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M博士の比類なき実験 [読書・ミステリ]

M博士の比類なき実験 (講談社文庫)

M博士の比類なき実験 (講談社文庫)

  • 作者: 森 晶麿
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

主人公・アキラは、高校時代に同級生のマドカと交際していた。
その関係は、彼女から別れを切り出されて終わりを告げるが
それからもアキラは彼女のことを忘れられずに生きてきた。

そして9年後。26歳になったアキラは、
マドカが投身自殺を遂げたことを知る。
彼女と別れてから生きる目的を見失っていたアキラは、
人生をリセットすることを思い立ち、
天才美容外科医・M博士が募集する治験モニタに応募する。

瀬戸内海の孤島に1年間滞在し、その間に
全身に美容整形手術を施すというもので、報酬は1000万円。

審査の結果、アキラは治験対象者として選ばれ、
M博士が研究所を構える無人島・O島へ向かった。

島には先客として既に治験モニタの女性が2人滞在していた。
自由奔放な性格のアヤと、シャイなミチ。

この2人以外に研究所にいるのは看護師のカンナ、
諸々のメンテナンス業務をこなすサトル、
そして所長であるM博士、さらに彼の婚約者であるレイコ。

アキラはM博士からレイコを紹介されるが、
たちまち彼女に魅せられてしまうのだった。

総勢7人による共同生活が始まったが、アキラが島に到着してから
10日目の夜、M博士の首なし死体が見つかる・・・


いわゆるクローズト・サークルものとして始まる。
島内の殺人事件の真相も、充分意外性があって面白いのだけど
ストーリーのクライマックスは、生き残った者が島を脱出し、
東京へ戻ってきた後にやってくる。


初刊時のタイトルは『COVERED M博士の島』だったという。
ジョージ・ウェルズの『モロー博士の島』を連想する人もいるだろう。

 あちらは、孤島に住むマッドサイエンティスト・モロー博士が
 獣人(動物を人間化したもの)を作り出す研究をしている、って内容。

本書に登場するのはM博士も含めてみんな正真正銘の人間なんだが、
その人間たちが、美を求めて、あるいは嫉妬に駆られて、
あるいは欲望に突き動かされて人間の道を踏み外していく。

月並みだが「人間は一皮めくればみな猛獣」ってことか。

ラストの展開は好みが分かれそう。
私はあまり好きになれないけど。

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