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輪廻の蛇 [読書・SF]

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ロバート・A. ハインライン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/01/23
  • メディア: 新書
評価:★★☆

アメリカSFの巨匠・ハインラインの短編集。
バラエティに富んだ6編が収録されている。

「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業」
文庫で430ページほどの本書のなかで、240ページあまりと
厚さのおよそ6割を占める中編、というか短めの長編。
ジョナサン・ホーグには、なぜか昼間の記憶が無い。
家を出た後、何処に行って何をしているのか。
どんな職業に就いているかすら憶えていないのだ。
テディとシンシアは夫婦で私立探偵をしている。
ジョナサンは彼らに、昼間の自分を尾行してほしいと依頼する。
テディは朝に家を出たジョナサンの後をついていき、
あるビルの13階にある一室に姿を消すのを確認するが、
シンシアと共に確認に戻ったとき、そのビルから13階が消失していた。
(12階の上が14階だったということ。欧米ではよくあるらしい。)
消えた13階はどこへ行ったのか? 何が起こっているのか?
何者かが暗躍しているのか?
結局、そこがよく分からないままストーリーは進行する。
怪しげな男たちが現れて何やら画策しているのだが
宇宙人なのか異次元人なのか政府の秘密実験なのか・・・
ラスト近く、謎解きめいた説明はあるのだけど、
その説明自体がよく分からない(おいおい)し、結末もスッキリしない。
ホントにハインラインが書いたの?って疑ってしまう。

「象を売る男」
ジョンとマーサの夫婦はいつも一緒に何処の旅行にも出かけた。
しかし子をなさないまま、マーサが亡くなる。
老いたジョンは一人で旅を続け、
ある日バスで祭りの会場へ向かうのだがが・・・
臨死体験みたいなエピソードなんだけど、
ジョンはこちら側に帰ってきたのかなぁ。

「輪廻の蛇」
表題作。始めて読んだのは大学生の頃だったかなあ。
一読してぶっ飛んだくらいスゴいアイデア。
酒場を訪れた一人の青年が、自分の身の上を語る話なんだが、
これ、タイムパラドックスの極致じゃなかろうか。
何せ○○と△△が□□□して××になっちゃうんだから・・・
(これじゃ何のことか分からんね。でも書けないんだよなあ)
この本を買ったのも、これを読みたかったからといって過言ではない。
再読してみて、細かいところは忘れてたけど
メインとなるアイデアはきっちり憶えてたよ。

「かれら」
”かれ” は病院に収容されている。なかば監禁されるように。
”かれ”は主張する。これは陰謀だと。
周囲の人間すべてがグルでかれをだましていると。
いや、この社会そのものが陰謀のための装置なのだと・・・
日本のSFでもよくあったパターンかも知れないが
当然ながらこちらの方が早出しなんだろうなあ。

「わが美しき町」
新聞記者ピーター・パーキンズが市政の腐敗を告発するため、
手を組んだ相手は ”生きているつむじ風”・キトンだった。
ディズニーあたりが映画化しそうなファンタジー。

「歪んだ家」
公認建築士ティールが建てたのは、立方体の展開図を3D化したみたいな家。
つまり立方体を縦に4個つなげて4階建てにし、
2階部分の4面にそれぞれ立方体を4つくっつけた構造。
しかし完成そうそうに地震が起こったため、
現地へ家の様子を確認しに行ったティールたちが見たのは
立方体1個だけの家。しかしその内部には、
残り7個分の空間が折りたたまれて入っていたのだ・・・
読むまで分からなかったが、これも昔読んだ話だった。
日本の作家さんの書いたものだと思ってたら海外産だったんだね。
本書の中では「輪廻-」と並んで、SFらしい話。


ハインラインは海外SFの大御所で、
『夏への扉』とか『宇宙の戦士』とか
名作・話題作に事欠かない人なんだけど、こんな話も書いてたんだねえ。
作家としての幅は感じさせるけど、作品的にいいかどうかはまた別。

やっぱり本書の中では『輪廻の蛇』がピカイチだと思う。

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蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 [読書・ミステリ]


蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

主人公となる薄圭子巡査は、獣医学部を首席で卒業し、
獣医師免許を持ち,動物園での勤務経験もあり、
生物学の知識も豊富。あちこちの大学はもちろん
南極越冬隊にまで勧誘されるという逸材ながら、
なぜか警視庁総務部総務課に新設された動植物管理係で働いている。

