だいじな本のみつけ方 [読書・その他]
読書好きな中学2年生・中井野々香(ののか)を主人公とした
中編2作を収める。
中編2作を収める。
横道にそれるが、最近「ジュブナイル」って言葉を
聞かないなあって思ってちょっとネットを漁ってみたら、
いまは「ヤングアダルト」と言うそうな。
うーん、あんまりピンとこないなあ。なにせ古~い人間ですから(笑)。
聞かないなあって思ってちょっとネットを漁ってみたら、
いまは「ヤングアダルト」と言うそうな。
うーん、あんまりピンとこないなあ。なにせ古~い人間ですから(笑)。
閑話休題。
「だいじな本のみつけ方」
ある日の放課後、校舎内を歩いていた野々香は
手洗い場の角に放置されている一冊の本を発見する。
何気なく手にした野々香は驚く。
それは彼女の好きな人気作家・新木真琴の新刊だった。
手洗い場の角に放置されている一冊の本を発見する。
何気なく手にした野々香は驚く。
それは彼女の好きな人気作家・新木真琴の新刊だった。
本を元の場所に戻した野々香は、自分もその本を手に入れるべく
商店街にある「ゆめみ書店」に向かうが、なぜか店頭で見つからない。
店員の青山さんによると、発売はもう少し先のはずだという。
では、あの本はいったいどうしてあそこに存在していたのか?
商店街にある「ゆめみ書店」に向かうが、なぜか店頭で見つからない。
店員の青山さんによると、発売はもう少し先のはずだという。
では、あの本はいったいどうしてあそこに存在していたのか?
野々香は、喧嘩仲間の男子・高峯秀臣(たかみね・ひでおみ)と共に
あの本の持ち主を探し始めるが・・・
あの本の持ち主を探し始めるが・・・
文庫で110ページほどの作品で、
この謎は30ページ過ぎあたりで解けるのだけど
これは、読書好きな人なら見当がつくんじゃないかな。
この謎は30ページ過ぎあたりで解けるのだけど
これは、読書好きな人なら見当がつくんじゃないかな。
「だいじな未来のみつけ方」
書店員の青山さんを通じて、野々香と秀臣に相談が持ち込まれる。
「本」をテーマにした小中学校の交流イベントの企画・立案だ。
小学校の校長先生とも話し合い、
その内容の候補の一つとして「読み聞かせ」が挙がった。
「本」をテーマにした小中学校の交流イベントの企画・立案だ。
小学校の校長先生とも話し合い、
その内容の候補の一つとして「読み聞かせ」が挙がった。
野々香は思い出す。
かつて公民館で読み聞かせをしていた "達人" で、
ビトさんなる人がいたことを。
かつて公民館で読み聞かせをしていた "達人" で、
ビトさんなる人がいたことを。
さっそく野々香たちは公民館を訪ねるが、
ビト(尾藤)さんは数年前、ある "失敗" を起こして、
それ以来、読み聞かせはしていないのだという・・・
ビト(尾藤)さんは数年前、ある "失敗" を起こして、
それ以来、読み聞かせはしていないのだという・・・
「だいじな本-」では、謎の新刊書の持ち主を捜したり、
「だいじな未来-」では、尾藤さんと関わった女の子を捜したりと
物語の糸口はどちらも "人捜し"。
流石にミステリ作家だけあって、この部分は面白く読ませる。
「だいじな未来-」では、尾藤さんと関わった女の子を捜したりと
物語の糸口はどちらも "人捜し"。
流石にミステリ作家だけあって、この部分は面白く読ませる。
本好きな中学生が、親友悪友と共に、
大人も巻き込んで「本」のために奔走する。
とても微笑ましいのだけど、ここまで積極的に
本に関わろうとする中学生なんて
実際はなかなかいないだろうなあとも思う。
大人も巻き込んで「本」のために奔走する。
とても微笑ましいのだけど、ここまで積極的に
本に関わろうとする中学生なんて
実際はなかなかいないだろうなあとも思う。
ただでさえ活字離れが叫ばれてるけど、
小中学生の頃に読書の習慣がつかないと
なかなか本を読もうとは思わなくなるんじゃないかなあ。
小中学生の頃に読書の習慣がつかないと
なかなか本を読もうとは思わなくなるんじゃないかなあ。
本書の対象はおそらく小中学生なのだろうけど
大人が読むと、また違う感慨を抱くだろう。
大人が読むと、また違う感慨を抱くだろう。
私の場合は、かつて読書好きな中学生だった自分を思い出してしまう。
野々香や秀臣みたいな行動的な子どもではなかったけれど、
家から徒歩で3~4分のところにあった書店には通い詰めてたなあ。
あの頃、小遣いのほとんどは本代に消えていた。
家から徒歩で3~4分のところにあった書店には通い詰めてたなあ。
あの頃、小遣いのほとんどは本代に消えていた。
あるときレジで店員さんから「あなたは本が好きなのねえ~」
って言われて、猛烈に恥ずかしかったこととか。
って言われて、猛烈に恥ずかしかったこととか。
背伸びをして創元推理文庫の海外ミステリを買ったけど、
訳文が難しくてさっぱり分からなかったこととか(笑)。
訳文が難しくてさっぱり分からなかったこととか(笑)。
出版社もあの手この手で本を売る工夫をしてるんだろうが
それとは別に、本好きな子どもを増やす方策も考えていかないと。
「読書の楽しみ」なんて言葉が
”死語” になってしまうような未来は見たくないよねぇ・・・
”死語” になってしまうような未来は見たくないよねぇ・・・