恕ください。
対象は、原則としてオリジナルのフィクション作品のみです。
ノンフィクションとノベライズも、合わせて10冊くらいは読んでるんですが、感想を書くのが面倒だったので記事にはしてません(おいおい)。
シリーズ作品や、文庫化に際しての分冊化などの場合は1つにまとめてしまったものもあります。悪しからずご容赦ください。
あと、挙げてある本の中にはまだ記事に書いてないものも含まれます。現時点で、読了したのにまだupしてない本が10冊くらいあります。1月中にはupする予定ですが。
まず、ベスト30発表の前に殿堂入り作品の発表を。
「夏への扉〔新版〕」(ロバート・A・ハインライン)[ハヤカワ文庫SF]
まさかの実写映画化、そしてそれに合わせての新版発行と根強い人気を証明しました。ブログの記事にも書きましたが、大学時代の思い出の一冊でもあります。詳しくはそっちの文章を読んでください(おいおい)。
それでは第1位~第10位まで。私の評価はすべて星4つ半です。
第1位「炎の塔 / 波濤の城」(五十嵐貴久)[祥伝社文庫]
消防士・神谷夏美シリーズ第1作&第2作。現在第3作が発売中とのこと。
三部作とか言わず、もっと続けてほしい。
第2位「medium 霊媒探偵城塚翡翠」(相沢沙呼)[講談社文庫]
各種ミステリランキング総なめも納得の一作。
第3位「かがみの孤城 上下」(辻村深月)[ポプラ文庫]
本屋大賞受賞の感動作。もし映画化されるなら実写じゃなくてアニメの方がいいと思うんだけどな。
第4位「蒼海館の殺人」(阿津川辰海)[講談社タイガ]
まさに新本格ミステリの大作。
第5位「機龍警察 暗黒市場 上下」(月村了衛)[ハヤカワ文庫JA]
はやく続きも文庫化してほしい。
第6位「敗北への凱旋」(連城三紀彦)[創元推理文庫]
この ”犯人” はスケールでかすぎ異色すぎ。
第7位「星系出雲の兵站-遠征-(全5巻)」(林譲治)[ハヤカワ文庫JA]
「星系出雲の兵站」の続編だけど、正編も傑作。
第8位「深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃」
(数多久遠)[祥伝社文庫]
”潜水艦もの” に外れなし。「サブマリン707」「青の6号」が好きなら読むべし。
第9位「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン
/ メカ・サムライ・エンパイア
/ サイバー・ショーグン・レボリューション」
(ピーター・トライアス)[ハヤカワ文庫SF]
歴史改変三部作。ロボットアニメファンなら第2作から読むのもアリ。
第10位「あとは野となれ大和撫子」(宮内悠介)[角川文庫]
主役の女の子以外はみな外国人だし、みんな ”撫子” ってガラじゃない子ばっかり(笑)だけど、傑作。
つづいて第11位~第20位まで。星数はすべて星4つ。
第11位「ヨルガオ殺人事件 上下」
(アンソニー・ホロヴィッツ)[創元推理文庫]
正統派謎解きミステリ。上手いとしか言いようがない。
第12位「グラスバードは還らない」(市川憂人)[創元推理文庫]
いつもながら、抜群のストーリーテラーぶり。
第13位「暗色コメディ」(連城三紀彦)[双葉文庫]
連城マジック炸裂。いささか強引ながら最後まで読まされてしまう。
第14位「碆霊の如き祀るもの」(三津田信三)[講談社文庫]
現代伝奇ミステリでは最高のシリーズ。
第15位「交換殺人はいかが?」(深木章子)[光文社文庫]
小学生の安楽椅子探偵・樹来くん。コ○ンに負けるな。
第16位「アンデッドガール・マーダーファルス 1~3」
(青崎有吾)[講談社タイガ]
ホラー+アクション+本格ミステリ。てんこ盛りとはこのことだ。
第17位「柘榴パズル」(彩坂美月)[文春文庫]
切ない家族の物語だけど、ラストは温かい。
第18位「金木犀と彼女の時間」(彩坂美月)[創元推理文庫]
胸キュンSF学園青春ミステリ。
第19位「消えた断章」(深木章子)[光文社文庫]
22歳になった樹来くんが遭遇する、二重誘拐事件の顛末や如何に。
第20位「沈黙のパレード」(東野圭吾)[文春文庫]
久しぶりのガリレオ。湯川先生お帰りなさい。
つづいて第21位~第30位まで。こちらも星数はすべて星4つ。
第21位「他に好きな人がいるから」(白河三兎)[祥伝社文庫]
初恋は実らないものなんですねぇ(しみじみ)。
第22位「磁極反転の日」(伊与原新)[新潮文庫]
久しぶりに読んだSF大作。コロナ禍の今だから面白い。
第23位「空色の小鳥」(大崎梢)[祥伝社文庫]
やっぱり子どもは幸せにならないとね。
第24位「人間動物園」(連城三紀彦)[双葉文庫]
ラストに至って二転三転、容易に底が見えません。
第25位「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」(井上真偽)[講談社文庫]
論理的すぎてついていけない(笑)。
第26位「螺旋の底」(深木章子)[講談社文庫]
ラストで ”背負い投げ” が炸裂。
第27位「図書館の殺人」(青崎有吾)[創元推理文庫]
相変わらずの天馬くんだけど、これが通常運転なんでしょう。
第28位「三本の緑の小瓶」(D・M・ディヴァイン)[創元推理文庫]
これってラブコメだよねぇ? え? 違う?