相棒の須藤友三警部補は、かつて捜査中に重傷を負い、
長期の入院を余儀なくされた。
退院後、リハビリを兼ねて総務部に籍を置くことになり、
動物がらみの事件では薄とコンビを組んで捜査に当たってきた。
<警視庁いきもの係>シリーズの第2作にして初の長編である。


新興宗教「ぎやまんの鐘」は宗教を隠れ蓑に、詐欺行為を行ってきた。
警視庁は、教団を監視していた鬼頭管理官の指揮の下、
3年前に幹部5人の逮捕に成功して東京本部を壊滅させたが、
教団はいまだ地方で勢力を保っている。

そんなとき、スズメバチが人を襲うという事件が
東京近郊で続けざまに起こる。
田舎の乗り合いバスの中で、ローカル線の電車の中で、
散策している山中で、高速道路を走行中の車内で・・・

捜査一課の石松警部補から持ち込まれた蜂の騒ぎを調べ始めた薄と須藤。
二人によって、一連の騒ぎは蜂を凶器とした
人為的な殺人であることが明らかになってくる。

騒ぎを起こした張本人の "真の目的" は何か。
事件を追う二人だったが、犯人の仕掛けた罠にはまり
絶体絶命の危機に陥る・・・


犯人当てというより、犯人が蜂を使った事件を起こした目的を追う
”ホワイダニット” ものといえる。
最初のうちは単なる愉快犯かとも思わせるが、
実は意外なほど計算された事件だったりする。

例によって、ものの見方と価値観が完璧に食い違っている
薄と須藤のかみ合わない会話が笑える。
スズメバチに恐怖が全編に横溢している作品なんだけど
この二人の醸し出すユーモアが全体を包んでいていい案配である。

「ぎやまんの鐘」なんてネーミングセンスも素晴らしいが、
ネタとして分かるヒトは少ないと思うぞ(笑)。

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Propose 告白は突然に ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]


Propose 告白は突然に ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Propose 告白は突然に ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/05/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★

日本推理作家協会が選定した2015年のベストミステリーを収めた
『推理小説年鑑 2015年度版』を
二分冊として文庫化したもののうちの一冊。


「許されようとは思いません」芦沢央
諒一と水絵は交際4年を超え、そろそろ結婚を考え始めていた。
しかし諒一はなかなかプロポーズできないでいた。
なぜなら、彼の祖母は殺人者だったから。
18年前の1979年、東北の寒村で祖母は
同居中の義父(諒一から見れば曾祖父)を刺殺していたのだ。
獄中で病死した祖母の遺骨を寺に納めるために諒一と水絵は村に向かう。
道中、諒一から祖母の話を聞いていた水絵は、
祖母の "真の動機" を推察する。
現代では、結婚は当事者同士だけのものという意識が
ごく普通かも知れないが、地方ではまだまだ古い考え方が
残っているのかも知れない。ましてや昭和の中頃ではねぇ・・・

「散る花、咲く花」歌野晶午
美由紀は夫・治と共に、糖尿病で入院中の義父・辰雄のもとへ通っている。
毎回、途中で購入した花を持参していくのだが、
病院内でその花が何者かに持ち去られていることが判明する。
誰が、何のために?
花の謎の解明後に、もう一つ別の真実が明かされる。これは驚き。

「ドールズ密室ハウス」堀燐太郎
フリーの雑貨スタイリスト・物集(もずめ)修は、
CM撮影のためにドールズハウスを探すことを依頼される。
ドールズハウスとは1/12の縮尺で作られた模型の家のこと。
条件に合ったハウスがあるということで、
物集は東京都の吉祥寺にある長医(ながい)家を訪れる。
陶子(とうこ)と庸子(ようこ)の姉妹が住むその家には、
八畳間をまるまる使った精巧なドールズハウスがあった。
しかしその部屋で陶子が刺殺死体で発見される。
しかも内部から施錠された状態で。
この密室トリックはかなり無理があるんじゃないのかなぁ。

「十年目のバレンタインデー」東野圭吾
売れっ子作家の峰岸は、かつて恋人だった津田知里子(ちりこ)から
10年振りに連絡をもらい、バレンタインデーでの夕食を共にする。
その席で、知里子はなぜ峰岸と別れたのかを話し出す。
10年前に知里子の親友だった藤村絵美の自殺した。
その裏には峰岸の存在があったのではないか、と・・・
30ページちょっとの短編ながら密度が濃く、ラストのキレもいい。

