SSブログ

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 [読書・ミステリ]

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (光文社文庫)

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (光文社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/01/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★

12星座と、それにまつわるギリシャ神話をモチーフとした
12の事件を、名探偵・法月綸太郎が解決していくという連作短編集。
本書はその後半ぶんを収録してる。

「[天秤座]宿命の交わる城で」
 綸太郎の推理で、2つの殺人事件の間に
 意外なつながりがあることが分かるんだが、
 それだけで終わらないところがさすがだ。

「[蠍座]三人の女神の問題」
 殺人事件が起こり、実行犯は自殺するが、
 その背後で犯行を教唆した者がいる。それはかつての
 3人組アイドルの中の一人らしい・・・
 犯人と元アイドル3人とのメールのやりとりから、
 綸太郎が一人に絞り込んでいく過程が面白い。

「[射手座]オーキュロエの死」
 ペット関連の著作で人気者になった臨床心理士・佐治くるみ。
 しかし彼女の婚約者が殺人事件の容疑者に。
 事態が二転三転して最後に意外な真相が明らかに。

「[山羊座]錯乱のシランクス」
 音楽評論家が殺害されるが、現場にはダイイング・メッセージが。
 ドビュッシーの曲の解釈との関連が面白いが、
 ラストはちょっと引っかけ気味かなあ。

「[水瓶座]ガニュメデスの骸」
 カリスマ経営コンサルタント・三ツ矢瑞代が巻き込まれた
 謎の "誘拐" 事件。綸太郎の推理が意外な過去を暴く。
 登場人物の "ロザムンド山崎" って、どこをどう読んでも
 マ○コ・○ラ○ク○がモデルだよねぇ。

「[魚座]引き裂かれた双魚」
 美容会社社長・碓田可南子は、25年前に当時4歳の息子を亡くした。
 いかがわしい霊能者・堤豊秋は可南子に取り入って
 息子の"生まれ変わり"を見つけると称して、
 3人の若者を候補者として呼び集めたが・・・
 堤がインチキなのはもう分かりきっているのだが、
 本作のキモは可南子が息子の生まれ変わりを探す理由だ。
 綸太郎が明らかにするその真相には、正直驚いた。


「どひゃあ!」って叫ぶほどビックリするわけではないが
文庫で60ページほどの長さの中で、事件の展開や推理を
二転三転させてみせるなど、6作どれをとってもハズレなし。
本格ミステリが好きなら、手にとってみて損はない短編集だと思う。


nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

晩夏 [読書・ミステリ]

晩夏 (創元推理文庫)

晩夏 (創元推理文庫)

  • 作者: 図子 慧
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/10/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★

四国で造り酒屋を営む今泉家。
先代当主に男子がなく、長女・蓉子が婿養子・耕一郎を迎え、
現在は中堅どころの日本酒メーカーとして発展しつつある。

蓉子と折り合いの悪かった次女・律子は東京の大学を卒業後、
そのまま東京で中学校の教師となって結婚し、生まれた娘が
本書のヒロイン、想子(そうこ)である。

想子は毎年、夏休みは四国の母の実家で過ごすことにしており、
蓉子と耕一郎の間の一人息子である瑞生(みずお)とは
幼い頃から兄妹のように育ってきた(とは言っても同い年なんだが)。

本書はタイトル通り、想子が大学1年生となった19歳の夏の物語だ。

瑞生は心臓に持病があり、体調を崩しがちで床につくことが多く、
伯母夫妻は、将来は瑞生と想子を結婚させ、
造り酒屋を継がせることを考えていた。

もともと会社のために結婚した伯母夫妻の間に愛情は乏しく、
それぞれが愛人をつくり、形式的な夫婦となっていた。
奔放な性格で、愛人に会うために頻繁に外出する蓉子であったが、
瑞生のこともあって、無断での外泊は一切しなかった。
しかし、その夜に限って彼女は帰宅しなかった。

行方を捜す社員たちが近くの河原で見つけたのは、
変わり果てた蓉子の姿だった・・・


ミステリとしての出来は水準以上のものがあると思う。

読んでいくうちに、事件の背景の80%くらいは
なんとなく見当がついたような気になる。
実際、読者の予想のかなりの部分は当たるだろう。
でも、残り20%の部分が問題。
ここが明らかになった時、「やられたぁ」と思うだろう。

さながら、大リーグボール2号の正体を見抜いた(と思った)
花形満の心境である。(←たとえが古くて申し訳ない。)


以下の文章はネタバレではないけれど、
物語の結末を予想させる部分があるので、
これから読もうという方は目を通さないことを推奨する。


本書を読んでいて一番気になったのは
ミステリ的興味よりも、ヒロイン想子の未来だった。

病弱な従兄弟への気遣いも細やかだし、
時と場合によっては男子顔負けな度胸も見せる。
明るく元気で頭の回転もよく、聡明と言っていい。
おまけに(周囲の人の評価によると)美人の部類に入るらしいし、
充分に魅力的なキャラクターになっている。

伯母夫妻が想子を瑞生の嫁に迎えたいのも理解できる。

通っている大学は、作中に「学芸大」って台詞が出てくるので
おそらく東京学芸大なのだろう。才媛じゃないか。
将来は母親のように教職に就くことも考えているのかも知れない。

ほぼ全編にわたって想子の視点で物語が進行することもあって、
読者はいやがおうにも彼女に感情移入するだろうし、
だからこそ彼女の将来が気にかかる。

想子自身は、瑞生に対してある種複雑な感情を抱いていて、
(それは瑞生が想子に向ける感情にも言えることだが)
彼に対する愛情は持っているものの、
結婚という段階に踏み入ることにためらいを感じてもいる。

伯母夫妻の思惑も充分に分かっているので、
近い将来に意思表示しなければならないことも自覚してる。
でも、19歳の女の子としてはモラトリアム期間がほしいだろう。

しかし、物語の最後で想子は選択を迫られる。
彼女の前に二つの道が示されて、どちらを選ぶのも自由だ。
そして彼女はそのうちの一方を選ぶ。
モラトリアムが終わり、自らの人生を選択するときが来たわけで、
だからこその「晩夏」というタイトルなんだろうけど・・・

 うーん、オジサンだったら、もう一つの方を勧めるなぁ。
 でも、「どちらも選ばず、第三の道を行く」って選択が
 あってもよかったんじゃないか、なんて思ってる。

ミステリの紹介なのに、ヒロインの将来を延々と語ってしまった。
それだけ魅力的だったんだね、想子さんは。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの 終章 [アニメーション]

最終回にふさわしく(?)かなりの長文です。
量だけはたっぷりありますが、質の保証はできかねるので
ご用とお急ぎでない方だけでどうぞ・・・


※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。


■過去からのメッセージ

74年の第1作において、ガミラスを滅亡させてしまったヤマト。
自らが生き残るために、お互いが総力を尽くして戦った結果ではあったが、
そこに勝利の喜びはなく、ガミラスの空に古代の慟哭が響いた。