第29位「開かせていただき光栄です / アルモニア・ディアボリカ」
(皆川博子)[ハヤカワ文庫JA]
この2作で完結かと思いきや、まさかの3作目が刊行だって。
第30位「風神の手」(道尾秀介)[朝日文庫]
これもある意味悲惨な話だけど、ラストで救われる。
さて、ベスト30は以上なのですが
例年31~60位まで紹介しているので以下に掲げます。
ここまでくると順位は余り意味がないので読了順に載せます。
題名の★印は星4つ、他の作品は星3つ半です。
<1月>
★「銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河」(田中芳樹)[創元SF文庫]
「誰も僕を裁けない」(早坂吝)[講談社文庫]
★「六つの希望 吉祥寺探偵物語」(五十嵐貴久)[双葉文庫]
★「海賊島の殺人」(沢村浩輔)[創元推理文庫]
「信長島の惨劇」(田中啓文)[ハヤカワ時代ミステリ文庫]
<2月>
★「七つの海を照らす星」(七河迦南)[創元推理文庫]
「片桐大三郎とXYZの悲劇」(倉知淳)[文春文庫]
★「アルバトロスは羽ばたかない」(七河迦南)[創元推理文庫]
★「鬼畜の家」(深木章子)[講談社文庫]
<3月>
「深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説」(辻真先)[創元推理文庫]
「開化鉄道探偵」(山本巧次)[創元推理文庫]
★「怨み籠の密室」(小島正樹)[双葉文庫]
★「ふたえ」(白河三兎)[祥伝社文庫]
「夢と魔法の国のリドル」(七河迦南)[新潮文庫nex]
<4月>
「罪の余白」(芦沢央)[角川文庫]
「衣更月家の殺人」(深木章子)[講談社文庫]
<5月>
「死神さん」(大倉崇裕)[幻冬舎文庫]
★「首無館の殺人」(月原渉)[新潮文庫nex]
★「犬神館の殺人」(月原渉)[新潮文庫nex]
<6月>
「卒業したら教室で」(似鳥鶏)[創元推理文庫]
<8月>
「からくり探偵 百栗柿三郎」(伽古屋佳市)[実業之日本社文庫]
「半席」(青山文平)[新潮文庫]
<9月>
「運命の証人」(D・M・ディヴァイン)[創元推理文庫]
「花窗玻璃 天使たちの殺意」(深水黎一郎)[河出文庫]
<10月>
「カナダ金貨の謎」(有栖川有栖)[講談社文庫]
<11月>
★「永遠の森 博物館惑星」(菅浩江)[ハヤカワ文庫JA]
「元彼の遺言状」(新川帆立)[宝島社文庫]
「災厄の紳士」(D・M・ディヴァイン)[創元推理文庫]
「ミネルヴァの報復」(深木章子)[角川文庫]
<12月>
「ゴーストハント(全7巻)」(小野不由美)[角川文庫]
さて、読んだ本についての発表は以上です。
あとは、私の近況についてちょっと書いて終わりにしましょう。
私の身の上に起こった今年最大の変化は、ついに「年金生活者」になった、ってことですかね。
とはいっても65歳前なので全額は出てませんが、パートタイムでの乏しい稼ぎの身にはありがたいことです。
それ以外は、全くといっていいほど生活に変化はしてません。仕事でも、昨年は2か月ほどあった在宅勤務も今年はゼロで、通常勤務の1年間でした。
秋くらいからコロナも落ち着いてきましたが、旅行にも行かずに模範的な「ステイホーム市民」を実行してます。
昨年の緊急事態宣言中は、外出するのは出勤と生活物資入手のためのスーパー通いくらいでしたけど、今年は映画と外食がちょっと増えましたから、外出自体はやっぱり増えましたね。
そのぶん読書に回す時間が減ったみたいで、読めた冊数も昨年の221冊を下回って188冊に。それでも、統計を取り始めたここ20年ほどの間では、歴代で2位の冊数になりました。
読んだ総ページ数は文庫換算で約67600ページ。1日あたり平均185ページくらい読んでいたことになります。時間にしたら2時間弱くらいかな。
それに加えて、昨年に続いて目標としていた「2日に1回の読書録up」も何とかこなせたようです。
ただ、来年はどうなるのでしょうかね。オミクロン株の影響はまだ分かりませんが、感染者がある程度増えていくのは仕方がないのでしょうね。
こんなに「将来が見通せない時代」になるなんて、数年前には考えられませんでしたよ・・・
だらだら続けてきたこのブログも、2300件を超える記事数となりました。内容の質は保証できない駄文の山ですが、それでも覗きに来てくださる方がいることが励みになってます。
これからも、皆さんの暇つぶしの一助になれば望外の幸せです。
それでは皆様、良いお歳を。 m(_ _)m
大癋見警部の事件簿 [読書・ミステリ]
評価:★★☆
タイトルの「大癋見」は「おおべしみ」と読む。珍名さんというか実在するかどうかも分からない名字だが、これが本書の主人公、警視庁捜査一課の警部なのだ。
エリート捜査官かと思いきや、やる気はゼロ。思いつくままの行き当たりばったりの捜査。口を開けば下ネタと暴言が飛び出し、ヒマさえあれば居眠りばかり。もっとも、これはナルコレプシー(嗜眠症)という病気らしいのだが。
ところが彼が率いる捜査班は検挙率100%という。まあ読んでもらえば分かるが、彼の部下たち(こちらも充分に個性的)の涙ぐましい努力のたまものでもある。
次に目次の内容を掲げる。あれこれ書くより、これで本書の内容はあらかた見当がつくと思う。タイトルの下にあるのは、副題というか内容説明文というか、要するにそんなものだ(笑)。
「CHAPTER 1 国連施設での殺人」
最初はやっぱりノックス先生
「CHAPTER 2 耶蘇聖誕祭(クリスマス)の夜の殺人」
神が嘉し給うたアリバイ
「CHAPTER 3 現場の見取り図」
そろそろここらへんで密室殺人
「CHAPTER 4 逃走経路の謎」
加えてさほど意味のない叙述トリック
「CHAPTER 5 名もなき登場人物たち」
完全無欠のレッド・ヘリング
「CHAPTER 6 図象学と変形ダイイング・メッセージ」
ヴァン・ダインの二十則も忘れない
「CHAPTER 7 テトロドトキシン連続毒殺事件」
後期クイーン問題に対して、登場人物たちが取るべき正しい態度
「CHAPTER 8 この中の一人が」
お茶会で特定の一人だけを毒殺する方法
「CHAPTER 9 宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人」
二十一世紀本格
「CHAPTER 10 薔薇は語る」
〈見立て〉の真相
「CHAPTER 11 青森キリストの墓殺人事件」
バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決
この目次と主役の警部のキャラクターを合わせれば、だいたい分かると思うが、本書はミステリーのあらゆるパターンや ”お約束ごと” をテーマにした ”バカミス” の集合体だ。
例えば「CHAPTER 1」のテーマは ”ノックスの十戒”。(知らない人はググってくださいwww)。
要するにミステリを書くときの ”10項目の決まりごと” みたいなものなのだけど、いかんせんこれを決めたノックス先生自体がけっこう昔の人なので、現代から見ると「?」な規則もある。
その中にあるのが「中国人を登場させてはならない」というもの。ノックスがこれを入れた理由を知ったら中国政府が怒り出しそうだけど、そんなことが書けるくらい、世界情勢は今とは懸け離れていたということだ。
で、この短篇に中国人の容疑者が登場するのだけど、それで警部の部下の江草刑事(本格ミステリマニアという設定)が騒ぎ出す・・・という展開。
そして最後は脱力ものの結末を迎える。真面目な人なら怒り出すようなオチで、私は田中啓文の作品かと思いましたよ(笑)。
まあ、一事が万事この調子で、ユーモアとパロディと身も蓋もないギャグに満ちた作品集になってる。とはいえ、ところどころ「はっ」とさせることも書いてるのは流石ではあるけどね。
けっこうミステリを読み込んでる(それも古典作品から)人なら、充分楽しめるとは思う。
「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 ーSTASHAー」 本予告公開 [アニメーション]
毎回、『ヤマト』の予告編というのは情報量が多いのですけど、今回は特に密度が高そう。短いカットも多くて、この文章を書くために、頻繁に一時停止ながら一生懸命観てしまいました。
いやはや老眼には辛い作業ですな(笑)
それでは、いってみよう。
・スターシャに銃を向けるデスラーのシーンから開始。
いったいどんなシチュエーションなのでしょう。そしてここは何処?
