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怪盗ニック全仕事6 [読書・ミステリ]

怪盗ニック全仕事6 (創元推理文庫)

怪盗ニック全仕事6 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/01/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★

”価値のないもの、誰も盗もうと思わないもの” 専門の泥棒、
ニック・ヴェルヴェットの ”仕事録”、最終の第6巻。

ニックは依頼された物件を、ある時は奇想天外な方法で、
またある時は心理の盲点を突くようなさりげない方法で盗み出す。

一見して ”価値がない” ように見えても、依頼者からすれば
どうしてもほしい理由があり、たいていの場合
それは別の大きな犯罪の一部を構成していたりする。
そしてほぼ毎回、謎めいた美人が登場して(笑)事態に絡んでくる。

巻き込まれたニックは右往左往四苦八苦させられるのだが
最後には事件を解決まで導いてしまうという役回り。

こういうフォーマットの話を文庫で30ページほどの中に
毎回綺麗にまとめてくるのだから、まさに職人芸といえるだろう。

全87作のうち、本書には第74作から最終作となる第87作まで
14作が収められている。

「コロンブスの首を盗め」
ロシア人芸術家が作ったコロンブスの銅像の首を盗む話。

「グロリアの赤いコートを盗め」
時に1965年、ニックが後にパートナーとなる
グロリアと出会ったときの馴れそめの話。

「バースデイ・ケーキのろうそくを盗め」
バースデイ・ケーキに立っているろうそく
(何の変哲もないふつうのもの)を盗めという依頼。
ただし、盗まれたことを周囲に気づかれてはならないという条件が。

「オウムの羽根を盗め」
クルーズ船の客室の金庫からオウムの羽根を盗めという依頼。

「浴室の体重計を盗め」
依頼人が体重計を欲しがる理由に納得。

「劇場の立て看板を盗め」
立て看板にこういう ”使い方” があったとは。

「結婚式で放たれる鳩を盗め」
作者は執筆時(2002年)に72歳だったはずだけど、
最新技術の進歩もフォローしてるんだね。

「一番でかいシーバスを盗め」
サンディエゴで行われるシーバス釣り大会で優勝した
一番でかい魚を盗めという依頼。
ちなみに ”シーバス” とはスズキのこと。

「ダブル・エレファントを盗め」
”ダブル・エレファント” とは書籍の判型のことで
縦39インチ(約1m)×横26インチ(約66cm)という巨大さ。
画家オーデュボンのダブル・エレファント版の画集を盗む話。
女盗賊サンドラ・パリスと共演。

「空っぽのペイント缶を盗め」
なぜそこに空っぽのペイント缶があるのか?という理由が秀逸。

「くしゃくしゃの道路地図を盗め」
サンドラ・パリスはパリでダイヤモンドを盗むが
共犯者の男が殺され、ダイヤも行方不明に。
彼女はニックに助けを求めるが。

「最高においしいアップル・パイを盗め」
農村地帯ジャクスン郡の祭りで行われるコンクールで
一等賞を取ったアップル・パイを盗む話。

「機関士の五ポンド紙幣を盗め」
イギリスのワイト島にある蒸気鉄道の機関士が持つ
五ポンド紙幣を盗めという依頼。

「仲間外れのダチョウを盗め」
カリフォルニア州の牧場から、群れから離れてぽつんとしている
ダチョウを盗むという依頼を受けたサンドラ・パリス。
しかしいざ事に及ぶとダチョウから意外な反撃を受け(笑)、
負傷してしまう。彼女はニックに助けを求めるが。

作者は晩年まで創作意欲をもって書き続けていたので
当然ながら第87作も最終作という内容ではなく、
たぶんまだまだ続きを書くつもりがあったのだろう。

上にも書いたけど、決まったフォーマットで決まった分量で、
一定のレベルを維持しつつ50年以上に渡って多くのシリーズを
書き続けてきたのはホントにスゴい。

作品は短篇主体で900編以上もあるとのこと。

ちょっとwikiをのぞいてみたら、
ミステリ雑誌『EQMM』に1973年5月から2004年5月まで、
31年にわたって毎月ホックの作品が掲載されていたとのこと。
しかも一回も欠けることなく。
月1編として計算してみたら、これだけでも373編になるけど、
これに加えて500編以上書いてたことになる。

いやはや、想像を超える人ですね。


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コロナウイルスワクチン1回め接種 [日々の生活と雑感]

記事のタイトルにもあるように昨日(18日)、
コロナウイルスワクチン(ファイザー社製)1回めを接種してきました。
そのあたりの経緯を書いてみようと思います。

■接種券(基礎疾患者対象)を入手する

私の住んでいる自治体では、64歳以下の人に対して
接種券の郵送は始まりましたが、受付開始時期は未定。
ワクチン供給状況が不安定になったせいでしょう。

そうかぁ、と思って自治体のワクチン接種広報のページを眺めてたら
「64歳以下でも基礎疾患のある方は予約を受け付けます」との記載が。

「基礎疾患」として挙がっている項目を見たら、私も該当するので
さっそく申し込みフォームに必要事項を記入し、送信。
これが先々週の末のこと。
翌日には「受け付けました」というメールが届き、
3日後には郵送で接種券(基礎疾患者対象)が届きました。

 私はこの疾患でかれこれ20年近く通院しているんですけど、
 渡された薬を服用していれば、日常生活には全く支障はありません。
 ちなみに、私と同じ疾患で医師から薬をもらってる人は
 世の中にごまんといるんじゃないかと思います。

受付完了メールには、後で通常の接種券も届くけど、
「そちらは廃棄するように」との指示もありました。

■接種の予約をする

接種券に同封されていた案内書によると、
予約方法は当面のあいだ「電話のみ」ということなので
さっそくコールセンターに電話をしてみました。
込んでるだろなぁ、まずつながらないだろうなぁ、と思いきや
イッパツでつながってちょっと拍子抜け(笑)。

