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GODZILLA 怪獣黙示録 [映画]

やっぱり日本の正月はゴジラでしょう。
私が幼い頃、年末年始の夕方といえば、
TVでゴジラやガメラや「妖星ゴラス」とか「地球防衛軍」とかの
特撮映画が毎年のように放送されていた記憶がある。

私の実家は当時、自営業だったので年末は書き入れ時。
一家総出で商売に勤しんでいたので
幼かった私たち三人兄妹の世話まで手が回らず放置状態。
必然的に私たちは "TVがお友達" な歳末を過ごしていたわけだ。

だから、年末年始は怪獣映画、ってイメージが未だに残っている。
そんなわけでもないだろうけど、
近所のTSUTAYAでこの本を見つけたら買ってしまったよ。


GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)

  • 作者: 大樹 連司(ニトロプラス)
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/10/25
  • メディア: 文庫
内容は、以前に記事を書いた映画「GODZILLA 怪獣惑星」の
前日談である。


1999年に怪獣が出現し、
2048年に人類は地球を捨てて移民船で旅立った。
そのあたりはほとんど映画本編の中では語られなかったのだけど
そこの部分を補完するのが本書というわけだ。

およそ50年に及ぶ人類と怪獣の戦いの記録
(とはいっても、そのうち99%は人類の敗北の連続なんだが)
を、生き残った人々に対するインタビュー集、という体裁で
まとめたものになっている。

 語り手(インタビューの聞き手)の名は明かされないが、
 映画を先に見ていた人なら、見当はつくだろう。

当初、地球上に出現した怪獣も多岐にわたり、懐かしい名前が並ぶ。
カマキラス、アンギラスやビオランテなどはもちろんだが
ドゴラやマンダなどゴジラ映画 "出身" ではないものも現れる。

変わったところでは、ヘドラが人類の作りだした生物兵器として
登場したりするが、逆に人間側に甚大な被害をもたらしたり。

人類は果敢に戦うものの、次第に劣勢となり
生存領域をどんどん狭められていく。

そして2030年のゴジラ出現が人類の息の根を止める。
核を含めて、あらゆる兵器が通用せず、他の怪獣たちでさえ
ゴジラを怖れて逃げ出すという、まさに "怪獣王" の登場だ。

終盤では、2035年のイクシフ、2036年のビルサルドという
異星人との接触により、彼らから得たオーバーテクノロジーを投入した
"超兵器" も登場する。一例を挙げると、"海底軍艦"「轟天」とか。

ここで登場する兵器群は、もう私のようなオールドファンからは
懐かしい名前のオンパレードである。このへんは読んでのお楽しみだろう。

 ちなみに、対怪獣戦で戦果を挙げた「轟天」で副長を務めた人物が
 映画で登場する移民船アラトラム号の船長に抜擢された、
 という設定も明かされる。

もっとも、このような新兵器で一矢を報いることが出来たのは
あくまでもゴジラ以外の怪獣相手の場合であって、
肝心のゴジラ本体には全く歯が立たず、
総体的には人類の滅亡までの時間稼ぎにしかならなかったのだが・・・

最終的に人類は、5大陸のうちの4つと、人口の大部分を失い、
南米の一部に細々と生き残るのみとなってしまうのだけれど、
そこまで至る原因は必ずしも怪獣だけではない。

怪獣によって行政府が崩壊した地域や国家の支配権を巡って
近隣諸国の武力衝突が起こったり、
大量に発生した難民の受け入れによってさらなる混乱が起こったり。
さらには怪獣殲滅を口実に他国の首都に攻撃を加えたり・・・

現在でも世界各地で起こっている紛争が
怪獣の出現によって桁違いのスケールで増幅されてしまう。
もともと人類は緩慢に自滅へ向かっており、
怪獣の出現はそれを早めただけなのでないか、と思ったりする。

語り手(インタビューの聞き手)はしばしば独白する。
あの時、人類が団結して怪獣に対抗することが出来れば
また違った歴史があったのではなかろうか、と。

 とは言ってもゴジラが出現した時点で
 人類の運命は決まってしまったのだが・・・

ラスト近くでは、映画本編の主役を務めるハルオ・サカキの
両親の馴れ初めも描かれる。

そして、本書の最終ページでは語り手の正体も明かされ、
そのまま映画の冒頭へつながる構成になっている。

映画の背景が知りたい人や、私のように
東宝怪獣映画のオールドファンの人なら、
興味深く読めるのではないかな。

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