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錆びた滑車 [読書・ミステリ]

錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

女探偵・葉村晶(はむら・あきら)を主人公としたシリーズ。
ここ何年か評価が高まってきて、
ミステリランキングでも上位に入ってくるようになった。
その最新長編。しかも文庫書き下ろしという、財布に優しい仕様(笑)。


葉村はいちおう正式な私立探偵なんだが、
糊口をしのぐために古本屋のアルバイト店員もしているし、
本書では遺品整理を引き受けるなど、
依頼があればなんでもするみたいである。

今回の仕事は、資産家の未亡人・石和(いさわ)梅子の尾行。
御年74歳にして、最近の行動がおかしい。
ひょっとして変なヤツに騙されて、
資産を巻き上げられてしまうのでは・・・
と心配した長男からの依頼である。

その日梅子が訪ねたのは青沼ミツエという、これも梅子と同年配の女性。
しかし二人は、ミツエが所有するアパート〈ブルーレイク・フラット〉の
2階廊下で喧嘩を始め、勢い余った二人は一緒に階段を転げ落ちてしまう。
ちょうど階段下で様子を窺っていた葉村は二人の下敷きになって負傷し、
意識不明になったミツエとともに病院に搬送されてしまう。

青沼ミツエには息子の光貴と孫のヒロトがいたが、
この二人は8ヶ月前に神奈川の遊園地近くで交通事故に遭い、
光貴は死亡、ヒロトもまた瀕死の重傷を負っていた。
しかも事故の衝撃でヒロトは前後の記憶を失っており、
父親と自分がなぜそこにいたのかを思い出せないでいた。

そのヒロトから、父・光貴の遺品整理を頼まれる葉村。

折しも、彼女が住んでいたシェアハウスの取り壊しが決まった。
ミツエの計らいで、葉村は〈ブルーレイク・フラット〉の一室に
臨時で住むことになったが、入居して早々に
〈ブルーレイク・フラット〉が火事になってしまう。

光貴の遺品に触れられたくない何者かによる放火だと睨んだ葉村は、
8ヶ月前の事故の調査を始めるのだが・・・


四十肩と老眼と膝の痛みに悩まされながら捜査を続ける女探偵。
ケガはするわ、住んでるところは追い出されるわ、
火事で焼け出されるわ、さらにはここに書き切れないくらい、
今回もさんざんな目に遭う。

なかなかに大変な状況なのだけど、葉村本人に悲壮感は全くなく、
自らの不運をぼやきながらも挫けずに立ち向かっていく。

葉村の受難は、最近のこのシリーズの ”お約束” でもあるので、
彼女の行動だけを拾っていけばユーモア・ミステリなのだけど
事件の関係者たちが陥る状況は
葉村のそれとは比較にならないくらい悲惨。
そんな事態を引き起こした犯人への怒りもまた葉村の活力になる。

タフな女探偵が、孤独に歩き回って情報を集め、真相に近づいていく。
ハードボイルドなフォーマットではあるけれど
序盤からあちこちにばらまかれたピースが
後半になって、面白いようにカチカチとはまっていき、
次から次へと意外な事実が明らかになって
事件の意外な全貌が導き出されていくあたりはミステリとしても秀逸。
流石だと思う。

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涙香迷宮 [読書・ミステリ]

涙香迷宮 (講談社文庫)

涙香迷宮 (講談社文庫)

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久と、そのガールフレンドにして
明峰寺学園高校剣道部のエース・武藤類子のコンビが活躍する
シリーズの最新長編。

「このミステリーがスゴい」で1位とか、その年の賞を総なめにした作品。


老舗旅館で男の死体が発見される。
何者か(おそらく犯人)と囲碁の対戦中だったらしく、
現場には碁石が載った碁盤が残されていた。
警察から捜査協力を求められた智久は、
碁石の数が通常よりも多く用意されていたことに気づく。

一方、茨城県の山中、ダム湖のほとりにある廃墟が
明治の鬼才・黒岩涙香(るいこう)の隠し別荘だったことが分かり、
発掘調査が行われることになった。
智久と類子も、それに誘われて参加することになる。

別荘の地下には、十二支の名をつけられた12の部屋があり、
その4面の壁にはそれぞれ一句ずつ、
合計48句の「いろは歌」が掲げられていた。

 「いろは歌」とは、47音の仮名を重複させずに作った
 七五調の韻文のこと。あの「いろはにほへと ちりぬるを」ってやつ。
 本書では「ん」を加えて48音で作られているものが登場する。

涙香の手になるこの48句が暗号になっているとみた一行は
解読を試みるが、そのさなかに不可解な出来事が連発する。
どうやら、智久の命を狙っている者が、一行の中にいるらしい。

ついにはメンバーの一人が毒殺されるに至るが、ちょうどその時、
現地を台風が襲来、外界との連絡が途絶えてしまう・・・


黒岩涙香という人は、名前だけは知っていた。
明治の頃に、海外のSFやミステリを初めとする種々の小説を翻案して
日本に紹介していた人、って認識だったんだが
本書を読んでそれはこの人のほんの一面でしか過ぎないことを知った。

自由民権運動に関わり、新聞記者になり、
やがて翻案小説を発表するようになる。
やがて自ら新聞社を設立し、晩年には米問屋まで開業してる。
本書に関わるところでは「五目並べ」を「聯珠(れんじゅ)」と命名して
必勝法を考えたり、競技かるたの全国統一ルールを定めたり、
新聞で「いろは歌」を募集したり。

その涙香をメインに据えた長編だけに、本書では
「聯珠」と「いろは歌」が重要なモチーフになっている。

いろは歌というものは一つではないことは知ってたが、
古今東西、無数に作られていたということ、
さらには現代に至っても未だに ”新作” が
続々と作られていることにも驚かされた。