若い女性が応対に出て、いろいろ聞かれます。
本人確認がやっぱり大事らしく、接種券番号はもちろん、
氏名、住所、生年月日と細かく聞かれました。

その後、予約に移ります。第一希望で伝えた集団接種会場は
既に満杯とのことなので、第二希望を伝えたら、OKでした。

日時と時間が確定し、その後に当日持参するものの説明がありました。
接種券、予診票(問診票)、本人確認書類の3つなのですが、
すべてメモするようにとの指示も。

言われるままに全部メモに書いたら、オペレーター嬢から
「では会場、日時、当日持参するものについて復唱してください」
というちょっと意外な指示が。
もちろん、全部の項目についてきちんと復唱したのでOKでしたが。

たぶんこれは、会場や日時を間違えたり、持参するものを
忘れる人が少なくなかったのだろうなぁ・・・などと思いました。
なにせ、これまでは65最以上の方が対象でしたからね。
記憶力がアヤシい人もいたのでしょう(私も人のことは言えませんが)。

■医師の同意を得る

さて、これで受付は終了なのですけど、もう一つやることが。
接種券に同封されていた「予診票」には、
いろいろ質問項目があるのですけど、「基礎疾患」がある人の場合は
「担当医の了解を得ているか」という項目に
「はい」という答えが入らなければならない。

 ちなみに「予診票」は、私が住んでる自治体のwebサイトから
 様式がダウンロードできます。たぶん他の自治体も同様かと。
 接種券を郵送してきた封筒には「予診票」が2通同封されてましたけど
 書き損じてもダウンロードできるので大丈夫。

というわけで、かかりつけの医院に行って医師に確認を取りました。
アレルギーの有無とか、過去の病歴とか、
この医院から出ているもの以外の薬は服用しているかとか・・・
それぞれ答えていったら「よろしいですよ」と言われて、これもクリア。

この「基礎疾患」については、診断書の類いは一切必要ありません。
完全 ”自己申告” です。申請の際にも、予約を取るときも、
当日接種の会場でも、該当する疾病についての確認はされませんので
その気になれば ”仮病” を装って申請することもできてしまうでしょう。

性善説に基づいたシステム、とも言えますが
診断書を求めたら費用もかかるし、手続きも煩雑になるし、
それに伴って苦情の声も大きくなるでしょうから、
多少の問題は抱えつつも接種を促進する方を重視、なのでしょうね。

■接種

そんなこんなで接種当日。
会場は自宅から車で20分ほどのところにある公営の体育館。
到着したら駐車場が満杯で、入ろうとする車が並んでましたが
出てくる車も多いのですぐに駐めることができました。

まず入り口にある受付で接種券と予診票の確認、
中に入ると体育館一面にシートが敷いてあって土足で上がってOK。
そこで持参書類で本人確認(私は運転免許証を持っていきました)。

番号札(紙製)をもらって待機列に。床に椅子がたくさん並んでいて
(もちろんソーシャルディスタンスをとってある)そこに座って待ちます。

座ると、目の前のパーティションに張ってある紙が目に入ります。
「暴言・暴力・医療従事者に対する威圧的な言動等がありましたら
 退場していただきます。警察にも通報します。」
見たところ、私の周囲にいる皆さんは大人しく並んで座ってて、
指示にも従順に従ってますけど、なにせ不特定多数の人が来る場所だから
今までの中にはこういう人もいたんでしょうか。
それとも予防の意味で張ってあるのか・・・

さて、順番が来ると目の前のブースに入って問診に。
ここでも名前を申告して本人確認も怠りなく。
それが済んだらさらに一つ奥のブースに移動し、ここで接種。
もちろんここでも名前を申告して本人確認。

注射は一瞬。ちょっとチクッとしたくらい。

済んだら番号札に15分後の時刻が記入され、
次は終了待機の場所へいって、急激な副反応に備えます。

問診→接種→待機列まで、2分くらいでしたかね。
もう流れが出来上がっていて、スムーズに進みました。
待機場所で15分経ちましたが、特に何も起こらなかったので
そのまま会場から出ました。

会場入り口の受付→問診の待機→問診→接種→接種後待機の15分、
全部含めてかかった時間は25分ほどでした。

■2回目の予約

接種の案内書には「1回目の修了後、会場で2回目の予約が行えます」
とあったんですが、どうやら事情が違うみたいです。
会場で予約できるのは、家にネット環境がない人とかが対象のようで
それ以外の人は自力で予約を取るのですね。

2回目の予約は、1回目の接種が終わった時点で可能になるとのこと。
方法は「電話でもネットでもLINEでもOK」だと、これも張り紙が。

実際、接種後の15分の待ち時間の間にスマホをいじって
予約を入れてる人もいましたね。
私はスマホの狭い画面での操作がどうにも苦手なので
家に帰ってPCから予約を入れました。こちらも至ってスムーズに完了。

3週間後の8月8日(日)、場所は自宅から車で5分の集団接種会場。
実はここ、1回目で希望したけど満杯で入れなかった会場です。

■副反応

ワクチン接種で一番気になるのは副反応でしょう。
私の場合は ”筋肉痛” でした。

接種が11時頃、その6時間後の午後5時あたりから
接種した部分の筋肉に痛みを感じるようになりました。
腕を上げたり回したりと、接種部の筋肉を使うとけっこう痛みが。

もっとも、我慢できないほどではなくて
バファリンみたいな鎮痛薬を飲もうとまでは思いませんでしたが。

風呂も普通に入りましたし、
飲酒も過度でなければいいと厚労省のHPにあったので(^_^;)、
ビールと缶酎ハイを1本ずつ(どちらも350mL)飲んでしまいました。

翌日に副反応が出る人もいる、という話もありましたが
私の場合は翌朝になるとかなり筋肉痛は治まってました。
昨日の一番痛かった時を100とすると、今日は20くらいですかね。

とりあえず、今日までの状況です。
筋肉痛も徐々に治まっていくのでしょうが、
また何かあったら記事に書くかも知れません。

とりあえず1回目を接種できてホッとしてます。
今までの生活と同じく、コロナにかからないように気をつけながら
2回目を迎えたいものです。

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ゴジラ S.P <シンギュラポイント> [アニメーション]

