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キング&クイーン [読書・ミステリ]

キング&クイーン (講談社文庫)

キング&クイーン (講談社文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/02/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

ヒロイン・冬木安奈は警官を父として生まれ、
長じて後、警視庁のセキュリティ・ポリス(SP)になった。
しかし、ある国会議員を護衛する任務に "失敗" し、
自らの職務に疑問を感じて職を辞してしまう。

今は、バー<ダズン>のオーナー・袴田に拾われ、
バーテン兼 "用心棒" を務めている。

天才チェス・プレイヤーであるアンディ・ウォーカーは
昨年ジャカルタで行われた元世界王者との一戦に勝利し、
世界王者へ返り咲いたのもつかの間、そのまま失踪してしまう。

アンディは気ままに世界を放浪した後、日本へやってきていた。
偶然、日本で暮らしているアンディに出くわした
留学生・宋蓮花(ソウレンホア)は、
彼が何者かに狙われていることを知る。
蓮花は、<ダズン>の常連客の伝手を辿って、
安奈へアンディの "護衛" を依頼する。

自らの過去と葛藤しながらも、最終的に依頼を受ける安奈。
彼女の背中を押したのは
「目の前で困っている人を決して見捨てない」
という、亡き父の言葉だった。

天才ゆえの奇矯な振る舞いを繰り返すアンディ。
彼に振り回されながらも、かつての上司・首藤をも巻き込み、
"護衛" 任務を全うしようとする安奈だが・・・


ヒロインが実にオトコマエ。とにかく安奈がカッコいい。
女性ながらSPにまで登り詰めた力量は伊達ではない。
素早い状況判断、先を読むカンも鋭く、もちろん腕っ節も強い。
拳銃を持つ二人組の追跡を振り切り、
蓮花とアンディを保護していく過程はまさにプロ。

ただ、せっかく安奈が的確な指示をしても、
アンディがそれに素直に従ってくれないんだよなあ・・・


ラストに至り、"追っ手の正体" が明かされるんだが
そこで読者はかなり驚かされるだろう。
いつのまにか「ハードボイルド」として一生懸命読んでいたら、
背負い投げを食らってしまう。
そうだよね、これは「ミステリ」だったんだ。

読み終わってみると、「キング&クイーン」というタイトルは
これ以外にはない! ていうくらいピッタリなことがわかる。

孤高のヒロイン・安奈はとても魅力的。
できたらシリーズ化してもらって、
さらなる彼女の活躍を読ませてほしいなあ。


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