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冒険王<4> 日露スパイ決戦 [読書・冒険/サスペンス]

冒険王〈4〉日露スパイ決戦 (ハルキ文庫)

冒険王〈4〉日露スパイ決戦 (ハルキ文庫)

  • 作者: 赤城 毅
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: 文庫



評価:★★★

旅順要塞の図面奪取に失敗した前作から4年。
いつのまにか元陸軍中尉・志村一心が
スパイの道に入ってから10年が経った。

時に1904年。日露はついに開戦した。

ロシア海軍の根拠地となった旅順港。
海軍による3度にわたる湾口の閉塞作戦も、
陸軍による2度の総攻撃も失敗し、
旅順は難攻不落の大要塞として日本軍の前に立ちはだかる。

連合海軍参謀・秋山真之中佐に呼び出された一心は、
旅順への潜入を命じられる。目的は、攻略目標である
"二百三高地" の偵察だった。

現地人になりすまし、ジャンク船で旅順港へ向かった一心は
首尾良く潜入に成功し、無事に偵察任務を終えたものの
意外な人物の登場によってロシア軍に捕らえられてしまう・・・


「冒険王」シリーズ、全4巻の完結編。
時代背景は日清戦争直後から日露戦争まで。
ずぶの素人から日本軍の間諜の切り札へ。
年齢も20代半ばから30代半ばへ。
ちょうどこの10年間の一心の成長が描かれてきた。

舞台も、前作からの因縁の場所である旅順。
最終作らしく、長年の宿敵だった諏訪雷四郎との決着も描かれる。
その他いろいろなしがらみにけりがついて、確かに区切りはいい。
いいんだけど。

本書は、日露講和会議のため全権大使・小村寿太郎が
日本を出発するシーンで終わる。
交渉場所であるポーツマスで展開されるであろう
ロシアとの情報戦に備えて、一心は小村の随員に加わっている。
彼のスパイとしての活躍はこれからも続いていくのだ。

だから、"完結" って感じは全然しないんだよなあ・・・


いつの日か、「冒険王」第二部が開幕することを期待したい。
史実の裏に隠れた "秘話" を語るのもいいけれど、
1巻や2巻みたいな「007」や「インディ・ジョーンズ」を
彷彿とさせるような、波瀾万丈な "物語" を読んでみたいよなあ。

3巻と4巻が地味というわけではないんだけどね。
やっぱり "冒険王" な話が読みたいじゃない。
作者はそういう話が書ける人だと思うしね。


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