さて、その涙香が創った(という設定の)48句の
いろは歌に込められた暗号解読が本書のメインテーマである。

実際にはこの48句みな、作者がこの作品のために
新たに作り出したいろは歌。まずその労力に頭が下がる。

さらには、それ以外の博識振りにも驚かされる。
いろは歌はもとより、囲碁はもちろん聯珠について、
そして黒岩涙香その人に関することまでのあらゆる蘊蓄が
これでもかこれでもかと投入され、圧倒されてしまう。


最終的に智久が暗号を解読して、
涙香の残した ”お宝” にたどり着くんだが・・・これもまたスゴい。
作者がこれを用意するのにどれほど苦労したかを考えると
想像を絶するものがある。

しかしながら、いろは歌の暗号が驚異的な詳細さで作り込んであるぶん、
冒頭の殺人事件、そして智久の命を狙う犯人を巡る謎については
添え物感が拭えない。

冒頭の事件での、犯人と被害者の盤面における対決も
ものすごく考え抜かれているのだけれど、最後に指摘される犯人が
それに見合うくらい ”賢い” ように思えないんよねぇ。

 暗号解読については名作と言っていい出来なので、
 殺人事件に対しても ”名犯人” を期待してしまうんだよね・・・
 もっとも、IQ208と互角に張り合える人はそうそういないだろうが。

犯人指摘に必要な手がかりも充分に示されてはいないみたいだし、
罠を仕掛けてしっぽを出すのを待つような解決は如何なものか。


暗号ミステリとしては最高峰のレベルだと思うので星5つ。
犯人当ての部分は水準作レベルかなと思うので星3つ。
あわせて平均して星4つ、ってところで。


先日読んだ短編集では、智久くんが電話でしか登場しなかったけど
本作は、ちゃんと生身の(笑)智久くんが全編に渡って登場するし、
類子さんも出番が多いのでよしとするかな。

私としては、もうちょっと二人がイチャイチャするシーンが見たいんだが、
智久くんも類子さんもそういうキャラじゃないみたいだね。
ワンカットだけ、類子さんが智久くんに抱きつくところがあるので
それで我慢しておこう(笑)。

もっとも、このシリーズは「サザエさん時空」なので
二人はずっとこのままなんだろうなあ・・・

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生霊の如き重るもの [読書・ミステリ]

生霊の如き重るもの (講談社文庫)

生霊の如き重るもの (講談社文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/07/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

怪奇作家・刀城言耶を探偵役としたシリーズの短編集、というか中編集。
本書は彼が学生時代に出会った事件を収めている。
ホラー風味満点ながら、しっかり本格ミステリしてる。


「死霊の如き歩くもの」
国立世界民族学研究所の本宮教授の屋敷を訪れた4人の若手研究者。
みな、教授の一人娘・美江子を巡る恋のライバルである。
この4人に言耶も加わり、彼らは大晦日から元日にかけての一晩を
本宮邸の別邸である〈四つ屋〉で過ごすことになるが、
そこの中庭にある四阿(あずまや)で研究者の一人が殺害される。
現場の周囲には犯行時刻前から雪が積もっており、
被害者のものと思われる足跡のみが残っていた。
しかも言耶は、信じられない光景を目撃する。
犯行直後と思われる時間に、母屋から中庭に出る石段の上を、
”下駄” が歩いていたのである。それも、履いている人の姿はなく、
下駄だけがするする動いて石段を登っていったのだ。
ゲゲゲの鬼太郎のリモコン下駄ですな(おいおい)。
密室形成にはなかなか大胆なトリックが使われているけど、
伏線は早い段階からちゃんと張ってある。
これ、映像化すると面白い気がする。

「天魔の如き跳ぶもの」
代々、庄屋を務めていた箕作(みつくり)家。
裏庭に、屋敷神を祀った祠(ほこら)があるが、
ここの周辺で複数の人間が姿を消していた。
先代の当主・宗明が竹藪の中で消え、
戦時中には近所の子どもが祠に向かって走って行く途中で消えた。
祠の周囲は切り開かれ、周囲に何もない場所に足跡だけが残り
最後の足跡の周囲の5m四方には何もなく、空中に消えたとしか思えない。
そして言耶が訪ねていった日に、また一人子どもが姿を消した・・・
二人の子どもの消失に、それぞれ別の解釈を用意するとはなんと贅沢な。

「屍蝋(しろう)の如き滴(したた)るもの」
新進作家・伊乃木彌勒(いのき・みろく)の正体は
民俗学者・土淵庄司教授だという。
土淵教授の父親・庄三は、十数年前に新興宗教〈彌勒教〉を立ち上げ、
自ら即身仏になってしまった。つまり生きながら地中に埋められ、
ミイラ化する〈土中入定〉を行ったのだ。
しかし二年後に掘り出した遺体は生前の容姿を留めたまま屍蝋化していた。
教団の後継者と目されていた3人の教団幹部たちは、
生きたままの教主の姿に震え上がって逃げだしてしまう。
しかしその後、彼らのもとに屍蝋化した教主が姿を現したという・・・
土淵教授の屋敷を訪ねた言耶だが、その夜、女性の死体が発見される。
場所は土淵邸の庭、周囲には雪が積もり、足跡は被害者のものだけ。
しかも遺体の口には大量の古新聞が詰め込まれていた・・・
そして犯行時刻あたり、現場付近に佇む
袈裟に頭巾の人影を見たとの情報ももたらされる。
それこそ、教主・庄三の入定時の服装だった・・・
文庫で120ページほどの中編だけど、密度は濃い。
終盤に至って複数の解釈を示しては否定してみせる多重解決を披露し、
最後に意外な真犯人を指摘するという
シリーズ長編と同じパターンをしっかり踏襲している。

