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私の嫌いな探偵 [読書・ミステリ]

私の嫌いな探偵 (光文社文庫)

私の嫌いな探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★

関東地方のどこか海沿いに存在する烏賊川市。
この街を舞台にして、私立探偵・鵜飼の活躍(?)する
ミステリ・シリーズの短編集。

「死に至る全力疾走の謎」
 鵜飼が探偵事務所を構えるビルの隣にある駐車場に男が倒れていた。
 目撃者によると、その男は駐車場を全力疾走して
 ビルの壁に激突したという・・・
 異様な状況から意外な事件に結びつくあたりは流石だけど
 かなり "苦しい" 真相かなあ。まあ面白いからいいけど。

「探偵が撮ってしまった画」
 浮気調査のために張り込みをして、しっかり現場写真を撮った鵜飼。
 しかしその写真に写り込んでいた屋敷では殺人事件が起こっていた。
 いわゆる「雪の密室」ものなんだけど、
 「いくらなんでもそれはないだろう」ってトリックを堂々と使って
 しかも最後まで面白く読ませるんだからスゴいよなあ。

「烏賊神家の一族の殺人」
 烏賊神神社の宮司の息子・真墨(ますみ)の恋人が境内の祠で殺される。
 しかも発見された死体が一度消え、その後再び現れるという謎の事態に。
 死体移動の真相は警察が調べりゃ一発だと思うんだが
 それを言うのも野暮かなぁ。
 それより、特筆すべきは今回の探偵役が
 烏賊の着ぐるみ姿で推理を披露するというところ(笑)。
 史上初の「ゆるキャラ探偵 "剣崎マイカ"」の登場だ。

「死者は溜め息を漏らさない」
 崖の上から転落し、少年の目の前で死んだ男。
 しかし死体の口から、輝く煙のようなものが・・・
 "溜め息" の正体は作中で説明されるんだけど
 これ、ホントかなあ。今でも半信半疑なんだけど。
 ここさえ納得できれば他の部分はOKなんだけどね。

「二〇四号室は燃えているか?」
 鵜飼に舞い込んだのは恋人の浮気調査だった。
 依頼人の恋人・辰巳が、自分のアパートで
 赤いドレスの女と会っていることを突き止めたものの
 その直後アパートが火事になり、辰巳は焼死してしまう・・・
 これもある意味古典的なトリックなんだけど、
 ラストでそれをちょいとひとひねり。これも上手い。


探偵の鵜飼杜夫と助手の戸村流平のコンビがお馴染みなのだが
今回、隆平くんの出番は大幅に減り、代わって
鵜飼探偵事務所の美貌の大家、二宮朱美さんが大活躍する。
「友人以上恋人未満」なんて言葉があるが、この二人の関係は
「店子以上友人未満」というところか。

解説によると「烏賊神家」に登場する剣崎マイカ嬢は
シリーズの他の作品でも活躍しているとのこと。
ひょっとしてレギュラー入りしちゃうのか?

流平くんの出番がますます減ってしまうなあ・・・
まあ、それを悲しむ人はあんまりいないかも知れないけど(笑)。


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