臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件 [読書・ミステリ]
言葉の真偽を完璧に判別する "特殊能力" をもつ大学院生・本多唯花。
「臨床真実士」の異名を持つ(本人は嫌がっているが)彼女と、
その友人の法学部3年・鈴木晴彦のコンビが活躍するシリーズ第2作。
「臨床真実士」の異名を持つ(本人は嫌がっているが)彼女と、
その友人の法学部3年・鈴木晴彦のコンビが活躍するシリーズ第2作。
唯花の元に、"ABX" と名乗る者から挑戦状が届く。
そしてその内容通り、赤坂で芦屋雄次という高校生が殺される。
頭文字Aの地で、頭文字Aの人間が殺され、そして被害者の血液型もA型。
そしてその内容通り、赤坂で芦屋雄次という高校生が殺される。
頭文字Aの地で、頭文字Aの人間が殺され、そして被害者の血液型もA型。
そして一週間後、再び届いた挑戦状の通りに頭文字Bの分倍河原で、
頭文字Bの尾藤三津子が殺され、そして彼女の血液型はB型。
頭文字Bの尾藤三津子が殺され、そして彼女の血液型はB型。
さらに続く第三の殺人、今度の頭文字は "O" だった・・・
ここまで読んできたら、というか本書のタイトルからもバレバレだが
アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」を思い浮かべる人が多いだろう。
"ABC" と名乗る犯人が、頭文字Aの地で頭文字Aの人を殺し・・・って、
パターンは全く同じである。
パターンは全く同じである。
「ABC-」を既読の方なら、このパターンの殺人に込められた
"犯人の意図" をご存じだろう。
ミステリにはまり始めた頃に読んで、
ラストの謎解きで驚いた経験を持つ人も多いのではないか。
"犯人の意図" をご存じだろう。
ミステリにはまり始めた頃に読んで、
ラストの謎解きで驚いた経験を持つ人も多いのではないか。
本書は一見して古典的名作の "本歌取り" のように見える。
しかし、もちろんそれだけで終わらないし、
本作ならではの "仕込み" がある。
しかし、もちろんそれだけで終わらないし、
本作ならではの "仕込み" がある。
本書「ABX-」にも、この連続殺人に秘めた "意味" がある。
そして、その "意味" を見抜くのは実は難しくない。
なぜかって? だって私にも分かったんだもん(笑)。
そして、その "意味" を見抜くのは実は難しくない。
なぜかって? だって私にも分かったんだもん(笑)。
ただ、それが分かったからといって、
真相も犯人も分かるかと言えばそんなことは全然ないんだよねえ。
真相も犯人も分かるかと言えばそんなことは全然ないんだよねえ。
往年の名作野球マンガ『巨人の星』で、
花形満が大リーグボール二号の秘密を80%まで見破っていても、
残り20%に届かなかったが故に星飛雄馬に破れたみたいに(おいおい)。
花形満が大リーグボール二号の秘密を80%まで見破っていても、
残り20%に届かなかったが故に星飛雄馬に破れたみたいに(おいおい)。
知らない人には全く分からない例え話で申し訳ない。
作者も、そこまで気づかれるのは織り込み済みなのだろう。
その上で、さらに読者の予想を上回る高難度の事件を構築している。
その上で、さらに読者の予想を上回る高難度の事件を構築している。
そして解決編の直前には、由緒正しく「読者への挑戦状」が挿入される。
高密度の事件だけに、唯花嬢による解明もじっくりと行われる。
本書の解決編は、本編全体で約360ページあるうち、
およそ1/4の90ページ強も占める。
本書の解決編は、本編全体で約360ページあるうち、
およそ1/4の90ページ強も占める。
前作が「犬神家の一族」ばりの
"館もの" & "クローズトサークルもの" だったように、
このシリーズはライトノベルの体裁を取ってはいるが、
中身は驚くほど骨太のミステリだ。
"館もの" & "クローズトサークルもの" だったように、
このシリーズはライトノベルの体裁を取ってはいるが、
中身は驚くほど骨太のミステリだ。