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天冥の標VI 宿怨 [読書・SF]


天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/05/10
  • メディア: 文庫
天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/23
  • メディア: 文庫
天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: 文庫
大河SF「天冥の標」シリーズ、第6部。

第1部「メニー・メニー・シープ」では
西暦2803年に植民星で起こった内乱を綴られ、
第2部「救世群」では2015年に戻って
感染症・”冥王斑” の地球上でのパンデミックが語られた。
第3部「アウレーリア一統」は、2310年の小惑星帯を舞台に
異星人の残した謎の遺跡 ”ドロテア・ワット” を巡るスペース・オペラ。
第4部「機械仕掛けの子息たち」はその3年後、
性的遊興小惑星ハニカムを舞台にして
セックスで人間に奉仕するロボットたちを描いた官能小説。

前半部のトリとなる第5部「羊と猿と百掬の銀河」では、
2349年の小惑星パラスと6000万年前の太古の宇宙を交互に描き、
作品世界の背景になる太古からの物語が綴られた。

そして後半の劈頭を飾るこの第6部は、太陽系に起こる大破局を描く。


物語は第5部の150年後、2499年に始まる。

宇宙島群スカイシー3は、地球の生態系を保存する目的で建設された
巨大なスペースコロニーの集合体。
そこを訪れていた《救世群》の少女イサリ・ヤヒロは
氷雪状態のコロニー内で遭難してしまう。
彼女を助けたのは《非染者》の少年アイネイア・セアキだった。

奇しくもイサリは、《救世群》議長モウサの長女であり
アイネイアの母は、実質的に太陽系世界を支配する巨大企業MHD
(マツダ・ヒューマノイド・デバイシズ)社の筆頭執行責任者だった。

折しも太陽系では、冥王斑患者の権利拡大を目指す《救世群》と、
逆に封じ込めを強めようとするMHD社の緊張が高まっていた。

第5部のラストで示されていた、太陽系に接近しつつある
地球外知性体の宇宙船は、その後行方不明になっていたが
密かに太陽系に到着、《救世群》と接触していた。

強硬路線を主張する《救世群》副議長ロサリオとイサリの妹ミヒルは
異星人のオーバーテクノロジーを利用して軍備を強化、
ついに人類に対して宣戦を布告する。

《救世群》の宇宙艦隊は地球へ侵攻、
それに対抗してMHD側も太陽系艦隊を差し向ける。
物量では圧倒的に不利な中、ロサリオとミヒルは
人類史上最凶最悪の作戦を発動しようとする。

平和を願うアイネイア、人類との共存を望むイサリ。
若者二人の運命は大きな歴史の渦に飲み込まれていく・・・


長大な時間を描く大河ドラマらしく、
各時代間の人のつながりもまた感慨深い。
こちらも長い時間付き合っているので、
各キャラへの思い入れも深くなる。

第5部のタックとアニーの子孫も登場するし、
第6部の ”動乱” の300年後を描いた第1部に登場する
カドム・セアキは、アイネイアの子孫かな? と思わせるなど、
知っている ”姓” が登場すると嬉しくなってしまう。

さらに第1部には、本書のイサリと同姓同名のキャラも登場するのだが、
読んでいる限り、同一人物のように描かれているような・・・
イサリ以外にも、第1部で ”歴史上の人物” として
名前が出てくるキャラも登場する。
そのへんも、これから明かされていくのだろう。

しかしアイネイアの物語はまだ終わっていない。
実はこの記事をupする今日、わずか数時間前に
第7部「新世界ハーブC」を読み終わったんだが・・・

第6部のエピローグの直後から続く物語になっていて、
アイネイアと彼の仲間たちが辿る、
長く苦しい旅の終着点までが描かれる。

この壮大な物語の全貌が明らかになるのは間もなくだ。

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