「生霊の如き重(だぶ)るもの」
資産家・八生(やお)家の当主・猛が愛人・光世に産ませた子・龍之介。
空襲が激しくなり、龍之介は八生家に疎開することになる。
八生家には、本妻の産んだ長男・熊之介、
愛人・智子が産んだ次男・虎之介がいた。
虎之介は学徒出陣していたが、生まれつき体の弱い熊之介は
兵役に就いていなかった。
幸いにして熊之介に気に入られ、共に過ごすようになった龍之介だったが
やがて屋敷の中で熊之介の ”生霊” を目にするようになる。
つまり熊之介が同時に二カ所に存在しているとしか思えない場面に
しばしば出くわすようになったのだ。
それを熊之介に話すと、「それは、死の前兆だろう」と答えた。
それからまもなく熊之介の体調は急変し、死亡してしまう。
やがて終戦を迎え、その一年後の夏に虎之介の戦死が通知された。
智子は嘆き悲しむが、なんと秋になって当の虎之介が復員してきた。
だが、さらにその二年半後、もう一人の虎之介が復員してきたのだ。
二人とも戦傷で記憶を失っており、戦地での過酷な生活で風貌も一変、
さらには顔面にも負傷を負っていて、母親である智子でさえ
どちらが本物か判別できなくなっていた。
大学生になっていた龍之介は、後輩の言耶に相談するのだが・・・
文庫で150ページと、本書中最長。
生霊については、単純なトリックだろうと予想はつくのだが、
後半の ”二人虎之介”、さらには最後のオチに至るまでは見事。
長編を一本読んだくらいにおなか一杯になれる。

「顔無(かおなし)の如き攫(さら)うもの」
大阪・釜浜町の長屋街の一角に奇妙な空き地があった。
そこには小さな祠があり、東側は運河があって柵で仕切られ、
北側と西側は長屋の壁で囲まれており、南しか出口はない。
かつてそこには、地蔵の祠があったのだが、
長屋を建てるためにどかしてしまった。
すると、祠の跡地で二度も火事が発生、
その二回とも子どもが焼け死んでしまった。
いまは再び空き地となり、現在の祠は
死んだ子どもたちの霊を祀るためのものだという。
その長屋街へ引っ越してきたのが、平山平太(ひらやま・へいた)の一家。
彼は同じ長屋に住む花田優輝という少年と仲良くなるが、
ある日突然、その優輝が行方不明なってしまう。
その空き地へ入ったきり、出てこなかったのだ。
唯一の出口である南側は、平太本人がずっと見ていたのだから間違いない。
年月は流れ、大学生となった平太は、ひょんなことから知り合った言耶に
この不思議な人間消失について語るのだが・・・
可能性を排除していけば、最後に残ったものが真実だ。
それがどんなに突拍子もないことでも・・・ってミステリの法則にあるが
まさにその通りの真相を言耶は解き明かす。
海外の某有名短編を彷彿とさせるが、
作者はそのさらに一枚上の解釈を示してみせる。

このシリーズは、しばしば大胆な物理トリックが使われる。
この手のトリックって、文章で読むと陳腐な気がしがちなものだが
本シリーズでそう感じることが少ないのは、
昭和20年代って設定が大きいだろうなあ。
舞台の選択も上手いし、なんと言っても語り口が巧みなんだろう。
「ちょっと無理なんじゃない?」って思っても、
読んでるうちに「ま、それもありかな」って、納得してしまうんだよねえ。

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章〈最終章〉新星編」 ED主題歌「ヤマトより愛をこめて」PV公開 [アニメーション]


昨日の2月14日、第七章の最新PVが公開されました。
最新であると同時に、おそらく最後のPVになるのでしょうね。



数えたら、ちょうど公開2週間前ですね。
バレンタインデーに合わせた? まさかね。

例によってPVを見ながら、思ったこと感じたことを
ダラダラと書いてみます。(ああ、こう書くのも最後かなぁ・・・)

