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宇宙軍士官学校 -攻勢偵察部隊- 4 [読書・SF]

宇宙軍士官学校―攻勢偵察部隊― 4 (ハヤカワ文庫JA)

宇宙軍士官学校―攻勢偵察部隊― 4 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 鷹見 一幸
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/03/31
  • メディア: 文庫
大河スペースオペラ・シリーズの第2部第4巻。

前作では、アンドロメダ銀河への第2次偵察作戦が実施された。
第1次作戦の100倍近い3万5000隻の大艦隊を投入したが
しかし〈粛正者〉側からの予想外の猛反撃を受け、
5000名あまりの将兵がアンドロメダ銀河内に孤立してしまう。

第1次作戦で抗命行為があったとして ”強制休暇” を取らされていた
有坂恵一は、この緊急事態にあたって急遽招集され、
新たに ”上級少将” に任ぜらて救援艦隊を率いることに。

恵一の艦隊は直ちにアンドロメダ銀河へ転移、
撤退中の将兵が不時着した惑星に降り立ち、
戦闘救援行動(コンバット・レスキュー)に入ったのが前巻まで。

地上降下した機動戦闘服部隊(パワードスーツ)は、
原住民の繰り出す多脚戦車を撃退し、
10機の救命パレットを衛星軌道へと脱出させることに成功する。

しかし〈粛正者〉も続々と援軍を送り込んでくる。
あとはこの星系から転移して逃げるだけ・・・となったとき、
海底深くに、さらに2機の救命パレットが沈んでいることが判明する。

しかも、登場しているメンバーの最上位者はホーカ少将。
近年、評価の上昇が著しい恵一たち新参の途上種族出身者を
目の敵にする一派の一人だった。

しかし、恵一は救出を決める。もっとも、
その理由は使命感からだけではないが。
このあたりの描写も面白い。

しかし、救援艦隊はほとんどが脱出してしまい、
彼の手元に残るのはわずかな戦力しかない。
そこで、彼は惑星の海に生息する
知的生物・オルクルを利用することを思いつく。

前半は宇宙戦/地上戦を描いたスペースオペラの王道。
毎度のことながら、敵味方の駆け引きの描き方も達者。

後半に入ると海棲哺乳類オルクルの生態や価値観、
行動原理にまで踏み込んだ展開となってきて、
作者の引き出しの多さを伺わせる。

単に生物を救出作戦に利用するだけでなく、
どう扱ったらその生物の将来のためになるのかまで踏み込む
恵一の思慮が素晴らしい。


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