「雨上がりに傘を差すように」瀬那和章
進学のために田舎から横浜へ出てきた女子大生・果歩(かほ)。
しかし都会の華やかさに圧倒されて
孤独感とコンプレックスに苛まれる日々を送っている。
学校帰りに「港の見える丘公園」にやってきた果歩は
にわか雨に遭ってしまい、展望台で雨宿りをするが、そこで
雨の中をびしょ濡れで歩いてきた老人・源治郎と出会う。
それをきっかけに、展望台で彼と会話を交わすようになる果歩。
源治郎と話しているうちに、少しずつ自分の生き方を見つけ出していく。
ある日、源治郎は果歩とともに公園近くの近代文学館へ行くが
その中で突然、源治郎は錯乱状態に陥ってしまう。
ラストで明かされる源治郎の事情が切ないが、感動も同時にやってくる。
そして果歩の精神的な成長も素晴らしい。

「自作自演のミルフィーユ」白川三兎
私立大学の生協職員の ”俺” は、看護師の妻と結婚して7年。
ある日、夫婦で外食へ出かけたレストランで、突然妻が切り出す。
「あなた今、恋をしてるでしょう?」
”俺” は狼狽える。なぜなら、女子学生・千晶と浮気していたからだ。
結婚生活の現状に疑問を感じていた ”俺” は、この際正直に話をして
妻との関係を白紙に戻そうとするが・・・
このあと当然ながら修羅場に突入するのだが
それが意外な方向へ収束していく。
夫婦が長く暮らしていてもお互いに理解するのは難しい。
かといって、理解する努力を怠ってはいけないという教訓か(笑)。

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純喫茶「一服堂」の四季 [読書・ミステリ]

純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫)

純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

古都・鎌倉の片隅でひっそりと営まれている喫茶店「一服堂」。
店主のヨリ子さんはメイド服に身を包み、極度の人見知りと
萌え要素の塊なんだが、推理力は抜群。
客が持ち込んできた謎を聞きつけると人格が切り替わって
毒舌のマシンガン・トークを繰り出してくる。

【第一話】春の十字架
週刊誌記者・村崎蓮司(れんじ)は、遠縁の緑川静子からある依頼を受ける。
資産家の夫・隆文が浮気相手を自宅の離れに連れ込むらしい。
その証拠をつかんで欲しいと。緑川邸に泊まり込んだ蓮司だが
翌朝、隆文が死体となって発見される。
密室内で、しかも十字架に架けられた状態で。
たまたま路上で出会った神奈川県警の刑事・夕月茜とともに
「一服堂」を訪れた蓮司のまえで、
ヨリ子は密室と十字架の謎を解き明かす。
「いくらなんでも、殺人犯がそこまで手間はかけないだろう」
とは思うが、この作者お得意のユーモア・ミステリ世界では
許せてしまうのはやはり上手い。

【第二話】もっとも猟奇的な夏
広大な農地を所有する地主・中園勘次が殺される。
死体は全身に傷を負い、胸を刺され、さらには納屋の柱に磔にされていた。
犯行時刻と思われる時間帯に現場へ出入りした人物は3人。
果たしてこの中に犯人はいるのか?
タイトルに違わず、犯人の大胆な行動に驚く作品。
ディクスン・カーの某短編をちょっと思い出した。

【第三話】切り取られた死体の秋
人気作家・東山敦哉の秘書兼愛人・中原冴子が殺される。
住んでいたアパートの浴室で発見された死体には、
頭部と両手首が切り取られていた。
そして第一容疑者である東山には、鉄壁のアリバイがあった・・・
トリックには既視感があるけど、他の要素を組み合わせて
面白く仕立ててあると思う。

【最終話】バラバラ死体と密室の冬
一人暮らしの岡部健二が殺される。
さらに浴室からは健二の兄・健一のバラバラ死体が発見される。
現場となった健二の家は内部から施錠された密室状態にあった・・・
いやはや、謎解き部分を読んだときの脱力感は半端ない。
これはミステリ史上最も○○な密室トリックだと言っても
文句を言うヒトは少なそうだ。それくらいものすごく○○なんだもん。
最終話だけあって、第一話から第三話までのキャラが再登場して、
まさにカーテンコール状態。
しかしそのあとにもう一つサプライズが待っている。
いやあこれはびっくり。

探偵役のヨリ子さん。作中ではフルネームが明かされているんだが
これも人を食ったネーミング。
実はこれが本書最大のサプライズかも知れない。

けっこう残虐で猟奇的な事件を、ユーモアのオブラートで包んで
読ませる技量はやっぱり流石だと思う。

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プロメテウス・トラップ [読書・冒険/サスペンス]