・次元境界面(?)から浮上するヤマト。
 これはやっぱり、フラーケンの次元潜航艇かなんかが
 お膳立てしてるんだろうなあ。
・古代、デスラー、ミル、大帝の目、土方と細かいカットの連続
・古代の前に現れるテレサ。何かを語りかけるのか。
・地球の都市(首都?)上空を遊弋するガトランティス艦隊。
 地球連邦政府が降伏したのですかね?
  そしてそれを見上げる人々。その中にはガミラス人もいたりする。
 流石にN氏のそっくりさんはいない?(笑)
・白色彗星に照準する波動砲のターゲットスコープ。
 全面に展開するのはカラクルム級か。
・そしてトランジット波動砲発射!
  彗星帝国を覆う防御シールドに激突?
・激高するミル、大帝、バーガー、デスラー。
・一斉にミサイルを発射するのは後期ゴストーク級?
・古代、そして雨あられと攻撃に晒されるヤマト。
・英雄の丘(?)に座って一升瓶をラッパ飲みする佐渡。
 これは26話のシーンかな。それとも回想シーン?
・水面(?)から浮上するのはヤマトかな?
 艦首の形状が違っているのは損傷しているから?
 そしてここはどこ?
 順当に考えれば海だが、ひょっとして時間断層だったりして。
 なにせ手前に見えてるのはD級で、
 塗装が LABORATORY AQUARIUS っぽくない?
・コスモガンを撃つ古代。
・岩塊に打ち込まれる反重力感応器もといマグネトロンプローブ。
 どうも古い人間なんでどうしても旧作での名前が出てしまう。
 アステロイドシップを形成するのかな?
・「銀河」のブリッジ。前面には半壊した月が。
 白いアナライザーは、損壊した指揮AI(ブラック)の後継機ですか?
・土方を担ぐ古代。スクリーンを指しているのは土方の指か。
 古代への最後の命令を与えているシーン?
・雪を抱く古代に向かって銃を差し出すミル。よく見ると銃の向きが逆。
 さてこれは何を意味するのか? 古代に新たな選択を迫る?
・一瞬だけ挿入されるオリジナルサーベラーの亡骸。
・ガトランのミサイル艦隊に突破されるバーガー戦闘団。
・大帝の頬に手を寄せる透子。着ているのはヤマトの艦内服。しかも白。
 完結編か復活編のオマージュ?
 彼女も突入部隊に加わっていたのだね。道案内役かな?
・玉座の間(?)の古代。そして応戦するヤマト。
・何事かを叫ぶ古代、歯を食いしばる大帝。
・デスラーと対峙しているのは最初は古代かと思ったけど
 よく見たらキーマンぽい。
・爆風に吹き飛ばされるコスモタイガーII、爆風を背に受けるヤマト。
・涙を流す山本、被弾したツヴァルケ(キーマン機)に載った機動甲冑。
・銃を構える古代。そして大帝のアップ。
・都市帝国の攻撃に ”串刺し” になるヤマト
・古代の前に飛び出す雪、そして被弾する。
 バイザー部分は砕けてるが出血はしていない模様。
・黒いカラクルム級の後ろから現れるのはヤマト。
 ガトランティスが仲間割れしたのか?
 もしかして11番惑星で鹵獲したものが使われてたりして?
・瞑目する透子。
・第一艦橋で向き合う古代と雪。他のクルーはもう退艦しているのか?
 そして前方に見えているのは謎の天体。
・親衛隊カラーの戦闘空母の上にはコアシップが。これはデスラー艦隊。
・帰還したデスラーか。迎える側にはバーガー、ハイニ、フラーケン、
 そして後ろの列にはヤーブが!
 バーガーは、第六章の台詞からガミラスの現政権とは
 距離を置いているのが分かりましたが、デスラー派だったのですね。
 デスラーは腹を打たれた割には元気そうです。
 第六章での負傷はそんなに重くなかったのか、
 それともガミラスの医療技術が凄いのか(笑)。
・振り返り、驚く(?)大帝。
・ヤマトに向かうイーターI。応戦するヤマト。
・剣を振るう大帝。
・コスモゼロ、コスモタイガーI&II(ついでに機動甲冑)の揃い踏み。
 コスモゼロには古代が乗ってるのかな。
・血相変えた佐渡を羽交い締めにする平田。
 おお、平田くんは久しぶりの出演かな。
・月面を削るビーム。超巨大戦艦からのもの?
 サナトリウムの吹き飛ばされるが、無人のよう。
 真琴と翼くんは地球に避難済みだよねぇ・・・
・口元から血を流すミル。どんなシチュエーションなんでしょう。
・地球(?)をバックに主砲を撃つ「銀河」。そして東堂艦長。
 武器が使用できるようになったのですかね?
・ニードルに串刺しにされる機動甲冑。斉藤機か。
 弁慶の立ち往生になってしまうのか?
・ニードルスレイブがニードルにやられてます。同士討ち?
 ガトランティス内で反乱でも起こるのでしょうか。
・コスモタイガーⅡが3機、そして「銀河」。
 このフネ、けっこう出番があるのかも知れませんね。
・「土方前艦長の命令を決行する!」の古代。
・都市帝国から脱出(?)するヤマト
・涙を流す透子。
・加藤が乗るブラックバードが向かう先はイーターI(?)。
 何とか生き残って欲しいんだが、見通しは暗そうな雰囲気。
・おそらくトランジット波動砲で吹き飛ばされる惑星群。
 そして都市帝国も何らかのダメージを受けてるのだろう。
・土方「未来を・・・掴め!」
・伸ばされる手は雪と古代か。
・斉藤「俺たちのために!」キーマン「未来を掴め!」
 この二人はお亡くなりになってしまいそうですね・・・
・テレサ、そして沖田のレリーフ。
 この二人も古代に語りかけてくるのでしょうね・・・
・古代、そして崩壊(?)する都市帝国
・艦長席で見つめ合う古代と雪。
 少なくとも、この時点で雪は生存しているのですね・・・
 そして記憶も戻っている模様。
・波動エンジンを点火するヤマト、
 ノズルの付け根からもエネルギーが漏れてるみたいで
 かなりの損傷を受けた状態なのでしょう。
 ヤマトが向かう先に待っているのは、何か・・・
・そしてタイトルクレジット。


前回の予告編もそうでしたが、
「さらば」を連想させるシーンが多数使われているようです。

まあ、時系列も入れ替わってるだろうし、
旧作のラストをそのままトレースすることはないのでしょうが
なんとも思わせぶりで、私のような人間には
至って精神衛生上よろしくないPVになってます(笑)。

不穏さ120%ですが、まあここに至っては、
どんなラストが待っていようが見届ける覚悟ですので、
しっかり映画館へ行こうと思っています。

PVのラストでも紹介されてますが
第七章のBDのジャケットとスリーブが公開されてます。

ジャケットはテレサと古代&雪。こちらも「さらば」を思わせる。

スリーブはちょいと意表を突いてて
たぶん時間断層内で修理を受けているヤマト。
これ、最終決戦後のシーンだとしたら、とりあえず
ヤマトは沈まずに地球へ帰ってくることになるのですが・・・さてね。

絵コンテ集の表紙は何とウエディングドレス姿の雪。
彼女の手を握ってるのは当然、古代でしょうなあ。
こんなシーンが拝めるといいのですがね・・・

そして最終話のタイトルは「地球よ、ヤマトは・・・」

TVシリーズ第一作の最終話のタイトルは
「地球よ、ヤマトは帰ってきた!」
だったんだけどね・・・はたして今回はどんな文言が入るんでしょう。


公開初日の3月1日(金)は仕事が入っていて行けません。
まあこれはけっこう前から分かっていたこと。
1日の夜も難しいかな。

ということで2日(土)に行こうと思ってたんだけど
なんとこの日の午前から昼くらいかけて用事が入ってしまった。
けっこう遠出することになって・・・orz

行くとしたら2日の夜か、あるいは3日の日曜になってしまうかも。
まあ映画館は逃げませんから、焦らずに(笑)。


第七章の最速上映会が18日に行われるとのことなので、
その日から情報統制に入ろうかなと思ってます。

とりあえずヤマト系の情報はシャットアウトして
公開までの2週間を過ごすつもりです。

読書録の記事のupは続けますので、よろしくお願いします。

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貴族探偵 [読書・ミステリ]

