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舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 [読書・ミステリ]


舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (光文社文庫)

舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 文庫
評価:★★★

前作「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」に続く第2弾。
とはいうものの、前作を読んだのはたぶん8年くらい前。
内容はさっぱり覚えていかった。(^_^;)

本作を読んでるうちに前作の記憶が呼び覚まされるかと思ったが
こちらもさっぱりだったね(笑)。

語り手は中学生・高梨愛美璃(えみり)。
同級生の織本凪沙(なぎさ)、萩原夏鈴(かりん)ともに
私大の付属校である女子中学校に通っている。
この3人に、愛美璃の小学校時代の同級生で
公立中に通う舞田ひとみが加わった4人が遭遇する事件を描いた
6編が収録されている。


「白+赤=シロ」
愛美璃たち3人は、繁華街で災害義援金を装った
募金詐欺らしき女を見つける。
たまたま出会ったひとみとともに、女の家を突き止めた4人だが、
そこで殺人事件に遭遇する。
文庫で60ページほどだが、登場人物紹介が大半。
なので、事件発生から解決までは10ページちょっととかなり忙しい。
でも、ひとみさんの名探偵ぶりがしっかりアピールされてる。

「警備員は見た!」
愛美璃たちの通う中学校の水泳部の部室で
水着や下着が盗まれる事件が発生する。
犯行時に学校は授業中で、2カ所ある校門にはそれぞれ警備員がいた。
犯人は捕まらないまま夏休みを迎えるが、
今度は職員室に泥棒が入ってしまう・・・

「幽霊は先生」
愛美璃たちの通う中学校の英語講師、オーストラリア人のトム先生は
週に1時間、愛美璃のクラスの授業を担当している。
しかし、その日授業に現れたトム先生は、わずか1週間のうちに
体重が激減してすっかりやつれてしまっていた。
本人は「とても怖い目に遭った」という。
理由を知りたいとせまる愛美璃たちにトム先生は語る。
「幽霊を見た」と。
動機は分かるが、ミステリの落ちとしては正直なところ微妙なネタ。

「電卓男」
愛美璃は母親から、小学5年生の弟・修斗(しゅうと)の
携帯メールについて相談される。
意味不明のひらがなの羅列でしかない暗号のような文面のメールを
やりとりしているらしい。
ひとみは謎のメールを解き明かし、
ついでに修斗が抱えていた秘密にもたどりついてしまう。
しかし、愛美璃の家庭では
「親は子どもの携帯の中身を自由にチェックできる」んだそうだ。
実際、そんなことしたら今時のお子さんは激怒するんじゃないかな。
ちなみにこのタイトルを最初に見たとき
てっきり「電 ”車” 男」だと勘違いしたのはナイショだ。

「誘拐ポリリズム」
家にいた愛美璃のもとへ弟・修斗から電話がかかってくる。
謎の男に誘拐された、身代金を持ってきてほしい、と。
修斗との会話から、誘拐犯と監禁場所の見当をつけたひとみだが・・・
”誘拐もの” は数あれど、まだこんなアイデアがあったんだね。

「母」
ひとみが交通事故に遭い、骨折して入院してしまう。
そして同じ病院の入院患者・兼森初恵が失踪し、
20キロ離れた山林の中で遺体となって発見される。
ベッドから動けないひとみの安楽椅子探偵ぶりが発揮される一編。


中学生が殺人事件などの情報を手に入れるのはかなり無理があるが
ひとみの叔父が地元警察の刑事をしているので
いわゆる ”身内が警察関係者” というパターンでもある。

ある短編の後日談が次の短編の冒頭で語られたり、
前の短編の展開がそのまま次の短編に受け継がれたりと
全体がゆる~くつながった連作短編集になっている
冒頭の「白+赤=シロ」が1学期の話で
最後の「母」が年度末の春休みの話と、
主人公4人組が1年間の間に遭遇した事件の話になってる。

11歳→14歳ときたから、順調にいけば(笑)
次は17歳のひとみさんの話が読めるはずだが・・・
愛美璃たち3人はエスカレーター式に付属中→付属高とすすめそうだが
ひとみ嬢のほうは無事に高校生になれるかな。
勉強も嫌いでダンスばっかりしてるし、父親との折り合いも悪いし。
現在まで続編は発表されてないみたいだけど、さて?

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