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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ [映画]


2014年公開の「GODZILLA ゴジラ」の続編である。
今回はゴジラに加え、ラドン、モスラ、そしてキングギドラと
「三大怪獣 地球最大の決戦」のメンバーが揃い踏み。

「三大-」のほうは 1vs3 の変則マッチだったが
今回は 2vs2 のタッグマッチだ。

ストーリーのほうはもうあちこちで触れられてると思うので
ここには書かない。知りたい人はwikiでも何でも見てください(笑)。

g-kom.jpg
怪獣をCGで描くのもすっかり当たり前になったみたいで
ゴジラの造形や動きも板についてきた感じ。
CGっぽい不自然さもあまり感じなくなってきた。

特筆すべきは、やっぱりハリウッドで初めて描かれた他の怪獣だろう。

まずキングギドラは、従来の操演にはない生物感が出色の出来。
ヘビのような三つ首の動きに邪悪さと獰猛さがよく表れてる。
そしてモスラ。こんなに神々しく、かつ美しく描かれたモスラも
かつてなかったと思う。
このモスラを見ていたら、なぜか涙が出てきたことはナイショだ。

この2体を見ていると、模型をピアノ線で操る特撮は
もう過去のものになってしまったんだなあと痛感する。

これだけでも、この映画は見る価値があると思う。


さて、ここからはこの作品を見ていて気になったことを。

ストーリーの展開や演出がいささか粗っぽいのは
この手の映画ではある程度仕方がないのかとも思う。

例えば、怪獣との交信装置である ”オルカ” が壊れたとき、
超精密な機器であるはずなのに
半田ごてでゴチャゴチャやってると直ってしまうとかね。
中学生の作ったラジオじゃないんだから。

「いくらなんでもそれはないだろう」的な部分もあるけど
主役はなんと言っても怪獣なんだから、まあそのへんは許せる。


私がいちばん気になったのは、
物語の中盤、キングギドラと一戦交えて傷つき、
海底で眠りについてしまったゴジラを ”たたき起こす” ために
ゴジラの鼻先で核兵器(!)を爆発させるというシーン。

まあ「核」とは明言されてないけど、前後の台詞のやりとりから
これが核兵器であるのは明らかだろう。

ゴジラとは核兵器のメタファーで、
核の乱用が人類に災厄をもたらし、さらには滅亡の道につながる、
というメッセージを背負って生まれてきた存在だったはず。

そんなゴジラに核兵器をぶつけて、
さらに ”元気にさせよう” という発想は
正直言って私の理解の範疇を超えるものだった。

これは原爆を落とした側と落とされた側の違いなのだろう。
アメリカ人は原爆投下を間違ったこととは思っていないようだし、
フィクションの世界でも、
核兵器を禁忌としては扱っていない作品も散見するし。
”効果的な最後の切り札” 程度にしか思っているのかもしれない。

しかも、ゴジラの鼻先で核兵器の引き金を引くのが
渡辺謙演じるところの芹沢博士。
命を捨てる役に自ら志願するのだが、
この芹沢博士って広島の原爆で亡くなった父の遺品である
懐中時計を持ち歩いている、って設定だったはず。
そして、自身もたぶん被爆二世。

そんな人が自ら核兵器の引き金を引くのかい?
渡辺謙は、この役(行動)に疑問を感じなかったのかい?

でも、いちばん問題なのは、
この点を問題に感じる人が多くなさそうなこと、なのかもしれない。

映画評論家とか言われてる人の文章で、ここに触れている人は
少なくとも私の知る限り皆無。映画会社への忖度なのかね。

ネットで、一般の人の映画評を読んでみても
絶賛/酷評に関わらず、この点に触れている人は少数派だ。


30年くらい前は、修学旅行で広島を訪れる学校は多かった。
夏には、原爆をテーマにしたTV番組が毎年のように放送されていた。

今や修学旅行の行き先は沖縄や韓国になってしまったというし
原爆に限らず、太平洋戦争を扱ったTV番組もぐっと減ってしまった。

 これが「記憶の風化」というものなのか。

日本人に生まれたのなら、広島の原爆資料館は一度は見てほしいし
1954年の「ゴジラ」(第1作)も観ておいてほしいなあ。
こちらの芹沢博士も、自らの命をなげうって
「オキシジェンデストロイヤー」の引き金を引くが
その目的は「キング・オブ-」とは似て非なるものだ。

 「オキシジェンデストロイヤー」といえば、
 「キング・オブ-」にも同名の兵器が出てくるが
 これまた本家とは似ても似つかないものだ。

 文部科学省は「ゴジラ」(1954)を ”必修” に指定して
 義務教育のどこかで生徒全員に見せるべきだね。

その上で、「キング・オブ-」に全く問題を感じないで絶賛できるのなら
それはもうその人の価値観の問題になるから仕方がないが・・・


なんだか最後は、頭の硬い頑固老人の愚痴みたいになってしまった。
自覚はしてるが後悔はしていない(おいおい)。


最後にもう一つだけ。

私は「吹替版」で観たのだけど・・・
メインキャラである学者夫婦を田中圭と木村佳乃が演じてる。

声優としての技量としては二人とも悪くない。
いままで観てきた「有名俳優が声優として出演した作品群」と比べると
十分、上手い部類に入ると思う。

ただ、キャラと ”合ってない” んだよねえ・・・特に田中圭が。
ドラマやバラエティで人気の二人なので、
そのへんがキャスティングの理由なんだろうけどね

あ、二人の娘を演じた芦田愛菜はよかったよ。
いちばん違和感なく聞けた。

NHKの改元番組にゲストで呼ばれたりと
中学生にして既に ”文化人枠” に入りつつある。
女優としてもタレントとしても順風満帆だね。
芦田愛菜、末恐るべし(笑)。

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