貴族探偵 (集英社文庫)

貴族探偵 (集英社文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: 文庫
評価:★★★

殺人事件の現場に突如現れ、警察上層部に影響力を行使して
捜査へ強引に介入、そして解決してしまう「貴族探偵」。
貴族だけあって、推理するのは執事やメイドなど使用人の方々(笑)。
本人はお茶を飲んだり、関係者の女性を口説いたり(おいおい)。
という、およそ人を食った設定の連作ミステリ。


「ウィーンの森の物語」
人里離れた山荘で、戸倉計器の社長・戸倉成一が死体で発見される。
睡眠薬を服用し、手首を切った状態で。
自殺かと思われたが、現場を密室状態にしようとして
失敗したと思われる痕跡が発見されたことから他殺と断定される。
さらに、犯行があった夜に現場を立ち去った
社長秘書・旗手(はたて)真佐子が自宅で撲殺されていたことも判明。
今どき糸を使った密室なんて・・・なあんて思ってたら
これがけっこう重要だったねぇ。
いつもながら犯人指摘の推理は鮮やか。
もっとも推理したのは執事の山本さんでしたが(笑)。

「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
郊外の廃倉庫から見つかった死体は
頭部と両腕が切断され、持ち去られていた。
やがて身元は専業主婦の宇和島逸子(いつこ)と判明するが、
彼女は複数の人間に対して恐喝をしていたことも明らかに。
今回、推理を疲労するのはメイドの田中さん。
分かってみれば、遺体切断の理由は前例がけっこうあるのだけど、
それを悟らせないのは流石。

「こうもり」
北陸の老舗旅館に、大学の卒業旅行に訪れた紀子と絵美。
そこで二人は人気作家の大杉道雄たち一行と知り合う。
しかしその2日後、祭りの最中に大杉の義妹・佐和子が殺される。
今回も推理を疲労するのはメイドの田中さん。
犯人が弄したトリックはいささか古色蒼然としてるが
真のサプライズは真相が明かされた後にやってくる。

「加速度円舞曲」
山道を車で走行中だった日岡美咲は、突然の落石で立ち往生してしまう。
たまたまそこを通りかかった貴族探偵とともに
落ちてきた石があった場所にいくと、
そこにはミステリ作家・厄神春征(やくじん・はるまさ)の別荘が。
そして別荘の書斎には、厄神の撲殺死体が・・・
今回、運転手の佐藤が解き明かす真相は、
完璧を求めすぎた故に自ら墓穴を掘ってしまった犯人の姿。
いくらミステリの犯人だといったって、ここまではしないとも思うが
それを言ってはいけないのでしょうねぇ(笑)。

「春の声」
旧伯爵家で資産家の桜川鷹亮(たかすけ)は、
孫娘・弥生の結婚相手を選ぶため、3人の若者を呼び寄せる。
いずれもそこそこ有名な会社の御曹司だったが、
その3人が一夜のうちに死体に変わってしまう。
たまたま桜川邸に滞在していた貴族探偵が乗り出すが・・・
今回は、執事の山本さん、メイドの田中さん、運転手の佐藤さんの
3人がそろい踏みで推理を披露する。
しかし、もう一枚裏がありそう・・・というところで幕。


貴族探偵自身はまったく推理に加わらないけど、
考えてみれば、"名探偵"を3人も使用人として雇っている時点で
スゴい人なのかも知れない。

続巻「貴族探偵対女探偵」も文庫化されていて手元にある。
これも近々読む予定。

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ロボット・イン・ザ・ガーデン [読書・SF]

ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)

ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)

  • 作者: デボラ インストール
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/06/07
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

物語は近未来のイギリスから始まる。
AIが発達して、アンドロイドやロボットが
家庭や職場で普通に見られるようになった時代。

主人公のベンは亡くなった両親から相続した家と財産で
だらだらと暮らしていた。
獣医になるために入った大学も休学してしまい、
半ば引き籠もり状態のニートみたいな34歳。

ちょっと前まではこんなぐうたらではなく、ちゃんと結婚もしてる。
妻のエイミーは法廷弁護士としてバリバリ働いており、
当然ながらベンの現状には不満たらたらである。

そんなある日、ベンは庭先に迷いこんだ一体のロボットを発見する。
いかにもあり合わせの部品を集めて作ったような粗末な外見で
今にも壊れそうである(表紙のイラストにあるとおり)。
自らを「タング」と名乗るが、どこから来たのかは答えない。

タングに対して興味を覚えた(親近感を憶えた?のかも知れない)
ベンは ”彼” の世話にかかり切りになってしまい、
エイミーはとうとう愛想を尽かして家を出て行ってしまう。

 ちなみに、タングには自分が ”男の子” だという認識があるようだ。

タングの胴体の中には、謎のシリンダーに入った謎の液体があって、
量が少しずつ減っているようだ。
タングは、液体がなくなってしまったら止まってしまうと言う。
(そもそも動力源が何かも分からないんだけど)

タングの胴体に貼ってある金属板に書かれていた文字を手がかりに、
ベンはタングの製作者を探す旅に出るが、
それはアメリカ合衆国を横断し、そして日本へ、さらには
南太平洋の島国へと、地球を半周するような大がかりなものだった・・・


