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フェニキアの至宝を奪え・上下 [読書・冒険/サスペンス]


フェニキアの至宝を奪え〈上〉 (新潮文庫)

フェニキアの至宝を奪え〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: クライブ カッスラー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/05/28
  • メディア: 文庫
フェニキアの至宝を奪え〈下〉 (新潮文庫)

フェニキアの至宝を奪え〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: クライブ カッスラー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/05/28
  • メディア: 文庫
評価:★★

海洋冒険小説ダーク・ピット・シリーズのスピンオフである
「NUMAファイル・シリーズ」も本作で7作目になるそうだ。

アメリカのNUMA(国立海洋海中機関)に所属するダーク・ピットの
同僚にして、特別出動班を率いるカート・オースチンとその仲間たちが
活躍するシリーズだ。

ダーク・ピット・シリーズの著者クライブ・カッスラーが
ポール・ケンプレコスと共作する形で書かれているシリーズだなんだが
私としてはあまりこの二つのシリーズに差を感じなかったりする(笑)。


作品の冒頭ではカッスラー作品では恒例の遙かな古代の出来事が描かれる。
今回は紀元前900年頃。フェニキア人の駆る大型帆船が、
いずことも知れぬ地で繰り広げるエピソード。

続いて舞台は1809年に跳び、アメリカ合衆国第3代大統領
トーマス・ジェファーソンを巡るエピソードが綴られ、
そしていよいよ時間軸は現代へ移り、本編の開幕である。


イラク戦争時にバグダットの博物館から略奪され、
行方不明になった展示品群。
ユネスコ調査官カリーナ・メカディはその中の一つ、
<航海者>と呼ばれる古代フェニキアの彫像を取り戻すことに成功した。

カリーナは<航海者>をアメリカに運ぼうとするが、
積んでいたコンテナ船が謎の一団に襲われてしまう。
しかしたまたま近くで氷山の曳航作業をしていた
オースチンたちが駆けつけ、一味は撃退される。

なぜ<航海者>は狙われたのか。そしてそれを命じた者者は誰か。

オースチンたちは事件について調査を始めるが、
やがて<航海者>には世界の宗教地図を塗り替えかねない真実が
潜んでいることを知る・・・


トーマス・ジェファーソンの残した暗号の手紙とか、
ソロモン王の秘宝とか、いろいろ道具立ても賑やかで、
オースチンたちの "宝探し" の物語がアクションを交えて語られていく。


とまあ書いてきたけれど、本書への評価は★2つ。
けっこう辛いのはいささかマンネリ気味かなあと思ったから。

「タイタニックを引き揚げろ」に代表される
「ダーク・ピット」シリーズの初期作は
それこぞ手に汗握るサスペンスの名作揃いだったのだが
シリーズを重ねるにつれて、緊張感が薄れてきたように思う。

まあ長期シリーズものの弊害というか宿命なのだろうけど、
主人公たちが危機を迎えても、それがあんまり危機に感じられない。
危機の描写にも深刻さが足りないように感じるし、
だいたい主人公が危機と思っていなさそうだし。

 作者(たち)はそんなつもりで書いてはいないのだろうけど、
 読者にそれが伝わってこないと言った方が良いか。

悪い意味で「水戸黄門」化してるような気がする。

もっとも、そういう物語だから安心して読めるという人もいるだろう。
ダーク・ピット・シリーズも最初は12作だか16作で終了、とか
アナウンスされてたと思うんだがもう24作目になっているし(笑)、
2000年代に入ってからは、本シリーズのように共著の形で
新シリーズを続々と立ち上げて量産体制に入ってしまった。
それだけ、こういう読み物シリーズの需要があるということだよねえ。

まあ多作になってしまったぶん、
1作ごとの密度が下がってるのかも知れない。
世の中には質と量の両立を果たしている作家さんもいるようだが
すくなくともカッスラーは、量産しない時代の作品の方が
明らかに質は高かったよ。

あと、最後に明かされる "秘密" の内容だが・・・
キリスト教世界の人にとっては重大なことなのかも知れないが
日本人にはちょっと馴染みがないというかピンとこないというか・・・
まあこのへんは作者の責任ではないよね。
そういう意味では、読者の宗教観によっては本書の評価も変わるかも。

手元にはもう何作か未読のカッスラー&共著シリーズの作品が
あるのだけど、どうしようかなあ。
まあせっかく買ってあるんだから積ん読分だけは読むことにしようかな。
これから出版される分はその時に考えよう。

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ダークゾーン・上下 [読書・ファンタジー]


ダークゾーン 上 (角川文庫)

ダークゾーン 上 (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/12/21
  • メディア: 文庫
ダークゾーン 下 (角川文庫)

ダークゾーン 下 (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/12/21
  • メディア: 文庫
評価:★★

将棋のプロ棋士を目指す大学生・塚田裕史(ひろし)が
暗闇の中で目覚めたとき、彼は異形の怪物17体を従える
"赤の王将"(キング)と呼ばれる存在になっていた。

怪物たちも、それぞれ塚田の友人知人が転生したものであり、
その中には塚田の恋人・井口理紗の姿もあった。

不死身の "鬼土偶"(ゴーレム)、火炎を噴く "火蜥蜴"(サラマンドラ)、
空を舞う "皮翼猿"(レムール)、触れる者すべてに死をもたらす
"死の手"(リーサル・タッチ)、そして "歩兵"(ポーン)・・・
それぞれ異なる特性を持つ "軍勢" を従えた "赤の王将" の使命は、
同じく18体からなる "青の王将" の軍勢に勝利すること。

