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白魔のクリスマス 薬師寺涼子の怪奇事件簿 [読書・ファンタジー]


薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)

薬師寺涼子の怪奇事件簿 白魔のクリスマス (ノン・ノベル)

  • 作者: 田中芳樹
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 新書
評価:★★☆

"警視庁の女王様"、刑事部参事官・薬師寺涼子27歳。
絶世の美女にして性格は傲岸不遜。
彼女が巻き込まれた(巻き起こした?)事件の顛末をつづる
シリーズも、wikiをみてみたら13作めになってる。


今回の舞台は新潟県のスキー場。
バブルの頃にはリゾートマンションが建ち並んでいたが
崩壊後はすっかり寂れ、閑古鳥が鳴く。

しかしそこが国家戦略特区となり、日本初のカジノを含めた
総合リゾートとして再開発されることになる。

そしてクリスマスの日、華々しくカジノがオープンするのだが
そのセレモニーのさなかに巨大地震とそれに伴う雪崩が発生する。
世界中から招かれたVIPを含む1万5千人が孤立する中、
主賓の総理大臣だけはヘリで逃亡してしまう。

残された人々の中には、たまたま休暇でスキー場へ滞在していた涼子と、
その ”下僕” である泉田準一郎警部補も含まれていた。

そして、停電と余震に怯える人々を、
突如現れた ”雪の怪物” が襲い始めるという、
”恐怖の一夜” が始まる・・・

涼子たちが相手にするのは
混乱に乗じて強盗に及ぼうとする小悪党から
見上げるような謎の巨大モンスターまで様々。

立ち塞がる ”敵” を涼しい顔でバッタバッタとなぎ倒していく。
その際、総理をはじめとする ”政治屋” や、
財界上層部へのお歴々への悪口雑言を吐きながら、という、
いつも通りのスタイルで活躍する涼子たちが描かれる。


とは言っても、今回の話はあまりストーリーらしいストーリーがない。

”敵” の目的も正体も最後まで不明だし、
だから涼子たちも場当たり的に対応するばかりで
根本的な解決に向かうことが出来ない。

 ま、涼子サンご本人には、解決しようという気が
 そもそもないのかも知れませんが(笑)。

登場人物が口にする ”体制批判” も田中芳樹の十八番だが
何でも「政権与党と金持ちが悪い」で済ますのは如何なものか。
わかりやすくて一部の読者には痛快なのかもしれないが。


私も若い頃は面白がって読んでたが、60年も生きてくると、
そう簡単に割り切れないものも感じるようになったしね。

私も年を食ってきたんだなあ、ということと
田中芳樹も「団塊の世代」だったんだなあ、というのを
改めて感じた次第。

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