タング自身は2~3歳児レベルの知能をもつが
まさに子どものように様々なものに触れてどんどん学習していき、
ついでにいろんな騒ぎを巻き起こしていく(笑)。

一方、ベンのほうは今まで漫然と過ごしてきた日常が一変し、
何から何まで自分でやらなくてはならなくなる。
飛行機やレンタカーなどの交通手段から宿の手配、
そしてあちこち訪ね廻ってタングの製作者を探さなければならない。
さらに、タングの引き起こした騒ぎの後始末まで・・・
タングと共にてんてこ舞いな旅を続けるベンの姿が延々と綴られていく。

読み始めてすぐに予想がつくけれど、これは、
タングとの間の ”疑似親子関係” を通じたベンの ”父親修行” の物語だ。

ベンは現在の境遇に安住している自分が、
そもそもまともではないとの自覚は持っていたが
そこから一歩踏み出せないでいた。自分に自信が無かったからだ。
だからエイミーが子どもをほしがっても、決断できないでいた。
(これも彼女との仲が破綻した一因)

しかし、タングと共に旅を続けるうちに、
タングの保護者としての自覚と行動を身につけて、
ベンはだんだんと ”父親” らしく振る舞えるようになっていく。

 子どもを持った人なら分かると思うが「子育ては自分育て」。
 はじめから立派な親はいない。
 子どもを育てながら、自分も親になっていくものだ。

後半に入ると、タングの ”生みの親” との対面や、
エイミーとの関係修復という懸案への対処を迫られる。
成長したベンの決断と行動が読みどころだろう。


作中には、ロボットを人間の欲望の道具として扱う
エピソードもあるけれど、総体的にSF的雰囲気は薄いかな。
アシモフのロボットものみたいな作品を期待するとあてが外れるが
”親子” の情愛物語としてみれば、ベタな展開だけど手堅く読ませる。

 ハリウッドあたりが映画化してもおかしくない作品だと思う。
 いいファミリー映画になるんじゃないかな。

そして、いつの間にか本書には続編が出てた。
タイトルは「ロボット・イン・ザ・ハウス」。

実は今、読んでる最中なのでそのうち記事をupする予定。

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ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 [読書・ミステリ]

ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

ペンギンを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

警視庁総務部総務課動植物管理係。
要するに犯行現場に残された動植物の世話をする係なのだが
そこに所属する薄圭子巡査は、獣医学部を首席で卒業、
生物分野については博識を誇る逸材だが、常識にはいささか欠ける。
そんな彼女が、元捜査一課の須藤警部補と組んで
動物がらみの事件に挑む、〈警視庁いきもの係シリーズ〉第3弾。


「ペンギンを愛した容疑者」
食品グループ会長・藤原慶二郎が殺される。
彼が飼育していたペンギン部屋の中に設えられた池に浮かんでいたのだ。
死因は殴打された後の溺死と思われた。
容疑者は妻の亜紀子、秘書の久慈達夫、亜紀子の兄の青木益男。
この中でも、ペンギン愛にあふれた久慈くんがいいキャラしてる。
中盤で、同じ作者の『問題物件』シリーズのヒロイン・若宮恵美子さんが
ゲスト出演してるのだが、単なるファンサービスではなくて
彼女によって犯行動機が明らかになるのでかなり重要な枠回り。

「ヤギを愛した容疑者」
小学校の教頭・三好が殺され、容疑は
現場に倒れていた男・津浜にかかるが、彼は意識不明の状態にあった。
三好は赴任してから、それまで行われていた
児童とヤギの触れあい教育の中止を決定し、
ヤギの飼い主である津浜と軋轢を生じていた。
タイトル通り、津浜がヤギ好きだったことがきっかけで
事件の様相が大転回、意外な動機と意外な真犯人に至る流れは鮮やか。

「サルを愛した容疑者」
圭子の知人・五反田徹也が逮捕される。彼が暮らすマンションで、
恋人の車島名子(くるましま・めいこ)の死体が発見されたのだ。
現場を訪れた薄と須藤は、飼われているリスザルを発見する。
名子の死はサルによる事故死の可能性も疑われた。
そのマンションは、心臓病の治療のためアメリカに滞在中の
哲也の叔父・五反田成昭のもので、彼の飼っているリスザルの
世話をする条件で徹也は住まわせてもらっていたのだ。
圭子の推理でリスザルの容疑は晴れるが
(さすがに「猿が殺しました」なんてねえ。180年前ならともかく)
一方、圭子に南極での温暖化調査チームへの参加オファーが
来ていることを知り、心穏やかでない須藤。
いつのまにか圭子とのチームに生きがいを見いだしていたようで。

「最も賢い鳥」
マンションの一室で住人・梶田が撲殺死体で発見される。
現場に向かった圭子と須藤は、一羽のヨウムを発見する。
ちなみにヨウムとはインコの仲間で
”最も賢い鳥” と言われ、4歳児ほどの知能があるという。
もちろん、人間の言葉を覚えて話すこともできる。
ヨウムの元の持ち主・伊勢が容疑者として浮上するが
圭子の推理から真犯人が別にいることが判明する。
ラストシーンにちょっとじんわり。いやあ、この鳥は千両役者だ。
どんな名優も「子どもと動物には勝てない」っていうが、本当だね。

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化学探偵Mr.キュリー5 [読書・ミステリ]

化学探偵Mr.キュリー5 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー5 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/12/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★

人呼んで ”Mr.キュリー” こと
四宮大学理学部化学科准教授・沖野春彦と、
大学総務部で働く採用2年目の職員・七瀬舞衣。
このコンビが大学の内外で起こる事件を解決していくシリーズ第5弾。

