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バチカン奇跡調査官 ゾンビ殺人事件 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官 ゾンビ殺人事件 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 ゾンビ殺人事件 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する天才科学者の平賀と、
その相棒で古文書の解析と暗号解読の達人・ロベルト。
「奇跡調査官」である神父二人の活躍を描く第15弾。
短編集としては3冊目になる。


「チャイナタウン・ラプソディ」
昇進という名目で閑職に追いやられているFBI捜査官ビル・サスキンス。
たった一人の部下は台湾系アメリカ人で通称ミシェル、
本名は周弥貝(ジョウ・ミーベイ)という。
その彼の婚約者が何者かに誘拐された。ビルとミシェルは、
彼女を捜してワシントンのチャイナタウンに向かうが・・・
「中華風ゴーストバスターズ」とでも呼びたくなる
コメディタッチな伝奇アクションが展開する。

「マギー・ウォーカーは眠らない」
ライジング・ベル研究所の主任であるマギー・ウォーカー博士は
カリフォルニア州サンノゼを訪れていた。
車を運転していた彼女は黒服の男たちが女性を殺す現場に遭遇し、
マギーは残された幼い少年・ダニエルを保護する。
女性の背後の事情も気になるが、それ以上に気になるのは
人間嫌いで友人も恋人も作らないマギーが、
成り行きとはいえ子供と暮らす羽目になったこと。
いったい彼女はダニエルをどう扱うか?
実験動物みたいに飼う? それとも少しは "母性" を刺激される?
で、その結果は・・・ある意味予想通りではあったね(笑)。

「絵画の描き方」
バチカン美術館の修復士見習い・ジジが、平賀のもとを訪れた。
中世の画家リューベンの油絵の修復について相談をするためだ。
ロベルトも巻き込んで、描かれた当時の絵の具の再現に成功する三人。
他にもリューベンの絵を捜すジジだが・・・
ロベルトが語る中世の顔料の蘊蓄は面白いが、
真実を知ることが必ずしも幸福ではない、という言葉を思いだす。
ラストは意外な成り行きにちょっとほっこりする。
ちなみに本作はミステリでもホラーでもない。敢えて言えばラブコメ?

「ゾンビ殺人事件(独房の探偵2)」
イタリアの森で、土の中から現れたゾンビが人を襲う事件が起こる。
捜査に当たったカラビニエリ(国家治安警察隊)のアメデオは、
獄中にある天才少年にして凶悪犯罪者ローレンを訪ねる。
彼の指示のもと、アメデオは
プロファイラーのフィオナとともに現場へ向かうが
そこでさらに二体の腐乱死体を発見する・・・
今回もローレンの安楽椅子探偵ぶりが拝めるのだが
怪奇な現象を科学的に見事に解き明かす(こじつける?)ところは
毎度のことはいえ、たいしたものだ。

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