プロメテウス・トラップ (ハヤカワ文庫JA)

プロメテウス・トラップ (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 福田 和代
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/03/23
  • メディア: 文庫
評価:★★★

6編の短編が収められているけれど、
ストーリー的には連続している連作集となっている。

能條良明(のうじょう・よしあき)は、そのスジでは
"プロメテ" の名で知られる伝説的な凄腕ハッカーだった。
14年前、MITに留学中にFBIのシステムに侵入を果たして
逮捕された前歴がある。

今は日本で平凡な在宅プログラマとして生きている能條の前に
『村岡』という男が現れ、ICチップの解析を半ば強制的に依頼してくる。

そのチップの中身は電子パスポートだった。
『村岡』はICチップの中身を書き換えて
アメリカへの不法入国を企てていたのだ。
能條は依頼を受けたものの、土壇場で彼を出し抜く手立てを考え始める。

これが巻頭の「プロメテウス・トラップ」。
じつはこれは序章で、能條をアメリカに合法的に再入国させるための
工作だった。もちろん、プロメテの腕試しを兼ねて。

その工作の主体はICPOとFBI。
目的は、最近アメリカを脅かしているサイバーテロ組織の摘発。
その捜査チームに能條は選ばれたのだ。

チームリーダーは村岡、そしてもう一人のメンバーは
かつて14歳でMITに入学した天才少年で、
能條と同級生だった "パンドラ" ことポール・ラドクリフ。
この3人がテロ組織に挑むことになる。

その糸口となったのは、FBIの捜査線上に浮かんだ
マーケティング調査を専門とするロジカル社。
しかし強固なセキュリティに守られ、ネット経由での侵入は容易ではない。
能條たちは、直に社内へ入り込むことにするが・・・

というように、テロ組織の実態解明に挑むチームの行動が綴られていく。

そしてクライマックスは4つめの短編
「プロメテウス・チェックメイト」だろう。

彼らの捜査は続き、たどり着いたのは
オンラインゲームを運営しているネットマスター社。
ネ社が開発したAIと6回対戦し、最終的に勝利すれば
10万ドルが支払われるという。
そして決勝戦は公開の場で行われ、ネ社の主要メンバーも姿を現す。
能條たちは対戦者としてパンドラを送り込み、
首尾よく決勝まで進むのだが・・・


本書の初刊は2010年なのでもう9年前になる。
ITの世界で9年なんて、二世代くらい昔になってしまうんじゃないかと
思うが、読んでいても古さを感じさせない。

 文庫化が2017年なので、それに際して
 加筆・修正が行われているのだろう。

たとえばコンピュータ(AI)とのチェス対決では、
現在ではもう人間が勝てなくなってしまっているのだけど、
作中ではうまく条件付けがしてあって、
挑戦者側にも勝てる可能性を残してある。

ラストでは意外にも、物語全体に仕掛けられていたからくりが
明かされたりしてミステリ的にも楽しめる。


「パンドラ in 秋葉原」
巻末収録のボーナストラック。
能條の招きで来日したパンドラは、秋葉原観光に繰り出す。
そこで、謎の三人組の男に追われるメイド姿の少女を助けるのだが・・・


作者の前歴はシステムエンジニアだったとのこと。
そのせいか、IT系の描写は地に足が着いた書きっぷり。
とは言っても、ネットとかの詳しい知識は無くても
読むぶんには困らないようになってるので大丈夫だったよ。

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十二人の死にたい子どもたち [読書・ミステリ]

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/10/06
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

いま、本書を原作とした映画が公開されてるけど
それに便乗して書いたわけではない。
過去にも書いたけど、基本的に読了順に記事にしている。
読書記録を見ると、本書を読み終わったのは去年の11月29日。
しかしながら、現在でもまだ記事にしてない本が27冊も溜まってる。
(本書は28冊目だったわけだ。)
片っ端から記事に書いてるんだがなかなか減らない。
だから今日upしたのもたまたま時期が合ってしまっただけ。
とはいえ、タイミング的には良かったのかなぁ。

閑話休題。

映画『十二人の怒れる男』(1957年・アメリカ)を
観たのはいつだっただろう。
もちろんリアルタイムに映画館で観たのではない。TV放送である。
たぶん中学校時代のいつかだと思うのだが。

