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ほうかご探偵隊 [読書・ミステリ]


ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)

ほうかご探偵隊 (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

小学5年生の藤原高時(たかとき)が通う学校では、
クラスで奇妙な消失事件が続いている。

最初は、図工の時間に描いた絵。
みんなの作品が教室の後ろに張り出されていたが、
その中の1枚だけがなくなっていた。

二番目は、”密室状況” だった飼育小屋から、
一羽だけいたニワトリが消えた。

三番目は学級委員の神宮寺が作った、巨大な招き猫型の募金箱。
掃除用具入れの中に放り込んであったはずが、
いつの間にかなくなってしまった。

そして今日、高時の縦笛が。
しかも3つの部品に分解され、真ん中の部分だけを持ち去られて。

高時とそのお喋りな友人・龍之介、学級委員の吉野明里(あかり)、
飼育係の成見沢の4人が集まった、放課後限定の ”探偵隊”。
彼らの4日間の活躍が描かれる。


本書は「講談社ミステリーランド」という
ジュブナイルのレーベルから刊行されたもので、

当たり前だが、わかりやすく平易な文章で綴られていて
特筆すべきは、執筆時に作者は既に40代だったはずなのに、
子どもたち同士の会話が変に大人びていなくて
普通にすとんと胸に落ちていくこと。
こういう描写はなかなかできないことだろう。

 同じレーベルで出た「神様ゲーム」(麻耶雄嵩)のほうは、
 とても子ども同士の会話とは思えなかったよねえ。
 まあ、麻耶雄嵩氏はそもそも
 そういう風に書く気がなかったんだろうけど。

単純な愉快犯なのかと思いきや、
近所で起こった宝石強盗まで絡んできて事態は混迷していく。

本書はもともと若い世代向けに書かれたものだが
密室トリックやミッシング・リンク探しに意外な動機と
定番ネタをしっかり取り込み、楽しいミステリにできあがっていて
大人でも十分楽しめる作りになっている。


特筆すべきは、解決編が84ページもあること。
本編全体が文庫で240ページなので、
なんと1/3を超える長さである。

内容も、子ども向けに手を抜いたりしない。

探偵役の龍之介君が ”真相” を語り終わっても、
次のページには「これでおわりのはずがない」って
作者からの ”宣言” が載ってるんだから(笑)。

二重三重に用意された多重解決が堪能できる、
若いミステリ初心者はもちろん、
年季の入った擦れっ枯らしの読み手でも満足できる作品だと思う。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-09 23:57) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-09 23:57) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-09 23:58) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-09 23:58) 

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