ゴジラのアニメーション作品としては2017~18年に公開された
『GODZILLA』三部作があった。
このブログで記事も書いたけど、あまり褒めてない。
うーん、私は虚淵玄さんとは相性が悪いようです

さて。

今作『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は、
以前のゴジラシリーズとの直接の関係性はない世界を舞台にした作品。
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公式サイトに載ってる「ストーリー」を引用すると・・・

2030年、千葉県逃尾市。

“何でも屋” な町工場「オオタキファクトリー」の有川ユンは、
誰も住んでいないはずの洋館に気配がするということで調査へ。

空想生物を研究する大学院生の神野銘(かみの・めい)は、
旧嗣野地区管理局 “ミサキオク” で受信された謎の信号の調査へ。

まったく違う調査で、まったく違う場所を訪れた見知らぬ同士の2人は、
それぞれの場所で同じ歌を耳にする。

その歌は2人を繋げ、世界中を巻き込む想像を絶する戦いへと導いていく。

孤高の研究者が残した謎、各国に出現する怪獣たち、紅く染められる世界。
果たして2人は、人類に訪れる抗えない未来<ゴジラ>を覆せるのか―。

引用、終わり。

主役の一人、有川ユンは ”何でも屋” の町工場「オオタキファクトリー」
に勤務するエンジニア兼プログラマー。
高度なAIを開発し、高名な大会で1位を獲った経歴をもつ。
いわゆるオタクなのだが、内向的というわけでもなく
”怪獣” を前にしても怯まず、危機に飛び込んでいく勇敢な面ももつ。

もう一人の主人公、神野メイは存在しない生物を考える学問
「ビオロギア・ファンタスティカ」を専攻する大学院生。
才媛なのだが、行動には抜けたところもあるドジっ娘で、
口にする台詞には ”ぼやき” が多い(笑)。

それぞれに天才的な能力を持つこの2人が、
異なる場所で偶然に同じ曲(信号)を聞いたことから
ゴジラを巡る事件に巻き込まれることになる。

面白いのはこの2人、直接会って話をするシーンが皆無なこと。
スマートホンなどのIT機器とSNSを介してコミュニケーションをとる。
それも、相手の顔を見ることなく、である。

 メイは大滝ファクトリーのサイトでユンの顔写真を見るシーンが
 あるのだけど、ユンはメイの顔を知ってたのかな?

第一話のラストでラドンが登場し、やがて世界各地で怪獣が出現し始める。
アンギラス、マンダ、クモンガとお馴染みの怪獣が装いも新たに登場、
サルンガという新顔も加わり、トリをつとめるのは
 ”真打ち” ゴジラ。海から現れ、お約束通り東京で大暴れとなる。

ユンは日本で現れる怪獣に対処する役回り。
大滝ファクトリーの所長・大滝吾郎が「地球を守るため」に建造した
ロボット・ジェットジャガーを駆って脅威に立ち向かっていく。

とは言っても、ジェットジャガーの大きさはせいぜい4~5m。
『装甲騎兵ボトムズ』のAT並の大きさで、胸のところにある
コクピットに乗り込んで操縦する、ってところも同じだ。

対してメイは、投稿した論文がきっかけで
国際的合弁会社「シヴァ共同事業体」に呼ばれることになり、
ヨーロッパやインドなど世界中を飛び回る。

そして全編を通して不思議な存在感を示すのが
謎の科学者・葦原道幸(あしはら・みちゆき)。
50年前の時点で既に「世界の破局」を予想しており、
「特異点」と呼ばれるものを発見していた。本作のタイトルにある
〈シンギュラ・ポイント〉とは「特異点」のことだ。

この作品について書きたいことはたくさんあるのだけど
これ以上書くとネタバレになりそうなので、この辺で。

でもこれだけは書きたい。

本作に登場するジェットジャガーというロボット、
オリジナルでは1973年の『ゴジラ対メガロ』で初登場なのだけど
この頃の私は既に興味の対象がアニメに移っていてしまって
TVで放映されていてもろくに観なかった覚えがある。

だから今作でジェットジャガーが登場すると聞いても
「ふーん」くらいしか思わなかった。
(熱心なゴジラファンの人には喜ばれたらしいけど)

だけど本作を観て驚いた。大活躍じゃないか!

登場時には、イベントでのアトラクションでしかなかった存在が、
回を重ねるにつれて改造・パワーアップされていく。
ユンの開発したAIを搭載して、操縦型から自律型となり、
ラドンと戦い、アンギラスと戦い、クモンガと戦い、
東京に居座るゴジラのもとへも乗り込んでいく。
もうほとんど主役級、八面六臂の大奮闘だ。

ただまあ、最終回での大活躍が予想の斜め上過ぎるので
評価に戸惑う人もいるだろう。
わたしもアタマの中を「?」でいっぱいにしながらも
「面白いから、まぁいいか」って感じでした。

シリーズ構成・脚本はSF作家・円城塔さん。
正直言って、この人の小説は受けつけないんだよねぇ。
読んでても何一つ頭に入ってこないことが多くて・・・
相性が悪いんでしょうなぁ。

でも、アニメになったらあら不思議、けっこう大丈夫。
文字と映像の違いも大きいのだろうし、
”一般向け” に言い回しもかみ砕いているのだろう。
理解に苦しむ台詞も少なくないにもかかわらず、すんなり見ていられる。

 まあ、この作品については「考えるな、感じろ」という
 鑑賞態度が正しいのではないかと(おいおい)。

また、漫画家・加藤和恵さんによるキャラデザインも大きいと思う。
みんなマンガ的にデフォルメされていて、親しみが持てる。
メイなんかアラレちゃんみたいでカワイイよ(笑)。
キャラだけ見たらギャグマンガかと思うくらい。

