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冒険王<3> 旅順の謎 [読書・冒険/サスペンス]

冒険王〈3〉旅順の謎 (ハルキ文庫)

冒険王〈3〉旅順の謎 (ハルキ文庫)

  • 作者: 赤城 毅
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★

1895年。陸軍中尉・志村一心は、独仏露三カ国の外交官と
乱闘騒ぎを起こし、士官の身分を剥奪される。
しかし彼の素質を惜しんだ軍部により1年間の特別訓練を受け、
間諜(スパイ)として生きることになった。

そして6年後の1901年。
独仏露の三国干渉によって日本が放棄した遼東半島は
ロシアによって租借され、軍港・旅順は大要塞へと変貌していた。

ロシア駐在武官の広瀬少佐に呼び出された一心は、
旅順要塞の図面奪取を命じられる。

首尾良くロシア陸軍省に潜入し、
図面をマイクロフィルムに収めることに成功した一心は、
そのままイギリスへ向かう客船に乗り込む。
(イギリスと日本は、このころ水面下で
 「日英同盟」の交渉中という "友好国" だった。)

怪しい同乗客に囲まれる中、一心は何者かに襲われる・・・


順調にスパイとしての実績を上げてきた一心だけど
今回は冴えない面が目立つ。

成功したかに見えた図面奪取でミソをつけ、
中盤以降は敵の打つ手に対して後手後手に回ってしまう。

本来は敵のはずの人物からの助け船にすがって
何とか事態の打開を図ったり、クライマックスでのピンチも
自力で切り抜けたとは言い難かったり・・・

読んでいて颯爽感があまり感じられないのは
この展開では致し方ないかな。
好意的に解釈すれば、今回はそれだけ
敵の策略が巧妙で、一心より一枚上手だったとも言えるが。


前巻の時に書いたかも知れないけど
日清・日露の間に時代設定していて、
史実に基づいて物語を構築している。
リアルではあるのだけど、窮屈な雰囲気も感じる。

なんだか文句ばかりになって申し訳ないけど
一読者としては、もっとカッコいい一心が見たいんだなあ。

タイトルだって「冒険王」(!)なんだし。


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