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ねらわれた女学校 セーラー服と黙示録 [読書・ミステリ]


ねらわれた女学校 セーラー服と黙示録 (角川文庫)

ねらわれた女学校 セーラー服と黙示録 (角川文庫)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/09/22
  • メディア: 文庫
評価:★★★

三河湾に浮かぶ人工島に建つ全寮制の探偵養成学校、
聖アリスガワ女学校を舞台に島津今日子、古野みづき、葉月茉莉衣の
女子高生3人組が遭遇する事件を描く、シリーズ第3巻。
今回は4編収録の短編集だ。

「消えたロザリオ」
今日子の同級生・井の頭竜子が所有しているロザリオがなくなった。
捜索を頼まれた3人組は、消失した時間帯である
水曜日の5時間目から7時間目の間、授業を抜け出すことのできた生徒を
ピックアップした結果、容疑者は3人にまで絞り込まれたが・・・
ラストは、密閉空間であり閉鎖社会である女子校ならではの解決法かな。
ちなみにロザリオとは、カトリックで祈りを唱えるときに用いる
数珠状のもので、円環の一端に十字架がついている。
私は十字架そのものをロザリオというのかとばかり思ってたが
十字架はあくまでロザリオの一部でしかないらしい。

「とらわれた吸血鬼」
夕刻の図書室で今日子は一人の少年と出会う。男子禁制のはずの学園内で。
しかし少年は一瞬にして姿を消してしまう。そこへ現れた校長・古賀は
少年のことを「殺人鬼」と呼ぶのだった。
そしてその夜、3人組の前に再び姿を現した少年の正体は・・・
ミステリと言うよりはホラー風味のドタバタ・コメディだね。

「あらわれた悪魔」
寮の部屋でせっせとレポート書きに勤しむ今日子たち。
消灯時間を迎え、今日子は寮を抜け出して学内にある教会へ向かう。
そこに聖書を置き忘れてきてしまっていたのだ。
シスターに発見されると厳しいお仕置きが待っている。
無事に聖書を回収した今日子だが、
その帰りに学内の広場で驚くべき光景を目撃する・・・
いやあ、この後の出来事がまた凄まじい。
カトリックの学校、しかも女子校でここまでやっていいんですかねえ。
まあ、この学校自体がまともな存在じゃなくて、
実は壮大な陰謀の隠れ蓑らしいし、
それに敵対する組織なんてものも今回出てきたみたいだから、
この流れは続くんだろうなあ。

「ねらわれた女学校」
今日子が目覚めたとき、彼女は謎の空間に捉えられていた。
そこはエッシャーの騙し絵のように無限に続く無限階段。
彼女は脱出方法を導き出すべく、懸命に考え続ける。
同じ時、みづきと茉莉衣もまた同様の空間に囚われていたのだった。
これはミステリと言うよりはパズルなのだろうな。
そして、彼女たち(というよりは学園)の敵が、
具体的に名前を持った存在として現れる。
彼ら(彼女ら?)が、今後のストーリーに絡んでくるんだろうなあ。
それを知らずに3人組たちは陰謀に翻弄され続けるわけだ。
もっとも、そんなものは軽々と吹き飛ばしてしまいそうな
逞しいお嬢さんたちではあるが。

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