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ロボット・イン・ザ・ハウス [読書・SF]


ロボット・イン・ザ・ハウス (小学館文庫)

ロボット・イン・ザ・ハウス (小学館文庫)

  • 作者: デボラ インストール
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

前作「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の続編。

主人公は、引きこもりニートのベン・チェンバーズ。
彼のもとにある日、謎のロボット・タンダが現れる。
ベンの妻エイミーは、ダンナに愛想を尽かして家を出て行き、
残されたベンは、タンダの ”製作者” を探して旅をするのだが
その中で次第にベンは一人前の人間として、そして ”父親” として
成長していく・・・という物語が前作では語られた。

エイミーとの仲も ”完全和解” とまではいかないものの、
とりあえずの修復に至り、再び同居を始めた。
そして前作のラストでは二人の娘・ボニーが生まれ、
その9ヶ月後から続編は始まる。

チェンバーズ家の庭先に、もう一体のロボットが現れる。
ジャスミンという名で、どうやら ”女の子” らしい。
その正体は、タングの製作者であるロボット工学者ボリンジャーが
タングを取り戻すために送り込んできたもの。
ベンたちの居場所を特定し、その位置情報を
ボリンジャーに送信しているらしい・・・


タンダの引き起こす騒ぎに、ベンをはじめとする
人間たちが振り回されるという基本線は同じだけど
ボニーが生まれたことにより、
”兄” として ”成長” していくタンダの物語が綴られる。

四角四面でおよそ感情というものを示さず、
ボリンジャーに命じられたとおりに振る舞おうとするジャスミンも、
チェンバーズ家の人々、そしてタンダに触れあううちに
また ”変化” していく。ここでも ”成長” が語られる。

ボリンジャーとの間の、タンダを巡る ”養育権(笑)” 争いと、
ベンとエイミーとの微妙な関係と、
前作で残された ”二つの宿題” に決着がつき、
「後日談」かつ「完結編」といえる内容になっている。

その気になれば続きは書けるだろうけど、
蛇足にしかならないんじゃないかな。
ここで打ち止めにするのがきれいな終わり方だと思う。


それに、前作でも感じたことだけれど、
メインキャラこそロボットではあるけれど、
ストーリー自体にSF的要素は少なく、本作ではさらに希薄なものに。

 タンダとジャスミンを人間の子供と置き換えても
 物語自体は成立してしまうんじゃないかな。

まあ、もともと作者にはSFを書こうという意識はなくて
子供の成長と、それを育てる側の親の成長を
効果的に強調できるから「ロボット」という要素を入れ込んだのだろう。
実際、解説によると作者自身の出産経験も大きかったらしいし。

こういう作品にもっとSFっぽい展開を期待してしまうのは
八百屋で魚を買おうとするようなものなんだろう。

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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-08 22:20) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-08 22:20) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-08 22:20) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-09 23:56) 

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