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バチカン奇跡調査官 二十七頭の象 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官 二十七頭の象 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 二十七頭の象 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/07/25
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する天才科学者の平賀と、
その相棒で古文書の解析と暗号解読の達人・ロベルト。
「奇跡調査官」である神父二人の活躍を描く第16弾。
長編としては13作目になる。


上司であるサウロ大司教に呼び出された平賀とロベルトは
驚くべき話を聞く。
深夜午前2時、バチカン美術館に展示されている
ラファエロ作の絵画『フォリーニョの聖母』の前に
ファティマの聖母が現れ、預言をするのだという。
その模様を捉えたと称するビデオまでがネット上に出回っているらしい。
二人は直ちに噂についての調査を開始する。

一方、ローマの街では十字路の路上に描かれた "悪魔の紋章" の上で
変死体が見つかる事件が続発しており、
カラビニエリ(警察軍)のアメデオとプロファイラのフィオナが
捜査に乗り出す。
事件の背景には、わずか27歳にして夭折した
大人気俳優ライモンド・アンジェロの存在が関わっているらしい。

タイトルの『二十七頭の象』とは、作中に出てくる謎の言葉で、
どうやら事件の黒幕となっている組織の名前らしいのだが・・・


長編ではあるけれども平賀とロベルトの登場はほぼ出だしと終盤のみで
フィオナとアメデオが主役と言っていいだろう。
いままでは外伝的な短編で登場していた二人がメインなので、
外伝の長編版といったところか。

全編にわたって幻想的な雰囲気が濃厚に漂い、
その中で次々に猟奇的な事件が起こっていくのだが
ラストの解明シーンでは、それぞれの事件について
合理的な理屈づけがされていきホラーではなく、ミステリとして着地する。
このあたりは島田荘司を彷彿とさせる。

ただ、発端となる "聖母降臨" の謎解きは期待外れかなあ。
まあわかりやすい解決ではあるのだが、
このシリーズの中でこういう "現象" を取り上げるのだから
シリーズにふさわしい、ひと捻りした "からくり" が
欲しかったなあとも思う。

ちなみに表紙の美女がフィオナ。
作中でも彼女がイラストにあるような "コスプレ" で
捜査に出かけるシーンがある。
美人なんだが、しゃべり方もファッション感覚も、
ついでに言えば男の趣味(笑)も一般人とかけ離れている。
でもそれが彼女の魅力なんだけどもね。

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