クリスタルパレスの地下のサンクテル(聖域)?
スターシャ「これでも私を救いますか」
古代「デスラー!」
・デスラーの背後には古代がいるが艦長服ではない。
てことはヤマトを島に任せて抜け出してきたんですかね。
・スターシャは何かをデスラーに告げたらしい。
そしてそれはデスラーには(あるいはガミラス人には)許しがたいことだった?
何だろう。イスカンダルに漂着した避難民を見捨てる、とか言い出したのかな?
・タイトルが出てきて・・・
○イスカンダル上空での戦闘シーン。
ヤマトとガミラス艦隊。後方にはヒュウガ。機動甲冑のようなものも。
○艦長帽を飛ばす古代
○イスカンダルの地表? スターシャとユリーシャ。
○山本のアップ
○戦闘指揮するメルダーズ
○ビーム攻撃を受けるヤマト。
波動砲発射口が発行してるので発射態勢のようですね。
○コスモパイソン
○立ち上がる雪、そして真田、メルダーズ。
○謎のビームを発射しようというゴルバ
こんな感じのメカが実写版ヤマトに出てなかったかな?
○主砲を撃つヤマト
・そして土門くん登場
土門「全員で背負うって、何です?」
・それをここに書き出すと長くなるので、「2202」を観ましょう(笑)。
・”浮上” する次元潜航艇
雪「イスカンダルが進路を変えた!?」
・燃え上がる炎(のようなもの)を見つめる古代、デスラー。
その二人のさらに前に見えるのは誰?
髪型だけ見るとキーマンのようにも見える(まさかね)
・それよりここは何処?
・攻撃するデザリアム艦隊
・画面を横切る謎の飛行物体。これは例の試作機でしょう。
前章では曰くありげに出てきたので、後章では何らかの重要な役割が与えられてると思われる。見た目は旧作での中型雷撃艇っぽい?
メルダーズ「我らの目的は×××一刻も早くイスカンダルを持ち帰ること」
・すみません、耳が悪いせいか一部聞き取れません。
最近こういうこと多いんだよねぇ。やっぱりトシには勝てん(おいおい)
・デザリアムの多脚戦車(?)が取りつこうとしているのは次元潜航艇か。
公式ページには、ゴルバ内には多脚戦車が多数格納とある。
ということは、潜航艇はゴルバ内部に潜入したのか?
・何かのメカを操作していると覚しきハイニ。
・主砲を撃つヤマト、命中して破壊されるデザリアム艦
・艦長席から立ち上がる古代
古「引き金は、俺が引く!」←当然ながら、これは波動砲のことだよね
・ビーム攻撃を受けるヤマト。波動砲発射態勢のよう。
前出のシーンの続きと思われる。
古「イスカンダルが身を切ってまで与えてくれたチャンスを無為にはできない!」
・どんなチャンスなんでしょう?
そしてイスカンダルは何を ”切った” のでしょう?
・顎に手を当てるメルダーズ
・藪のアップ。泣いてるのか?
・ヒルデ嬢。彼女もどんな役回りになるのでしょうかね。
・銃を構える土門
土「力を貸してください!全員を助ける方法があるんだ」
・今作でのラッキーボーイになるのか、新人たちよ。
・交戦中のヒュウガ、ヤマト、ガミラス艦隊
・古代に問うデスラー
デ「お前は何をしにここに来た?」
・たぶんスターシャを助けるために来たのではないかな。
イスカンダルから連れ出そうと説得するために。だよねぇ?
・イスカンダルの空を舞うコスモパイソン
ス「永遠を手に入れても、人は救われない」
・彼女のいう ”永遠” とは何?
・サーシャ(?)のカプセルを持つユリーシャ
・涙を流しているのはメルダ?
・走る土門
デ「かつて君は早く大人になれと私に言った」
・予告冒頭のシーンの続きか?
・スターシャとデスラーって実はけっこう歳の差があったりする?
やっぱりイスカンダル人の加齢の仕方は、地球人やガミラス人とは異なる過程を辿るのでしょうかね。
・大気圏突入するデウスーラ、ヤマト、ヒュウガ。
やっぱりこういうシーンは燃える。
デ「私に自分自身を撃たせるためにか!?」
・スターシャに対して激高するデスラー。旧作でも感情表現が爆発して(笑)ましたけど、今作でも?
・ゴルバに突入するデウスーラ、
よく見ると、ゴルバの下部が展開してる。ビーム攻撃のためか。
・戦闘指揮するメルダーズ
・ゴルバに激突するデウスーラ。
・扉に取り憑く機動甲冑姿のキャロライン
古「絶対に譲れないものがひとにはある。お前がお前であり続けるために徹底的に戦い抜け」
・誰に向けた台詞? 土門?