最終回のエピローグは、いかにも続編がありそうな終わり方。
”あれ” を見せられて終わったら蛇の生殺しだよねぇ。
「シーズン2」熱烈希望。

いま第一回から見直してるところ。理解しがたいところも多々あるが
それでも「ここがつながってたのか」って発見もあるので楽しいよ。


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犬神館の殺人 [読書・ミステリ]

犬神館の殺人 (新潮文庫nex)

犬神館の殺人 (新潮文庫nex)

  • 作者: 渉, 月原
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

時代は明治。
舞台は ”犬神憑き” と忌み嫌われている氷室家。

その当主・氷室貴峰(たかみね)は、『人の会』なる怪しげな新興宗教に
傾倒し、”犬神館” と呼ばれる屋敷を建てた。

その中央にある ”儀式の間” は周囲を二重の回廊で囲まれ、
中へ入るには3つの扉を経なければならない。

しかもその3つの扉には特殊な ”錠” が付けられていた。
各扉には棺のような木箱が設置されており、中に人が横たわる。
引き戸になっている扉を開けると、扉は木箱の中へ収納されるのだが
その先端は鋭い刃になっていて、中に入っている者の首を切り落とす。
そんな ”ギロチン付きの扉” の木箱に入り、
”命を使った錠前” となるのは、貴峰をはじめとする
『人の会』に心酔している信者たちだ。

なんとも凄まじい設定だが、驚くのはまだ早い。

物語は、その三重密室の中、儀式の間で
死体が発見されるところから始まる。
遺体は背中から短剣で刺され、しかも
直立したまま全身が氷づけになっていた。

これもかなり異様な状況であるが、さらなる驚きがある。

発見者は、氷室家の遠縁にあたる芹沢家の令嬢・妃夜子(ひよこ)と
彼女付きのメイド・栗花落静(つゆり・しずか)。

そしてシズカさんは語る。
3年前、彼女が仕えていた東北の旧家・雪島家でも
これとそっくりの事件が起こっていたことを。
そして、事件の真相は明らかになったが、
犯人は司直の手に落ちることはなかったことも・・・

ロシアの血を引く(と覚しき)クールビューティ・シズカさんが活躍する
『使用人探偵シズカ』シリーズ、第3作。
ときおりロシア語で悪態をつくところも健在。
言われた相手は、何を言われたのか分からないのが小気味いい。

奇数章では ”現在進行中” の氷室家の事件が語られ、
偶数章では3年前の雪島家の事件が語られていく、

もちろんこの2つは終盤で一つにつながる。
同じ設定の密室を用意しながら、
それぞれ異なる解決を用意しているのは、スゴいとしか言い様がない。

その気になれば、長編2本とは言わないものの
かなりの大部になりそうな密度の濃い話を
文庫で260ページほどの中に収めてしまうのも、またたいしたもの。

全編にわたって陰鬱な雰囲気が覆っているが、
ラストに一片の希望が語られることが ”救い” をもたらし、
悲痛な読後感を和らげている。

100年前が舞台とはいえ、虚構性が高い、
というか、全編にわたって幻想的な雰囲気も漂うような作品。

とは言っても、こういう虚構の塊みたいな
本格ミステリも大好きなので、私はとても楽しませてもらいました。


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銀幕ミステリー倶楽部 [読書・ミステリ]

銀幕ミステリー倶楽部 (光文社文庫)

銀幕ミステリー倶楽部 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/11/12
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

6月に入り、映画の記事ばかり上げていた。
なぜかというと、コロナの影響で軒並み公開延期になっていた作品群が
この時期になって一気に劇場にかかり始めたものだから・・・

もともと映画は好きで、独身の頃は
最低でも月に1本は映画を観ようと思っていた。

20代の頃はだいたい実行できていたのだけど
30代に入ってからは公私ともに猛烈に忙しくなってきて
それどころではなくなってしまった。

でも50代を迎えたあたりから、かなり余裕ができてきて
セミリタイアしてからのここ2年ほどは、さらにヒマになり(笑)
けっこう映画館に足を運ぶことができていたのだが・・・
コロナのバカヤロウめ!

というわけで、6月は映画三昧の日々を過ごしていたのだけど、
ペースは落ちたものの本も読んでいたのだよ。

去年だったか一昨年だったか、読了した本が30冊くらい
溜まってしまって、いざ記事に書こうとしたら
初めの頃に読んだ本の内容を忘れていた、なんてこともあった。

 実は現在も、読了済の本が10冊ちょっと溜まっている(おいおい)。

そうならないうちに読書録の再開をしよう、というわけなのだけど
その1冊目が映画ミステリ、ってのは単なる偶然です(笑)。

本のタイトル通り「映画」をテーマにしたミステリのアンソロジー、
なんだけど、ミステリありファンタジーありサスペンスありホラーあり。
良く言えばバラエティに富んでて、意地悪く言えば
純粋なミステリは少なめなアンソロジーになってる。
星の数が少ないのもそれが理由。

「映画の恐怖」江戸川乱歩
ミステリではなく、映画に関するエッセイ。
”スクリーンを観る” という行為ひとつから、
これだけの ”恐怖” のイメージを引き出してくるのは、流石は大乱歩。

「作者返上」江戸川乱歩
「代作ざんげ」横溝正史
乱歩はしばしば、書き上がった作品の出来が気に入らずに、
公表前に処分してしまうことがあったようだ。
しかしそれでは雑誌に穴が開いてしまい、編集者は困ってしまう。
ということで、当時編集者だった横溝正史が3作ほど代作をしたようだ。
そんなことが普通に行われていたのでしょうねえ。
2人の仲の良さもあってのことではあろうけど。
この2つの文章は、そのあたりの経緯を書いたもの。

