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マツリカ・マジョルカ [読書・ミステリ]

マツリカ・マジョルカ (角川文庫)

マツリカ・マジョルカ (角川文庫)

  • 作者: 相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公・柴山佑希は高校1年生。
親しい友人もおらず、成績もじり貧。クラスに居場所もない。
そんな冴えない学校生活を送っていた柴山は、
ある日、学校近くの廃ビルで ”マツリカ” と名乗る少女と出会う。

彼と同じ学校の制服を着た彼女だが、登校している様子はなく、
そのビルの中で一日中生活しているらしい。
しかも双眼鏡で校内の様子を観察している。

傍若無人かつ高飛車な物言いで、柴山のことを ”柴犬” 呼ばわりするが
彼女の美貌とナイスなスタイルに魅せられた(笑)彼は
マツリカの ”パシリ” としてこき使われる日々を送ることに。

校内で起こった事件や謎のうち、マツリカが興味を示したもののために
情報を収集するべく、柴山は入学以来避け続けてきた
”他人と関わること” と嫌でも向き合うことになる。

そんな使い走りのワトソン・柴山と
安楽椅子探偵・マツリカの登場するシリーズの第1巻。

「原始人ランナウェイ」
柴山たちの高校に古くからある、"全裸で走る原始人" の伝説。
夕方、旧校舎の裏に謎の原始人が現れ、雄叫びを上げながら
校庭を走っていく、というもの。それに興味を示したマツリカから、
柴山は放課後の校庭の監視を命じられる・・・
"原始人" という突拍子もない存在から、意外な真相が導き出される。
分かってみれば腑に落ちる出来事ではある。

「幽鬼的テレスコープ」
クラスメイトで写真部に所属する女子生徒・小西から
上級生主催の肝試しに ”人数合わせ” として駆り出された柴山。
会場となる学校の裏山は ”隻眼(せきがん)山” と呼ばれ、
かつてそこで少女が暴行され、目を抉られて死んだとの噂があった。
そして肝試し当日、参加したメンバーのうち、
一組の男女がゴールせず、行方不明になってしまう・・・

「いたずらディスガイズ」
毎年、文化祭に ”恐怖ゴキブリ男” なるものが現れるという。
その監視を命じられた柴山だが、演劇を行うD組で
アリスの衣装が盗まれるという事件が発生する。
小西に頼まれ、犯人を捜すことになった柴山だが・・・
彼がメイド姿の小西嬢の可愛さに驚愕するところが一番面白いかな。

「さよならメランコリア」
小西に招かれて写真部の部室に入った柴山は
先輩が撮ったという写真の中にマツリカを発見し、
彼女がこの学校の3年生であることを知る。
家に帰った芝山は、姉の卒業アルバムを開いてみる。
すると、個人写真のページから、
姉の写真のみがきれいに切り取られていた・・・
連作短篇の最後で、いままでの3作で蒔かれていた伏線が回収され
ある ”秘密” が明かされる。

3作目までは、マツリカは実在の人間じゃなくて
魔女かなんかの人外じゃないのかとか思っていた。

高校生とは思えない老成した言動や、人間の心理に対する深い洞察とか。
それに加えて、やたらと柴山くんを性的に挑発してくるところ(笑)とか。

 もっともこれは、彼女が意識してやっているわけではなく、
 (・・・とも言い切れないかな?)
 柴山の方が勝手に妄想を爆発させている(笑)だけなのだが。

それが4作目になると、俄然実在の証拠が現れてくる。
そうすると、今度はなぜ彼女が家にいないで廃ビルで暮らし、
不登校状態を続けているのかが次の疑問になるのだが・・・
家庭に複雑な事情がありそうだというのが本編の中で示唆されるので
次巻以降でおいおい明かされていくのだろう。


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