・ゴルバがビームを放つ。目標はイスカンダル。
デ「このデウスーラに波動砲を撃ち込め! 古代!! 私ごと撃て!!!」
・旧作でもあったこの台詞。物語はここでクライマックス、というところで〆かと思ったら
メ「ここまでだ・・・」
予告編公開と同時に、公式サイトも情報が多く追加されたみたい。特にゴルバの解説が豊富ですね。
公式サイトの引用をしつつ、内容を確認してみましょう。
『イスカンダル星移送のために派遣された移動要塞。』
旧作での目的はガミラシウムとイスカンダリウムというエネルギー物質の回収でしたが、今回はイスカンダル星そのものが標的だと。
『「自動惑星」の異名を持つ。フィールド発生器で天体を慣性制御し、移動させることができる。これらはゴルバ周囲の任意の空間の重力を制御し、複数の重力傾斜を発生させる。』
惑星を移動させることができる、ということですね。大きさの上限は不明だけど、前章を見る限りほぼ地球サイズの惑星の移動は可能、と。だから「自動惑星」なんですかね。
旧作の時は「あのサイズで ”惑星” というネーミングはおかしい」ってツッコミがあったような。42年の時を超え、”名誉回復” ですかね。
『波動砲の直撃を無力化できるクラスの位相変換装甲を有する。』
旧作でもゴルバはデスラー砲の直撃に耐えましたからね。あのときは単純に頑丈そうな装甲に見えましたが、リメイク版ではきちんと設定されてるようです。
『位相変換装甲はエネルギー波を逆相波によって打ち消すものであり、その特性により電磁波を相殺し、ゴルバはその姿を完全なステルス状態とすることもできる。』
ノイズキャンセラーの超大型版(笑)ということですね。
「そんな石ころのようなエネルギー弾がこのゴルバに通用するものか」
細かいところは忘れましたが、旧作ではこんなような台詞をメルダーズが言ってましたね。今回も「石ころ」発言はあるのでしょうか。
『天体をワープさせることも可能であり、この際にはエネルギー供給用外部ユニットとしてデザリアム・ハンマーを使用する。』
ガミラシウムの設定はないけど、デザリアム・ハンマーの項目には『崩壊の迫った天体をエネルギー資源化する装置』とあります。
「天体を崩壊に導く」のは ”目的” ではなく、エネルギーを取り出すための ”手段” だったということですね。
あとは ”仕様” ですね。
全長 : 10km
↑たしかに ”惑星” ではなく、せいぜい ”小惑星” なサイズ。
艦載機 : 襲撃戦闘機カタピラス多数
*内部に殲滅多脚戦車を多数搭載する。
↑後章の予告に出てきたあのメカですかね。
砲熕兵器 :
超大型重力場収束式ベータ砲
大口径重核子ベータ砲×8(主砲)
*他、対空・対艦ミサイル、重核子ベータ砲、重核子アルファ砲をはじめとする防御兵装を多数備える。
↑”重核子” って単語を聞くと ”暗黒星団帝国” を連想してしまう私。
目からウロコだったのは、”アルファ砲”。”ベータ砲” があるんだから ”アルファ砲” があってもおかしくないなぁ・・・と思ってググってみたら、どうやらゲーム版からの逆輸入みたいだね。
私はヤマト系のゲームは一切やってない(というか、ここ30年くらいゲームと名のつくものに触ってない)ので知りませんでしたよ。
その他の公式サイトの追加情報としては「AAA-21 アルフェラッツ」が気になります。
艦名の通りアンドロメダ級21番艦。ちなみにアルフェラッツは ”アンドロメダ座アルファ星” の別名。
『第十一番惑星近海に取り残されたガトランティス艦隊の残骸の調査(再活性化の監視)の任務にあたっている。』
あれだけの大艦隊の調査はたいへんでしょうね。でも、ガトランティスの残したオーバーテクノロジーを手に入れることは、時間断層を喪った地球にとっては最重要かつ最優先課題になりそう。
ただまあ、これが後章にどう絡んでくるのかは皆目見当がつきませんが。
さて、早いもので「後章」公開まで1か月ちょっとになりました。楽しみではあるんですが心配でもあります。
何といってもスターシャ猊下の言動を見ていると、順調に死亡フラグが積み重なっているみたいでねぇ・・・
さて、どんな結末を迎えるのでしょうか。
毎回のことですが、過度の期待はせず、かといって悲観もせず、坦々とその日を迎えたいものです。
ヨルガオ殺人事件 [読書・ミステリ]
ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2021/09/13
ヨルガオ殺人事件 下 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2021/09/13
評価:★★★★
2018年に邦訳された「カササギ殺人事件」は、翻訳ミステリのランキングを総なめにした。
本書はその続編に当たり、前作で登場したスーザン・ライランドが再び探偵役となる。
物語的には独立しているので、本書から読んでも大丈夫とは言えるけれども、前作と共通する登場人物も多いし、特に作中作となる『愚行の代償』を書いた作家アラン・コンウェイに関係する人物は、本書の中でもけっこう重要な役回りで要所要所で出てくるので、できれば「カササギー」を読んでから本書に取りかかった方がより深く楽しめると思う。
まあ、いきなり本書から読み始める人は少ないと思うけれど。
では内容紹介に。
2016年。編集の仕事から退き、パートナーと共にクレタ島でホテル経営に勤しむスーザンのもとへ、イギリスからトレハーン夫妻が訪ねてくる。
彼らの所有するホテル《ブランロウ・ホール》で8年前に殺人事件が起こった。宿泊客の一人が撲殺されてしまったのだ。犯人として逮捕された従業員は、終身刑を言い渡されて現在は服役中だ。
しかし5日前、夫妻の娘でホテルを経営していたセシリーが、「事件の真相をある本で見つけた」と連絡してきた直後に失踪してしまう。
その本とは、アラン・コンウェイの『愚行の代償』。全9作ある名探偵アティカス・ピュント・シリーズの3作目だ。