「あ・てる・てえる・ふぃるむ」横溝正史
上で書いたように、この作品は乱歩名義で発表されたけど実は横溝作。
原題は「A Tell-Tale Film」だったけど、その後改題されたとのこと。
ちなみに tell-tale とは「密告」「告げ口」とかの意味らしい。
前妻と2年前に死別した男・卓蔵の後妻となった折江(おりえ)。
ある日2人で映画『古沼の秘密』を見に行くが、
上映の最中に卓蔵が奇妙な行動を取り始める・・・
真相が明示されるわけではなく、「たぶんこうだったのだろう」と
読者に想像させる幕切れ。これが ”乱歩風” なのかな。
横溝正史が自分名義で書いたのだったら、
また違った決着のさせ方をしたような気が。

「首切り監督」霞流一
映画「アーケードの女」撮影中、監督の湯島は
メイン・キャストの1人を演じる俳優・朝倉の演技が気に入らず、
彼を脇役へ降格してしまう。そしてその翌日、
映画のプロデューサー・桜庭と湯島監督の死体が相次いで発見される。
調布のビジネスホテルの一室にあったのは湯島の首と桜庭の胴体、
そして狛江にある湯島の自宅には、桜庭の首と湯島の胴体が・・・
犯人が首を切断した理由がびっくり。
思わず「えーっ」と叫びそう(叫ばなかったけど)になった。
バカミスと紙一重、いやぁやっぱりバカミスかなぁ・・・

「大喝采」横田順彌
作者はハチャハチャSF(おお、懐かしい響きだ)の元祖にして
日本における古典SF研究の大家。
時代は明治、主人公は日本のSF・冒険小説のパイオニア・押川春浪。
(私には『海底軍艦』の原作者、ってイメージが強いんだが)
彼が出くわす怪事件の数々を描いたシリーズの一編。
今上天皇(明治天皇)がご覧になるために、皇居で上映された
映画にまつわる不思議な出来事が語られる。
でも、ミステリではなくてファンタジーっぽいSFなんだよね。

『「悪魔の手毬唄」殺人事件』小林久三
いわゆる角川映画の金田一耕助シリーズは1976年の『犬神家の一族』に
始まり、翌77年以降、『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』
『病院坂の首縊りの家』と順次続いていくのだけど、本作の発表は
75年の末あたりなので『悪魔の手毬唄』はまだ製作されてない。
主人公・高島は東洋映画に勤務している。
彼の企画した『悪魔の手毬唄』の映画化が決定するが、
舞台となる ”鬼首(おにこべ)村” のロケ地選びが難航していた。
岩手の蛇果(へびはて)村に住む土光冬子という女性からの手紙が
きっかけで、高島はロケハンに赴くことになる。
その途中で再会した大学時代の友人・村上とともに蛇果村に到着、
高島は村の旧家・土光家に滞在することになる。しかしその翌日の夜、
土光家で催された晩餐会の席上で村上が毒殺される・・・
トリック自体はすぐ分かるのだが、蛇果村を覆う陰鬱な雰囲気といい、
犯人が判明すると同時に起こる悲劇とか、いかにも横溝正史っぽい。
文庫で90ページ近いボリュームだけど、長編で読みたかったかも。

『「ローマの休日」届』赤川次郎
新聞記者・高井が夜の四谷でばったり出会ったのは、
中米にあるP王国の王女・アンナ。
一流ホテルにSPと共に宿泊しているはずだったのだが、
なぜか記憶を失って彷徨っていたらしい。困った高井は、
恋人・さゆりの住むマンションに王女を連れて行くのだが・・・
ミステリというよりはコミカルなサスペンス、というところ。

「りんごの聖戦」山田正紀
『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』の試写会が行われた。
その上映中に映画評論家・池田耕一が殺される。喉を矢で射貫かれて。
しかし密室状態の試写室の中で、矢を射たはずの弓が見つからない。
映画雑誌の編集者・君原由利は、試写会に潜り込んでいた
謎の青年・根司卓間(ねず・たくま)とともに事件の謎を追う。
凶器のトリックはよくできてるし、ラスト3行のひねりも効いてる。
さすが山田正紀。

「死都(ポンペイ)の怪人」辰野九紫
本作の初出は1930年(!)なので、時代設定は昭和の初期と思われる。
イタリア滞在中の ”僕” は、ナポリの料理店でムッソリーニと出くわす。
意気投合した2人は映画『死都(ポンペイ)の怪人』を観にいくが。
これ以後は映画の内容が綴られていくのだけど、最後のオチがねぇ・・・
田中啓文が好きな人は気に入るかな(おいおい)。

「ヴィヴィアン・リー失踪事件」荻野アンナ
語り手は、マリリン・モンローの友人である日系人・リン。
1956年6月、アーサー・ミラーと結婚(3度目)をしたマリリンは
ロンドンで新作映画『王子と踊子』の撮影に入る。
共演相手はローレンス・オリヴィエ。撮影開始早々、
マリリンとオリヴィエは険悪な雰囲気になってしまうが、
そんなとき、オリヴィエの妻、ヴィヴィアン・リーが失踪してしまう・・・
これもミステリというよりは、コメディですね。

「完全不在証明(アリバイ)」木々高太郎
34歳になる山川京太郎は、妻・みか子を殺害した。
容疑は、山川宅に下宿している大学生・桂三郎にかけられた。
京太郎自身には、犯行時刻に映画を観ていたというアリバイがあった。
映画はその日が封切りで、会員限定で行われた試写会に
彼が参加していた形跡もない。にもかかわらず、
京太郎はその映画の細部までよく知っており、
犯行時刻に映画館で観ていたとしか思えなかったのだが・・・
この作品も初出は1930年。映画はまだまだ特別な娯楽で、
京太郎が弄するアリバイ工作も、この時代だから成立するのだろう。

「証言」松本清張
石野貞一郎は、西大久保の家に愛人・梅谷千恵子を住まわせていた。
ある日、愛人宅から帰る途中、たまたま石野の自宅の近所に住む
杉山孝三という男に出会ってしまう。しかし2週間後、
石野の元を警察が訪れる。向島で起こった殺人事件の容疑が
杉山にかかっているという。しかし彼は
「犯行時刻に西大久保にいた。
 石野とすれ違ったから彼に確認してほしい」と言っているという。
石野は、愛人の発覚を恐れて杉山の証言を否定してしまうが・・・
ミステリというよりは犯罪を扱った小説、ですね。
石野の偽証が意外なところから崩れるところは、まさに ”因果応報”。