製作スタッフがリメイクに当たり、
第1作をどのようにリニューアルするか。

その結果は様々なビジュアルや設定、戦術・戦略面でも現れているが、
最も大きな変更点はガミラスの扱いだろう。

本土決戦においてガミラスは滅亡せず、
さらには落下する巨大要塞をヤマトが波動砲で破壊することによって
ヤマトとガミラスとの間に「停戦」が成立する。
あくまで「停戦」であり、「講和」や「友好」にはほど遠いとは言え
その端緒につくことはできた。

「我々は戦うべきではなかった。愛し合うべきだった。」
40年前の古代が発したメッセージを受け取った世代が
歳月を経て成長し、そして自らがヤマトを作る側に回り、
40年前に投げかけられたメッセージに応えてみせた。
それが2199だったのだと思う。

そして、それを体現するキャラとして選ばれたのが古代進だった。


■"主役" の沖田 と "テーマを背負った" 古代

10話でメルダと出会い、
次元断層からの脱出のためにガミラスと協力し
11話ではガミラス人もまた地球人と同じ "人間" であることを知る。
「きみとは信じ合える」
古代の発したこの台詞が、2199のテーマを端的に表している。

しかしながら、本編全26話を見終えてみると、
主人公は明らかに沖田である。

作品の "核" になるテーマを背負いながらも
古代は最後まで "脇役筆頭" の地位を脱出できない。
"艦長代理" とまでは言わないが、作品の中心になって
ストーリーを引っ張る存在には、最後までなれなかった。

古代を見ていて、時として歯がゆい思いするのも
そんなところにも原因の一部があるように思う

 本編26話を「沖田が主役」と割り切って見てみると
 それなりに筋が通っているとは思うが・・・

もっとも、作っている側はそんなことは百も承知しつつ
「本編はあくまで沖田の物語」として作ったのだろうが・・・

2199を沖田の物語としてみると、彼の使命は
「イスカンダルからコスモリバースシステム(CRS)を持ち帰り、
 地球を救うこと」であるから、
最終話ラストでのCRS再起動をもって、沖田の物語は完結する。

しかし作品のテーマ的には、それ以前に収束しているのだ。
24話でのヒスからスターシャへの奏上でわかるように
23話での波動砲による第二バレラス破壊によって
「停戦」が成立したのだから。
テーマ的にはここで物語が終了しても問題はないはずなのだ。


■「星巡る方舟」とは

最後まで沖田中心で描かれた本編と異なり、
「星巡る方舟」では、謎の惑星探査から戦闘指揮まで
ほぼ全編にわたって古代が主役を張る。

彼が抜擢された理由はいろいろ考えられるだろう。

沖田が病床にあって戦闘指揮が難しいため。

本編における古代の扱いがあまりにもかわいそうなので、
救済というか名誉挽回というか、そんな機会を与えるため。

古代をはじめとする若きヤマトクルーたちが、
イスカンダルへの旅路によって成長し、
次代を担うことが出来るようになったのを示すため。

単純に、人気があるキャラクターだから(笑)。


実際にはこれ以外にも、いろいろな事情やら思い入れやら
大人の事情やらが入り乱れて決まったのかも知れないが、
「テーマ」という原点に戻ってみると、
こう考えることも出来るような気がするのだ。

本編で描いた「相互理解」を、映画版ではより「発展」した形で描く。
メルダとの出会いから停戦までは、いわば「基礎基本編」。
ならば、その「応用編」や「実践編」に当たるものを
提示しよう、というのが「星巡る方舟」だったのではないか。

ならば、そのテーマを背負ったキャラである古代が
主役になるのは、当然であり必然だったのだ、と。


そう考えると、見事にバーガーたちと和解を果たし、
迫りくるガトランティスの危機を、力を合わせて
乗り越えることに成功した「方舟」は、
単なる「番外編」や「24.5話」ではない。
テーマ的には本編の「発展形」であり、「もう一つの最終回」。

「相互理解」と「信頼」こそが、波動砲に代わる、
いや、波動砲をも "超える" 力となり得ることを示す。
そのために波動砲は封印されたし、
封印されたままでなくてはならなかった。

ネットでいろいろな人の感想を読ませて頂くと
「波動砲を撃たないヤマトなんて」とか
「波動砲発射シーンがあってこそのヤマト映画」とかの
思いを抱いた人も決して少なくはないようだ。

心情的には十分に理解できる意見ではあるのだけど
こと「星巡る方舟」についてだけは、
「波動砲を撃たないヤマト」が、
「波動砲発射シーンがないヤマト映画」こそが
"この映画の目指すもの" だったのだろう。


PVのキャッチコピーに
「これを見なければヤマト2199は完結しない」
とあったが、まさに製作スタッフは
「これが2199の(テーマ的な)完結編」というつもりで
作っていたのだろう。


■「古代進」最後の謎(笑)

さて、ここまで書いてきてふと思ったことがある。
ガミラスの遊星爆弾によって両親を失い、
冥王星会戦で兄・守を失った古代進。

普通ならガミラスへの復讐心を滾らせてしかるべきなのだが
2199古代は、目立ってそれを表すことはない。
(第1話でコスモゼロで勝手に出撃するシーンくらいか。)

ガミラスという国家への憎しみはあっても、
メルダ個人に対する感情はきわめて冷静で
「君とはわかりあえる」と語りかける。

2199古代はそういうキャラだと、わかってはいるのだが
こうも思うのだ。

古代だって、始めからそんなふうに割り切れたわけではないだろう。
復讐にとりつかれた時期だってあったはずだ。
それが本編のようになったのはなぜなんだろう、と。

単に成長したから、と言うのではないと思う。
同年代の島や山本が「ガミラス憎し」を隠さないように
年齢だけの問題ではないだろう。

だとしたら、そうなるに至ったきっかけなり事件、
エピソードがあったのではないか。

 コミック版では、冥王星での戦いで、
 ヤレトラーが自分を盾となってシュルツを逃がすのを見て
 それに古代守の姿を重ね合わせ、「ガミラスは、人だ・・・」と
 気づく場面があったが・・・

 個人的には、やはり古代守が何らかの役割を
 果たしたんじゃないかって思ってる。
 両親を失い、兄弟2人だけになってしまったわけだから
 進が守の言動や思考に影響を受けているのは間違いないだろう。
 本編の言動を見る限り、守は「ガミラス憎し」で
 凝り固まった人間としては描かれていないみたいだからね。
 「方舟」の中の台詞にもあるように、守は進にとって
 自分が行くべき道を示してくれる存在だったのだろう。

2199は、アニメ作品としてはひと区切りとアナウンスされているので
これ以上新作を望むのは欲が深いとは思うんだが
できればそのへんのエピソードを30分程度のOVAで
作ってくれないかなあ。

