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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの(8) [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

○キャラ編・その3


■バーガー

いやはや、本編11話で初登場した時に、
ここまで大化けすると予想した人がいるだろうか。

七色星団で明確な死亡描写がなかったので
「こりゃ生きてるんじゃないか」って思って
最終話近くでの再登場を希望していたのだけど
それは叶わなかった。

でも、映画版で華麗に復活、
二等ガミラス人に対する偏見も無くなったようで、
これは七色星団出撃前のザルツ人部隊の
心意気に触れたせいかも知れない。

一週間の地球人との共同生活を送り、
さらにはヤマトのクルーからドメルの最後を聞いた。

もとより自分たちの信念の下に、
互いに死力を尽くして戦った、その結果の勝敗。
軍人としての本懐を遂げたドメル、そして仲間たち。
尊敬する上官や同僚を失った悲しみは
癒えることはないかも知れない。

"敵" としてのテロン人は憎んでも、
目の前にいる "個人" としてのテロン人はどうか。
悲しみも憎しみを超えて、新たな関係を築くことができる、
そういう相手ではないのか。
共に暮らしてみて、彼はそう感じたのではないか。

ましてやガトランティス艦隊の脅威が迫っている。
"敵の敵は味方" ともいう。
共通の "敵" を前に、協力することにためらいはない。

敗戦と地球人との共同生活、
かつての恋人の面影を宿す桐生との出会い。
様々な経験がバーガーの器を
一回りも二回りも大きく成長させたのだろう。

最終決戦で将兵に檄を飛ばすバーガー。
メガルーダの追撃をヤマトに要請するバーガー。
リーダーシップも戦局眼も持ち合わせた彼は
もうドメルの後継者の資格充分だ。

本編では戦うしかなかったドメルと沖田だが、
"方舟" においては、その後継者たるバーガーと古代は
力を合わせて脅威に立ち向かう。

昨日とは違う明日を手に入れた二人が
なんと素晴らしく見えることか。


■ネレディア

最初のビジュアルではどんな人なんだろうと
一部のファンの妄想を煽った(?)キャラだが、
ガミラス初の女性艦長にしてバーガーの同期と
意外なつながりがあった。

そしてその妹のメリアはバーガーの恋人だった。
バーガーがゲットーと一緒にメリアの墓に詣でるシーン。
音声がないので、どんな会話がなされたのかは
ファンの想像に任されるのだろう。

私が思いを巡らすのは、
メリアがバーガーと恋仲になった頃のこと。
妹がバーガーの恋人になったことに、
彼女はどんな思いを抱いていたのだろう。

劇中、ネレディアはバーガーに恋愛感情めいたものを
抱いている描写があった(小説版ではもっと明確だが)。
その感情はいつからあったのか。

メリアが死んで、バーガーの人が変わっていった頃か。
あるいは、もっと前から持っていたのだけれど
メリアのことを思って封印していたのか・・・

過去のこともそうだが、未来のことも気になる。
メリアへの思いにけりをつけ、
二人で新しい未来へ踏み出すのだろうか・・・

案外、今までと同じく友人以上恋人未満で、
しっかり者の姉とやんちゃな弟の状態が
ずっと続くような気もするが、それはそれでいいような・・・

いつか、この二人に再会できる日が来るといいなあ。


■バーレン&メルヒ

この元気印なじいさんもまさかの再登場。
バーガーの過去やネレディアとの関係を知る人物として
ガミラス側の人間関係の解説役でしたね。

人生の年輪を重ねただけに台詞に味があってよかった。
残念ながら最終決戦での出番はなかったけどね。
ガルントが残ってたら絶対出撃してただろなあ・・・

メルヒはオリジナルPart.1の古代を彷彿させるような
直情径行な若者。
沢村との友情をはぐくんだのもつかの間、
あっけなく散ってしまった。
戦争に犠牲はつきものではあるが
根本といいメルヒといい、いい奴から死んでいくんだねえ・・・


■ゴラン・ダガーム

今回の悪役(笑)、雷鳴の戦士。
オリジナルシリーズのガトランティスは、
もっと洗練されたカッコいいイメージがあったが
(むしろガミラスの方が泥臭い感じがあった)
今回は正真正銘の "蛮族" (笑)。

骨付き肉を囓りながら、太鼓叩いて攻めてくる。
いやはやワープ航法(彼らの言葉では「空間跳躍」)を駆使する
星間帝国の尖兵とはとても思えない。

まあでも大好きだよ、ゴラン。だって面白いんだもん。
ゼルグードII世を沈めたのも、ヤマトを攻撃してくるのも
「火焔直撃砲、発射あ!」って叫ぶのも
とぉーっても楽しそうなんだもの。
ホントに楽しんで仕事してる。ある意味とても羨ましい(笑)。

前にも書いたけど
単発映画の悪役としてはまさに必要にして充分なキャラクター。
中の人の熱演もあってとても楽しく観させてもらった。

サーベラーさんにパワハラされたり、部下のボドムに告げ口されたりと
中間管理職の立場のはずなんだが
ボドムはぶん殴るは、サーベラーの映像には切りつけるはと
やりたい放題で、決してへこまないところも大好きだぁ~。


■サーベラー

「サーベラーってキレイよねぇ~」とはかみさんの評。
そうかあ、ああいう感じが好みなのかぁ・・・

ほんの2シーン、総計でもたぶん5分に満たないくらいしか
出てないけど、存在感というかインパクトは充分。
なんと23歳という年齢設定も驚きだったが。
中の人の甲斐田裕子さんも楽しそうに演じてるように思う。

2199の続編は無くてもいい、ってあちこちで書いてる私だが
このサーベラーさんはもっと見たいなあ・・・

まあそれを言ったら、バーガーもネレディアも・・・って
もっと見たいキャラばっかりになってしまうんだけどね。

○その他いろいろ雑感

ゲールもメルダも出なかったが、それで正解だったと思う。
物語をシャンブロウの話だけに絞り込んでシンプルにしたことも。
あれもこれもと欲張って取り込んで、
肝心の焦点がぼけてしまうよりもずっとよかったと思う。

島と山崎さんとの息の合った操艦ぶりも見せ場のひとつで
本編で残されていた山崎との和解は、
この時点でもう済んでいるのか、
あるいはこの戦いが和解するきっかけになったのか。

これ以外にも、古代と雪のツーショット写真とか、
本編での "取りこぼし" をもうまく拾って
メインのストーリーに組み込んでいく脚本も
良くできていたと思う。

昨日も書いたが、第一艦橋に山崎さんと北野がいるのは
「新たなる旅立ち」を思い出させるし、
ラストのBGM「新銀河誕生」とか、
オリジナルシリーズからのファンの琴線をくすぐる演出も心憎い。

24話と25話の間、なんて窮屈な条件を与えられたのに
ここまでスケールの大きな、そして血湧き肉躍り、
興奮して感動できる作品に仕上げたスタッフの力量には
もう感服するしかありません。

本当にありがとうございます。
そしてお疲れ様でした。


次回はいよいよ「感想・・・のようなもの 終章」。
最終回にふさわしく(笑)超長文で贈ります。upは明日の予定。