「人面疽」谷崎潤一郎
初出はなんと1918年らしい。アメリカ帰りの女優・歌川百合枝は、
自分が出演している映画が東京の場末の映画館に
出回っているらしいという噂を聞く。
どうやら彼女がロサンゼルスで活動していた頃に撮った作品らしい。
邦題は『執念』、原題は『人間の顔を持った腫物(できもの)』と
いうらしいが、彼女自身にはそんな映画に出演した記憶はない・・・
これもミステリというよりホラーですね。現代の小説と違って
ほとんど改行がなく、段落ごとの文章が長いと読むのに疲れます。


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「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」続報 [アニメーション]

YouTube で公開されている
『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2021年の宣伝会議 《其の参》』
は、「ヤマト2205」の特集でした。
10日以上前の6/25には上がってたんですねぇ。
ちっとも気がつきませんでしたよ。

では、追加情報を確認してみましょうか。

まずは、公式サイトに上がっている「2205」設定資料について。

(1)古代進
 ヤマト艦長として登場することは、公式サイトにもありましたね。

(2)森雪
 やっぱり艦長服だったんですねぇ。

(3)真田志郎
 こちらも艦長服。「ヤマトという時代」でもこの格好だったのだそう。
 そしてこの3人はそれぞれ別の船に乗っている、と。

(4)土門竜介
 「原作と同じような道筋を辿るけど、入り口は全然違う」by福井晴敏。
 オリジナルでの扱いは不遇でしたからねぇ・・・
 転生後の世界(おいおい)では、活躍してほしいものです。

(5)板東平次
 「オリジナル(「ヤマトIII」)では数話しか出てないけど、
  真面目でいい奴ですよ」by岡秀樹。

(6)京塚みやこ
 「新キャラ(新クルー?)達の鎹(かすがい)役」by岡
 脚本作成段階で重要キャラになったみたいですね。

(7)徳川太助
 「デリカシーのあるデブ」by福井。福井氏、口が悪いねぇ。
 仮にも ”あの” 古谷徹氏が演じたキャラですよ。
 オリジナルでは、新キャラ中最大の出世頭なんですから。

(8)坂本茂
 「茨城のヤンキー風」by福井。もう言いたい放題ですな(笑)。
 彼も、オリジナルでの扱いは不遇でしたからねぇ・・・
 今作ではがんばって欲しいものです。

(9)キャロライン雷電
 「まさかの女体化」by福井。
 前に上げた記事では、てっきり男性だと思って書いていました。
 いやあ申し訳ない。ストーリー的に必要なキャラらしいですね。
 制服からみて、空間騎兵隊でしょうか。
 永倉さんの再登場も期待したいなぁ。

登場メカについて

(10)宇宙戦艦ヤマト
 「セル風から写実よりに」安田監督からの提案だそうです。
 これは実際にスクリーンで確認ですね。
 側面に巨大ハッチが追加 → これはコスモハウンドの格納庫でしょう。
 どう使われるかはお楽しみらしいですが。

(11)補給母艦アスカ
 これの艦長が森雪さん。「復活編」でも艦長でしたけどそれの先取り?
 中村繪里子さん演じる桐生美影もこれに乗っているそうな。
 「ほんといい職場環境」by中村。ホワイトそうな職場で何より(笑)。

(12)戦闘空母ヒュウガ
  真田さんが艦長。ヤマト・アスカ・ヒュウガで艦隊を組むみたいだけど
 艦隊の指揮権は誰にあるのかな? 古代? 真田さん?
 まさかの山南さん?(PVには出てますから本編でも登場するはず)。

(13)デウスーラIII世
 「何故赤いかは劇中で明かされる」by福井。
  旧作では八面六臂の大活躍を見せた「デスラー戦闘空母」ですね。
 今回もゴルバに突っ込んでいくのでしょうかねぇ。
 艦橋部をみると、そうとしか思えないよね・・・

そして「安田賢司監督」「小野大輔」「山寺宏一」の3人からメッセージ。
皆さん気合いが入ってるみたいで。

これからも10/8に向けて、少しずつ情報が解禁されていくんでしょう。

まあ、いつものスタンスですが
過度な期待はせず、かといって悲観もせず、淡々と待ちましょう。


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“宇宙戦艦ヤマト祭り” 《YAMATO & VILLAINS!!》 [日々の生活と雑感]

7月4日(日)に開かれた ”宇宙戦艦ヤマト祭り” コンサートへ
かみさんと2人で行って参りました。
yamato_villains.jpg
サブタイトルに《YAMATO & VILLAINS!!》とあるように、
今回は ”悪役” の側の音楽をメインに曲目が組まれています。

そしてこれはシエナ・ウインド・オーケストラという吹奏楽団の
第51回定期演奏会でもあります。

場所は東京オペラシティ。新宿から一つ隣の初台駅の駅前にあります。
新宿駅が広すぎて、乗り換えでちょっと悩んでしまいました。
なにせ田舎者なもんで・・・。

開場は14:20なのですが、14:05には会場に着いてしまいました。
すでにロビーには、たくさんのお客さんがいて。
年配の方が多いのは相変わらずなのですが、
けっこう男女の二人連れ(たぶんご夫婦)が目立ちましたかね。
うちもそうでしたが(笑)。

若い人もかなり多いのですが、定期演奏会ですから
(もちろん若いヤマトファンもいるでしょうが)
この吹奏楽団のファン、という方もけっこういるとお見受けしました。

そんなこんなで開場。
コロナ禍の折、入場時にはしっかり検温もあり、手の消毒もあり。

コンサートホールはこんな感じ。
私の席から観たステージが
opera1.jpg
ちなみに天井の方はこんな感じ。
opera2.jpg
いかにも荘厳で、神殿か教会みたいで非日常の世界ですね。

