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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの 終章 [アニメーション]

最終回にふさわしく(?)かなりの長文です。
量だけはたっぷりありますが、質の保証はできかねるので
ご用とお急ぎでない方だけでどうぞ・・・


※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。


■過去からのメッセージ

74年の第1作において、ガミラスを滅亡させてしまったヤマト。
自らが生き残るために、お互いが総力を尽くして戦った結果ではあったが、
そこに勝利の喜びはなく、ガミラスの空に古代の慟哭が響いた。

製作スタッフがリメイクに当たり、
第1作をどのようにリニューアルするか。

その結果は様々なビジュアルや設定、戦術・戦略面でも現れているが、
最も大きな変更点はガミラスの扱いだろう。

本土決戦においてガミラスは滅亡せず、
さらには落下する巨大要塞をヤマトが波動砲で破壊することによって
ヤマトとガミラスとの間に「停戦」が成立する。
あくまで「停戦」であり、「講和」や「友好」にはほど遠いとは言え
その端緒につくことはできた。

「我々は戦うべきではなかった。愛し合うべきだった。」
40年前の古代が発したメッセージを受け取った世代が
歳月を経て成長し、そして自らがヤマトを作る側に回り、
40年前に投げかけられたメッセージに応えてみせた。
それが2199だったのだと思う。

そして、それを体現するキャラとして選ばれたのが古代進だった。


■"主役" の沖田 と "テーマを背負った" 古代

10話でメルダと出会い、
次元断層からの脱出のためにガミラスと協力し
11話ではガミラス人もまた地球人と同じ "人間" であることを知る。
「きみとは信じ合える」
古代の発したこの台詞が、2199のテーマを端的に表している。

しかしながら、本編全26話を見終えてみると、
主人公は明らかに沖田である。

作品の "核" になるテーマを背負いながらも
古代は最後まで "脇役筆頭" の地位を脱出できない。
"艦長代理" とまでは言わないが、作品の中心になって
ストーリーを引っ張る存在には、最後までなれなかった。

古代を見ていて、時として歯がゆい思いするのも
そんなところにも原因の一部があるように思う

 本編26話を「沖田が主役」と割り切って見てみると
 それなりに筋が通っているとは思うが・・・

もっとも、作っている側はそんなことは百も承知しつつ
「本編はあくまで沖田の物語」として作ったのだろうが・・・

2199を沖田の物語としてみると、彼の使命は
「イスカンダルからコスモリバースシステム(CRS)を持ち帰り、
 地球を救うこと」であるから、
最終話ラストでのCRS再起動をもって、沖田の物語は完結する。

しかし作品のテーマ的には、それ以前に収束しているのだ。
24話でのヒスからスターシャへの奏上でわかるように
23話での波動砲による第二バレラス破壊によって
「停戦」が成立したのだから。
テーマ的にはここで物語が終了しても問題はないはずなのだ。


■「星巡る方舟」とは

最後まで沖田中心で描かれた本編と異なり、
「星巡る方舟」では、謎の惑星探査から戦闘指揮まで
ほぼ全編にわたって古代が主役を張る。

彼が抜擢された理由はいろいろ考えられるだろう。

沖田が病床にあって戦闘指揮が難しいため。

本編における古代の扱いがあまりにもかわいそうなので、
救済というか名誉挽回というか、そんな機会を与えるため。

古代をはじめとする若きヤマトクルーたちが、
イスカンダルへの旅路によって成長し、
次代を担うことが出来るようになったのを示すため。

単純に、人気があるキャラクターだから(笑)。


実際にはこれ以外にも、いろいろな事情やら思い入れやら
大人の事情やらが入り乱れて決まったのかも知れないが、
「テーマ」という原点に戻ってみると、
こう考えることも出来るような気がするのだ。

本編で描いた「相互理解」を、映画版ではより「発展」した形で描く。
メルダとの出会いから停戦までは、いわば「基礎基本編」。
ならば、その「応用編」や「実践編」に当たるものを
提示しよう、というのが「星巡る方舟」だったのではないか。

ならば、そのテーマを背負ったキャラである古代が
主役になるのは、当然であり必然だったのだ、と。


そう考えると、見事にバーガーたちと和解を果たし、
迫りくるガトランティスの危機を、力を合わせて
乗り越えることに成功した「方舟」は、
単なる「番外編」や「24.5話」ではない。
テーマ的には本編の「発展形」であり、「もう一つの最終回」。

「相互理解」と「信頼」こそが、波動砲に代わる、
いや、波動砲をも "超える" 力となり得ることを示す。
そのために波動砲は封印されたし、
封印されたままでなくてはならなかった。

ネットでいろいろな人の感想を読ませて頂くと
「波動砲を撃たないヤマトなんて」とか
「波動砲発射シーンがあってこそのヤマト映画」とかの
思いを抱いた人も決して少なくはないようだ。

心情的には十分に理解できる意見ではあるのだけど
こと「星巡る方舟」についてだけは、
「波動砲を撃たないヤマト」が、
「波動砲発射シーンがないヤマト映画」こそが
"この映画の目指すもの" だったのだろう。


