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化石少女 [読書・ミステリ]


化石少女 (徳間文庫)

化石少女 (徳間文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/11/02
  • メディア: 文庫
評価:★★★

舞台は京都の名門、私立ペルム学園高校。

2年生の神舞(かんぶ)まりあは古生物部の部長。
こよなく化石を愛し、休日には化石発掘の
フィールドワークに明け暮れる、”化石少女” だ。
黙っていればそこそこ美人なんだが、いかんせん口が悪すぎる。
性格は傍若無人で我が儘いっぱい。学業成績はどん尻(おいおい)。

彼女の他に部員は1人だけ。1年生の桑島彰だ。
まりあとは幼なじみだが、彰の父が勤める会社の社長がまりあの父。
そのせいか、幼い頃からまりあの使い走りをさせられてきた。

娘を心配したまりあの父は、彰の父に頼み込み、
その父から因果を含められ、高校生になった今も
彰はまりあの ”お守り役” を務めされられている(とほほ)。

でもまあ、つき合いが長い分、彰もまりあには
けっこうずけずけとものが言えるのだけど
問題は、まりあにはそれが一向に通じないことだ(笑)。

そんな古生物部は危機にさらされていた。
生徒会が、増えすぎた部活動を整理統合する方針を掲げ、
古生物部も廃部の対象に含められていたのだ。

その学園の中で、事件が発生する。
新聞部部長の福井が殺され、現場から逃げ去った犯人は、
なんとシーラカンスのかぶり物をしていた(笑)。
それは、数年前の文化祭で古生物部が製作したものだった。

福井が新聞部内の不祥事を探っていたことから、
まりあは犯人探索に乗り出す。
不祥事の中身をつかめば、それをネタにして生徒会に
古生物部廃部を撤回させることができる・・・という計算からだが。

かくしてまりあは、彰をワトソン役に引っ張りだし、
探偵気取りで活動を始める。
しかし2人の行動をよそに事件は続き、さらなる死者が・・・


彰からしたら、まりあはとんでもない人間なのだろうが
彼女の自由奔放すぎる言動が本書の大きな魅力になっているのも事実。
台詞にちょくちょく古代生物の名前なんかが出てくるのもご愛敬。

まりあは事件が起こるたびに犯人を ”指摘” するのだが
まず「犯人はあいつだ」と決めつけ、
それに合わせて ”推理” をでっち上げるというとんでもないもの。

当然ながらそれは無理とこじつけと偶然の集合体で
論理も何もあったものではなく、穴だらけだ。
毎回、彰からの容赦ないツッコミでボロボロになってしまう。
それでも挫けないのが、まりあらしいのだが。

後半に入っても着地点がさっぱり見えず、
この話をどうたたんでいくのだろう・・・
って思ってたんだけど、さすがは麻耶雄嵩。
ライトノベル風の出だしから、このラスト。
まさに予想のはるか斜め上の結末で、もうびっくりでしたよ。

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