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化学探偵Mr.キュリー2 [読書・ミステリ]


化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/07/23
  • メディア: 文庫
評価:★★★

四宮大学理学部化学科の准教授にして
"Mr.キュリー" の異名を持つ沖野春彦准教授と、
庶務課の新人職員・七瀬舞衣のコンビが
大学内外で起こる事件に巻き込まれるシリーズ、第2弾。

タイトルの「化学」という単語に腰が引けてしまう人もいるかも。
でも、前巻の時も書いたけど化学が苦手の方でも楽しめるので大丈夫。


「第一話 化学探偵と炎の魔術師」
四宮大学で、近くの小学校を対象にした施設見学会が開かれる。
それに参加した小学生・勇太は沖野に願い出る。
僕は魔法を使いたい、と。
彼は、謎の老人が鉄をも溶かす
<炎の魔法>を使うところを見たのだという・・・
偏屈な変人である沖野だが、子供のために一肌脱ぐ姿がお茶目。

「第二話 化学探偵と盗まれた試薬の使途」
学生アイドルを大募集している<四宮大学アイドル研究会>に、
"オーディションを延期せよ" との脅迫状が舞い込む。
同じ頃、沖野の研究室から過酸化水素のビンが盗まれていたことが発覚。
過酸化水素は爆発物の材料にもなることから
沖野と舞衣は犯人捜しを始めるが・・・
シチュエーションは深刻なんだが、中身はコメディ。

「第三話 化学探偵と疑惑の記憶」
人気女優・東雲(しののめ)英梨子には、謎の記憶がある。
小学生の頃、学校の授業でつくったクッキーを家に持ち帰り、
それを食べた祖母が苦しみ出す・・・というもの。
その後の経緯については記憶がないのだが、
祖母はその時期に亡くなっていた。
自分のつくったクッキーには毒物が入っていたのではないか?
相談を受けた舞衣は、英梨子と共に沖野の研究室を訪れるが・・・
人は正しいことを信じるのではなく、自分の信じたいことを信じる。
そんな人の心の有り様に沿って解決を図ろうとする沖野。

「第四話 化学探偵と幻を見た者たち」
四宮大学農学部が産学協同で開発中の健康飲料『超脳力水』。
しかし、大学関係者を名乗る匿名の電話が
『超脳力水』には重大なコンプライアンス違反がある、と告発する。
同じ頃、『超脳力水』を飲んだ学生が錯乱状態になったことが明らかに。
状況はかなりシリアスなんだが、ゲストキャラ・"みゅーたん" の
破壊的なビジュアルに圧倒される(笑)。
本書の中ではいちばん化学的な謎解きが行われるが
化学の知識がなくても説明は理解はできるので大丈夫。

「第五話 化学探偵と人魂の正体」
四宮大学三年生の国見千里は占いに凝っている。
PCの画面上に複数の単語をランダムに表示させる "CRP占い" を
自ら考案したほどだ。そしてその日、画面上に表示されたのは
「人魂」「を」「一緒」「に」「見た」「相手」「と」「結ばれる」
そして彼女は、部屋から見える洋館の窓に人魂が現れるのを目撃した。
千里から相談を受けた舞衣は、二人で沖野の研究室を訪れるが・・・
人魂の正体は素人では絶対に思いつかないものなので横に置いといて、
千里を巡る恋愛模様が楽しい。ラスト一行の "その次" が知りたくなる。


「日常の謎」と「学生たちのバカ騒ぎ」と「ラブコメ」と
「沖野と舞衣の同僚以上恋人未満の関係」を良い具合にミックスし、
それに「化学」というスパイスを効かせた感じの作品集。
肩の凝らない読み物として楽しい。

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