父親殺しの罪に問われた少年が裁判にかけられる。
証拠や証言は少年にとって圧倒的に不利なものばかり。
12人の陪審員の下す評決は全員一致で有罪かと思われたが
ただ一人、少年を無罪とする陪審員がいた。
彼の主張により、陪審員たちは証拠の再検証に入る。
そして喧々諤々の大激論を通じて、有罪を主張していた陪審員たちが
一人また一人と無罪へと転じていく・・・ってストーリー。

ほとんどが裁判所内の一室で進行する作品で、
登場人物の台詞の応酬だけで
ものすごい緊迫感を醸し出している作品だった。
今でも憶えているくらいだから、さぞ強烈な印象を残したのだろう。

実際、この作品は映画化もドラマ化も複数回されていて、
さらには舞台化もされているようなので評価は折り紙付きなのだろう。


さて、「十二人の死にたい子どもたち」である。

廃業した総合病院の地下一階、多目的ルームに
一人また一人と集まってくる子どもたち
いずれも13歳から16歳ほどの、総勢12人。

名前は到着順に
サトシ、ケンイチ、ミツエ、リョウコ、シンジロウ、メイコ、
アンリ、タカヒロ、ノブオ、セイゴ、マイ、ユキ。

彼らは自殺サイトを通じて知り合い、
ある目的を実行するためにやってきたのだ。
その目的とは安楽死。
すでに全員の遺書とサイトへのアクセスログが
クラウド上に保存されており
自殺を決行した後、世間は彼らの思いを知ることになる。

多目的ルームには彼らの数だけすでにベッドが用意され、
死ぬための方法も準備されていた。
しかしそこにはなぜか13台目のベッドがあり、
既に一人の少年の死体が横たわっていたのだ。

彼らの間には、事前に取り決めがあった。
集団自殺を決行するには、全員一致で賛成の意思表示があること。
だが、参加者の中から一人、反対の声が。

この集まりが事前に漏れていたのか?
死んでいた少年は誰か?
誰が殺したのか?
殺人なら、犯人はどこにいるのか?
この12人の中にいるのか?
このまま集団自殺を決行したら、
犯人の汚名を着せられたまま死んでゆくことになるのではないか?

当然ながら、そんなことは関係ないので即刻実行すべし、
という意見の者が大半。
しかし全員一致のルールの下、
子どもたちは死を目前にしながら、議論を始める。

その中で次第に明らかになっていくのが各自の抱える事情、
そして自殺を選んだ理由。
自分自身に原因がある場合もあるが、それ以上に
親を含めた周囲の環境に追い詰められている子どもも多い。
これは胸が痛む。
充分すぎるほど過酷な状況を抱えた者もいれば、
呆れかえってしまう理由で安易に(もちろん本人はそう思ってないが)
ここにやってきた者も。

12人のキャラの書き分けも巧み。
男女6人ずつ、思慮深い子もいれば軽薄を絵に描いたような子も。
自律している子もいれば、他人に依存して生きてきた子も。
優等生も跳ねっ返りもいて。
見事にキャラかぶり無く描き出している。

ほとんどの物語は多目的ルームという一室の中で進行する。
ここで交わされる子どもたちの丁々発止の台詞の応酬。
さらに、12人の間でも新たな ”事件” が起こり、
犯人がどこかに潜んでいることも確定する。

物語の進行にあわせて、次第に発言力を発揮し始めるのが
シンジロウとアンリ。
特にシンジロウは卓越した洞察力を示し、本書においては
探偵役に近い立ち位置を与えられて、物語を進行させていく。
そしてアンリは、シンジロウに勝るとも劣らない論客で
この二人の対決もまた読みどころ。
もちろんこの二人以外も要所要所できっちり存在感を示して
キャラの交通整理も見事だ。

文庫で470ページあまりという長丁場を、ほぼ会話劇だけで進行させて
読者を飽きさせず、サスペンスを維持しながら読ませる。
この筆力は半端ではない。
巻末の解説で、作者は構想に12年かけたと言ってるらしいが、
納得の出来だ。

本作は冒頭に挙げた『十二人の怒れる男』を
下敷きにしているのは明らかで、
ならばラストはどうなるのかはある程度見当はつくのだが、
果たしてそこまで持って行けるのか。
私の方が心配になってしまったくらいだが、杞憂だったよ。

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ファースト・エンジン [読書・その他]


ファースト・エンジン (集英社文庫)

ファースト・エンジン (集英社文庫)

  • 作者: 未須本 有生
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

岩見沢原動機は、ロケットから自動車まで幅広く手がける総合メーカー。
特に航空機用ジェットエンジンでは国内シェア第1位を誇る。
しかし航空自衛隊の戦闘機用エンジンに関しては、
海外製のライセンス生産に甘んじてきた。