それはかつてスーザンが編集に携わった本だった。夫妻はスーザンに娘の失踪の調査依頼してきたのだ。
ホテル経営が不振だったスーザンは多額の報酬に惹かれてイギリスへ帰国、《ブランロウ・ホール》に滞在しながら8年前の事件についての調査を始める。
『愚行の代償』は明らかに《ブランロウ・ホール》の事件をモデルに執筆されていたが、セシリーの行方も事件の真相も一向に見通せない。
切羽詰まったスーザンは久しぶりに『愚行の代償』を紐解き始める・・・
ーーー以下、『愚行の代償』の紹介ーーー
時代は1953年。
往年の大スターだったが、今は盛りを過ぎつつある女優メリッサ・ジェイムズが、田舎町トーリーに構えた自宅で何者かに殺害される。
探偵アティカス・ピュントはその事件の捜査を依頼されて、秘書であるマデレンとともにトーリーにやってくる。
容疑者として浮かぶ、胡散臭い人物、不審な人物には事欠かない。
ほとんどヒモ状態のメリッサの夫、彼女の家の使用人親子、彼女から投資を引き出している不動産業者、彼女に出演を断られて窮地に陥った映画プロデューサー、彼女がオーナーになっているホテル《ヨルガオ館》の支配人夫婦、そしてホテルの従業員たち・・・
そんな中、ピュントの推理は意外な真相を明らかにする・・・
ーーー『愚行の代償』の紹介、ここまでーーー
読み終わってもさっぱり手がかりがつかめなかったスーザン。滞在も長引き、ついに期限を切られてしまう。
しかしさすがは主人公(笑)、切羽詰まった状態で推理を巡らせた彼女は、ついに真相に辿り着く・・・
文庫上下巻、トータル840ページに及ぶ。そのうち、昨中作『愚行の代償』はおよそ360ページと、こちらもたっぷり長編1本分のボリューム。
まず、『愚行の代償』の出来の良さに驚き。
作中、何気ない描写や台詞に手がかりがあるのはもちろんだが、その見せ方というか提示の仕方が実に上手い。
違和感というほどではないが何となく引っかかる、という部分がところどころにある。だから当然記憶にも残りやすいのだが、まさか伏線とは思わない。そういうところが結びついて解決編の ”驚き” につながっていく。
伏線を伏線と思わせずに、読み手の印象に残す。いやはや匠の技とはこのことだろう。
本編である『ヨルガオ殺人事件』の方も、上記と同様のことが言える。
前作の時も書いたが「一粒で二度おいしい」とはまさに本書のことだ。
ただ、セシリーが気づいたという ”8年前の事件” とのつながりは、今ひとつ私には理解が及ばなかったようだ。
巻末の解説を読むと「なるほど」と思ったし、だから私のアタマの出来が悪いせいだったと思うのだけどね・・・
2021年を振り返って ーサブカル周辺ー [日々の生活と雑感]
今年の特徴は、長く続いていたアニメ・シリーズ作品が完結を迎えたことが多かったことでしょうかね。
3月には『エヴァンゲリオン』シリーズが完結。新劇場版4作だけでも14年、1995年のTVアニメから数えたら26年ですか。
もっとも、私がきちんと向き合って観てたのは、最初の2~3年と最後の3か月くらいでしたけど(笑)。
6月には『シドニアの騎士』アニメ版が完結。TVアニメ開始から7年。原作マンガの連載開始から数えたら12年。どちらもラストでは泣きましたよ。
11月には『蒼穹のファフナー』が完結。2004年のTVアニメ開始から17年。これは別記事で書きましたね。
同じく11月には『エウレカセブン』ハイエボリューション・シリーズが完結。TVアニメが2005年からだから16年。これも別記事で書いた。
先日、ネット配信で『ゲッターロボ アーク』を見終わったんだけど、あれは永井豪と並んで原作者に名を連ねていた石川賢氏の遺作だったらしい。
中盤くらいから超展開の連続で、私のアタマではついていけませんでしたよ(笑)。原作は未完だったらしいのだけど、アニメの方もラストはよく分からなかった(おいおい)。果たしてこれで終わったのか続きがあるのか。
こちらは1974年のTVアニメ放映から数えたら、なんと47年。
あ、『ヤマト』も第1作は1974年だったから、こちらも47年ですねぇ。
あと3年したら『ヤマト』とのつき合いも半世紀ですか。
トシ取るはずだわ(おいおい)。
なんてことを考えていたら飛び込んできたのが神田沙也加さんの訃報。
どんな事情があったのかはわかりませんが、才能豊かで将来の可能性に満ちていた方が亡くなるのは哀しいこと。しかも35歳という若さ。
子どもに先立たれてしまった親御さんはどんなに辛かったことか。
私の弟も10年ちょっと前に、まだ40代で急逝してしまいました。
母親は「あの後は1年くらい毎日泣き暮らしていた」と今でも時々言いますよ・・・・
そんなわけで(どんなわけだ)、何気なく今年亡くなった人を検索してみたら、けっこう鬼籍に入られた方がいたんですねぇ。
政治家や有名人はTVの追悼番組に任せることにして、サブカル系で私の検索に引っかかった人は・・・
日付けはお亡くなりになった日、年齢は享年です。
男性声優では・・・
・森山周一郎さん(2/8、86歳)
テリー・サバラスやチャールズ・ブロンソンの吹き替えといえばこの人。
若い人は『紅の豚』のほうがよく知ってるかな。
・若山弦蔵さん(5/18、88歳)
ショーン・コネリーの吹き替えと言えばこの人。団塊の世代なら、”ジェームズ・ボンドの声” といったらこの人の声を思い浮かべる人は多いでしょう。
ちなみに私の場合、ジェームズ・ボンドといったらロジャー・ムーアなので(笑)、広川太一郎さんの声を連想しますかね。
・八奈見乗児さん(12/3、90歳)
演じた役は数々あれど、私の中では『巨人の星』の伴宙太と『ヤッターマン』のボヤッキーが双璧。そして ”ポチッとな” を日本語にした人(笑)。
女性声優では・・・
・太田淑子さん(10/29、89歳)
『ジャングル大帝』のレオ、『ひみつのアッコちゃん』、そして初代『ヤッターマン』。
・菅谷政子さん(2/25、83歳)
主役を張るというよりも、脇を固めるバイプレイヤーが多かった人かな。上記の太田さんとともに、日本のTVアニメ創世記を支えた一人。