 もっと言えば、キャラごとにショートストーリーを作ってもらって
 何本かのOVAシリーズにしてくれると一番うれしいんだが・・・

それが無理なら小説でもいい。
アメリカではルーカス公認のスターウォーズの小説が
大量に出版されているんだから、
日本でもオリジナル小説がたくさん書かれたって
いいんじゃないかなあ。
ネタなら、いくらでもありそうな気がするし。


■Muss i denn

さて。

どんなに書いてもヤマトへの思いは書き切れるものではないが、
そろそろ私も "ひと区切り" をつけよう。

「方舟」のディスクが発売されたりと、
また何かしらのイベントがあれば書くこともあるだろうけど
「ヤマト」について、まとまった量の文章を書くのも、
もう当分ないだろう。

 とは言っても、気まぐれなので、また何かの拍子に
 ひょっこりと書くかも知れないが。


2012年の2月に第一章のPVを見て、思わず涙を流したあの日から
かれこれ3年近い月日が過ぎ去った。

12年4月の第一章から第七章まで、
さらには「追憶の航海」も「星巡る方舟」も、
思い返してみたらみな初日に観に行っていた。

少年のように胸をわくわくさせながら映画館の入り口に並んだ日々。
38年の時を超えて、またあんな情熱を燃やせる日が帰ってこようとは。

おかげで放置状態で滅びを待つだけだったこのブログも
「封印は解かれ、永き眠りより目覚め」ることとなった。

思いつくままにヤマト関係で大量の駄文を生産してきたけれども
予想外に多くの方に見に来ていただけたようで、
これも望外の喜びだった。

この3年間、
ヤマトが観られて幸せでした。
ヤマトのことを文章に書けて幸せでした。
ネットを通じて、たくさんのヤマトファンの
熱い思いに触れることが出来たのも幸せでした。


こんな幸せな時間を与えてくれた、
「宇宙戦艦ヤマト2199」製作スタッフの皆さん、
本当にありがとうございました!


そして製作委員会の皆さん、
TV放映やら主題歌変更やら未完成第七章やらで
たくさんの文句をこのブログで垂れ流してきました。

すべてはヤマトを愛するが故の行動でしたが、
それはそれ、これはこれ。

皆さんがお金を出してくれなければ、
2199は陽の目を見ることはなかったわけで、
それについてはものすご~く感謝しております。
本当にありがとうございました!


そしてこの駄文置き場のようなブログを
わざわざ覗きに来ていただいた方々、
本当にありがとうございました!

ヤマトがスクリーンの彼方へ消えて行ってしまっても、
私たちには、まだまだ生きていかなければならない
"明日" があります。

そして、その "明日の道を照らして" くれるのは
もちろんヤマトです!

私たちの心の中に響く "波動エンジン" の轟音は
永遠に消えることはないでしょう・・・

なんだかこのブログが終わってしまいそうな雰囲気ですが、
もちろんそんなことはありません。
明日からはまた平常通り営業する予定です(笑)。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの(8) [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

○キャラ編・その3


■バーガー

いやはや、本編11話で初登場した時に、
ここまで大化けすると予想した人がいるだろうか。

七色星団で明確な死亡描写がなかったので
「こりゃ生きてるんじゃないか」って思って
最終話近くでの再登場を希望していたのだけど
それは叶わなかった。

でも、映画版で華麗に復活、
二等ガミラス人に対する偏見も無くなったようで、
これは七色星団出撃前のザルツ人部隊の
心意気に触れたせいかも知れない。

一週間の地球人との共同生活を送り、
さらにはヤマトのクルーからドメルの最後を聞いた。

もとより自分たちの信念の下に、
互いに死力を尽くして戦った、その結果の勝敗。
軍人としての本懐を遂げたドメル、そして仲間たち。
尊敬する上官や同僚を失った悲しみは
癒えることはないかも知れない。

"敵" としてのテロン人は憎んでも、
目の前にいる "個人" としてのテロン人はどうか。
悲しみも憎しみを超えて、新たな関係を築くことができる、
そういう相手ではないのか。
共に暮らしてみて、彼はそう感じたのではないか。

ましてやガトランティス艦隊の脅威が迫っている。
"敵の敵は味方" ともいう。
共通の "敵" を前に、協力することにためらいはない。

敗戦と地球人との共同生活、
かつての恋人の面影を宿す桐生との出会い。
様々な経験がバーガーの器を
一回りも二回りも大きく成長させたのだろう。

最終決戦で将兵に檄を飛ばすバーガー。
メガルーダの追撃をヤマトに要請するバーガー。
リーダーシップも戦局眼も持ち合わせた彼は
もうドメルの後継者の資格充分だ。

本編では戦うしかなかったドメルと沖田だが、
"方舟" においては、その後継者たるバーガーと古代は
力を合わせて脅威に立ち向かう。

昨日とは違う明日を手に入れた二人が
なんと素晴らしく見えることか。


■ネレディア

最初のビジュアルではどんな人なんだろうと
一部のファンの妄想を煽った(?)キャラだが、
ガミラス初の女性艦長にしてバーガーの同期と
意外なつながりがあった。

そしてその妹のメリアはバーガーの恋人だった。
バーガーがゲットーと一緒にメリアの墓に詣でるシーン。
音声がないので、どんな会話がなされたのかは
ファンの想像に任されるのだろう。

私が思いを巡らすのは、
メリアがバーガーと恋仲になった頃のこと。
妹がバーガーの恋人になったことに、
彼女はどんな思いを抱いていたのだろう。

劇中、ネレディアはバーガーに恋愛感情めいたものを
抱いている描写があった(小説版ではもっと明確だが)。
その感情はいつからあったのか。

メリアが死んで、バーガーの人が変わっていった頃か。
あるいは、もっと前から持っていたのだけれど
メリアのことを思って封印していたのか・・・

過去のこともそうだが、未来のことも気になる。
メリアへの思いにけりをつけ、
二人で新しい未来へ踏み出すのだろうか・・・

案外、今までと同じく友人以上恋人未満で、
しっかり者の姉とやんちゃな弟の状態が
ずっと続くような気もするが、それはそれでいいような・・・

いつか、この二人に再会できる日が来るといいなあ。


■バーレン&メルヒ

この元気印なじいさんもまさかの再登場。
バーガーの過去やネレディアとの関係を知る人物として
ガミラス側の人間関係の解説役でしたね。

人生の年輪を重ねただけに台詞に味があってよかった。
残念ながら最終決戦での出番はなかったけどね。
ガルントが残ってたら絶対出撃してただろなあ・・・

メルヒはオリジナルPart.1の古代を彷彿させるような
直情径行な若者。
沢村との友情をはぐくんだのもつかの間、
あっけなく散ってしまった。
戦争に犠牲はつきものではあるが
根本といいメルヒといい、いい奴から死んでいくんだねえ・・・


