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シャーロック・ノートII 試験と古典と探偵殺し [読書・ミステリ]


シャーロック・ノートII: 試験と古典と探偵殺し (新潮文庫nex)

シャーロック・ノートII: 試験と古典と探偵殺し (新潮文庫nex)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

本書の舞台はパラレルワールドの日本。
探偵能力に秀でたものは「探偵士」の称号が与えられ
さまざまな特権を与えられる。
中央官庁の現衛庁(げんえいちょう)と
半官半民の日本探偵公社には、
古今の名探偵たちが多く所属している。

主人公・剣峰成(つるみね・なる)が入学した鷹司高校は
日本に2校しかない探偵士の養成学校だった。

クラスメイトの太刀杜(たちもり)からん(文庫表紙のイラストは彼女)、
生徒会長の大神五条(おおがみ・ごじょう)たちとともに
成が過ごす学校生活、そしてそこで起こる事件を描いていく。

「第一章 試験と名探偵」
鷹司高校で ”正典試験” が行われた。
シャーロック・ホームズの活躍を描いたのが ”正典” で、
それについての正しい解釈を問うものだ。
その試験で1位をとった時巻暦(ときまき・こよみ)に
カンニング疑惑が持ち上がる。
成は、暦が属する学生寮の寮長・九十九蘭子(つくも・らんこ)から
彼女の疑いを晴らすように依頼される。

「第二章 古典と名探偵」
往年の名探偵・金田一剛助は鷹司高校の特別顧問だ。
高校を訪れた金田一は成とからんを呼び出し、
殺人の捜査に協力しろと告げる。

「第三章 学園裁判と探偵殺し」
一度は晴れた時巻暦のカンニング疑惑だが、
彼女の周囲から新たな物証が現れる。
生徒会は、この件で ”学園裁判” を開くことになり、
それは現役の名探偵たちも傍聴するという ”将覧試合” となった。
暦の弁護人役となったのは太刀杜からん。
そして検事役となったのは、千草浅葱(あさぎ)。
往年の名検事・千草泰宗の養女だ・・・


どんでん返しが続く ”裁判” シーンを描かせたら右に出る者はない。
さすがは「ルヴォワール」シリーズの作者だ。

カンニング事件の意外な真犯人、そしてその背後には
さらに謎の組織の暗躍があったことも明らかになる。
シリーズとしての展開も楽しみになってきたね。

作品世界の名探偵として、過去の作品の探偵さんが登場するのも楽しい。
(耕助→剛助みたいにちょっと名前をいじってあるけど)
私もそれなりにミステリを読んできたつもりだけど、
元ネタが分からない探偵さんも何人かいる。
これ全部分かる人はたいしたもの・・・なのだろうなあ。

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