漫画家では・・・
・さいとうたかをさん(9/24、84歳)
言わずと知れた『ゴルゴ13』の人。たまにコンビニで雑誌形態の総集編になって売ってて、よく買ってた時期があったなあ。
・白土三平さん(10/8、89歳)
『カムイ伝』が代表作って言われてるけど実は読んでない(おいおい)。『忍風カムイ外伝』はアニメにもなってて大好きだった。あと『サスケ』も忘れられない。1960年代の忍者ブームの一翼を担った人だね。
作曲家では・・・
・菊池俊輔さん(4/24、89歳)
『ゲッターロボ』『仮面ライダーX』などをはじめとしたヒーローソング作曲の大家。メロディーもいいけどアレンジもカッコいい。キャッチーなイントロ、間奏でも盛り上げ、ラストもビシッと決まる。
この世界では渡辺宙明さんと並ぶ二大巨頭でしょう。
・小林亜星さん(5/30、88歳)
『寺内貫太郎一家』を連想する人が多いかも知れないけど、本業の作曲ではアニソンもたくさんつくってる。『ボルテスV』や『ターンエーガンダム』が有名だけど、個人的にいちばんカッコいいと思うのは『ファイヤーマン』だったりする。あのサビはもう最高。
・すぎやまこういち(9/30、90歳)
世間的には『ドラゴンクエスト』の人かも知れないが、映画音楽やアニメの作曲もたくさんしてる。『ゴジラvsビオランテ』のメインテーマもカッコよかったし、何といっても『イデオン』のカンタータ・オルビスだよねぇ。これ、立派な ”アニソン” なんだけど信じない人は多そう。だってアニメの本編中に流れるし、ちゃんと歌詞もついてるし。ラテン語だけど(笑)。
特撮系では・・・
・瑳川哲朗さん(2/17、84歳)
『大江戸捜査網』の井坂十蔵が当たり役だけど、『ウルトラマンA』に登場するTACの竜隊長も忘れられない。洋画や海外ドラマの吹き替えもやってて『スペース1999』のコーニッグ指揮官が印象に残る。
・二瓶正也さん(8/21、80歳)
言わずと知れた『ウルトラマン』のイデ隊員。この役の印象が強すぎたせいか、それ以外の活躍が記憶に残ってないのは残念。
・飯島敏宏さん(10/17、89歳)
TBSのプロデューサーで、世間的には『金曜日の妻たちへ』で有名だけど、それ以前には円谷プロに出向して『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』の監督や脚本を担当してた人。
制作側では・・・
・大塚康生さん(3/15、89歳)
アニメ界のレジェンドともいえるアニメーター。『太陽の王子 ホルスの大冒険』をはじめ、『ルパン三世 第1シリーズ』や『カリオストロの城』など宮崎駿と組んだ作品が多い。
『未来少年コナン』『侍ジャイアンツ』『ガンバの冒険』など名作話題作に事欠かない人。
ここまで書いてきて、
「こんなにお亡くなりになってるんだ~」ってちょっと落ち込んでいたら、「そんな気の滅入るような調べごとしてるからだよ!」って家人に怒られてしまいました(たしかに)。
ここに挙げた以外にも、大きな足跡を残された方が他界してるかも知れないのですけど、とりあえず私の検索に引っかかった方だけ載せました。
ほとんどみなさん80歳以上で、ということは、私の幼少期から思春期にかけて、TVのブラウン管(死語)の中でたくさんの夢を見せてくれた人たちです。
改めて感謝すると同時に、ご冥福をお祈りします。
無事に返してほしければ [読書・ミステリ]
評価:★★☆
レストランのオーナーシェフである拓真は、川下りで6歳の長男・啓太を喪っていた。二人が乗っていたカヤックが衝突事故に遭い、川に投げ出された啓太は捜索でも発見されず行方不明になっていたのだ。
しかしその2年半後、拓真の妻・令子のもとにかかってきた電話は
「おたくの息子を預かっている。無事に返してほしければ8500万円を用意しろ」と告げた。
いたずら電話を疑いながらも警察に連絡する拓真。
実は、拓真には啓太についてのある葛藤があった。令子が浮気をした相手の子ではないかと疑っていたのだ。
だから事故の時にも、啓太を救うためのとっさの行動がとれなかったのではないか? あの子を死なせたのは、実は自分ではないのか・・・?
派遣された2名の刑事と共に犯人の指示を待つ拓真と令子だったが、彼らのいる自宅から、今度は長女・亜乃(あの)までが犯人によって連れ去られてしまう・・・
本書の前半は、このように連鎖する誘拐が描かれる。この事件の真相と犯人は中盤までに解明されるのだが、これだけでも充分に長編になり得る内容だと思う。
しかし後半に入ると、さらにもう一つの誘拐事件が語られる。こちらについては紹介は差し控えた方がいいだろう。ただ、前半部ももちろん伏線になっているのはいうまでもない。
誘拐をテーマに書かれたミステリは数あれど、本書の切り口は斬新だ。まだこんなことが描けるのか、と感心したのは事実だ。
ただまあ、わたしがつけた星の数は今ひとつ少ない。この理由はちょっと書きにくい。ネタバレにもつながりそうだし。
ミステリとしての出来は充分に素晴らしいのだけど、私の好みには合致しなかった、ということで。
炎の塔 [読書・冒険/サスペンス]
評価:★★★★☆
巻末の「あとがき」には、こう書いてある。
『本書は1974年の映画「タワーリング・インフェルノ」にインスパイアされて執筆したものです。』
ひょっとして、この映画を知らない方もいるかと思うのでwikiから概要を引用する。
「地上550メートル・138階、サンフランシスコにそびえ立つ世界最大の超高層ビルが、その落成式の日に地下の発電機の故障から火災を発し、やがて数百人の生命を飲み込む炎の地獄と化して燃え上がる。その大惨事を中心に、直面した人々のドラマを描く映画である。」
1970年代にはいわゆる「パニック映画」ブームというのがあって、天変地異や巨大事故を扱った作品が多数作られているのだが、この映画はその代表作と言ってもいいだろう。
上記の「あとがき」の中で、作者はこうも書いている。