■ゴラン・ダガーム

今回の悪役(笑)、雷鳴の戦士。
オリジナルシリーズのガトランティスは、
もっと洗練されたカッコいいイメージがあったが
(むしろガミラスの方が泥臭い感じがあった)
今回は正真正銘の "蛮族" (笑)。

骨付き肉を囓りながら、太鼓叩いて攻めてくる。
いやはやワープ航法(彼らの言葉では「空間跳躍」)を駆使する
星間帝国の尖兵とはとても思えない。

まあでも大好きだよ、ゴラン。だって面白いんだもん。
ゼルグードII世を沈めたのも、ヤマトを攻撃してくるのも
「火焔直撃砲、発射あ!」って叫ぶのも
とぉーっても楽しそうなんだもの。
ホントに楽しんで仕事してる。ある意味とても羨ましい(笑)。

前にも書いたけど
単発映画の悪役としてはまさに必要にして充分なキャラクター。
中の人の熱演もあってとても楽しく観させてもらった。

サーベラーさんにパワハラされたり、部下のボドムに告げ口されたりと
中間管理職の立場のはずなんだが
ボドムはぶん殴るは、サーベラーの映像には切りつけるはと
やりたい放題で、決してへこまないところも大好きだぁ~。


■サーベラー

「サーベラーってキレイよねぇ~」とはかみさんの評。
そうかあ、ああいう感じが好みなのかぁ・・・

ほんの2シーン、総計でもたぶん5分に満たないくらいしか
出てないけど、存在感というかインパクトは充分。
なんと23歳という年齢設定も驚きだったが。
中の人の甲斐田裕子さんも楽しそうに演じてるように思う。

2199の続編は無くてもいい、ってあちこちで書いてる私だが
このサーベラーさんはもっと見たいなあ・・・

まあそれを言ったら、バーガーもネレディアも・・・って
もっと見たいキャラばっかりになってしまうんだけどね。

○その他いろいろ雑感

ゲールもメルダも出なかったが、それで正解だったと思う。
物語をシャンブロウの話だけに絞り込んでシンプルにしたことも。
あれもこれもと欲張って取り込んで、
肝心の焦点がぼけてしまうよりもずっとよかったと思う。

島と山崎さんとの息の合った操艦ぶりも見せ場のひとつで
本編で残されていた山崎との和解は、
この時点でもう済んでいるのか、
あるいはこの戦いが和解するきっかけになったのか。

これ以外にも、古代と雪のツーショット写真とか、
本編での "取りこぼし" をもうまく拾って
メインのストーリーに組み込んでいく脚本も
良くできていたと思う。

昨日も書いたが、第一艦橋に山崎さんと北野がいるのは
「新たなる旅立ち」を思い出させるし、
ラストのBGM「新銀河誕生」とか、
オリジナルシリーズからのファンの琴線をくすぐる演出も心憎い。

24話と25話の間、なんて窮屈な条件を与えられたのに
ここまでスケールの大きな、そして血湧き肉躍り、
興奮して感動できる作品に仕上げたスタッフの力量には
もう感服するしかありません。

本当にありがとうございます。
そしてお疲れ様でした。


次回はいよいよ「感想・・・のようなもの 終章」。
最終回にふさわしく(笑)超長文で贈ります。upは明日の予定。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの(7) [アニメーション]

いよいよ今日で「星巡る方舟」の上映は終了らしい。
淋しいけれど、いつかは来ることだからね。
映画館での上映は終わるけれど、
世の中には "ディスク待ち" って人も
いるかも知れないので、念のタメ書いておこう。

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

○キャラ編・その2


■真田さん

2199では、優秀な科学士官ではあるものの、
旧作のようなウルトラスーパーな技術者としては描かれなかった。
しかし、この「星巡る方舟」では、その一端を示してくれた。

七色星団で一度は遭遇してはいるものの、火焔直撃砲の原理を
ガミラスの空間転送と同じものだと看破し、なおかつ
その出現地点を予測するシステムを構築するまでにわずか半日。
いやースゴイじゃないですか。それでこそ我らが技師長です。

古代の成長ぶりを嬉しそうに眺めているのもいい。
兄の務めるはずだった使命を任せるに足る、
そう信じられたからこそ、最終決戦で
迷わず古代に指揮を任せられたのだろう。


■新見さん

本編のレギュラー組は総じて出番が少なかった今回だが
(古代を除いて)彼女だけは中盤ほぼ出ずっぱり。

まあ、反乱のことを言われて顔を曇らせたり、
古代に抱き留められて顔を赤らめたり、
ホテルでは服が変わって戸惑ったり、
4階まで駆け上がらされて息が切れたり。

決してカッコよく描かれてはいないんだけど、
微笑ましいシーンばかりで、スタッフに(総監督に?)
愛されているんだなあ、って感じた。

彼女は地球へ帰ったらどうなるのだろう。
軍隊における反乱なんて、極刑ものの大罪なのは承知だが、
イスカンダルへの旅での貢献も大きいからねえ。
願わくば情状を酌量してもらって実刑は免れるといいなあ。

それでも軍に残るのは難しそう。
だけど、どんな形でもいいから
真田さんと一緒に研究できる生活が送れるといいと思う。
彼女は真田さんと共にいる時が一番輝いているから。


■南部&北野

レギュラー組の中では比較的出番が多かった南部くん。
戦闘シーンが多かったのだから当たり前ではあるのだけど。

最初は「波動砲が使えない」ってやや不安な面持ちだったが
古代の影響か、最後は「波動砲が使えなくても・・・」って
意識変革が進む。

実際、主砲の一撃でメガルーダの転送システムを破壊したり
ロケットアンカーの照準設定やトドメの三式弾までと
南部くんの精密射撃の腕前がヤマトの危機を救ってきた。
島と並んで、実はヤマト勝利の立役者なんだよねえ。

南部くんが戦術長席に座って、その代わりに砲雷長席には北野。
機関長席の山崎さんといい、新しい顔ぶれが並ぶ。
「方舟」は、随所に「新たなる旅立ち」の雰囲気があるが
そのひとつに第一艦橋のメンバー配置があるね。


■太田&林

この原稿を書き始めた時、はたと思った。
「太田って出番あったっけ?」
ガトランティスとの初戦では気象長席には林が座ってて
太田の出番はナシ。
ひょっとして出てなかった? なんて思ったんだが
映画館で3回目を観た時に分かった。
シャンブロウに到着してからが太田の出番だったってことが。
それでも、そんなに台詞は多くないけどね。

実は、島が持ってたカメラが太田の持ち物で、
本人は出ずにカメラだけ出演してたと思ってた時期もあった(笑)。


■相原

「相原っていつもビックリしてるわよねえ」とはかみさんの弁。
たしかにやたら「戦術長!」って叫んでるシーンが印象に残るね。

惑星探査チームに選抜された相原くん。
ネットではさんざん「存在感が無い」とか「空気」とか
言われてるけど、劇場で回数観てるとわかる。
そんなに台詞少なくないんだよ、相原くん。
ただ、その割に印象に残らないのは彼の性格のせい?

