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ルパン三世 THE FIRST [アニメーション]


「ルパン三世」を映画館へ観にいったのは、
「カリオストロの城」以来かなあ。だとしたら40年ぶりだなあ・・・
なんてことを思いながら観て参りました。

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タイトルの「THE FIRST」には
初代アルセーヌ・ルパン(一世)絡みの話だということと
「ルパン三世」史上初の3DCGアニメということ、
という2つの意味が込められてるらしい。


時代設定は第二次大戦終結から十数年後、
とあるので1960年代初頭あたりか。
これには映画後半の展開が絡んでいるのもあるけど
インターネットもスマホもPCも存在せず、その代わり
レシプロエンジン(プロペラ駆動)の飛行機が登場するなど
適度にレトロな雰囲気もあって、私なんかには懐かしい世界観だ。


考古学者ブレッソンが研究成果を記した「ブレッソン・ダイアリー」。
かのルパン一世が唯一、盗み出すことに失敗したという因縁のお宝。
それには途方もない財宝の在処(ありか)が記されているという。

ルパン三世は、その「ブレッソン・ダイアリー」を盗み出そうとするが
彼の目の前でダイアリーは横取りされてしまう。
そのさなか、ルパンはレティシアという少女と知り合う。
考古学に精通する彼女とともにダイアリーを追ううちに、
ダイアリーの財宝を狙う謎の秘密組織と対決する羽目に・・・


ストーリーとしては「カリオストロの城」と「インディ・ジョーンズ」を
混ぜて、味付けに「ふしぎの海のナディア」を少々振りかけた感じ。
目新しいところやオリジナルな要素というのはほぼ皆無。
話の流れも、進む先が容易に予想がつくもので、
”意表を突く展開” というのも、ほぼない。
いわゆる ”ベタなストーリー” というやつだ。

例えば、ルパンがダイアリーにつけられた錠を開けるパスワードを
あれこれ考えて突き止めるシーンがあるのだけど、
映画を冒頭から観ている観客には、推定することは容易だろう。

いわゆるご都合主義な展開も多い。
ルパンが絶体絶命なピンチになっても、必ずと言っていいほど
救いの手が現れる。それもジャストタイミングで。

さて。

じゃあダメダメなのか、というとそうでもないんだなあ。
粗を探せばいくらでも出てくるけど、
私はおよそ90分の上映時間中、十分に楽しませてもらった。
時には笑い、時には目をうるませて。
映画館が近ければ、もう一回くらい観にいってもいいなあ。


確かに ”ご都合主義な展開” のシーンに出会ったときは
「おいおい」って思うんだけど、この映画全体の流れが
リアリティや整合性よりも ”ノリと勢いで押していく” ことを
最優先させるという姿勢で徹底していて、
観客をそっちに引きずり込むことを目指している。

”ベタなストーリー” って書いたが、言い換えれば過去の作品の
”いいとこ取り” でもあるわけで、そう割り切ってしまえば
分かりやすくて安心して観ていられる(笑)。

 ある意味「水戸黄門」みたいなものだね(笑)。

”お約束の展開” の連続でもあるので話もスピーディに進むし、
いろんな意味で ”分かりやすい”(笑)ので、
それこそ小学校低学年から80歳超えのご老体まで、
どんな年齢層でも楽しめるだろう。

難しいことは考えず、アタマの中を空っぽにして
ルパンとレティシアの掛け合いを楽しむのが
この映画の正しい楽しみ方なのだろうと思う。

だから、制作陣の思惑通りに映画の流れに乗れた人は楽しめるし、
流れに乗れない人は「とんでもない作品だ」って怒り出すだろう。


ネットでの評判を観てみると、やはりというか
好評/不評で真っ二つみたいだ。
「ルパン三世」の真面目で熱心なファンほど、
こういう穴だらけのストーリーが許せないのかも知れない。


次元と五右衛門の活躍シーンが少ないのも減点ポイントかなあ。
この二人は映画の途中ではほとんど見せ場がなく、
簡単に敵に捕まったりといいところが全くない。
二人が目立って活躍するシーンはラスト近くにあるのだが
ダイジェスト版みたいにあっさりと流されてしまうので
次元と五右衛門のファンの人もまた怒り出すかも知れない。

ただまあ、ここで尺を使ってしまうと、
ラストの盛り上がりがぼけてしまうだろうと思うし。
90分の中では難しいのかな。
120分の尺があればまた構成が変わってくるとも思うが。


あと、観ていて思うのは制作陣(というか、たぶん監督)は
かなり「カリオストロの城」を意識してるんだな、ということ。

「カリオストロー」と同じような台詞回しもあるし
名シーンを彷彿とさせるところもあるし。
ラストシーンなんかまさにそれ。

一番の共通点は、ヒロインであるレティシアの存在。
でもまあ、クラリスとはかなり設定が異なるけどね。

レティシアは勝ち気で元気いっぱいだけど、
未来の考古学者を夢見る、聡明で才能あふれるお嬢さんでもある。
CVは広瀬すず。頑張っているけど、ちょっと肩に力が入りすぎな感じ。
この映画はプレスコ(台詞先録り)方式だったらしい。
収録はなんと2年前。「なつぞら」の撮影に入る前じゃないかな。
朝ドラで1年間鍛えられた今なら、もう少し上手いかも知れないね。


他の声優さんについても書いておくかな。
レティシアの ”育ての親” のランベールは吉田鋼太郎。
この人の ”声優業” は初めて見たけど、意外と達者。
謎の秘密組織のリーダー・ゲラルトは藤原竜也。
これも広瀬すずと同じく、力が入りすぎて前のめりな感じ。
ルパンと最後まで対峙する役なので、
目一杯張り合わなければいけないのは分かるけどね。

ルパンのCVは山田康雄以外考えられない・・・って思ってきたけど
気づけば栗田貫一も20年以上やってるんだね。
本作を観ていて、私の中の違和感はかなりなくなってきたかな。
五右衛門の浪川大輔、銭形の山寺宏一は期待通りの出来映えです。
そして不二子の沢城みゆきはやっぱり絶品。
妖艶な美女を演じさせたら当代一じゃないかなあ。

次元の小林清志さん。御年は既に80歳超えとか。
愛着があるのは分かるけど、そろそろ後進に道を譲るべきだなあ。
ちょっと前に放映されたTVスペシャルを観たのだけど愕然とした。
ここまで劣化してるとはねえ・・・観続けるのが辛くなってしまったよ。

別に声優そのものを止めろとは言わない。
年齢を重ねたからこそ、できる役もあるし。
体が続く限り頑張ってもらって結構。

でも、次元役はねえ・・・
本人は満足してても、ファンはそう思ってないかも知れないよ・・・

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