「私的・小説にしたい優れたエンターテインメント映画」のトップだ、と。
私がこの映画を始めて観たのはTVで放送されたときだったから、公開から1年後くらいだろうか。私は高校生だった。
さて、それくらい作者の思い入れたっぷりな作品をモチーフに、舞台を日本に置き換えた本書はどうだったのか。それは上記の星の数が示している。
現時点で「2021年 今年読んだ本ベストテン」第1位(暫定)である。
閑話休題。内容紹介に移ろう。
舞台となるのは、銀座に建設された高さ450m、地上100階、地下5階の超高層ビル「ファルコンタワー」。ビルとしては日本最大の高さを誇る。
1階から30階はショッピングフロア、31階から70階はオフィスフロア、71階から100階はイベント施設を含むホテルフロア。
館内のあらゆる機能は、IT技術を駆使してコンピュータによる集中管理が行われている。
そのファルコンタワーの落成式の日。
東京都知事をはじめ政財界から招かれた賓客は、最上階のイベントスペースで行われる祝賀パーティーに臨んでいた。
しかしこの日のために、ビルのオーナー・鷹岡光二は施設の完成よりも披露式典を優先させていた。館内にあるあちこちの設備に未だ不備が残っている状態でありながら、落成式を強行してしまったのだ。
そして、破滅の序曲が始まる。40階で爆発事故が起こり、小規模な火災が発生したのだ。
原因は電気系統の配線の過熱。その裏にはコスト重視の手抜き工事があったというのは、ある意味お約束の展開ではある。
現場からは緊急の知らせが上がってくるが、オーナーや上層部は一向に取り合おうとしない。
現代の最新最高の技術で作られたこのビルで火災など起こるはずがないという過信、今さら式典を中止にできるかというメンツ、上司の顔色を窺って臭いものにふたをしてしまう部下たち。
様々な思惑が交錯し、事態は悪化の一途を辿る。
しかし、防災機能が充分に働かないビルを襲う火の手は刻一刻と増殖を続ける。ついに臨界点を突破して噴出した炎は、一挙にタワー内の人間たちに襲いかかってくる・・・
この日、ビルの落成式には政財界以外にも多くの一般客がホテルの宿泊に訪れていた。
東日本大震災で夫を失った女性と、残された二人の子どもたち。
5年に及ぶ癌との闘病から生還した男と、支えてきた妻。
不倫関係を清算するためにやってきた女子高の教師と、その教え子。
障害を背負って生まれた我が子を育てるのに疲れた夫婦。
かつては銀幕のスターだったが、今は忘れられかけている大女優と、40年間彼女に付き添って来たマネージャー。
偶然にもこの日この場所に居合わせたことによって、彼らの運命もまた急転回することになる。
文庫で520ページの大部であるから登場人物も多岐にわたるが、主役となるのは神谷夏美という女性である。ファルコンタワーのある銀座を管轄する消防署で女性消防士として勤務している。
消防士になって6年目の28歳。主役なのだから、さぞかし経験と自信に満ちあふれた人なのだろうと思いきや・・・
彼女は女性としても小柄で、体力勝負の消防の世界ではどうしても男子に叶わない。自らの限界を感じた彼女は、離職さえも考えている。このように、今ひとつ自分に自信が持てないキャラとして登場する。
そんな彼女がファルコンタワーからの通報に応じて内部調査に赴くのだが、そのとき火災の勢いが一気に増してしまい、上層階に取り残されてしまうのだ。
近隣から集められた多くの消防士たちの懸命な消火活動にも関わらず、火災によって複数ある非常階段やエレベーターも次々に使用不能に陥り、上層階のホテルフロアの人々も最上階への避難を余儀なくされる。
ビル内に取り残された人々は総勢1000名にも及び、彼ら彼女らの命はまさに風前の灯火。
さらに、タワー設計会社の強度計算により、火災の熱によってビルが崩壊を始めるのが約2時間後、という予測がもたらされる。
最後の方法は屋上からのヘリコプターによる救出だったが、折からの悪天候が東京を襲い、台風並みの強風でヘリの離着陸さえも不可能に。
万策尽き果てたその時、意外なところから起死回生の策がもたらされる。しかしそれは、実行する者の生還が望めない危険な行動で、しかも最上階にいる消防士は夏美ただ一人だけ、なのだ・・・
いやはやどんだけ主人公を追い詰めるのかと思ったが、危機は大きければ大きいほどこの手の物語は盛り上がるからねぇ(おいおい)。
主役の夏美以外にも多くの消防士が登場し、消火と救助のためにその命を散らしていく。
これだけでも感涙必至の物語なのだが、彼ら以外にも、この大災害に立ち向かう人たちがいる。
支配人を含めたホテルマンたちも、最後まで客を守るために秩序を失うことなく行動する。これも賞賛すべきことなのだけど、それ以上に読み手に感動をもたらすには、”普通の人々” の行動だ。
こんなことに出会わなければ、市井の人としてひっそりと生を全うしたであろう者たちが、巨大な災害に遭遇したとき、自らの命を省みず他者のために行動していく。その姿は英雄的ですらある。
終盤の100ページほどは、ほとんど号泣しながら読んでいた。この文章を書いている今でさえ、様々なシーンが思い出されて涙がにじんでくるよ。
映画「タワーリング・インフェルノ」をご覧になった方は、ラストで火災を一気に鎮火させる ”大技” を記憶しているだろう。
しかし本作では、序盤の描写の中で早々に ”その手” が使えないことが示されている。まあ、同じ手を使ったら噴飯物だからね。
代わりに作者が用意した ”起死回生の策” は、こちらも序盤からあちこちに伏線が敷いてある。それが終盤で結びつき、「えーっ、そんなことできるの?」と驚かされる。
奇想天外で荒唐無稽とも言えるこのアイデアを、どう捉えるかで本書の評価が決まるかも知れない。
私は、実現可能性はちょっと疑問だが、サスペンス的な盛り上がりも十二分だし、絵的にも見栄えするし、エンタメとしては正解だと思う。
本書が与えてくれた感動は星5つ相当なんだが、終盤の描写にちょっと疑問があったので星半分減。
だって○○は○○○○○より○○んじゃないの?