そんな岩見沢原動機に転機が訪れる。
防衛庁が新規導入を目指す純国産超音速機、
そのジェットエンジンを開発することになったのだ。

既存の国産ジェットエンジンIJ-3に、アフターバーナー(AB)機構を
付加する研究を続けてきた本庄直樹を中心に開発チームが組まれた。
中でも、最重要となるAB開発は、グループ長の城内(きうち)朋美、
気鋭の新入社員・中河和弥など11名が充てられた。

前半は新型エンジンの開発にまつわる奮闘が描かれていくのだが
トラブルというのは「モノ」だけに潜んでいるのではない。
何事もそうかも知れないが「ヒト」もまた開発の障害となるのだ。

社内には、コストがかかって成功の可能性が低い
新型エンジンの開発にリソースを注ぎ込むよりも、
ライセンス生産で着実に利益を上げていればそれでいい、
という思考の者も少なからずいて
彼らは陰に陽に本庄たちの足を引っ張りに来るのだ。

そんな妨害を振り払い、AB機構を付加した新型エンジンは
燃焼実験の日を迎えた。
試運転は順調に推移したが、終了直前に突然異常を来し、爆発してしまう。
それによって中河が死亡し、プロジェクトは中止となってしまう・・・

チームは解体、メンバーはそれぞれ異動となり、
本庄もまた事故の責任を問われて閑職へと左遷されてしまう。

辞職を考えて中河の遺族に会いにいった本庄だったが、
彼の父親から逆に叱咤激励される。
中河の遺志を無駄にしないためにも、
エンジンは完成させなければならない・・・


なおざりにされた事故の原因を突き止め、自らの復権を果たす。
その上でエンジン開発プロジェクトを再開させる。
そのためには人脈も腹芸も駆使するし"外圧"だって利用する。

後半は、技術者としての矜恃を賭けて行動してゆく本庄が描かれる。
技術者というと、モノ相手の仕事で、
対人関係は苦手な人が多そうなイメージがあるが
本庄はその点、人間関係をうまく利用することに長けていて、
ある意味 ”スーパー技術者” として描かれている。
後半の本庄の活躍に溜飲を下げる人も多いだろう。

実際には、こういう人はなかなかいないだろうし、
現実の社会では、一旦失脚してしまえば、
再度浮上することはまず不可能なんじゃないかとも思うが。

NHK番組「プロジェクトX」の小説版という趣もある。
大手メーカーで航空機設計に関わっていた作者でなければ
書けない話ではあると思う。

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黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 [読書・冒険/サスペンス]


黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 (祥伝社文庫)

黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 (祥伝社文庫)

  • 作者: 数多 久遠
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

昨今、隣の国との間にいろいろと問題が起こって
新聞やTVを賑わせているが、それに便乗して
記事を書いてるわけではない。
なにせ私が本書を読み終わったのは昨年の11月24日。
これまで時間が空いてしまったのは、単に私がグウタラだったから(笑)。


主人公は航空自衛隊三等空佐・倉橋日見子(ひみこ)。
航空総隊司令部で情報課情報班長の任にある。
アラフォーなのだが、まもなく結婚する予定だった。

彼女の婚約者は陸上自衛隊二等陸佐・秋津和生(かずお)。
特殊作戦群の第二中隊長を務めている。

その秋津が率いる40名の隊員が失踪する。
自衛隊は総力を挙げて行方を追うが、その数時間後、
YouTubeにアップされた動画の中で
秋津は陸上自衛隊が竹島を奪還したことを宣言する。

この行動を、事前に全く知らされていなかった日見子は驚愕するが、
同時に彼女の立場は一変することになる。
秋津の協力者ではないかと疑われ、司令部に乗り込んできた情報保全隊に
取り調べを受け、さらには彼らの監視下におかれてしまう。

そんな中、彼女は秋津の真意を知るべく行動を開始するが
彼の行動の背後に、より大きな陰謀が隠れていたことに気づく・・・


読んでいてちょっと首をひねってしまうところもある。
例えば、秋津たちがどうやって竹島を奪還したのかが描写されないこと。
wikiからの引用で恐縮だが、竹島の警備部隊40名は
名目こそ「警察」だが実は軍からの出向で、実質 ”韓国軍” らしい。
そこに上陸して彼らを排除しようとしたら
”戦闘” は避けられないだろうし、まして死者/負傷者がゼロというのは
ちょっとありえなさそうに思うのだが。