「第一話 化学探偵と無上の甘味」
〈四宮サイエンスサークル(SSC)〉と〈四宮科学愛好会(四科)〉。
部員減少に悩む二つのサークルは合併することにしたが
どちらが存続団体となるかで揉めていた。
そこで、”科学で勝負” することになった。
それぞれのサークルが人工甘味料を合成する。
より甘みの強い化合物を創り出した方が勝ち、というわけだ。
しかし、理学部の初島准教授が〈SSC〉に肩入れをしているという。
そこで、〈四科〉は沖野に助力を乞うのだが・・・
ラストで勝負を決する物質だけど、これ25年くらい前に
職場の同僚から教えてもらったことのあるヤツだった。
その気になれば誰でも入手できるんだよ、これ。

「第二話 化学探偵と痩躯の代償」
ある日、買い物に出た舞衣は高校時代の同級生・朝香(あさか)に出会う。
学生時代にかなり太っていたのが嘘のように痩せていて驚く舞衣。
今は不動産の事務員をしていて、四宮大学の院生とつきあっているという。
しかし、時折見せる不安そうな表情を見て心配になった舞衣は、
朝香の恋人の院生・山中に会うのだが・・・
ラストで明らかになる朝香のダイエット法はちょっと意外だが、
(最近、TVCMで流れてるアレだね)
どんなことでも度を超せば害になるのは一緒だなあ。
そして、舞衣は高校時代もいい娘だったんだねえ・・・

「第三話 化学探偵と襲い来る者」
教育学部の学生・隅田梨奈が大学からの帰路に
仮面を着けた謎の男に襲われ、ネックレスを奪われるという事件が起こる。
これ以前にも同様の事件が2件起こっており、
総務部が学生たちに注意を呼びかけていたさなかのことだった。
舞衣は、情報を集めるために
里奈の恋人で法学部4年の佐野に会いに行くが・・・
作品内で、大学内の鉄製の手すりに
放射性物質が微量に含まれていたというエピソードが披露されるのだが、
それに対して沖野が「たまにあるんだ、こういう事故は」
なんて言ったので目が点になってしまった。
おいおいおい、いくら人体に影響がないレベルだったからって、
ほんとに「たまにある」ことなのかね?
それってたいへんなことじゃないのかい?

「第四話 化学探偵と未来への対話」
高校生の由良斗真(ゆら・とうま)は、
登校拒否して引き籠もり生活をしている。
心配した母親が相談したのが舞衣の叔母夫婦だったことから、
舞衣もこの件に引っ張り込まれてしまう。
とは言っても、彼女なりにいろいろ画策しても
なかなか効果は無く、結局のところ沖野が出てくるのだが・・・
後半で、道を見失った高校生と沖野の対話が始まる。
その過程で、沖野が有機化学の道へ進んだきっかけも明かされる。
何が原因で、人が外界に対して
心を閉ざすようになるのかは想像するしかない。
たぶん人それぞれにいろんな悩みがあるんだろうなあとは思う。
最近は、引き籠もりの人も高齢化しているなんて話も聞く。
うーん、どうなってしまうのでしょうかね、これからの世の中は。
この短編の中で、斗真くんは一歩踏み出すきっかけを掴むことができるが
現実はそうそう簡単なものではないだろうし。

「第五話 化学探偵と冷暗の密室」
大学内の節電対策のため、設備の点検を命じられた舞衣。
理学部の冷蔵室がかなり電力消費をしているとのことで、
沖野と共に中に入った舞衣だったが、
出入り口のドアが老朽化していて壊れてしまい、
中から開けることができなくなってしまう。
閉じ込められてしまった二人はなんとか脱出しようと策を巡らすが
ことごとくうまくいかない。
その間にも冷気で体温を奪われ、凍死の危機が。
さらに舞衣を、ある ”生理現象” が襲う。
まさに ”乙女のピンチ”(死語かな笑)だ・・・
いわゆる ”吊り橋効果” なエピソードなので、
二人の仲が一歩進んだようにも思われる。
お互いに好意を抱いているのを改めて自覚したようだし。
さて、次巻以降の展開はどうなるのでしょうかね?

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Acrobatic 物語の曲芸師たち ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]

Acrobatic 物語の曲芸師たち ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Acrobatic 物語の曲芸師たち ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/10/16
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

『ベストミステリー2015』を二分冊したうちのひとつ。
以前記事に書いた「Propose 告白は突然に」と対になる本である。


「座敷童(ざしきわらし)と兎と亀と」加納朋子
40代の主婦・兎野のもとに、近所の老人・亀井が相談に訪れる。
彼は先日、妻を亡くして一人暮らしをしていたのだが、
最近、家の中に座敷童が現れるようになったという。しかし、
亀井宅を訪れた兎野が見たのは、3歳ほどの生身の少女だった・・・
なぜ少女の姿が亀井に見えなかったのかが、合理的に説明されるのが流石。
明るくほのぼのとした結末は、こちらも心が温かくなる。

「死は朝、羽ばたく」下村敦史
札幌刑務所の門を出てきた主人公・奥村。
彼の前に現れた3人組の少年は、奥村の行く先々で
「こいつは前科者だ」と言い立てて、執拗な嫌がらせを繰り返す。
彼らは出所者を狙って恐喝をする常習犯だったのだ。
何をされても、全く彼らを相手にしない奥村だったが・・・
ミステリ的には、あっと驚く切り返しが待っているのだが、
物語的にはさらにもうひとひねり。これは達者だなあ。

「不可触」両角長彦
ギャンブラー・半崎を主人公にしたシリーズの一編とのこと。
勝負カンの衰えを自覚した半崎は引退を考えるが
かつての友人・中沢からの手紙が届く。
中沢が勤務していた会社の社長が、謎の少年に入れ込んでいた。
少年は闇賭博のロシアン・ルーレットで無敗を誇り、
中沢もまた少年と勝負し、敗北を喫していたのだ。
ちなみにロシアン・ルーレットとは、拳銃に1発だけ弾を込め、
こめかみに向けて引き金を引く。これを1対1で交互に繰り返すこと。
半崎は中沢のために、少年に対して引退前の最後の大一番として
ロシアン・ルーレットの勝負を挑むが・・・
うーん、私はこの手の話は苦手だなあ。

