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呪い殺しの村 [読書・ミステリ]


呪い殺しの村 (双葉文庫)

呪い殺しの村 (双葉文庫)

  • 作者: 小島 正樹
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/03/14
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

本書の探偵役・海老原公一は、日本各地に伝わる
『不思議な力を持つ一族』のことを調べている。
なぜそんなものを調べているのかは、本文中に説明がある。

調査の一環として、大学時代の恩師の娘・沙川雫美(さがわ・しずみ)と
ともに宮城県南部の不忘(ふぼう)村を訪れた海老原は、
村の旧家・糸瀬家の当主・俊一郎が
”千里眼” を行う儀式に立ち会うことになる。

「仙台市内でムラオカトシオという男が刺された」

俊一郎が儀式を行った芝居小屋は、
外部との通信手段が完全に断たれた建物で、
彼はそこにいながら、村から40km以上離れた場所で起きた
刺殺事件を ”透視” してみせたのだ。

糸瀬家は代々、「千里眼」「予知」「呪殺」の ”三つの奇跡” を
自在に操ってきたのだという。そのため、
”憑き筋の家” と呼ばれ、村人たちから忌み嫌われてきた。


一方、東京都内の一軒家で、染矢幹雄という男の死体が発見される。
捜査陣は自殺と判断するが、管理官の鴻上心(こうがみ・しん)は
納得できず、独自の捜査を始める。

さらに幹雄の妻・芙由美(ふゆみ)が密室状態のもとで殺害されるに及び、
犯人の動機は血縁にあるのではとの疑いを持った鴻上は
芙由美の出身地である不忘村へ向かう。

鴻上は、村で出会った海老原に反発を覚えながらも
捜査を進めようとするのだが・・・


”千里眼”、密室以外にも、多彩な謎がてんこ盛りだ。
東京では、芙由美の娘・織女(おりめ)の周囲に現れる謎の男、
彼女が行きつけのケーキ店で知り合った年配の女性の不可解な行動。
不忘村では、過去に幼女の失踪事件があり、
旧弊な染谷家と糸瀬家の長年にわたる確執と
それに伴って起こった事件も多々あり、
さらには深い洞窟まで存在していて、まさに横溝正史の世界。
終盤に現れる ”空飛ぶ雪だるま”(笑)の謎は、島田荘司的か。

一つの謎の裏には、いくつもの過去の経緯が積層していて
それが複雑につながっているのだけど
海老原の推理がすべてをきれいに解き明かしていく。

トリックも手が込んでるけど
密室トリックはかなりタイトでアクロバチック。
まあ可能性を云々するジャンルではないので、これはこれでOK。
でも、さすがに ”千里眼” のトリックは奇抜すぎるかなぁ・・・
さすがは ”やりすぎミステリの伝道師”(笑) だね。

私はこの手の話は大好きなので、これからもどんどん、
ぶっ飛んだミステリを読ませてもらいたいなあ。

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