PVのキャッチコピーに
「これを見なければヤマト2199は完結しない」
とあったが、まさに製作スタッフは
「これが2199の(テーマ的な)完結編」というつもりで
作っていたのだろう。


■「古代進」最後の謎(笑)

さて、ここまで書いてきてふと思ったことがある。
ガミラスの遊星爆弾によって両親を失い、
冥王星会戦で兄・守を失った古代進。

普通ならガミラスへの復讐心を滾らせてしかるべきなのだが
2199古代は、目立ってそれを表すことはない。
(第1話でコスモゼロで勝手に出撃するシーンくらいか。)

ガミラスという国家への憎しみはあっても、
メルダ個人に対する感情はきわめて冷静で
「君とはわかりあえる」と語りかける。

2199古代はそういうキャラだと、わかってはいるのだが
こうも思うのだ。

古代だって、始めからそんなふうに割り切れたわけではないだろう。
復讐にとりつかれた時期だってあったはずだ。
それが本編のようになったのはなぜなんだろう、と。

単に成長したから、と言うのではないと思う。
同年代の島や山本が「ガミラス憎し」を隠さないように
年齢だけの問題ではないだろう。

だとしたら、そうなるに至ったきっかけなり事件、
エピソードがあったのではないか。

 コミック版では、冥王星での戦いで、
 ヤレトラーが自分を盾となってシュルツを逃がすのを見て
 それに古代守の姿を重ね合わせ、「ガミラスは、人だ・・・」と
 気づく場面があったが・・・

 個人的には、やはり古代守が何らかの役割を
 果たしたんじゃないかって思ってる。
 両親を失い、兄弟2人だけになってしまったわけだから
 進が守の言動や思考に影響を受けているのは間違いないだろう。
 本編の言動を見る限り、守は「ガミラス憎し」で
 凝り固まった人間としては描かれていないみたいだからね。
 「方舟」の中の台詞にもあるように、守は進にとって
 自分が行くべき道を示してくれる存在だったのだろう。

2199は、アニメ作品としてはひと区切りとアナウンスされているので
これ以上新作を望むのは欲が深いとは思うんだが
できればそのへんのエピソードを30分程度のOVAで
作ってくれないかなあ。

 もっと言えば、キャラごとにショートストーリーを作ってもらって
 何本かのOVAシリーズにしてくれると一番うれしいんだが・・・

それが無理なら小説でもいい。
アメリカではルーカス公認のスターウォーズの小説が
大量に出版されているんだから、
日本でもオリジナル小説がたくさん書かれたって
いいんじゃないかなあ。
ネタなら、いくらでもありそうな気がするし。


■Muss i denn

さて。

どんなに書いてもヤマトへの思いは書き切れるものではないが、
そろそろ私も "ひと区切り" をつけよう。

「方舟」のディスクが発売されたりと、
また何かしらのイベントがあれば書くこともあるだろうけど
「ヤマト」について、まとまった量の文章を書くのも、
もう当分ないだろう。

 とは言っても、気まぐれなので、また何かの拍子に
 ひょっこりと書くかも知れないが。


2012年の2月に第一章のPVを見て、思わず涙を流したあの日から
かれこれ3年近い月日が過ぎ去った。

12年4月の第一章から第七章まで、
さらには「追憶の航海」も「星巡る方舟」も、
思い返してみたらみな初日に観に行っていた。

少年のように胸をわくわくさせながら映画館の入り口に並んだ日々。
38年の時を超えて、またあんな情熱を燃やせる日が帰ってこようとは。

おかげで放置状態で滅びを待つだけだったこのブログも
「封印は解かれ、永き眠りより目覚め」ることとなった。

思いつくままにヤマト関係で大量の駄文を生産してきたけれども
予想外に多くの方に見に来ていただけたようで、
これも望外の喜びだった。

この3年間、
ヤマトが観られて幸せでした。
ヤマトのことを文章に書けて幸せでした。
ネットを通じて、たくさんのヤマトファンの
熱い思いに触れることが出来たのも幸せでした。


こんな幸せな時間を与えてくれた、
「宇宙戦艦ヤマト2199」製作スタッフの皆さん、
本当にありがとうございました!


そして製作委員会の皆さん、
TV放映やら主題歌変更やら未完成第七章やらで
たくさんの文句をこのブログで垂れ流してきました。

すべてはヤマトを愛するが故の行動でしたが、
それはそれ、これはこれ。

皆さんがお金を出してくれなければ、
2199は陽の目を見ることはなかったわけで、
それについてはものすご~く感謝しております。
本当にありがとうございました!


そしてこの駄文置き場のようなブログを
わざわざ覗きに来ていただいた方々、
本当にありがとうございました!

ヤマトがスクリーンの彼方へ消えて行ってしまっても、
私たちには、まだまだ生きていかなければならない
"明日" があります。

そして、その "明日の道を照らして" くれるのは
もちろんヤマトです!

私たちの心の中に響く "波動エンジン" の轟音は
永遠に消えることはないでしょう・・・

なんだかこのブログが終わってしまいそうな雰囲気ですが、
もちろんそんなことはありません。
明日からはまた平常通り営業する予定です(笑)。


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