とはいっても、全体から見ればこれは瑕瑾にすぎない。
こういう本に出会えるんだから、やっぱり読書はやめられない。
ミネルヴァの報復 [読書・ミステリ]
評価:★★★☆
主人公・横手皐月(さつき)は、銀座で事務員1人だけの小規模な法律事務所を営む女性弁護士。四十路に入ったが未だ独身だ。
皐月の大学時代の先輩だった辻堂俊哉は卒業後も定職に就かず、いまは海外旅行の現地ガイドのようなものをしているらしい。その俊哉が皐月の事務所に現れた。離婚の相談にのってほしいという。
俊哉の妻・康子は資産家の娘だった。気が強く、ほとんどヒモ状態の夫とは口げんかが絶えない。1年前に家を出た俊哉は離婚を申し出たが応じてくれず、離婚調停も不成立になったという。
皐月は俊哉の離婚裁判を引き受けるが、康子側の弁護士から意外なことを聞かされる。俊哉は愛人・西館佑美子と同棲中で、しかも佑美子は康子に対して執拗な嫌がらせをしているのだという。
妻側から損賠請求訴訟を起こされた佑美子は皐月に弁護を依頼するが、その1週間後に佑美子は失踪、そして弁護士会館の一室で死体となって発見される・・・
探偵役となるのは、皐月とは司法修習で同期だった女性弁護士・睦月怜。皐月から相談を受けた睦月は事件の裏に仕組まれたカラクリを暴いていく。
睦月怜が登場する作品の2作目だ。
前作では事件の調査を行う姿が断片的に描かれただけだったのだけど、本作では私生活を含めてかなり情報が明かされる。
読んでいてまず感じるのは、辻堂俊哉という男がとんでもないロクデナシであること(笑)。
どうしようもないクズ野郎なのに、女を惹きつける能力だけはハンパなく、それで世渡りをしてきた。真面目に黙々と働いている男性たちからは実に鼻持ちならない存在だろう。
しかし読者にそう思わせるだけの筆力が作者にはあるということだよねぇ。ここはその上手さに感心するところだ。
視点人物が弁護士であるところから、この職業についての蘊蓄もたっぷり詰まっている。
弁護士は普段はどんなことをしているのか。弁護士事務所とはどんなところか、そこで働く事務員と弁護士とは、どんな関係になっているのか。
裁判や訴訟などについての手続きや決まり事など、ほとんどの人にはあまり縁が無さそうなことではあるが、興味深く読ませる。
登場人物もさほど多くないし、ミステリを読みなれた人ならば真犯人を当てること自体はさほど難しくはないだろう。しかし、この殺人事件の裏に隠された真相は、犯人の名前以上に意外で驚かされる。
作者は、むしろこちらの方に注力して書いたのかも知れない。
災厄の紳士 [読書・ミステリ]
評価:★★★☆
ネヴィル・リチャードソンはジゴロだ。資産家の女に取り入り、金を引き出して生きてきた。タイトルの「災厄の紳士」とは彼のことだ。
ヒロインとなるアルマ・ヴァランスには恋人がいたが、父エリックが猛反対したために相手から婚約解消を告げられてしまう。
傷心のまま旅行に来たパリで、アルマはネヴィルと出会った。
しかしその邂逅は仕組まれたものだった。ネヴィルは、ある ”依頼人” からの指示に従って彼女に接触してきたのだ。
手練手管に長けたネヴィルは、たちまちアルマを籠絡することに成功、2人はエリックに会うためにイギリスにやってくるのだが・・・
ここまでが冒頭部の展開で、舞台がヴァランス家に移ってからは、主にアルマの姉サラが視点人物となる。
サラの夫アーサー、アルマの元婚約者ハリー・フレデリクス、アルマに思いを寄せる医師ジョン・ワイティング、そしてネヴィルの妻ドロシーなど多彩な人物が織りなす不穏な雰囲気の物語が綴られていく。
その一方でネヴィルの企み、というか ”依頼人” の計画は順調に進行しているように見えるのだが・・・
物語が中盤に至ると、ある人物が失踪し、やがて死体で発見される。
表面的には単純に見える事件なのだが、深層に潜んでいた事実がひとつひとつ明かされていくたびに事件の様相が変化していく。
そして最後に明かされる真犯人。いやあこれは参った。この作者の作品では毎回思うけど、素晴らしいフーダニット・ミステリになってる。
事件の見方を変えれば真相が見えてくる、って読み終わってからなら分かるけど、そこに気づかせないのが流石だね。
そのためのドロドロで濃厚な人間ドラマ(笑)なのだろう。
ゴーストハント6 海からくるもの [読書・その他]
評価:★★★☆
主人公兼語り手は女子高生・谷山麻衣。彼女がアルバイトをしているのは心霊現象を専門に調査する「渋谷サイキックリサーチ」(SPR)。
そこの所長である美少年、通称ナルと個性的なゴーストバスターたちが繰り広げるホラーな冒険を描くシリーズ、第6作。
SPRに現れたのは、吉見彰文(よしみ・あきふみ)という青年。
彼が連れてきたのは姪の葉月。彼女の背中には、湿疹のようなものが現れていて「喘月院落獄童女」の文字が浮き出ていた。
彰文によると、吉見家は能登で高級老舗料亭を営んでいるのだが、代替わりのたびに多くの死人が出るのだという。
能登に乗り込んだ一行が到着したのは、日本海に突き出た岬の上にある建物で、周囲は断崖になっていた。
彰文の祖母によると、32年前の代替わりの時には家族から8人、店の客からも2名の死者が出て、さらには呼んだ霊能者たちも次々に亡くなったという。
前当主である彰文の祖父が亡くなったばかりで、父が次期当主になるのだが、過去の経緯があって現在店は休業中とのこと。
その間に、過去の大量死事件の真相と、吉見家に仇なす存在の正体を突き止めようと、SPRの調査が始まるのだが・・・
前回の洋館とは打って変わって、日本建築の老舗料亭が舞台。近くの断崖には洞窟があって、その中には謎の祠があるなど和風ホラーな雰囲気や道具立てもバッチリだ。
さて、現在の吉見家一族だけでも13人いて、さらに調査によって過去何回かの代替わりのときにも大量死が起こっていたことが判明していく。
その過程で多くの人名や地名が登場するのだけど、先祖の誰々が何処其処に住んでいたとか、誰々と誰々が親子だ兄弟だ叔父叔母だ甥姪だ婿養子だ、とかの関係が入り乱れてきて、だんだんついて行けなくなってしまう(笑)。
まあ私のアタマの容量が小さいのが悪いのだろうけど、人物名一覧と系図を載せてくれると助かるんだがなぁ、てのは一度ならず思った。
まあ、”館ミステリ” ではないので、一族の詳しい歴史や細かい人間関係まで把握してなくても読み進めるのに支障はないのだけど。
さて、シリーズ当初からのレギュラーメンバーである松崎綾子さん。口は達者な割にあまり役に立ったシーンがみられなかったのだけど、本作では大活躍。綾子さんファン(実は私もそうだが)は必読だろう。
終盤に至っては、ナルも自ら怪異に立ち向かう展開となる。まさに ”真打ち登場” である。
さて、このシリーズは次巻がラストとなる。SPR一行が能登から東京へ帰る途中でまた新たな怪奇に巻き込まれる話で、時間的にも本書と連続している。
実はこの文章を書いてる段階で最終巻まで読み終わってるのだが、シリーズ中で提示されてきた謎のあれこれが説き明かされて、大団円となる。
こちらも近々記事にしてアップする予定。