開演時間には、ほぼ満席の状態になりました。


演目については、シエナ・ウインド・オーケストラの
ホームページにも上がってます。
以下、簡単に感想を書いていきます。

<プログラム>指揮・編曲:宮川彬良  作曲:宮川泰

【長大なる序曲】

1.「白色彗星」(パイプオルガン独奏:石丸由佳)
 ホールに鳴り響くパイプオルガンのすばらしい演奏を、
 文字通り震える思いで聞きました。
 まさかこの曲を生演奏で聴く日が来ようとは・・・。
 1978年の私に教えてあげたらどう反応するかと思ったのだけど
 当時の私は「さらば」に対してトラウマを抱えていたので
 「聞きたくない」って言うかも(おいおい)。

2.組曲「宇宙戦艦ヤマト」
 交響組曲の「序曲」、そして「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ、
 「ブラックタイガー」、「大いなる愛」の4曲をベースにしたもの。
 ヤマトのテーマのあたりで目がうるうるしてしまったのはナイショだ。

【Yamato & Villains part 1】
 ここはガミラス(デスラー)が主役。

3.地球を飛び立つヤマト
 やっぱりイスカンダル編はここからでしょう。

4.ガミラス国歌「永久に讃えよ我が光」(歌入り)
 コーラスグループが入場、迫力ある男性ボイスが響きます。

5.デスラーのボレロ
 交響組曲の「デスラー ー孤独ー」がベースかな。

6.艦隊集結
 オーケストラもいいけど、ブラスでのこの曲も迫力充分。

7.コスモタイガー(Wan・Dah・Bah)
 ここでも男声コーラスのワンダバが入ります。
 ピアノの女性(パンフによると宮川知子さん)がノリノリで
 いかにも楽しそうに弾いているのが印象的でした。

8.イスカンダル
 やっぱりこの曲で締めるんですね。
 「2205」でも登場する星・・・だよね?

ここで20分の休憩。

【Yamato & Villains part 2】
 第2部は白色彗星帝国ガトランティス(ズォーダー)が主役。

9.白色彗星(キース・エマーソンに捧ぐ)
10.大帝ズォーダー
 この2曲は、「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」の
 「第三章 白色彗星」がベースかな。
  「大帝ズォーダー」のメロディの美しさと哀しさは特筆もの。

11.翼~かならずここへ~
 これは「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」の
 「第五章 翼」がベースかと。

12.ドッグ・ファイト
13.果てしなき戦い
14.ヤマト渦中へ
 この3曲は、「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」の
 「第六章 鬩ぎ合う力」がベースかな。
 「ドッグ・ファイト」は「2202」の第13話を、
 「果てしなき戦い」は同じく第21話を印象づける名曲。
 コンサートの中で、父・泰さんを讃えていた彬良さんだけど、
 あなたも素晴らしい曲をたくさん書いてますよねぇ。

【Yamato & Villains part 3】
 さて、ここからは新作「ヤマト2205」の世界。

15.自動惑星ゴルバ
 ブラスの力強い響きの中に、宮川知子さんのピアノの演奏が入ります。
 これも、まさか生演奏で聴く日が来ようとは。
 「白色彗星」以上に予想できなかった曲ですね。
 原曲のタイトルは「暗黒星団帝国 ー自動惑星ゴルバー」
 だったはずだけど、思い出してみると彬良さんは
 「暗黒星団帝国」という単語は1回も口にしてない。
 これは何かを意味しているのでしょうかね・・・

16.別離
 これは悲しい曲。コンサートの後でかみさんと話したんだけど
 「これは、(オリジナルでは)スターシャと古代守の間に
  生まれた子どものための曲、だと思う」
  (ちなみにかみさんは、旧作は「新たなる旅立ち」以降は観てない)
 「えーっ、でも何か悲しい曲だったよねぇ・・・」
 「それはねぇ・・・フッフッフッ・・・その子にはねぇ・・・
  哀しい運命が待っているからなのだよ」(←誰?)
 「ええーっ」
  コンサートでこの曲を聴きながら、”彼女” の辿った
  ”哀しい運命” を思い出して涙がこぼれてしまったのはナイショだ。
 「まあ、リメイクではどうなるかわからないけどね。
  スターシャと古代守の子どもだって出るかどうかわからないし・・・
  うーん、出るかも・・・いやぁ、出さない理由はないよねぇ・・・」
 願わくば、新作においては ”彼女” に何らかの救いがあらんことを。

17.愛
 これは「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」の
 「第七章 愛」の吹奏楽バージョン、とのこと。
 フィナーレにふさわしく盛り上げてくれました。

アンコール
 いったん引っ込んだ宮川彬良さんが再び登場、アンコールとなります。
 この曲も「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」の最後に
 「カーテンコール」というタイトルで収録されていますね。
 私がこの曲の ”原曲” を初めて聞いたのは1977年12月2日、
 『オールナイトニッポン 宇宙戦艦ヤマトスペシャル』として
 4時間にわたり生放送されたラジオドラマ(今考えたら途轍もないこと)、
 そのエンディングに流れたもの。今でもこの曲を聴くと
 当時のことを思い出してしまうよ・・・

宇宙戦艦ヤマト
 ヤマトのコンサートでは、この曲を会場のお客さんとともに
 合唱するのがデフォルトだったんだけど、コロナ禍の折ですからね。
 ワンダバ合唱団の方の歌に合わせて皆さん拍手で参加。
 私も手が痛くなるくらい拍手しましたよ。

これでコンサート全ての演目が終了。

考えてみたら、2~3年に1回くらいのペースで
ヤマト関連のコンサートは開かれてますね。

今回は吹奏楽。ブラスの響きもいいけれど
ストリングスの響きも聞きたいな。
次回はぜひオーケストラで。

たまにはこういう ”非日常の世界” を体感するのも
“心の健康” には大事だなぁと思いました。

コロナ禍の折、こういう音楽や演劇関係は
苦しい状態が続いているかと思いますが、
ワクチンも広まってきましたし、もう少しの辛抱かと。
がんばって乗り切りたいものです。

ちなみにかみさんは職域接種で既に1回目を終えてます。
私はどうかというと、私の住んでる自治体では
今月の中旬から(65歳未満向け)ワクチン接種券の発送が始まるそうな。
8月中には2回目まで終わるかなぁ・・・終わったらいいなぁ。


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ゴジラvsコング [映画]

生まれて初めて、大人の付き添いなしで見に行った映画が
「キングコング対ゴジラ」(1962年)だった。もっとも、
私が観たのは70年の「東宝チャンピオンまつり」で上映された短縮版。

ストーリーはあんまり覚えてないんだけど、高島忠夫が出てたことと、
ラストでゴジラとキングコングが組み合ったまま海に転落して、
その後キングコングだけが浮かび上がって、
南の島へ向かって泳ぎ出す・・・てところは覚えてる。

そして51年後。ハリウッドで「ゴジラvsコング」という映画が
作られるなんて、当時の私には想像もつかなかったよ。

いやあ、長生きはするものだ(笑)。

閑話休題。

ちなみに、観たのは日本語吹替版です。
godzilla_kong.jpg
時系列としては前作「キング・オブ・モンスターズ」の5年後らしい。

ゴジラがフロリダにあるハイテク企業エイペックス社を
襲撃するという事件が起こる。

エイペックス社CEOのウォルター・シモンズはゴジラの脅威を訴える。
モナーク(怪獣調査を行う国際機関)とエイペックス社は
怪獣が地球内部の大空洞から来たと考え、調査隊派遣を決定する。

ネイサン・リンド博士やアイリーン・アンドリュース博士を中心とした
調査隊は、コングを髑髏島<スカルアイランド>から連れ出し、
大空洞への入り口がある南極へ向かうが、
その海上輸送途中をゴジラが襲う・・・

一方、前作で12歳の少女だったマディソンは高校生となっていた。
エイペックス社に技師として勤務するバーニーは、
会社が陰謀を企んでいるのではないかという内容をSNSで発信していた。
それを聞いたマディソンとその友人ジョシュは、
バーニーとともにエイペックス社に潜入するが・・・

人間ドラマの部分は、あくまでゴジラvsコングのバトルシーンを
盛り上げるために存在していて、そのへんの割り切りは潔いかな。

中盤あたりで、あっと驚く ”隠し球” が飛び出してくる。
往年のゴジラ映画ファンなら、感涙にむせんでしまう(?)かも知れない。
日本の某ゴジラ映画をオマージュしたようなシーンもあって
少なくとも私は、ものすごくワクワクしたよ。

怪獣のシーンはもちろん、怪獣以外のSFXシーンも
金がかかっていそうで、さすがハリウッド。
1秒あたりの費用で比べたら日本の数十倍かかってるんじゃないかな。
当然ながら、息を呑むような迫力満点のシーンが連続する。
怪獣バトル映画としてみたら、最高級の出来だろう。

文句をつけるとしたら、小栗旬の使い方かなぁ。
「エイペックス社の研究員で、前作に登場した芹沢博士(渡辺謙)の息子」
という設定なのだけど、見終わってみて思った。

その設定(芹沢の息子)って必要だったの?

そういう設定があるのなら、少なくとも彼が父親のことを
どう思っているか、少しくらいは描写があるべきだろう。
しかしそれは全くない。

父の遺志を継ごうとしているのか、父のしたことを否定しているのか。
映画として登場する「父と息子」なら、
たいていどっちかだと思うのだけどそのへんは窺えない。
ただ、エイペックス社の社長の命ずるままに行動していて
彼には自由意志があるのか? とすら思ってしまう。

台詞も少ないし、感情もほとんど顔に出ない。
唯一記憶に残っているのは ”白目をむいた表情” だけ(おいおい)。

なんだか、観ていて可哀想になってしまったよ。
ハリウッドは、俳優としての彼に全く期待してないんじゃないか?・・・

私は小栗旬という俳優さんのファンでも何でもないんだが
「ルパン三世」とか「テラフォーマーズ」とか「銀魂」とか
並の俳優だったら尻込みしてしまいそうなサブカル映画に
積極的に出演してくれる貴重な人だと思っている。

だから、今作での扱いはもったいないなぁ。
”小栗旬の無駄遣い” をしていることが、
ハリウッドの偉い人にはわからないのだろう。
せいぜい、日本市場向けの人寄せパンダとしか思ってないんではないか。

小栗旬からすれば、どんな端役でもハリウッド進出のとっかかりに
したいんだろうけど、今作での出番を見る限り、厳しそうな気が。

長くなってしまったので、吹替陣について書いて終わりにする。

ネイサン&アイリーンの主役コンビは、
津田健次郎&坂本真綾という、人気実力兼ね備えた盤石の布陣。

ストーリーのもう一方を担う女子高生マディソンは
前作に続いて芦田愛菜。予想以上に上手で、充分に及第点。
友人のジョシュは田中裕二。中の人は50代なのにまさかの高校生役。
でも「モンスターズ・インク」で見せた実力は健在で違和感ない。
バーニーは尾上松也。下手ではない。ところどころ櫻井孝宏に似ている。

エイペックス社CEO、ウォルター・シモンズは大ベテラン山路和広。
あまりにもぴったり過ぎて、思わず笑ってしまう。
その娘・マイアは田中みな実。
まあ出番も台詞も少ないので気にならないレベル(笑)。
マディソンの父親マーク・ラッセルは田中圭。
まあ出番も台詞も少ないので気にならないレベル(おいおい)。

 田中圭さん、声優としてどうしようもなく下手とは思わないんだけど
 マーク役のカイル・チャンドラーの顔とでは、声が合わない感じ。

さて、二大モンスター激突で、決着がつくかと言えば
ついてしまったらシリーズが終わってしまうので、
勝負の行方については、お察し・・・というところ。

さて、でも次はどんな内容で作るんでしょうねぇ・・・
他人事ながらちょっと心配になってしまったり(笑)。


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