分を弁えて出しゃばらない。でも仕事はきっちりこなしてる。
「通信」みたいな "インフラ" は、通常通り使えて当たり前で、
トラブルが起こってはいけない部分だよね。
相原くんとか平田さんとか、そういうところを担当している人間は、
まさに "縁の下の力持ち" で、目立たないけど大事な存在なんだ。

 そこを認めてくれるような女性に巡り会えるといいねえ、相原くん。

思い返せば、私自身の職場での立ち位置が
相原くんに似ていなくも無いんだよなあ・・・
そのせいか、すっかり彼に肩入れして文章を書いてしまった。

 中間管理職のシュルツに感情移入したり、
 地味な役回りのキャラに共感したり。
 40年の時間を経て、人生経験を重ねたからこそだよね・・・

今回、交代要員で登場した市川さん、可愛いじゃないか。
相原くん、がんばってくれ。


■アナライザー

アナライザーも選抜されたが、探査艇の留守番。
もっとも、ホテルに来たらどうなったのだろう。

この手の話では、ロボットは幻影を観ないものと相場が決まってるので
ジレル人たちからしたら都合の悪い存在だ。
だからアナライザーが来なかったのは願ったりなのだけど。

逆に考えれば、シャンブロウに到着して幻覚を見始めた時点で
既に古代たちは思考に干渉を受けていたはずなので、
それでアナライザーを残したのかも知れないね。

それとも、ヤマトのメインフレームに侵入できるんだから
アナライザーくらいどうとでもなる、って解釈もありか。

アナライザーも旧作と比べて性格の改変が大きい。
YRAでも百合亜の暴走を止める側に回ってたりと良識派になった。
これはこれでいいのかも知れないが、
ちょっぴり物足りなさもあるんだよね。


■加藤&篠原&山本

今回は航空隊の面々は出番少ない。加藤も台詞は一言か二言?
篠原に至っては冒頭の「パン云々」くらい?
まあとりあえずアリバイ作りに一言喋らせておけ、って感じか。
山本は古代との絡みでけっこう台詞があったが
新見さんほどでないにしてもスタッフに愛されてる?


■沢村

今回メインキャラに昇格した沢村くん。
桐生さんの相手役というより、同格で話ができる相手として
設定されたように思う。
古代も新見も上官だし、なかなか話もしずらいだろう。

もう一つの役回りはメルヒとの関係だろう。
古代⇔バーガー の関係が 敵対 → 信頼 へと変わり、
それが他のメンバーへの波及していくことを
沢村⇔メルヒ の関係で見せてた。


■桐生

出渕総監督のインタビューによると、
第5章の頃に映画化の話が持ちあがり、
そのために第6章から仕込んでいたキャラだとのこと。

言語学者の卵とか、父親が空間騎兵隊長で斉藤始の上官ってのも
ストーリーに絡んで後からつけられたらしいけど、
考えたら父親の設定は、無くても全くストーリーに影響ない。

バーガーとの会話に出すために斉藤との関係を設定し、
そこから逆算して父親の設定もできた、とも考えられるが。

深読み or 邪推するならば、
父親&斉藤の設定は続編への布石ととれなくもない。
現在、2199の続編の企画があるのかないのか全く不明だし
製作委員会でもどの程度検討されているのか分からないが
もし、"続編" の製作が決定した場合、
桐生さんと斉藤の関係が設定されていると
キャラの関係に、より "深み" が出てくるんじゃないかな。

まあ、続編ができなくても一向に問題ない設定ではあるが。


上映が終わったので、これからは連続でupする予定。
次回「感想・・・のようなもの(8)」は明日、
さらに「終章」は日曜日にupして、それで終了(;_;)。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

日本SF短編50 I [読書・SF]

日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)

日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)

  • 作者: 光瀬龍
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/02/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

日本SF作家クラブ創立50周年を記念して編纂された
全5巻のアンソロジー、その第1弾。

良いか悪いかは別として、この編集方針はユニークだ。

1963年から2012年までの50年間、
その年に発表された短編SFから1編ずつ選ぶ。
しかしその作者は、2012年12月現在で日本SF作家クラブに
所属している作家に限り(故人も含める)、
しかも全50作の作者は重複しない。

つまり50人の作家による、50年間での、50作というわけだ。

日本SF作家クラブ会長(2013年1月現在)の瀬名秀明による
「巻頭言」の中で触れられているが、
作品選定についてはかなり難航したらしい。まあそうだろうね。
"難解なパズル" って形容されてるがその通りだろう。

でも、第1巻の作品名を見る限り、
さほど的外れな選考はされてないようだ。
収録されている作品がその作家の代表作か? 
と言われると「全部がそうだというわけではない」だろうけど、
それなりに知名度がある作品が選ばれているように思う。

収録作の紹介と共に、作家さんに関する四方山話とかを綴ってみる。


1963「墓碑銘二〇〇七年」(光瀬龍)
 おお、しょっぱなから<年代記>シリーズだよ!
 広漠とした宇宙に広がる無常感がたまらない作品群だった。
 「百億の昼と千億の夜」とか「喪われた都市の記録」とか。
 「百億-」は萩尾望都の漫画版も読んだ。
 NHKの少年ドラマシリーズも懐かしい・・・

1964「退魔戦記」(豊田有恒)
 これ、長編版のほうを読んだよ。
 作者は「宇宙戦艦ヤマト」(1974年)の原案・設定にも参加していて
 "宇宙もの" つながりで読んだ「地球の汚名」が滅法おもしろかった。
 それから「モンゴルの残光」とかの歴史SFにも手を伸ばして・・・
 ところで「ヤマトタケル」シリーズって完結してたかな?

