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総閲覧数160万に到達 & 近況 [このブログについて]


本日、このブログの総閲覧数が160万を超えました。

20190711.jpg

未だ開けぬ梅雨空のもと、皆様はいかにお過ごしでしょうか。


毎回書いておりますが、お約束(笑)なので、また書かせて頂きます。

(どれくらいいるのか分かりませんが)
ご常連の方、毎度のご訪問ありがとうございます m(_ _)m ぺこり。

そして、(もしいるなら)たまたま今日が初めてのご訪問の方へ。
まもなく1800件になろうとする駄文の塊でございますが
よろしかったら、これからどうぞご贔屓に(笑)。

どちら様も、よろしくお願いします m(_ _)m ぺこり。


私の定年退職&新職場への異動に伴い、
というかそれを口実にして(笑)
3か月の放置(サボりともいう)期間を経て
今月より、とりあえずの再開をしております。

新しい環境にもかなり慣れてきて
仕事もまあまあ順調にこなしております。
ただ、現在の職場は来年3月末までの1年契約。
来年度も継続して今の場所に残って働ける保証はなく、
(残れない可能性のほうが大きいかなぁ・・・)
「来年の今頃、オレはどこで何してるんだろう?」
なぁんて疑問もふっと脳裏をよぎったり。
ま、今から心配しても仕方がないんですけどね。
なにより、鬼に笑われてしまいます。

 来年も異動があったら、それを口実にして
 また3ヶ月間ブログをサボったりして(笑)。

その放置していた3ヶ月の間も、実に多くの方に閲覧していただき、
感謝の言葉もありません。ありがとうございました。

再開したとはいっても、読書録を書くべき読了本も大量にかかえ、
毎日四苦八苦しながらキーボードに向かってます。

昨日も書きましたが、今書いてるのはなんと2月に読んだ本ですからね。
現在に追いつくのはいつになることやら・・・

読書録以外の宿題もいろいろ抱えてるんですが、
当面は読書録の消化のほうをメインにすすめていこうと思います。

これからも MIDNIGHT DRINKER を
よろしくお願いいたします。m(_ _)m ぺこり。

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沈黙の書 [読書・ファンタジー]


沈黙の書 (創元推理文庫)

沈黙の書 (創元推理文庫)

  • 作者: 乾石 智子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/07/12
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

<オーリエラントの魔道師>シリーズの一編。

今回は年代記的には一番古く、
コンスル帝国が建国される数百年の過去の物語。
世界は群雄割拠の時代を迎えていた。

そんな世界にあって、いまだ平和の中にあった
<風森村>に生を受けた少年ヴェリルは
風を操る力を持つことから<風の息子>と呼ばれている。

その村に生まれた者たちは
みなそれぞれ、超常の力を身につけていたのだ。

しかし村にも戦乱は押し寄せてくる。
ヴェリルが13歳を迎えたとき、近隣の町ケスルの評議会は
村をその領土に加えることを一方的に宣言する。
さらに、ヴェリルを含めて7歳から14歳までの子どもたちは
強制的に拉致されてしまう。
彼らの ”超常の力” を戦力として活用するためだ。

子どもたちは選別されて軍隊に組み込まれ、
それぞれ能力を高める訓練を受けさせられることになる。

5年後、”風の魔道師” として成長したヴェリルは
初めて実戦投入される。戦いには辛うじて勝利したものの、
自分の力が人を傷つけていくことを嫌悪するヴェリルは
軍を脱走してしまう・・・

弟や幼なじみたちとも引き離され、故郷の村もその姿をとどめず、
絶望しながらも平和を願う心を忘れないヴェリル。
失ったものを取り戻すための、彼の苦難の旅路が綴られていく。


こんなふうにあらすじだけを書き出すと、
昭和の頃のヒーローものにあったような話に見えるかも知れないが
作者の物語描写は分厚く緻密で、
見事に平成時代のファンタジーに置き換えられていると思う。

