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EPITAPH東京 [読書・その他]

EPITAPH東京 (朝日文庫)

EPITAPH東京 (朝日文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 文庫
評価:★★

タイトルにある epitaph とは墓碑銘を意味する言葉。

「piece」と題された、文庫で10ページほどの短い文章が23章あり、
その合間合間に「drawing」という断章がいくつかと、
「エピタフ東京」という戯曲(演劇の台本)の一部が挿入されている。
(細かく言えば、それ以外の名のついた断章もあるのだけど)

「piece」は、”筆者” という人物による文章。
名は明かされず、頭文字で ”K” と記述されている。

作家を生業としている筆者Kは東京在住で、
「エピタフ東京」という戯曲を書くことになっているが、
なかなか筆が進まない。

本書の主体を占めているのは、筆者Kの日々の生活。
内容としては東京にまつわる諸々について
つれづれなるままに書かれたエッセイ風の文章。
各章の中身は断片的で特につながりもなく、淡々と綴られていく。

その中に時々登場するのが、筆者Kの友人・B子、
そして自分は吸血鬼だと名乗る吉屋という人物。
しかし、この二人が大きくストーリーに関わっているのかというと
そうでもない(というかストーリーらしいものが存在しない)。

いちおうラストでは「エピタフ東京」が完成し、
上演まで漕ぎ着けるのだけど、それがクライマックスというわけでもなく
ある ”イベント” が起こったことがきっかけで
筆者Kの日常語りが終了し、同時に本編も終わる。

巻末には「悪い春」という短篇が収録されているが、
スピンオフというか本書の後日譚。

恩田陸という作家さんは、私からすると当たり外れが大きい作家さん。
デビュー作「六番目の小夜子」は大好きだし、
「蔵と耳鳴り」をはじめとしたミステリ作品も大好きだ。
非ミステリでも好きな作品は一杯ある。

同じように、どこが面白いのか今ひとつ分からないと感じるものも
少なくない。強いて言えばSF寄りの作品に、苦手なものが多いかなぁ。

本書はミステリでもなくSFでもなくホラーでもなく、
私にとってよく分からない作品のひとつになりました。

文章自体は上手な人なので、読み続けることに全く苦はないんだけど、
読み終わった後に残ったのは「?」だけ・・・


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