1965「ハイウェイ惑星」(石原藤夫)
 "ヒノシオ" シリーズだねえ。ハードSFなんだけど、
 作品の雰囲気はソフトでユーモアたっぷり。
 これもシリーズはほとんど読んだはず。

1966「魔法つかいの夏」(石川喬司)
 作家というよりは評論家だったよね、この人。
 収録作もよくわからない。ファンタジーといえばそうなのかな。

1967「鍵」(星新一)
 生涯で1000編以上ものショートショートを書いた人。
 とても全部は読んでないんだけど、この収録作は読んだ。
 最後の台詞がすごく印象的なんで記憶に残ってたよ。

1968「過去への電話」(福島正実)
 この人も作家というよりは編集者か翻訳家のイメージ。
 収録作も今ひとつよくわからない。
 でもこの人の訳した「夏への扉」はいい!
 使われてる訳語があまりに古くなりすぎて
 何年か前に新訳が出た。それはそれでよかったんだけど
 ラスト近くのヒロインの台詞は旧訳の方が断然好きだ。

1969「OH! WHEN THE MARTIANS GO MARCHIN' IN」(野田昌宏)
 このころの大元帥閣下はこの手のユーモアSFを書いてたんだよねえ。
 「銀河乞食軍団」が始まるのはこの13年後かあ・・・

1970「大いなる正午」(荒巻義雄)
 収録作は、今読んでもやっぱり全く理解できないなあ。
 初期の荒巻義雄はこんな感じのワケのわからない作家、ってイメージ。
 「白き日旅立てば不死」とかタイトルからして難解だったし・・・
 それから一転、「空白の○○」って伝奇SFシリーズを
 書き出したと思ったら、突然「ビッグ・ウォーズ」なんて始めるし。
 それも完結しないうちに「○○要塞」シリーズとか
 「紺碧」とか「旭日」とかの艦隊シリーズを怒濤のペースで執筆、
 あれよあれよという間に遙か彼方へ飛んでいってしまいました。
 途中でついて行けなくなってやめたのが90年代初め頃だったか。

1971「およね平吉時穴道行(ときのあなのみちゆき)」(半村良)
 この人「戦国自衛隊」がたぶん一番有名だけど、
 原作ってすんごく短いんだよね。文庫で200ページくらいだっけ。
 でもホームグラウンドは伝奇SFだったよね。
 「妖星伝」はなかなか完結編が出なくてやきもき。
 でも、直木賞をもらったせいかわからんが、
 だんだんSFから離れていってしまった人なんだよねえ・・・

1972「おれに関する噂」(筒井康隆)
 初期の短編集はよく読んだなあ。
 「ベトナム観光公社」とか「東海道戦争」とか。
 この作品もその頃に読んだ。
 「ビタミン」とか「ホルモン」とか「デマ」とかの
 実験小説群も超絶的に可笑しかった。
 大学卒業の頃から、なぜかぱたりと読まなくなってしまったのは
 どうしてなんだろう・・・。


巻末の解説には、63~72年にかけての日本SF界の動向が
まとめられていて、資料価値という面でも貴重かと思う。
その中で驚いたのは、71年に少年少女向けのSF入門書である
「SF教室」(筒井康隆・編)が発行されていたこと。

私、この本読んだよ!
親父が買ってきてくれたのか、自分で買ったのかは覚えてないけど
家にあって、中学生の頃に読んでたのを思い出したよ。

71年だと私は中1か。
まさに私がSFの洗礼を受けたのは中学時代だったんだねえ。

74年の「宇宙戦艦ヤマト」からSFを読み始めたと思ってたけど
すでにその前から下地はあったわけで
「ヤマト」が本格的にのめり込むきっかけになった、
ということだったのだろう。


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

機龍警察 自爆条項 [読書・SF]

機龍警察 自爆条項〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

機龍警察 自爆条項〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: 文庫




機龍警察 自爆条項〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

機龍警察 自爆条項〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★★☆

このブログの過去記事を調べたら、
第1作「機龍警察」を読んだのは4年くらい前だった。
なんと★3つしかつけてない。
第1作はあんまり好きじゃなかったのかな? 私。
感想でも「戦闘シーンが少なくて残念」なんてことを書いてた。
でも今から思えば前作は "序章" に過ぎなかったんだね。

本書はそれに続く第2作。時系列的にも第1作のすぐ後の話だが、
上の★の数でわかるように、本書は傑作である。

「機龍警察」は、本作から怒濤の快進撃を始める。
第3作「機龍警察 暗黒市場」、第4作「機龍警察 未亡旅団」と
新作を発表するごとに評価が上がっているようだ。

ストーリー的には独立しているので、前作を読んでいなくても
楽しむことはできるけれども、前作の流れや一部の伏線を
引き継いでいる部分もあるので、
できたら第1作を読んでからの方が、より楽しめるだろう。


まずは物語世界の背景から。

大量破壊兵器が衰退し、テロが蔓延する近未来。
人型近接戦闘兵器・機甲兵装が市街地戦闘の主流となっている。

 機甲兵装とは、アニメ『装甲騎兵ボトムズ』におけるATみたいな、
 簡単に言えば "ロボット型一人乗り戦車" のような兵器である。

警視庁特捜部も、テロリスト対策のために機甲兵装「龍機兵」を
3機導入し、その搭乗要員(パイロット)として3人の傭兵と契約した。

日本国籍を持つ姿俊之、
アイルランド人で元テロリストのライザ、
元ロシア警察のユーリ・オズノフ。
この3人は "警部待遇" で捜査にも加わることになる。

英語名は Special Investigation Police Dragoon。
犯罪者たちは彼らを「機龍警察」と呼ぶ。


なぜ警視庁生え抜きの警官を抜擢せず、わざわざ傭兵を使うのか。
その理由も本作の中で明かされるのだけど、
閉鎖的・保守的な警察組織の中で、彼ら3人と「龍機兵」は
"異物" であり、特捜部自体も他の部署との軋轢は避けられない。
しかしながら、機甲兵装を用いたテロ案件は次々に発生していく。

「機龍警察」は、テロリストという外敵はもちろん、
"警察組織" という内なる敵とも戦っていかなくてはならない。
そういう宿命を背負った部署なのである。


さて、第2作である本書の内容へ入ろう。

機甲兵装が大量に日本国内へ密輸された事件が発覚するが、
時を同じくして北アイルランドのテロ組織・IRFのメンバーが
大挙して入国したことも判明する。
その中には、最高幹部の一人である<詩人>、
3人の凄腕テロリストである、
<猟師>・<墓守>・<踊子>も含まれていた。

彼らの目的は2つ。

一つは、近く来日するイギリス政府高官サザートンの暗殺。
しかし、なぜか特捜部には日本政府上層部から
捜査を中止するよう不可解な命令が下される。

そしてもう一つは、「龍騎兵」の搭乗者・ライザの処刑。
彼女はかつてIRFに所属し、"ある事情" から組織を抜けていた。
IRFは彼女を "裏切者" として追っていたのだ。

しかし、IRFの潜伏先は容易につかめず、
サザートンの来日は目前に迫ってくる。
そんなとき、日本国内に巣くう中国黒社会のメンバー・馮(フォン)が
特捜部に接触してくる・・・


本作では、ライザが実質的な主人公をつとめる。
物語は、IRFの足取りを追う特捜部と、
ライザの過去が交互に描かれていく。

彼女の半生がなかなか壮絶だ。
テロの嵐が吹き荒れる北アイルランドに育ち、
父親の死をきっかけとしてIRFへ加入し、
過酷な訓練を経て "殺人機械" へと成長していく。
そして自ら手を下したテロによって、ある "報い" を受け、
組織からの脱走を決意する。

