SSブログ

死香探偵 連なる死たちは狂おしく香る [読書・ミステリ]


死香探偵-連なる死たちは狂おしく香る (中公文庫)

死香探偵-連なる死たちは狂おしく香る (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/02/22
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

主人公・桜庭潤平は、特殊清掃員として働いているうちに
遺体の放つ屍臭を「いやな臭い」ではなく「食べ物の香り」に
感じるような特殊体質になってしまう。

ちなみに特殊清掃とは、孤独死した住人の部屋を、
腐乱した遺体を含めてきれいに ”清掃” すること。

東京科学大学の薬学部准教授・風間由人(よしひと)は
潤平の特殊能力に気づき、彼を助手として採用する。

この二人組が殺人事件の真相に迫っていく連作短編集、その第2弾。

「第一話 歪んだ愛が招く死は、ほろ苦い香り」
アパートの一室で首つり自殺をした男・浜坂の傍らにあった本は
人気作家・綾羅木(あやらぎ)ハルのサイン本だった。
潤平は、浜坂の遺体の死香とは別に、
サイン本からも別の死香を嗅ぎつけるのだが・・・

「第二話 湯煙に霞む死は、青葉の香り」
潤平は、風間の研究室の学生たちとともに日光の温泉旅館へやってきた。
しかしそこで、彼は旅館の備品の台車から死香を嗅ぎ取ってしまう・・・

「第三話 艶やかな香り、自由の彼方の死より来たる」
東京・八王子の一軒家で、画家の天芥時雨(てんかい・しぐれ)が
絞殺死体で発見される。第一容疑者は、現場のリビングで
眠っていた座馬倫花(ざま・りんか)という女性。
現場となった家は密室状態で、人の出入りは不可能。
しかし捜査に加わった風間は、座馬は犯人ではないという・・・
真犯人が弄した密室トリック自体は冒頭で明かされているのだけど
それがラストでもうひとひねり。これは斬新。

「第四話 安らかな死は、蠱惑的な香り」
潤平は、風間とともに訪れた自殺の現場で死香を嗅ぎつける。
しかしそれは、最近立て続けに起こった3件の自殺現場で嗅いだものと
同じだった。4人の死者は、いずれも特定の抗不安薬服用していたが
医師から処方された形跡はなかった・・・


”死香” という、本書の作品世界でのみ成立する ”証拠” を武器に
事件の真相に迫っていく、という構図は同じ。
もちろん、ミステリとしてみてもよくできてる。
第三話の密室トリックのひねりもいい。

ただ、風間と潤平の関係性がねえ・・・
風間はクールなイケメンで、
潤平は優男で一見して女性と見紛う顔立ち。
事件を重ねるごとに、なにやら
死香ならぬ、BL臭が増してくる(笑)のはいかがなものか。

私はそっち方面の死香、じゃない、嗜好はないので(笑)
なんとも困ってしまうよ。

 


nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ: