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モモンガの件はおまかせを [読書・ミステリ]

モモンガの件はおまかせを (文春文庫)

モモンガの件はおまかせを (文春文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★

楓ヶ丘動物園の飼育員たちが、
さまざまな動物がらみの事件に遭遇するシリーズ、第4弾。


「第一話 いつもと違うお散歩コース」
主人公の桃本(桃さん)と同僚の服部くんは、
仲間内で開くバーベキューの買い出しに出かけるが
帰り道で迷ってしまう。
柴犬を連れた男性に道を尋ねるが何やら対応が不審だ。
その後、合流した獣医の鴇先生は、
その男が ”犯罪” に関わっているのでは、と推測する・・・

「第二話 密室のニャー」
中学生の長谷井翼が、桃さんに相談を持ち込んできた。
翼の友人・今成の飼っているネコが何者かに連れ去られたのだという。
二ヶ月前に河川敷で拾ってきたスコティッシュフォールドである。
しかし、今成の家は完全に施錠された密室状態だった。
犯人はどうやって、そしてなぜネコを連れ去ったのか。

「第三話 証人ただいま滑空中」
同僚たちと一緒に道を歩いていた桃さんの顔面に、
いきなりフクロモモンガが飛びかかってきた。
道に面したアパートから出てきたと推測した一行は、
窓の開いていた部屋に踏み込むが、そこにあったのは男の死体。
死後二ヶ月ほどと見られ、一部がミイラ化していた・・・
本書の中ではいちばんミステリらしい話。

「第四話 愛玩怪物」
鴇先生は実家からの要請で、郊外の山中に出没する
”怪物” の捜索をしているという。
桃さんは彼女とともに現場となった山中へ向かうが、
”怪物” の体長は1m以上、体重は50kgを超えているとの情報が。
しかも、1mを超える中型犬を襲い、連れ去ってしまったらしい。
”怪物” の恐るべき正体に気づいた鴇先生は、
七森さん、服部くんを援軍に呼んで大捕物が始まるが、
騒ぎの裏には、さらなる意外な事態が待っていた。


基本的には動物がらみのユーモア・ミステリで、
毎回テーマになる動物の生態や、人間との関わりが事件解決の鍵となる。

今回、特に「第二話」と「第四話」では、事件の裏に介在する
悪質なペット業者の存在によって、かなり ”重い” 展開を見せる。

私自身は、子どもの頃に猫を飼っていたことはあるものの
現在はペットを飼ってはいない。
それは「手間がかかる」という以前に
”命” を預かる覚悟が持てないことが理由である。
まあ、我が家の生活スタイルからして
恒常的に世話をできる人がいない、というのも大きいが。

それに、やっぱり死に別れるのは辛いよねぇ・・・

本書を読んでいると、「ペットを飼いたい」という気持ちにつけ込だり
効率重視で劣悪な飼育環境を放置していたりする
悪質業者の存在に気づかされる。

 欧米では、ペットは保護されている施設から引き取ってくるもので
 ショップで購入するものではない、という意識が普通なのだという。

業者が悪いとは言わないが、数が増えれば
末端の質は落ちていくものなのだろう。
そして何より、身勝手な飼い主によるトラブルというのも
後を絶たないことも。

ペットを飼うということは、
かなりの覚悟を持って臨なまければいけない行為なのだろう。

やっぱり私にはペットは飼えないなあ・・・と思った次第(笑)。

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