このあたりはけっこうな書き込みで、
最初は「ちょっと長いんじゃないか」って思ったんだが
この描写があることによって、ライザへの感情移入がより高まり
ラストでのIRFとの決戦が、もっといえば
ライザと<詩人>との対決が、
いやが上にも盛り上がるようにできているのだ。


「龍騎兵」搭乗員の他の二人、姿とユーリをはじめ
登場人物がみな個性的で、キャラ立ちもバッチリなのだけど
特筆すべきは特捜部長の沖津だ。

沈着冷静にして頭脳明晰、つまはじきと圧力の総攻撃にさらされる
特捜部において、根回し・腹芸・駆け引きと、あらゆる手を用いて
外部や上層部と渡り合ううちに、いつのまにか
事態を自分の望む方向に導いていってしまう。
本作においても、IRFの<詩人>に対し、
さながらチェスの達人同士のように
互いの手を読み合う頭脳戦を繰り広げる。

そして、本作のもう一人のヒロインとも言うべきなのが
「龍騎兵」の技術主任(メカニック)担当の鈴石緑警部補。
彼女もIRFの引き起こしたテロ事件によって家族を失い、
天涯孤独の身となっていた。

それはライザが関わっていない事件ではあったが、
緑がライザに向ける眼には憎しみが宿っている。
しかし、「龍騎兵」の性能を究極まで引き出してくれるのも
またライザであった。

ライザと緑をつなぐのは「龍騎兵」という存在ただ一点。
決して相容れることのないはずの二人なのだが、
事件を通じて次第に関係に変化が生じていく。

最終決戦において、絶体絶命の危機に陥ったライザが、
無線を通じて緑と言葉を交わすシーンがある。
二人の心が一瞬ではあるが "重なる"、
ここまできたら、涙で文字が追えなくなってしまったよ・・・

メインメカである「龍機兵」についても、
「V-MAX」みたいな "スーパー高機動モード" があったりと
 (『蒼き流星SPTレイズナー』って言っても知ってる人は少なそう。
  『ガンダムOO』の「TRANS-AM」の方がまだわかるかな?)
書きたいことはあるんだけど、もうけっこうな分量書いたので
その辺は次作「暗黒市場」のことを書く時に回すことにしよう。

いつになるかはわからないけど、
「暗黒市場」は、そう遠くない将来に文庫になると思うので
いまはその日を、首を長くして待ってます。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」感想・・・のようなもの(6) [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

○キャラ編・その1


■沖田

「方舟」の冒頭、艦長室で沖田と古代が語らうシーンがある。
この二人の接点も本編では少なかった。

LPレコードを聞きながらの会話。
そんなものが2199年まで生き残っているのか?
残っててもかなりのレアものになってそうだが。

「でも、アナログのレコード、っていうのが
 ヤマトのファンには胸に沁みるんじゃないの?」
とはかみさんの弁。
確かに、旧作からのファンはアナログ世代だからねえ。

初めて買ったインストゥルメンタルのレコードが
「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」だった、って人は多いんじゃないか。
っていうか私がそうなんだけど。

曲のタイトルは「Muss i den」。寡聞にして知らなかったよ。
日本語では「別れ」という曲名になってるとのこと。
「えー、知らないの? あたし中学校で歌ったことあるよ。
 さらば~さらば~わ~が~と~も~」
「いや、歌わなくていいから。
 うーん、メロディーは聴いたことあるなあって思ったんだけど
 学校で歌った記憶は無いなあ・・・」
「そんなことないよ。有名な曲じゃない!
 さすがにドイツの民謡だったとは思わなかったけど。
 あ、あなたとは世代が違うせいね!」
「え・・・そんなに年違わないじゃん、私と」
「○年違えば、ひと世代違うのよ!」
「・・・(-_-;)」

閑話休題。

沖田は、この曲をかけながら何を思ったのだろう。
やはり、地球で待つ親友のことか。
自分の命が残り少ないことを自覚しながらも、
故郷へ帰る日に思いを馳せていたのだろか・・・

考えたら今回沖田は艦長室から一歩も出てない。
(まあ「星巡る方舟」自体、作中時間は1日くらいだろうし。
 古代たちには一週間でもね。)

最終決戦では制服に着替えて、
いつでも第一艦橋に降りる気満々だったけど
古代をはじめとする若いクルー中心に危機を乗り切り、出番無し。
でもそれこそ "嬉しい誤算" だったんだろうね。

未来を託すべき若者たちの成長で後顧の憂いも無くなり、
ヤマトとガミラスとの恩讐を超えた共闘も目にすることができた。
地球を目前に逝くとき、沖田の胸中は全くの平穏だったと信じたい。


■古代

旧作では、古代が動くことによって物語も動いていく。
常にストーリーの中心にいる存在だった。

それが2199においては、ある意味 "不遇" なキャラになってしまった。
観客の多くは、イスカンダルへの旅の途中で
沖田の倒れた後を引き継ぎ、ヤマトを率いていく。
そういう展開になると思っていたのではないか。

仕方がないよねえ。
旧作の古代を知っていたら誰でもそう思うじゃないか。

直情径行熱血キャラは、リブートされた新生ヤマトには
確かにそぐわないのだろう。
総監督をはじめとするスタッフは、
あくまで "沖田を主役に据えた群像劇" を目指した。
それはそれで分かるし、2199古代の性格改変も理解できる。

でもねえ・・・理屈では分かっても感情がねえ・・・
今でも思うよ。23話の扱いは何とかならなかったのか・・・
尺の問題はあったにせよ、ね。

そんなファンの思いをすくい取ったように、
「星巡る方舟」での古代は見違えるように颯爽と見える。

冒頭のガトランティスとの遭遇戦も、
ホテル内での持久戦も、バーガーとの対決でも、
そして最終決戦での采配でも。

八面六臂の大活躍で、まさに主役。
古代守の思いを引き継ぎ、
沖田の後継者として舞台の中央に躍り出た。

 チェーンでつながったままメガルーダに突っ込んでいったのは
 旧作の "遺伝子" がちょっぴり残っていたのだろうか。

退くべき時には退き、押すべき時には押す。
その臨機応変の判断も秀逸。

私はかつてこう書いた。

 古代が "指揮官へと踏み出す一歩" を、
 "未来のヤマト艦長としての器の片鱗" を、見せていただきたい。
 それさえ実現すれば、私は充分に満足して映画館を出られるだろうし、
 それが "私にとっての「2199」の完結" になるだろう。

そう、2014年12月6日は、
私にとって「宇宙戦艦ヤマト2199」が
"見事に完結" した日となった。


古代については、もう一つだけ書きたいことがあるのだけど、
それは最終回にまわすことにする。


■森雪

雪のファンにとっては、出番が少ないことが残念だっただろう。
でも彼女は、「星巡る方舟」の直前には
大要塞 "第二バレラス" を破壊するという "勲功" を立てたばかり。