シリーズものであるから、
随所に他の作品に関わるネタが織り込まれていて
例えばラスト近くでは、後の大帝国「コンスル」の
語源らしきものも出てくる。
そのへんも本書を楽しむ楽しみだろう。

もっと書くべきことがあるような気がするんだけど
思い出せない(おいおい)。
本書を読了したのは今年の2月17日と約5ヶ月前なんだけど
前後に読んだ本と比べても、記憶が薄い。
乾石智子さん、ゴメンナサイ m(_ _)m。

読書記録では星3つ半つけてるので、読み終わったときには
それなりに高評価してたはずなんだけどねぇ。

やっぱり感想は間を置かずに書かないとね。わかっちゃいるんだが。
「毎日少しずつ。それがなかなかできねんだなあ」 by 相田みつを

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アリスマ王の愛した魔物 [読書・SF]


アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫JA)

アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/12/19
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

いま現役のSF作家で好きなのは誰か、と問われれば、
私は山本弘と小川一水を挙げるだろう。

本書はその小川一水のSF短編集。5編を収める。

「ろーどそうるず」
アンソロジー「NOVA3」(大森望・編)で既読。
時代は近未来。バイク1台ごとにAIが組み込まれている時代。
組み込みAIの目的は、メーカーのサーバに走行記録を送信し、
個々の機体へフィードバックすること。
AIとサーバ間の交信記録の形式で進行する。
描かれるのは、人間を乗せて「走る」ために生まれたAIたちの
"喜び" と "哀しみ" 。一種の「ロボットもの」なんだけど、
どうしてSFに出てくるロボットってこんなに健気なんだろう。

「ゴールデンブレッド」
宇宙戦闘機のパイロット・豊菓(ユタカ)が不時着したのは
辺境の小惑星にあるレイクビューという村。
太陽系内に散らばった人類はそれぞれの場所で
新たな文化を築いており、
豊菓は全く口に合わない食習慣に苦しむことになるが・・・
異文化理解を阻むのは、刷り込みか教育か。
文化の相違に戸惑いながらも、それを乗り越えて
相互理解へとすすんでいく豊菓の姿が描かれる。

「アリスマ王の愛した魔物」
ディメ王国の第6王子アリスマは、その類い希なる計算能力を持って
周囲の敵を退け、ついには王位に就く。
ソロバンを持った者を数万人集めて、ひたすら計算させて
(って感じのイメージで)、人間だけの力で
スパコンやAI並の処理能力を発揮させようという、
人力(じんりき)コンピュータ・”算廠(さんしょう)” という
アイデアがすさまじい。アナログ処理の極限といったところか。
その ”算廠” は、あらゆることを計算し尽くして
未来予測まで行ってみせるのだが・・・
計算によって栄華を極めた天才が、計算によって破滅していく。
本作は第42回(2011年)の星雲賞短編部門を受賞したけど、
それも納得の異色のファンタジーだ。

「星のみなとのオペレーター」
ヒロイン・筒見すみれは、小惑星イダの宇宙港管制オペレーター。
防衛艦隊所属の宇宙艦フェンディの艦長ヨアヒム中佐に
密かな心のときめきを覚えながら毎日の業務をこなしている。
そんな彼女が見つけたのは、巻き貝の形をした奇妙な
生物ともロボットとも分からない謎の物体・”コンちゃん”。
しかしそれは、太陽系と人類を襲う巨大な危機の前触れだった・・・
事態は限りなくシリアスなのだが、
すみれの視点で進む物語はあくまでも軽やか。
彼女と ”コンちゃん” の出会いが人類を救うカギとなり、
ついでに自らの恋も成就してみせるという楽しい話。

「リグ・ライト ーー機械が愛する権利について」
OLのシキミは、祖父・吉鷹(よしたか)が急死したことにより、
吉鷹の使っていた自家用車を相続することになったのだが、
その車には人間型ロボット・アサカが ”付属” していた。
アサカは、自動運転用の人型AIだったのだ・・・
最近、高齢者による事故が多発しているけど、この作品はそんな世相を
予言していたかのようだ。ちなみに本書の初版は2017年12月。
AIの進化によって、人間並みの思考や判断、そして感情が生まれたとき
人間はそれとどう向き合うのか、なんてのは古今のSFで描かれてきたが
本作では、そうなったときに
AIの側はそれをどう ”考える” か、までも描かれていく。
自動運転をAIに任せたるようになったら、
実際に本作に描かれるようなことが起こるかもしれない。
いつまでもAIが人間の管理下にあるという保証はないんだよねぇ・・・

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ほうかご探偵隊 [読書・ミステリ]


ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)

ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

小学5年生の藤原高時(たかとき)が通う学校では、
クラスで奇妙な消失事件が続いている。

最初は、図工の時間に描いた絵。
みんなの作品が教室の後ろに張り出されていたが、
その中の1枚だけがなくなっていた。

二番目は、”密室状況” だった飼育小屋から、
一羽だけいたニワトリが消えた。

三番目は学級委員の神宮寺が作った、巨大な招き猫型の募金箱。
掃除用具入れの中に放り込んであったはずが、
いつの間にかなくなってしまった。

そして今日、高時の縦笛が。
しかも3つの部品に分解され、真ん中の部分だけを持ち去られて。

高時とそのお喋りな友人・龍之介、学級委員の吉野明里(あかり)、
飼育係の成見沢の4人が集まった、放課後限定の ”探偵隊”。
彼らの4日間の活躍が描かれる。


本書は「講談社ミステリーランド」という
ジュブナイルのレーベルから刊行されたもので、

当たり前だが、わかりやすく平易な文章で綴られていて
特筆すべきは、執筆時に作者は既に40代だったはずなのに、
子どもたち同士の会話が変に大人びていなくて
普通にすとんと胸に落ちていくこと。
こういう描写はなかなかできないことだろう。

 同じレーベルで出た「神様ゲーム」(麻耶雄嵩)のほうは、
 とても子ども同士の会話とは思えなかったよねえ。
 まあ、麻耶雄嵩氏はそもそも
 そういう風に書く気がなかったんだろうけど。

単純な愉快犯なのかと思いきや、
近所で起こった宝石強盗まで絡んできて事態は混迷していく。

本書はもともと若い世代向けに書かれたものだが
密室トリックやミッシング・リンク探しに意外な動機と
定番ネタをしっかり取り込み、楽しいミステリにできあがっていて
大人でも十分楽しめる作りになっている。


特筆すべきは、解決編が84ページもあること。
本編全体が文庫で240ページなので、
なんと1/3を超える長さである。

内容も、子ども向けに手を抜いたりしない。

探偵役の龍之介君が ”真相” を語り終わっても、
次のページには「これでおわりのはずがない」って
作者からの ”宣言” が載ってるんだから(笑)。

二重三重に用意された多重解決が堪能できる、
若いミステリ初心者はもちろん、
年季の入った擦れっ枯らしの読み手でも満足できる作品だと思う。

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ロボット・イン・ザ・ハウス [読書・SF]


ロボット・イン・ザ・ハウス (小学館文庫)

ロボット・イン・ザ・ハウス (小学館文庫)

  • 作者: デボラ インストール
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

前作「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の続編。

主人公は、引きこもりニートのベン・チェンバーズ。
彼のもとにある日、謎のロボット・タンダが現れる。
ベンの妻エイミーは、ダンナに愛想を尽かして家を出て行き、
残されたベンは、タンダの ”製作者” を探して旅をするのだが
その中で次第にベンは一人前の人間として、そして ”父親” として
成長していく・・・という物語が前作では語られた。

エイミーとの仲も ”完全和解” とまではいかないものの、
とりあえずの修復に至り、再び同居を始めた。
そして前作のラストでは二人の娘・ボニーが生まれ、
その9ヶ月後から続編は始まる。

チェンバーズ家の庭先に、もう一体のロボットが現れる。
ジャスミンという名で、どうやら ”女の子” らしい。
その正体は、タングの製作者であるロボット工学者ボリンジャーが
タングを取り戻すために送り込んできたもの。
ベンたちの居場所を特定し、その位置情報を
ボリンジャーに送信しているらしい・・・


タンダの引き起こす騒ぎに、ベンをはじめとする
人間たちが振り回されるという基本線は同じだけど
ボニーが生まれたことにより、
”兄” として ”成長” していくタンダの物語が綴られる。

四角四面でおよそ感情というものを示さず、
ボリンジャーに命じられたとおりに振る舞おうとするジャスミンも、
チェンバーズ家の人々、そしてタンダに触れあううちに
また ”変化” していく。ここでも ”成長” が語られる。

ボリンジャーとの間の、タンダを巡る ”養育権(笑)” 争いと、
ベンとエイミーとの微妙な関係と、
前作で残された ”二つの宿題” に決着がつき、
「後日談」かつ「完結編」といえる内容になっている。

その気になれば続きは書けるだろうけど、
蛇足にしかならないんじゃないかな。
ここで打ち止めにするのがきれいな終わり方だと思う。


それに、前作でも感じたことだけれど、
メインキャラこそロボットではあるけれど、
ストーリー自体にSF的要素は少なく、本作ではさらに希薄なものに。

 タンダとジャスミンを人間の子供と置き換えても
 物語自体は成立してしまうんじゃないかな。

まあ、もともと作者にはSFを書こうという意識はなくて
子供の成長と、それを育てる側の親の成長を
効果的に強調できるから「ロボット」という要素を入れ込んだのだろう。
実際、解説によると作者自身の出産経験も大きかったらしいし。

こういう作品にもっとSFっぽい展開を期待してしまうのは
八百屋で魚を買おうとするようなものなんだろう。

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アラジン (実写版) [映画]


私はめったに舞台作品というものを見に行かないんだけど、
その数少ない作品の中のひとつがこの「アラジン」。

劇団四季版のこれは良かった。
「もう一度観に行きたい!」って強烈に思ったもんねえ。

 でも結局、現在に至るまで観に行けてないんだが(笑)、

そんなわけで(どんなわけだ)映画版「アラジン」である。

aladdin.jpg

1992年のアニメーション映画のリメイク版兼実写化作品とのことで
舞台版の映画化ではない。

孤児の青年アラジンが、魔法のランプの精ジーニーのおかげで
某国の王子に変身、アグラバーの王女ジャスミンに会いに行き、
そこで悪役の国務大臣ジャファーと対決する、
という大筋は同じだが細部は大分異なる。

いちばんの見所は、やっぱりCGを駆使した派手な演出と映像だろう。
舞台では絶対再現できないような場面をふんだんに見せてくれる。

映画の最初から最後まで、上空からの俯瞰、下からの煽りと
様々なカメラアングルを駆使した迫力満点のシーンが満載だ。
特に、アラジンとジャスミンが魔法の絨毯に乗って
夜空を飛び回るところが圧巻だろう。

この絨毯がまた ”いいキャラ” で、劇中で大活躍するんだが
このへんもまた、舞台では再現できないところだよねえ。

舞台版では、アラジンには友人が何人かいたが
実写版ではそこはばっさりカットされ、
代わりといっては何だがジャスミンの侍女ダリアが
オリジナルキャラとして登場、ジーニーとの絡みを見せる。

最初から最後まで楽しい作品なので、大ヒットしているのも頷ける。


私は1992年版アニメ映画は未見なので、
「アラジン」に触れたのは劇団四季の舞台版が最初。

これを観たとき、ジーニーの性格にびっくりしたのを覚えている。
ランプに1万年も閉じ込められていたとは思えないくらい
とにかく明るく陽気で、やたらジョークを飛ばしまくるという
強烈なキャラで、登場した途端に舞台の雰囲気を一変させてしまう。
さらには、歌もダンスも超絶に上手い。
(これはジーニー役に限らず、登場する人たち全部にあてはまるが)

いやあミュージカル俳優さんってすげぇなあ・・・って思ったよ。

そして、実写版でのジーニーの性格が
舞台版と全く同じだったことに笑ってしまった。

 ただまあ、どんなメイクをしても、どんな衣装を着ても、
 ジーニーがウィル・スミスそのものにしか見えないのはご愛敬だが(笑)。


映画版を観て、また劇団四季版が観たくなってきたんだけど
この映画のヒットのおかげで、
またチケットが取りにくくなったんだろうなあ・・・


ちなみに、映画は吹替版で観た。
ジーニー役の山寺宏一の完璧さはもう言うまでもないところで
本作でも絶品の演技だ。

その他のキャストもみな文句のない出来でたいしたもの。
ジャスミン役の木下晴香は若手ミュージカル女優、
アラジン役の中村倫也も歌が達者なのに驚いたよ。

歌こそ歌わないが、国王役の菅生隆之も第一声ですぐに分かった。
ダリア役は沢城みゆき。彼女ももはやベテラン声優の域だね。

観ているときは分からなかったけど、ジャファー役はなんと北村一輝。
意外だったけど、これも上手かったよ。


ディズニーは、吹替版のキャスティングにまで関わるって聞いてたけど
流行に乗ることもなく、実力のある上手い人を選んでると思う。
他の映画会社も見習ってほしいなぁ。

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白魔のクリスマス 薬師寺涼子の怪奇事件簿 [読書・ファンタジー]


薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)

薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)

  • 作者: 田中芳樹
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 新書
評価:★★☆

"警視庁の女王様"、刑事部参事官・薬師寺涼子27歳。
絶世の美女にして性格は傲岸不遜。
彼女が巻き込まれた(巻き起こした?)事件の顛末をつづる
シリーズも、wikiをみてみたら13作めになってる。


今回の舞台は新潟県のスキー場。
バブルの頃にはリゾートマンションが建ち並んでいたが
崩壊後はすっかり寂れ、閑古鳥が鳴く。

しかしそこが国家戦略特区となり、日本初のカジノを含めた
総合リゾートとして再開発されることになる。

そしてクリスマスの日、華々しくカジノがオープンするのだが
そのセレモニーのさなかに巨大地震とそれに伴う雪崩が発生する。
世界中から招かれたVIPを含む1万5千人が孤立する中、
主賓の総理大臣だけはヘリで逃亡してしまう。

残された人々の中には、たまたま休暇でスキー場へ滞在していた涼子と、
その ”下僕” である泉田準一郎警部補も含まれていた。

そして、停電と余震に怯える人々を、
突如現れた ”雪の怪物” が襲い始めるという、
”恐怖の一夜” が始まる・・・

涼子たちが相手にするのは
混乱に乗じて強盗に及ぼうとする小悪党から
見上げるような謎の巨大モンスターまで様々。

立ち塞がる ”敵” を涼しい顔でバッタバッタとなぎ倒していく。
その際、総理をはじめとする ”政治屋” や、
財界上層部へのお歴々への悪口雑言を吐きながら、という、
いつも通りのスタイルで活躍する涼子たちが描かれる。


とは言っても、今回の話はあまりストーリーらしいストーリーがない。

”敵” の目的も正体も最後まで不明だし、
だから涼子たちも場当たり的に対応するばかりで
根本的な解決に向かうことが出来ない。

 ま、涼子サンご本人には、解決しようという気が
 そもそもないのかも知れませんが(笑)。

登場人物が口にする ”体制批判” も田中芳樹の十八番だが
何でも「政権与党と金持ちが悪い」で済ますのは如何なものか。
わかりやすくて一部の読者には痛快なのかもしれないが。


私も若い頃は面白がって読んでたが、60年も生きてくると、
そう簡単に割り切れないものも感じるようになったしね。

私も年を食ってきたんだなあ、ということと
田中芳樹も「団塊の世代」だったんだなあ、というのを
改めて感じた次第。

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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ [映画]


2014年公開の「GODZILLA ゴジラ」の続編である。
今回はゴジラに加え、ラドン、モスラ、そしてキングギドラと
「三大怪獣 地球最大の決戦」のメンバーが揃い踏み。

「三大-」のほうは 1vs3 の変則マッチだったが
今回は 2vs2 のタッグマッチだ。

ストーリーのほうはもうあちこちで触れられてると思うので
ここには書かない。知りたい人はwikiでも何でも見てください(笑)。

g-kom.jpg
怪獣をCGで描くのもすっかり当たり前になったみたいで
ゴジラの造形や動きも板についてきた感じ。
CGっぽい不自然さもあまり感じなくなってきた。

特筆すべきは、やっぱりハリウッドで初めて描かれた他の怪獣だろう。

まずキングギドラは、従来の操演にはない生物感が出色の出来。
ヘビのような三つ首の動きに邪悪さと獰猛さがよく表れてる。
そしてモスラ。こんなに神々しく、かつ美しく描かれたモスラも
かつてなかったと思う。
このモスラを見ていたら、なぜか涙が出てきたことはナイショだ。

この2体を見ていると、模型をピアノ線で操る特撮は
もう過去のものになってしまったんだなあと痛感する。

これだけでも、この映画は見る価値があると思う。


さて、ここからはこの作品を見ていて気になったことを。

ストーリーの展開や演出がいささか粗っぽいのは
この手の映画ではある程度仕方がないのかとも思う。

例えば、怪獣との交信装置である ”オルカ” が壊れたとき、
超精密な機器であるはずなのに
半田ごてでゴチャゴチャやってると直ってしまうとかね。
中学生の作ったラジオじゃないんだから。

「いくらなんでもそれはないだろう」的な部分もあるけど
主役はなんと言っても怪獣なんだから、まあそのへんは許せる。


私がいちばん気になったのは、
物語の中盤、キングギドラと一戦交えて傷つき、
海底で眠りについてしまったゴジラを ”たたき起こす” ために
ゴジラの鼻先で核兵器(!)を爆発させるというシーン。

まあ「核」とは明言されてないけど、前後の台詞のやりとりから
これが核兵器であるのは明らかだろう。

ゴジラとは核兵器のメタファーで、
核の乱用が人類に災厄をもたらし、さらには滅亡の道につながる、
というメッセージを背負って生まれてきた存在だったはず。

そんなゴジラに核兵器をぶつけて、
さらに ”元気にさせよう” という発想は
正直言って私の理解の範疇を超えるものだった。

これは原爆を落とした側と落とされた側の違いなのだろう。
アメリカ人は原爆投下を間違ったこととは思っていないようだし、
フィクションの世界でも、
核兵器を禁忌としては扱っていない作品も散見するし。
”効果的な最後の切り札” 程度にしか思っているのかもしれない。

しかも、ゴジラの鼻先で核兵器の引き金を引くのが
渡辺謙演じるところの芹沢博士。
命を捨てる役に自ら志願するのだが、
この芹沢博士って広島の原爆で亡くなった父の遺品である
懐中時計を持ち歩いている、って設定だったはず。
そして、自身もたぶん被爆二世。

そんな人が自ら核兵器の引き金を引くのかい?
渡辺謙は、この役(行動)に疑問を感じなかったのかい?

でも、いちばん問題なのは、
この点を問題に感じる人が多くなさそうなこと、なのかもしれない。

映画評論家とか言われてる人の文章で、ここに触れている人は
少なくとも私の知る限り皆無。映画会社への忖度なのかね。

ネットで、一般の人の映画評を読んでみても
絶賛/酷評に関わらず、この点に触れている人は少数派だ。


30年くらい前は、修学旅行で広島を訪れる学校は多かった。
夏には、原爆をテーマにしたTV番組が毎年のように放送されていた。

今や修学旅行の行き先は沖縄や韓国になってしまったというし
原爆に限らず、太平洋戦争を扱ったTV番組もぐっと減ってしまった。

 これが「記憶の風化」というものなのか。

日本人に生まれたのなら、広島の原爆資料館は一度は見てほしいし
1954年の「ゴジラ」(第1作)も観ておいてほしいなあ。
こちらの芹沢博士も、自らの命をなげうって
「オキシジェンデストロイヤー」の引き金を引くが
その目的は「キング・オブ-」とは似て非なるものだ。

 「オキシジェンデストロイヤー」といえば、
 「キング・オブ-」にも同名の兵器が出てくるが
 これまた本家とは似ても似つかないものだ。

 文部科学省は「ゴジラ」(1954)を ”必修” に指定して
 義務教育のどこかで生徒全員に見せるべきだね。

その上で、「キング・オブ-」に全く問題を感じないで絶賛できるのなら
それはもうその人の価値観の問題になるから仕方がないが・・・


なんだか最後は、頭の硬い頑固老人の愚痴みたいになってしまった。
自覚はしてるが後悔はしていない(おいおい)。


最後にもう一つだけ。

私は「吹替版」で観たのだけど・・・
メインキャラである学者夫婦を田中圭と木村佳乃が演じてる。

声優としての技量としては二人とも悪くない。
いままで観てきた「有名俳優が声優として出演した作品群」と比べると
十分、上手い部類に入ると思う。

ただ、キャラと ”合ってない” んだよねえ・・・特に田中圭が。
ドラマやバラエティで人気の二人なので、
そのへんがキャスティングの理由なんだろうけどね

あ、二人の娘を演じた芦田愛菜はよかったよ。
いちばん違和感なく聞けた。

NHKの改元番組にゲストで呼ばれたりと
中学生にして既に ”文化人枠” に入りつつある。
女優としてもタレントとしても順風満帆だね。
芦田愛菜、末恐るべし(笑)。

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バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/11/22
  • メディア: 文庫
評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する天才科学者の平賀と、
その相棒で古文書の解析と暗号解読の達人・ロベルト。
「奇跡調査官」である神父二人の活躍を描く第18弾。
短編集としては4巻目。


「ベアトリーチェの踊り場」
宝石商バッサーニが入手したのは、16世紀に処刑された
”悲劇の女性” ベアトリーチェ・フィンチが所有していたサファイア。
しかしそれ以降、不可思議な事件がバッサーニを襲う。
勤続30年の従業員が首のない幽霊を目撃した後に転落死を遂げ、
バッサーニの屋敷にもベアトリーチェの亡霊が出没し始める。
平賀とロベルトは ”悪魔払い” を依頼されるが・・・
このシリーズの短編は、ホラーが強かったりコメディ調だったりと
ミステリ要素の薄い作品が多いのだけど、
本作はラストで合理的な解決を見せる。
文庫で130ページとかなり長めで、分量が十分にあるのも大きいかな。
いつもながら超常的な現象を科学的に説明してみせるのは流石。

「素敵な上司のお祝いに」
秘密結社・ガルドゥネのメンバーで、
平賀とロベルトの宿敵でもあるジュリアは
結社の ”上司” である富豪ルッジェリの
誕生パーティーの開催を開くことになるのだが・・・
いやあこれはエグい。でもこのネタ自体は
何年か前にニュースで見た記憶がある。
そういうのを見逃さないで作品に仕込んでくるんだからたいしたもの。

「マスカレード」
秘密工作員エリザベートは、FBI捜査官ビル・サスキンスと偽装婚約中。
しかしこれはFBI内部に潜む ”敵” を探り出すためと、
ビルの両親もまた陰謀に加担していることが判明したためだ。
しかし生真面目なビルはエリザベートを両親に会わせようとしない。
そんなとき、ビルのアパートへ彼の母エミリーがやってきて・・・
ナイスバディで美人の工作員エリザベートが
”恋人” の母親に取り入ろうと大活躍の一編。
平賀とロベルト以外のサブキャラも多士済々だけど
その中でもエリザベートは大好だなあ。ビルの朴念仁ぶりも笑いを誘う。

「シン博士とカルマの物語」
朴念仁ぶりではビルを上回るシン博士の登場。
敬虔なジャイナ教徒であるシンは、
ある日一匹のネズミに怪我を負わせてしまう。
ジャイナ教では一切の殺生を禁忌としているため、
パニックになったシンは平賀とロベルトに助けを求めるのだが・・・
ネズミの容態に一喜一憂するシンの姿がコミカルに描かれる。
この作者さん、ほんといろんなキャラをうまく書き分けるよねえ。


長大なシリーズになったけど、飽きられずに続いているのは
毎回、新しいネタを持ち出してくるのもあるけど
キャラの多彩さも大きいんじゃないかな。

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コンフィデンスマンJP [映画]


5月末に映画を観に行ったとき、
かみさんのリクエストで観ることになった作品。

もともとは同名のTVドラマだったのだが
かみさんがそのファンだったかというとそんなことはなく、
もちろんドラマの方も未見だ。

 朝ドラは大好きなんだが(いまは「なつぞら」のイケメン軍団に夢中)、
 ゴールデンタイムのドラマはさっぱり観ない人なんだ。
 (それは私も同じなんだが)

しかし、なぜか「これを観てみたい」と言い出したんだよねえ・・・

だから私を含めて二人とも、この映画の予備知識は皆無に近かった。
辛うじて、長澤まさみ扮するところのヒロインが
凄腕の詐欺師だということくらいか。

だから小日向文世と東出昌大が
その仲間だと言うことすら知らなかったんだよねえ・・・

でも、観てるうちにその辺はだんだん分かってきて、
作品自体はけっこう楽しんでみることができたと思うよ。

c-man-jp.jpg
コンフィデンスマン(=信用詐欺師)三人組の、
ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)。
彼らの次なるターゲットは香港マフィアの
女帝ラン・リウ(竹内結子)が持つ、伝説のパープルダイヤ。
3人は香港へ潜入、ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、
なかなか懐に入り込めない。
そんな中、天才詐欺師ジェシー(三浦春馬)が現れ、
同じくランを狙っていることがわかる。
しかも、ジェシーとダー子は過去に深い因縁がありそうで・・・
さらに、ダー子たちに恨みを持つ日本のヤクザ・赤星(江口洋介)も
登場し、事態は三つ巴の様相に・・・


コン・ゲーム(詐欺師が相手を信用させて、財産等をだまし取る物語)を
描いた映画と言えば「スティング」が筆頭だろう。
だまされる相手のみならず、観客も一緒にだまされてしまうわけで
私も初見の時は驚かされたものだ。

 小説の世界では、海外作品では時折見かけるが
 日本ではほとんど見ないような気がする。

本作品もその系譜に連なるものなので、基本的には
最後に観客を「どひゃあ!」とばかりに場外へうっちゃってみせる。

そのあたりは十分に心得ていて
けっこう気をつけてみていたつもりなんだが・・・
いやあ、見事に騙されましたねえ・・・

冒頭のシーンからもう ”仕込み” が始まってるなんてねぇ。
この仕掛けを考えついた人は、
監督か脚本家か知らないけど只者ではない。

まあ、見終わった後になって冷静に考えてみれば
「いくらなんでもそれは無理だろう」
と思うところもないではないが、映画だからね。
見終わったときに観客に「やられた!」って思わせれば勝ち。
そういう意味では素晴らしい出来であると思う。

長澤まさみの弾けた演技もいいし、三浦春馬の怪演(笑)ぶりも見事。
東出は熱演してるけど、かみさん曰く「大根よねえ」(おいおい)。
小日向、江口、竹内が脇を固めて安心して観ていられる。


まあ、遡ってTVシリーズを観てみよう、までは思わないけど
興行収入は上々だったらしく、映画第2作の製作が決定したらしい。
そっちは観に行くと思います。
もちろんかみさんと一緒に。

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