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マジンガーZ INFINITY [アニメーション]


オリジナルの「マジンガーZ」は、
1972年12月から74年9月まで放映されたTVアニメ作品で
人間が乗り込んで操縦する人型ロボット兵器という概念は
その後の日本アニメの歴史を変えたと言っても過言ではないだろう。
それが45年の時を超え、劇場映画として甦った。

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<あらすじ>

かつて世界制服を目論んだ悪の天才科学者Dr.ヘル、そしてミケーネ帝国。
剣鉄也のグレートマジンガーと共に彼らに立ち向かい、
打ち破った兜甲児とマジンガーZ。

その戦いから10年―。

謎の復活を遂げたDr.ヘルは、夥しい数の機械獣軍団と
富士山中に眠っていた超巨大遺跡インフィニティによって、
世界に破滅をもたらそうとしていた。

頼みのグレートマジンガーと鉄也は、熾烈な戦いの中で行方不明となり、
最後の希望となったマジンガーZが、再び立ち上がる・・・


<10年後の世界>

リメイクではなく、TVシリーズの世界を引き継いだ続編である。

兜甲児はパイロットから科学者へと転身し、"新" 光子力研究所の
研究員となっている。
戦いのパートナーだった弓さやかは、なんとその新光子力研究所の
所長になっていた!
そして、前所長であった弓教授は、なななんと!
日本国の首相になっていたのですよ、奥さん!(誰)。

戦いの後、剣鉄也とパートナーの炎ジュンは統合軍に残り
甲児の弟・シローもまた軍人となり、
マジンガーZの量産タイプのロボット・イチナナ式に乗っている。
そしてジュンは鉄也と入籍し、現在は妊娠中で臨月も間近い。

いやあ、みんなしっかり10年の月日を過ごし、
境遇や立場が変わってきている。
変わっていないのは甲児とさやかの仲だけだったりする(笑)。


<どんな作り?>

TVシリーズから数えると45年の年月が流れた。
だからいろいろ変わってるところもあるのだろうけど
観た感じでは、驚くほど旧作の雰囲気を残していると思った。

メカがCGになったのはまあ当たり前だろう。
そのおかげで、ぬるぬる動くこと動くこと。
スピーディで迫力のあふれた戦闘シーンは素晴らしいの一言。
もっとも、ここが本作の売りだからね、力も入るだろう。

マジンガーZの無双振りも外連味たっぷりで
ウンカのように押し寄せる機械獣の群れを
圧倒的な強さで蹴散らしてみせる姿はひたすらカッコいい。
リアリティなんて言葉はこの世界に存在しない(褒めてます)。

キャラは、デザインも作画もヘタに現代的にせず、
旧作の雰囲気をうまく残してリニューアルしている。
特に女性陣がいい。人妻になったジュンも、
ストーリーの鍵を握る少女・リサもいいが
なんといってもさやか嬢の可愛さは絶品だ。

Dr.ヘルは自らロボットに乗ってマジンガーZに戦いを挑むなど
ちょっと体育会系になったかな(笑)とも思うが
彼なりに戦う理由を滔々と語るシーンがあって、
単純な "正義vs悪" の物語ではなく、
"異なる正義(価値観)の戦い" になっているところが
時代の変化を感じさせる。

ストーリー自体は単純なのだけど、
いろいろ背景や設定が複雑になっていて
そのための新キャラがリサという少女。

序盤と終盤では、彼女の台詞がそのまま状況説明になっている。
便利すぎてちょっと都合よすぎな気もするんだが
この作品でそういうところをあげつらうのは筋が違うのだろう。

ロボットアニメで始まり、終盤まで紛れもなくロボットアニメなのだけど
クライマックスはファンタジーっぽくなる。
リサちゃんなんてほとんど魔法少女みたいなノリになってきて
このへんはちょっと好みが分かれるかも知れない。


<声優>

兜甲児を演じるのは森久保祥太郎。
オリジナルの石丸博也とはかなり声の質は異なると思うんだけど
「マジーン、ゴォー!」とか「ロケェット・パァァンチ!!」とかの
叫ぶ声はとてもいい。実際、聞いていて違和感は全く感じなかったよ。
かなり旧作の演技を研究したんじゃないかな。

Dr.ヘル役の石塚運昇も禍々しい雰囲気がよく出ていてGOOD。

アシュラ男爵は朴璐美と宮迫博之。喋るタイミングもぴったりだし、
宮迫も声優ではないけど違和感なくこなしてる。

ブロッケン伯爵は藤原啓治。
1年半ぶりくらいで病気療養から復帰ですね。
クレしんのパパで有名な人なんだけど、
こういう "イっちゃった" キャラをやらせても絶品なんだよね。

剣鉄也の関俊彦はともかく、
炎ジュン役の小清水亜美はねえ・・・宝の持ち腐れ感が半端ない。


<音楽>

音楽は渡辺俊幸氏。オリジナルを担当した渡辺宙明氏のご子息だ。
宮川泰・彬良に続き、親子二代で同一作品を担当ですね。
もっとも俊幸氏ご本人は、お父さんの曲に合わせようなんて気は
あんまりないらしく、水木一郎氏が歌うテーマソングの新アレンジは
なんだか「ゴーゴーファイブ」みたいだけど(笑)。


<どういう人向け?>

私個人は、充分に楽しませてもらった。
迫力のあるアクションシーンは心躍ったし、
マジンガーZ最後の出撃シーンは感涙ものだった。

ところどころ、郷愁なのか何なのかよく分からないが
"謎の感動" (笑)があって、何度か目頭が熱くなったことを告白しておこう。

オリジナルを知る人にとっては、予想外の続編であり
甲児とさやかの仲に決着がつく完結編でもある。
正月映画ということもあって
思わぬ "お年玉" をもらった、というところか。

ただ全て手放しで褒められるかというとちょっと首を傾げるところも。
旧作の雰囲気をよく受け継いでいると書いたが
ギャグシーンもお色気シーンも旧作のままというのはどうか。
ボスボロットがコケるシーンはまだご愛敬で済むが
ビューナスA軍団の登場は、何か意味があったのか?
センスがいささか古いと思うんだが、そう感じるのは私だけ?
まあ、そこも含めてマジンガー世界なのかも知れんが。

オリジナルを観ていた世代の人なら、
本作が楽しめるのはほぼ間違いないと思う。

でも、ガンダムやエヴァンゲリオンみたいな
"リアルロボットもの" で育った世代には
本作からは "荒唐無稽さ" しか感じないかも知れない。
(本作の場合は、その荒唐無稽さこそ "命" なんだけどね)

若い人たちは、本作に対してどんな感想を持つのだろう。

興行作品としては、なるべく広い世代に
観てもらえる作品でないと困るのではないかなぁ。

もっとも、聞くところによると本作は世界展開を考えていて
日本より先にイタリアとフランスで公開済みらしい。
本作のファンは海外にも多いらしいので
国内の興収はどっちに転んでも、
海外からの収益で充分ペイできるのかな?

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