ただ、本書は「竹島を ”奪還しようとした” らどうなるか」ではなく
「竹島を ”奪還してしまった” らどうなるか」を描きたかったのだろう。

とは言っても、日本も韓国も政府高官や政治家は全くといって登場せず
ほとんどのストーリーは日見子をはじめとする
現場の自衛官の視点から描かれる。

だから、「ポリティカル・フィクション」とも異なるように思う。
いちばん据わりのいいのは、”竹島奪還” という仮定の下に展開する
「戦略シミュレーション小説」なのだろうか。

そして、その自衛官の ”戦い” も、ほとんどは
航空総隊司令部の中で展開する。
なにせ、ヒロインが終始その中にいるのだから。

勇ましいタイトルや表紙イラスト(F-16?)から連想されるような
自衛隊と韓国軍が竹島周辺で派手にドンパチをするような話を期待すると
当てが外れるだろう。
日見子らは、そうならないように努力する側なのだ。

上にも書いたが、秋津の行動の裏にはさらに大きな陰謀があり
最悪の場合には日韓が交戦状態に突入しかねない。
陰謀の ”真の目的” を突き止め、阻止すべく孤軍奮闘する日見子。
本書の読みどころはここだろう。


作者は航空自衛隊の元自衛官だという。
次回作は『深淵の覇者』というタイトルで、潜水艦ものだという。
これに文庫化されていて手元にあるので近々読む予定。

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王とサーカス [読書・ミステリ]


王とサーカス (創元推理文庫)

王とサーカス (創元推理文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/08/30
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

発表された2015年、各種ミステリランキングで
軒並み1位を獲得した作品だ。


2001年6月。新聞社を退職してフリージャーナリストとなった
大刀洗万智(たちあらい・まち)は、雑誌社から
海外旅行特集の仕事を受けてネパールの首都・カトマンズにやってきた。

しかし現地取材を始めた矢先、王宮で皇族たちの大量殺戮事件が発生する。
国王も王妃も殺害され、犯人だった皇太子も自殺を図ったという。

急遽取材対象をこの事件へと切り替えた万智。
彼女が投宿していたロッジの女主人の知人に
事件当夜の王宮警備をしていた軍人がいるという。

その軍人・ラジェスワル准尉との接触するべく、万智は
深夜、一人きりでという条件を呑み、廃ビルの一室で彼と会う。

しかし彼が語るのは、ジャーナリズムそのものへの批判、
そして不信感だった。
事件の情報をほとんど引き出せずに、ラジェスワルの言葉への
反論もできずに万智は煩悶する。

しかしその翌朝、街中の空き地の一角でラジェスワルの死体が発見される。
その背中には、皮膚を切り裂いて文字が描かれていた。
「INFORMER」すなわち ”密告者” と。

准尉は万智と接触したために殺されたのか?
彼女は異境の地で真相を追い始める。


文庫で450ページほどの長編だが、ミステリとしての進みは緩やかだ。
王宮の事件が起こるのが100ページあたり。
ラジェスワル准尉との単独取材に臨むのが180ページあたり。
そして彼の死体が発見されるのは210ページあたり。
ほぼ半分まで進まないと殺人事件が発生しないのだ。
そしてその後200ページほどを費やして万智の調査が綴られ、
ラストの犯人指摘に至る。

しかし、緩やかだからといって中身が薄いなんてことは全くない。
カトマンズの風景や風俗の描写も濃厚だし登場する人々もさまざま。
現地人はもちろん日本人やアメリカ人などもいて
ネパールという国に滞在している理由も様々。

王宮に対する一般民衆の思考もまた独特。
日本の皇室とはまた違った見方が提示される。

現地の日常を詳細に描き込んであって、
ネパールに行ったことのない人でもカトマンズの日々を疑似体験できるし、
もちろん、その中には多くの伏線も仕込んである。

観ようによっては、一種の ”特殊状況下ミステリ”、
あるいは同じ作者のファンタジー・ミステリ『折れた竜骨』と
同じような ”異世界ミステリ” と考えることもできる。


そして、この「王とサーカス」という変わったタイトルは
万智とラジェスワル准尉との対話の中で彼が語った言葉に由来する。
このあたりのやりとりは、ページ数にすれば20ページほどに過ぎないが
まさにこの部分こそが本書で語りたかったことなのだろう。

