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アンソロジー 捨てる [読書・ミステリ]


アンソロジー 捨てる (文春文庫)

アンソロジー 捨てる (文春文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/10/06
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

女性作家の集まりである「アミの会(仮)」によるアンソロジー。
変わった名前の由来は「あとがき」に詳しい。

この会は、いままでいくつものアンソロジーを出しているようで、
これから続々と文庫化されていくのではないかな。
今回は「捨てる」がテーマ。


「箱の中身は」大崎梢
叔父のフォトスタジオを手伝っている ”僕” は、
公園で小さな箱を持っている女の子に出会うが・・・

「蜜腺」松村比呂美
梓の夫・淳一は自宅マンションの風呂場で練炭自殺を遂げた。
自らの生命保険金で、母親の借金を精算するためだったのだが・・・
梓の姑を、本当にろくでもない人間に描く、その筆致がスゴすぎる。

「捨ててもらっていいですか?」福田和代
一人暮らしをしていた祖父が亡くなり、遺品整理に訪れた朱里(あかり)。
しかしその中に、1丁の拳銃を発見してしまう・・・

「forget me not」篠田真由美
母が急逝し、膨大な遺品が残された。
その処理に忙殺されて精根尽き果てた ”私”。
最後に残ったのは、謎の壺が一つ・・・

「四つの掌編」光原百合
「戻る人形」はホラー。「ツバメたち」はある童話の再解釈。
「バー・スイートメモリーへようこそ」は酒場での男女の一幕。
「夢捨て場」はファンタジー。

「お守り」新津きよみ
祖母からもらったお守りは、願い事をことごとく叶えてくれた。
しかしそのことを中学校の同窓会で友人に話してしまい・・・

「ババ抜き」永嶋恵美
会社の保養所へ泊まりに来た女性社員3人組。
負けたら一つずつ秘密を打ち明ける、という縛りをつけて
ババ抜きを始めるのだが・・・

「幸せのお手本」近藤史恵
優しい夫・良太郎とともに暮らし、
幸福のさなかにあったはずの樹里(じゅり)。
しかしその歯車は少しずつズレ始めていく・・・

「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」柴田よしき
専業主婦の花子はある日、ゴミ集積場に
パンジーの株を捨てようとした男・田川と出会うが・・・


ミステリに限らず、サスペンスありホラーありと作風もいろいろ。

人間、いつかは死ぬわけで、冥土には何も持って行けない。
ということは、いま手にしているものはどうなってしまうのだろう・・・
なぁんてことを考えてしまったよ。

星の数が少なめなのは、後味が悪い作品が多かったから。
小説としてはとてもよくできてるんだけど、単に私の好みの問題です。

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