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リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断 [読書・ミステリ]


リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/04/04
  • メディア: 文庫
評価:★★★

語り手は「懇誠リサーチ」で働く保険調査員の江崎。

彼が行きつけの定食屋で知り合った女性・友永久里子は、
国立T大学で再生科学の研究をしている。
江崎が担当する事件で久里子に相談し、彼女がその知識で解決に導く、
というシリーズの第2巻。

江崎は久里子に思いを寄せ、彼女もそれを受け入れて
前巻のラストで二人は婚約まで交わすが、
あくまで彼女の一番の生きがいは研究。
というわけで、久里子はアメリカへの2年間の留学に旅立ち、
江崎はその間、待ちぼうけをくわされることに(笑)。

その久里子が留学を終え、まもなく帰国する
・・・というところから本書は始まる。

「Research 01 契約と選択」
アパートのオーナー・園部朝子が群馬県の妙義山をハイキング中に
スズメバチの大群に襲われ、命を落としてしまう。
朝子の生命保険の受取人は夫の啓治。
彼は婿養子でアパートの管理人業務を一手に引き受けていた。
江崎は保険金目当ての殺人を疑うが・・・
ラストで明かされる被害者の遺志がなんとも衝撃的。

「Research 02 死の階段」
家電メーカーで働く増田徳也が脳梗塞で死亡する。
生命保険の受取人は妻の香奈恵。
しかし香奈恵の前夫もまた突然死していたことから
江崎は、徳也の死にも何らかの作為があるのではと疑う・・・
この手の殺人には、他にも同様の作品があるけれど
真犯人の造形がこの作者ならでは。

「Research 03 失踪の果つる地」
平泉由里という女性から夫・努の失踪宣告を求める申請が
家庭裁判所に提出された。努の失踪から7年が経過しており、
失踪宣告が出れば死亡扱いとなって、生命保険金を受け取れる。
努の失踪は偽装ではないかとの疑いを持った江崎は、
由里の情報を集め始めるが、彼の前に謎の若い女性が現れて・・・
解決への手がかりを与えてくれるのは久里子さんなんだが
この分析操作って、本人に無断でやっていいのかなぁ。

「Research 04 生命の未来予想図」
江崎の務める懇誠リサーチに、保険会社〈プラネット生命〉から
調査依頼が来る。最近、がん保険の給付金支払いが急増しているが
それがある病院に集中しているのだという・・・


本編と並行して、江崎と久里子の結婚へ向けての準備というか
いろいろな段取りが描かれていく。
とにかく人生は山あり谷間ありで、いろんな困難を
乗り越えていかなくてはならない。
そしてそれは、この二人だって例外ではなく、終盤近くになって
結構大きな ”困難” がどどーんと押し寄せてくるんだが・・・

いやあ、江崎くん、君は偉いよ。

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