ある国の中で起こった出来事を、他国から入り込んだジャーナリストが
外の世界へ向けて伝えることにどれほどの意味があるのか。

 ちょっと前に、中東へ取材に入って、現地ゲリラに拘束された
 フリージャーナリストがいて世間の耳目を集めたが、
 読んでいるとそんなことも頭に浮かぶ。

「それでも伝える意味はある」とジャーナリストたちは言うが
それは外の人間の論理ではないのか。
中の人間は果たしてそれを望んでいるのか。

このあたり、一朝一夕に答えの出る問題ではないのだろうが、
考えされることではある。


本書からミステリ要素だけを取り出して書いたら、
おそらく半分以下の分量ですむのではないかと思うが
残りの半分の方にこそ、本作の価値があるのだろう。
むしろ、ランキングの順位を押し上げたのは
そちらの方の要素だったのだと思う。

実際、ページ数が増えてもそれに見合う分くらいの
内容の濃さがあるので、読んでいて不満は全く感じなかったけれど、
私としてはやっぱりもう少し
ミステリ成分が濃い作品の方が好みだなあ。

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ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅篇) [読書・ミステリ]

ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)

ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/19
  • メディア: 文庫
評価:★★★

2004年に始まった本屋大賞。低迷する出版界を
現場の書店員さんから盛り上げるイベントとして出発したが、
いまや芥川賞・直木賞をしのぐくらいの影響力を持つようになった。
ノミネートされただけで売れ行きが段違いになるらしいし。

ただ、大きくなってきてしまうとそれに伴って
いろいろ毀誉褒貶に晒されるようにもなってきているようだ。
(そのあたりは本書の中でも触れられている)

本書は、木下杏子と西巻多絵の書店員コンビが活躍する
〈成風堂書店事件メモ〉シリーズの4作目であり、
さらに〈井辻智紀の営業日誌〉シリーズの主役である
書店営業員・井辻智紀(いつじ・ともき)くんも登場する。

内容は、本屋大賞(作中では「書店大賞」となっているが)が
発表される当日の朝から、授賞式パーティーまでの
およそ12時間ほどの物語だ。


成風堂書店で働く杏子と多絵のところに一人の女子大生が現れる。
彼女は福岡の書店でアルバイトとして働く大学生・佐々木花乃(はなの)。
「書店大賞」授賞式パーティーに出席するために上京してきたのだ。

 ちなみに、授賞式の参加資格は至って単純で、
 正規・バイト問わず書店員であって、かつ
 大賞に自ら票を投じていれば誰でも参加できる。

しかし彼女にはもう一つ目的があった。多絵たちに
書店大賞の事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてもらうことだ。
その文面は

『だれが「本」を殺すのか』犯人は君たちの中にいる。飛梅書店

「飛梅書店」とあることから、福岡の書店に問い合わせが来たのだ。
しかしFAXの文面の意図が全く理解できなかった花乃は、
東京の名探偵書店員(多絵のことだ)に解いてもらおうと思ったのだ。

かくして、多絵たちは花乃とともに
東京の書店員たちから情報収集を始めることになる。

一方、明林書房の営業マン・井辻智紀(いつじ・ともき)のもとに
中堅書店の店長で書店大賞実行委員長を務める竹ノ内から
困り事の相談が入る。こちらも内容は事務局に届いた不審なFAXの件。

ライバル出版社・佐伯書店の営業マンである真柴とともに
智紀もまた書店を巡って情報収集に乗り出していく。

とはいっても、作品を構成する謎はFAXだけにとどまらない。

多絵たちと智紀たちはそれぞれ別角度から
FAXの謎にアプローチしていくのだが、最終的に授賞式パーティーで
すべての登場人物が一堂に会して様々な謎が一気に解かれていく。

FAXの謎以外にも、かつて金沢にあったある書店の閉店と
書店大賞設立に秘められた関わりと解き明かしたり、
ノミネート作を書いた覆面作家・市松晃(いちまつ・こう)が
パーティーに現れるという噂からその正体を突き止めてしまったり(笑)。


文庫で280ページと決して多くはない分量の中に
さまざまなエピソードと多くの登場人物を放り込んである。
〈井辻智紀〉シリーズのレギュラーメンバーでもある
同業他社の個性ふれる営業マンたちももちろん登場して賑やかだ。

ただまあ、非情に多くの要素を欲張りに放り込み、
しかも複数のストーリーラインで語っていくので
読んでいくうちにだんだん頭が混乱してきた。
よく言えば ”お祭り”、ある意味オールスターキャストだし。
悪く言えば ”ちょいと見通しが悪い” かなぁ。

まあ私のアタマが悪いせいなのだろうが。

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