しかもこの後、ヤマトに乗り込んできたデスラーと対峙するとか
銃の乱射を受けて "彼岸を見る" とか、
まだまだイベントがたくさんあるので、今回くらいは
桐生さんにヒロインの座を譲ってあげてもいいんじゃないかな。

まあ、画面に映る頻度は低くても、確実に古代との仲が
進展していることを窺わせる描写が多かったように思う。

舞台挨拶で森雪役の桑島法子さんが
「古代くんカッコよくなったな~って思った」って言ってたが
まさに第一艦橋で古代の後ろ姿を眺め続けてきた雪は、
この「星巡る方舟」戦役を通じてこう思っただろう。

「あたしの男を見る目に間違いはなかった!」と。


■島

惑星表面でのワープとかの、古代の無茶ぶりな命令や
まさかの火焔直撃砲の "直撃" を回避するとか、
今回も島の "超絶技巧な操艦" にヤマトはたびたび救われてる。

勝利への貢献度はものすごく高いはずなのに
その割に目立たないのは可哀想だよなあ。

彼に "春" が来るには、やっぱり続編が必要なのだろうか・・・
中の人は熱望しているみたいだが、それこそ神のみぞ知る、だね。


次回、「感想・・・のようなもの(7)」につづく。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

ミステリ・オールスターズ [読書・ミステリ]

ミステリ・オールスターズ (角川文庫)

ミステリ・オールスターズ (角川文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

「本格ミステリ作家クラブ」の所属する作家28人による
競作アンソロジーなんだけど、何せ総ページ数が
文庫で470ページくらいしかない。

"原稿用紙30枚を目処" って縛りがあったらしく、
一人当たり20ページほどの、
短編とも言いがたい長さの作品でまとめてあるのだ。

短いから悪いというわけではないが、皆さんこの分量に対して
かなり難儀したんじゃないかと推察する。

本来もっと長くなるはずの作品を
無理矢理ダイジェストしたような作品とか、
リアリティは二の次で、荒唐無稽さを売りにした
バカミス仕立ての作品とか。

 バカミスが嫌いというわけじゃないんだが、
 長さの制約からそういうオチにせざるを得なかったように思えたり。

要するに、「原稿用紙30枚」という縛りが、本格ミステリとしての質を
高める方向に行っている作品ばかりではないように感じたわけ。

何より、巻頭の序文で
「本格ミステリファンにはまたとないプレゼントとなるだろう」
「面白いよ! この本は」って自信満々に宣言している
辻真先会長(発行当時)自身の作品からして
"某○○○のパスティーシュ" 仕立てっていう "変化球" だし、
この密室トリックを読んで怒り出す、あるいは
がっかりする人だっているんじゃないかな。
ちなみに私は後者だった。

正直言って「なるほどこれが本格ミステリの神髄だ」って思える作品は
あんまり無いような気がする。

 もちろんこれは私の独断と偏見に満ちた価値観によるので、
 「この本を充分に楽しんだよ」って方も
 たくさんいるとは思うけれども。

そんな中で、これは上手いと思ったのは次の2作。

「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」(深水黎一郎)
短編集で既読だったけど、やっぱりオチは秀逸。
このアンソロジーの巻頭を飾るにふさわしい力作。

「羅漢崩れ」(飛鳥部勝則)
幻想的な雰囲気、怪奇性たっぷりの謎、
魅力的なキャラ、合理的な解決、余韻のあるオチ。
この長さでこれだけのモノを書くのはスゴイ。


本書に収録されたアイデアで、充分な枚数を与えてあげて
書かれたバージョンを読みたいなあ・・・
なんてことを思ってはいけないのかなあ。

あと、収録されてる作家さんの中には、超寡作な方とか、
ここ何年も作品を発表してないんじゃないかって方も散見する。

そういう方々に新作を発表する場を与える、
って目的もあったのかなあ・・・っていうのは考えすぎでしょうか。

だって、
有栖川有栖・光原百合・綾辻行人・法月綸太郎・西澤保彦
っていう(たぶん)売れっ子組は、5人でリレー小説1本。
一人当たり4ページしか書いてないんだよ!


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

もろこし桃花幻 [読書・ミステリ]

もろこし桃花幻 (創元推理文庫)

もろこし桃花幻 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋梨 惟喬
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/03/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★

世の歪みを正し、正義を実行する「銀牌侠」が活躍する、
中国を舞台にしたミステリ・シリーズの第3弾。
とは言っても、時代も舞台もキャラもばらばらなので
前2作を読んでいなくても大丈夫。
(再登場してるキャラもいなくはないが
 ストーリーに関わる部分ではない。)
今までの2冊は短編集だったが、今回は初の長編である。

時は元代の末期、各地で戦乱の起こる中、
科挙の受験を諦めた陶華(とうか)は帰郷を決意する。

しかし故郷への道には盗賊が横行していた。
従者とはぐれ、路銀も乏しくなった陶華だったが
途中で立ち寄った村で、7人の同行者を得る。
年齢不詳で不思議な雰囲気の女道士・杏霙(きょうえい)、
常人離れした体術を駆使する二人の道士・施と孫、
商人らしくない佇まいの柴(さい)、薬学に疎い医師・呂、
侠客の林と近隣の村の少女・小蘭など
一癖も二癖もありそうな胡散臭いメンバーだった。

総勢8名となった一行が辿り着いたのは、険しい岩山に囲まれた
"桃源郷" と見まごうばかりの平和そのものといった村だった。

しかし到着早々、一行の世話係を務めていた男が
首を切断して殺される。

戦乱から逃れるために外部と隔絶されている村なので、
村人か陶華の一行か、どちらかに犯人がいるはず。
相互に不信感が募っていくなか、次々と村人が殺害されていく。


一方、村からさほど遠くない城市・渓陵は戦乱に巻き込まれていた。
流賊(大規模に組織化した盗賊団)に取り囲まれ、
その頭目・沈琳(ちんりん)と、城側の顔(がん)軍師との間で
駆け引きが続いていたのだ。

殺人事件と城塞包囲戦。一見無関係に見えるこの二つに
意外なつながりがあることが、次第に明らかになっていく。


登場人物もそれぞれの役回りに沿って上手に書き分けられ、
特に杏霙、施、孫の3人はアクションシーンも達者にこなし、
ときおり複雑な過去も覗かせキャラ立ちも充分。

殺人の動機も犯人も、村と村人の持つ秘密に端を発していて
たしかに、この "時代" とこの "舞台" でなければ成立しない、
もっと言えば "発生しない" ミステリになってる。

ただ、犯人の "正体" については文句を言いたくなる人はいそう。
(わたしもちょっぴり「これっていいのかなぁ」って思ったし。)
この作品だからこそ許される "犯人像" ではあると思うけどね。

現代を舞台にした作品ではできないことをやる、
そこにこのシリーズの存在意義があるのだろう。
作者はまだまだ続けていくつもりらしいので、
次回作を待ちましょう。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ: