SSブログ

松谷警部と三ノ輪の鏡 [読書・ミステリ]

やっとここから12月分(^_^;)。まだ先は長い・・・

松谷警部と三ノ輪の鏡 (創元推理文庫)

松谷警部と三ノ輪の鏡 (創元推理文庫)

  • 作者: 平石 貴樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/06/12
  • メディア: 文庫



評価:★★★

「松谷警部と目黒の雨」でデビューした婦人警官・白石イアイを
探偵役とするシリーズの第3弾。
本作では、中学校の1年先輩で文学者を目指す彼氏と結婚して
なんと人妻に! 自身も32歳にして巡査部長に昇進している。

元プロゴルファーの横手が自宅で撲殺される。凶器はゴルフのパター。
犯行時刻に横手は葉賀開発の経理部長・石井と会う約束をしていたが
石井は自宅を出たきり戻らず、消息を絶っていた。
事件前日には横手が関わるゴルフ場に融資している
常磐銀行の営業一課長・重光が自家用内で練炭自殺を遂げており、
さらに、横手の過去の女性スキャンダルを追い続けていた
フリージャーナリスト・越塚が刺殺体で発見される。

横手の死を巡って巻き起こる不可解な事件の数々。
松谷警部と共に捜査を始めるイアイたちだが・・・


素朴でさっぱりした性格ながら鋭い推理力をもつ。
だけどそこはかとなく可愛い。イアイちゃん好きだなあ。
上手いんだか下手なんだかよく分からないんだが
捜査中にやたら俳句を詠む松谷警部も相変わらず。
メインキャラ二人に加えて、今回イアイと相棒を組む
新米警官の上原巡査が、見事に "空気を読めない" 奴で
随所でクスリと笑わせてくれる。

事件の方は一筋縄ではいかず、なかなか全貌が見通せない。
容疑者自体はさほど多くないのだけど、
読んでも読んでも五里霧中感がつきまとう。

ラストではきっちりと解明されるのだけど・・・
かなり複雑で一読しただけでは理解できなかったのは
やっぱり私のアタマが悪いせい?
今、この文章を綴りながらつらつら振り返ってみて、
ふっと頭に浮かんだのは「詰め将棋」という単語。

人物Aが○○する。
 → 人物Bは△△せざるを得なくなる
  → そこで人物Cは✕✕することを思いつく・・・

ってな感じで、複数の人物が事態の進行に合わせて、
それぞれの思惑に従って行動することによって、
結果的に不可解な事象群が完成する。

途中で一手誤ると(一人でも違う行動をしていたら)
成立しないという点で「詰め将棋」みたいだな、と。
(とはいっても、私は将棋はからきし弱いんだけどね。)

よくここまで考えたなあ・・・って素直に感心する一方で、
それぞれの人物が都合良く動きすぎじゃないかな、って気も。
"本格" 度を上げていくほど、キャラが「駒」化していくのは
ある程度は仕方ないとも思うんだけどね。
そのへんは謎解きミステリの宿命とも言える部分なんだろう。

本格ミステリとしてはもちろん、水準以上のすばらしい出来映え。
「Who done it ?」の興味ももちろんあるんだけど、
それ以上に「What happened ?」が気になる作品でした。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ: