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BLOOD ARM [読書・SF]


BLOOD ARM (角川文庫)

BLOOD ARM (角川文庫)

  • 作者: 大倉崇裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

周囲を山で囲まれた町・中の平(なかのひら)では、
近年、原因不明の地震、そして停電が頻発していた。

近くにある黒岩山には、最近になって
何かの研究施設と思われる施設が建設され
その横には巨大なパラボラアンテナまで出現した。

中の平でフリーターをしている青年・沓沢淳(くつざわ・じゅん)は
配達を頼まれて近くの集落・上の平(かみのひら)へ向かうが、
そこで彼が見たものは住人たちの死体、
地鳴りとともに崩壊していく家々だった。

そして、突如現れた巨大な触手が淳を襲ってきた。
必死に逃げ回る彼を救ったのは、
白衣の美女・御堂怜子(みどう・れいこ)。

謎の触手のことを知っているらしい怜子とともに、
淳は黒岩山の施設を目指すことになる。
そこには、”怪物” への対抗手段があるらしい・・・


ここまで読んできたならお分かりかと思うが
本書は「怪獣小説」である。

「怪奇大作戦」や「ウルトラQ」みたいな導入部から
やがて ”怪獣” の本体が出現し、そこから命からがら逃げてきて
黒岩山の施設に到着した二人は、いよいよ反撃を開始する。

 ”パラボラアンテナ” って単語を聞いて
 ”マーカライトファープ” とか ”メーサー殺獣光線車” とか連想した人、
 あなたは私の ”同類” です(笑)。

しかし、 ”怪獣” がそう簡単に倒せるはずもない。
絶体絶命の危機に陥った二人は、ついに ”最終兵器” の起動を決断する。

いったい何が始まるのかは、読んでのお楽しみなんだけど
「ゴジラ」をはじめとする東宝特撮映画や円谷プロ作品、
そして膨大なアニメ群を見て育ってきたサブカルオタクの方ならば、
期待を裏切らない展開になってると思う。


表題作以外に、巻末には文庫で40ページほどの
短編「怪獣チェイサー」が収録されている。

こちらは怪獣小説アンソロジー「怪獣文藝の逆襲」に
収録されていたもので、怪獣が日常的に出現する世界を舞台に、
怪獣に至近距離まで肉薄して動画を撮り、
それをネットの動画サイトに投稿して金儲けをしている
”怪獣チェイサー” の一人である星野研介と
怪獣撃退を担当する「怪獣省」の ”予報官”・岩戸正美の出会いを描く。

こちらも怪獣ファンにとっては楽しい作品になっていると思う。

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