「ゆるキャラはなぜ殺される」東川篤哉
烏賊川(いかがわ)市最大のイベント、『烏賊川市民フェスティバル』。
そこで行われた「ゆるキャラコンテスト」に参加する
<ハリセンボンのハリー君>(の、中の人)が殺される。
容疑者は、他のゆるキャラたち、<巨大烏賊の剣崎マイカ>、
<川魚のヤマメちゃん>、<緑亀の亀吉>、<毛蟹のケガニン>、
<巨大鷲のワシオさん>に絞られる(おいおい)。
安定のユーモア・ミステリ。私立探偵の鵜飼はほとんど観客で、
実質的な探偵役のマイカ嬢の引き立て役。
ラストシーンは「カリオストロの城」の峰不二子ですかね。

「ゴブリンシャークの目」若竹七海
多くの不動産を有する資産家・箕作(みつくり)家の
当主にして生き残りのハツエは齢八十を超えているが
自らの足で歩き回り、店子から家賃を徴収して回っている。
そのハツエがひったくりに襲われ、
所轄署の刑事、田中と砂井が捜査にあたる。
ハツエの証言で、犯人は店子の一人である長沼史郎と判明するが、
お互いが申告した盗難額には50万円以上もずれがあった・・・
これも結末で意外な ”反転技” が冴える。

「カレーの女神様」葉真中顕
大学生の淳平はたまたま開店初日のカレーショップへ入った。
若くて美人の店主の作るカレーを食べた淳平は驚く。
彼が3際のとき、母が作ってくれた ”特製カレー” の味と
そっくりだったのだ。その母は、特製カレーを作った直後に、
淳平を捨てて失踪してしまっていたが・・・
成長して、自らカレーを作る身になっても、
淳平にはどうしても ”母の味” は再現できないでいた。
淳平に問われ、店主が語った、”味の秘密” とは・・・
序盤から中盤は、ほんわか日常の謎系の ”いい話” に思えるのだが
後半に入り、あれよあれよという間に
物語は予想の斜め上を通り越してはるか彼方へ飛んでいく。
導入部とオチの落差という意味では、ピカイチじゃないかな。

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モモンガの件はおまかせを [読書・ミステリ]

モモンガの件はおまかせを (文春文庫)

モモンガの件はおまかせを (文春文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★

楓ヶ丘動物園の飼育員たちが、
さまざまな動物がらみの事件に遭遇するシリーズ、第4弾。


「第一話 いつもと違うお散歩コース」
主人公の桃本(桃さん)と同僚の服部くんは、
仲間内で開くバーベキューの買い出しに出かけるが
帰り道で迷ってしまう。
柴犬を連れた男性に道を尋ねるが何やら対応が不審だ。
その後、合流した獣医の鴇先生は、
その男が ”犯罪” に関わっているのでは、と推測する・・・

「第二話 密室のニャー」
中学生の長谷井翼が、桃さんに相談を持ち込んできた。
翼の友人・今成の飼っているネコが何者かに連れ去られたのだという。
二ヶ月前に河川敷で拾ってきたスコティッシュフォールドである。
しかし、今成の家は完全に施錠された密室状態だった。
犯人はどうやって、そしてなぜネコを連れ去ったのか。

「第三話 証人ただいま滑空中」
同僚たちと一緒に道を歩いていた桃さんの顔面に、
いきなりフクロモモンガが飛びかかってきた。
道に面したアパートから出てきたと推測した一行は、
窓の開いていた部屋に踏み込むが、そこにあったのは男の死体。
死後二ヶ月ほどと見られ、一部がミイラ化していた・・・
本書の中ではいちばんミステリらしい話。

「第四話 愛玩怪物」
鴇先生は実家からの要請で、郊外の山中に出没する
”怪物” の捜索をしているという。
桃さんは彼女とともに現場となった山中へ向かうが、
”怪物” の体長は1m以上、体重は50kgを超えているとの情報が。
しかも、1mを超える中型犬を襲い、連れ去ってしまったらしい。
”怪物” の恐るべき正体に気づいた鴇先生は、
七森さん、服部くんを援軍に呼んで大捕物が始まるが、
騒ぎの裏には、さらなる意外な事態が待っていた。


基本的には動物がらみのユーモア・ミステリで、
毎回テーマになる動物の生態や、人間との関わりが事件解決の鍵となる。

今回、特に「第二話」と「第四話」では、事件の裏に介在する
悪質なペット業者の存在によって、かなり ”重い” 展開を見せる。

私自身は、子どもの頃に猫を飼っていたことはあるものの
現在はペットを飼ってはいない。
それは「手間がかかる」という以前に
”命” を預かる覚悟が持てないことが理由である。
まあ、我が家の生活スタイルからして
恒常的に世話をできる人がいない、というのも大きいが。

それに、やっぱり死に別れるのは辛いよねぇ・・・

本書を読んでいると、「ペットを飼いたい」という気持ちにつけ込だり
効率重視で劣悪な飼育環境を放置していたりする
悪質業者の存在に気づかされる。

 欧米では、ペットは保護されている施設から引き取ってくるもので
 ショップで購入するものではない、という意識が普通なのだという。

業者が悪いとは言わないが、数が増えれば
末端の質は落ちていくものなのだろう。
そして何より、身勝手な飼い主によるトラブルというのも
後を絶たないことも。

ペットを飼うということは、
かなりの覚悟を持って臨なまければいけない行為なのだろう。

やっぱり私にはペットは飼えないなあ・・・と思った次第(笑)。

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