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拡張幻想 年刊日本SF傑作選 [読書・SF]

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/06/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★

2011年に発表された短編SFから選ばれた17編と、
第3回創元SF短編賞受賞作1編が収録されている。

次の2作が、(私が思うところの)このアンソロジーの双璧。

「5400km彼方のツグミ」(庄司卓)
自己成長する "アドバンスAI" を搭載した小惑星探査機<ツグミ>。
スラスターの故障で地球へ帰還できなくなってしまった<ツグミ>と
そのAIのプログラムを担当した青年が
5400万kmの虚空を隔てて交信するうちに、
"二人" のあいだに不思議な "心の交流" が生まれていく・・・
"<ツグミ>ちゃん" の何とまあ健気なことか。
もう途中から涙があふれて止まらなくなってしまった。
ああ、オジサンはこの手の話に弱いんだよ。
小惑星探査機 "はやぶさ" の帰還に涙した人なら必読!。

「美亜羽へ贈る拳銃」(伴名練)
有名な某名作短編SFのパロディみたいな題名だが、
内容はいたってシリアス。
インプラントとナノマシンによって脳の構造を変え、
思考や感情まで作り替えることができるようになった時代の物語。
そんなことが可能になったら、"本当の自分" とは何なのだろう?
脳科学を扱ったSFであり、よくできたミステリでもあり、
そしてなによりも、素晴らしいラブストーリーでもある。


次によかったグループは3作。

「宇宙でいちばん丈夫な糸」(小川一水)
短編集で既読だったんだけど、やっぱり
この作者の描く未来は夢があって好きだ。

「交信」(恩田陸)
わずか1ページの作品なのに、泣ける。すごい。
「5400万kmー」と同様、"はやぶさ" に感動した人は必読。

「黒い方程式」(石持浅海)
ブラックユーモアかな。恐い話なんだけど不思議な感動も。


次の6作は、とりあえず内容は理解できたし、面白いと思えた。
「巨星」(堀晃)
「Mighty TOPIO」(とり・みき)
「超動く家にて」(宮内悠介)
「ふらんけん・フラン」(木々津克久)
「結婚前夜」(三雲岳斗)
「ふるさとは時遠く」(大西科学)


次の4作は、何が書いてあるのかはわかるんだけど、
どこが面白いのか何がスゴいのかがよくわからない。
「新生」(瀬名秀明)
「イン・ザ・ジェリーボール」(黒葉雅人)
「神様2011」(川上弘美)
「絵里」(新井素子)


この3作は、全くといっていいくらい訳がわかりませんでした。
すみませんアタマが悪いもので。
「いま集合的無意識を」(神林長平)
「良い夜を持っている」(円城塔)
「<すべての夢|果てる地で>」(理山貞二)