そして敵となる "青の王将" は、現実世界でも塚田と同じく
プロ棋士を目指してしのぎを削るライバル・奥本博樹だった。

戦いのフィールドとなるのは、薄明の異空間の中に浮かぶ謎の島。
なぜか長崎の「軍艦島」にそっくりの姿をしている。

戦いは駒単位で戦い、相手の駒を "殺す" と、
殺された駒はその場から消滅し、その駒は自分の "持ち駒" となる。
最終的に "王将" を殺された方が負けとなる。
勝敗がついた時点で双方の "駒数" はリセットされ、
ふたたび初期状態に戻って勝負が始まる。
戦いは七番勝負。先に四勝した方が勝利者となり、
敗北した方はこの世界から永久に消滅する。

戦いの理由も分からぬままに塚田たちは自らの生存をかけて戦いに臨む。
将棋ともチェスとも似ているようで異なり、さらには
独自のルールまで持つこのゲームで、
特殊能力を持つ "異形の怪物" を駒として操り、
ありったけの知力と駆け引きで塚田たちは勝利を目指していく・・・

章のタイトルも「第○局」となっていて、対戦の結果が綴られていく。
そして章と章の間には「断章」として、
現実世界での塚田の生活が断片的に描かれていく。

このゲーム世界と現実世界の関係は?
なぜ戦いの舞台が "軍艦島" なのか?
そして、戦わなくてはならない理由は何なのか?


この手の "ゲーム世界を舞台にした小説" は、
現代、特にライトノベルの世界ではさほど珍しくないのかも知れない。
しかし私と同年代の人なら、発端の部分の紹介を読んで
永井豪の傑作マンガ「真夜中の戦士」を連想した人も多いだろう。
実際、作中人物の台詞を借りてこの「真夜中-」への言及があるので
作者の中にも意識としてこの作品はあるのだろう。

私が本書につけた評価は★2つと低めなのだが、
その理由の大部分は主人公の造形にあるように思う。

本作は、まずはゲーム小説として楽しむのが本来なのだろうが
私はどうにも上手く乗れなかった。
まず主人公の塚田くんがあんまり強そうに見えないんだ。

彼は "ゲーム" のルールに精通しておらず(というか最初は全く知らない)、
試行錯誤を繰り返しながらルールを身につけていくのだが
「実はこんな規則があった」ってことを後から知って、
それが原因で窮地に陥ったり負けたりすることが頻発する。
いい加減「最初からちゃんと教えておけよ」って思う。

もっとも、現実世界の塚田くんもプロ棋士を目指しているものの
なかなかリーグ戦を勝ち上がれず四苦八苦。
しかも昇格の年齢制限が迫ってきているという瀬戸際にいるので
それを反映させているとも言えるが。

"断章" 部分で語られるその現実世界の塚田くんがまた
感情移入しにくい性格なんだよなあ。
まあ、このあたりの彼は二十代はじめで、自分の将来に
不安を抱えてることもあるのだろうけど、やたら自己中心的だったり、
実力が伴わないのに変なプライドだけはあったりとか
私が苦手な青春小説の主人公パターンそのままの姿なのだ。

そんな塚田くんも後半に入るとだんだん "ゲーム慣れ" してきて
奥本相手に互角の戦いを展開するようになるんだが・・・

このブログでも以前書いたことがあるが、本格ミステリならともかく
冒険小説やファンタジー系の物語では、キャラに入れ込んで読むのが
私の読み方なので、(私からみて)主役キャラに感情移入しにくい
本作のような小説は必然的に評価が辛めになってしまう。

まあ、この主人公に馴染みにくいって感じるのはあくまで私の主観。
他の人からすれば魅力的に見えるのかも知れない。

もちろん評価するべき点もある。
目次を見ると「第一局」から「第八局」まで8回の勝負が描かれている。
(七番勝負なのになぜ第八局?って疑問は、読んだら解決します)

つまり作者は、同じ出発点から8通りの展開と勝敗を描いているわけで
しかも内容はもちろんそれぞれ異なる。将棋とチェスがベースとはいえ
自ら考案したゲームのルールを駆使して多彩な展開を描いてみせる。
このあたりはホントによく考えたなあって思う。


"断章" 部分で描かれる現実世界の塚田くんの行動は、
終盤に近づくにつれてどんどん不穏な雰囲気を漂ってくる。

そして現実世界の物語はある破局に至り、
さらに「終章」では、このゲーム世界にまつわる謎に
一つの "解答" が与えられるんだが、
これがまた切ないというか救いがないというか・・・
いや、塚田くんにとってはこれがある意味での救いなのかも知れない。

全編にわたってダークな雰囲気のホラー・ファンタジーになっている。
波長が合う人にとってはたまらなく魅力的な世界なのかも知れないが、
前年ながらわたしとはちょいと合わないみたいです・・・

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長い廊下がある家 [読書・ミステリ]


長い廊下がある家 (光文社文庫)

長い廊下がある家 (光文社文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/07/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

臨床犯罪学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の
コンビが活躍する本格ミステリ中短編4作を収める作品集。

「長い廊下がある家」
限界集落を研究している学生・日比野は山中でのフィールドワークで
道に迷い、住人のいなくなった廃村にたどり着く。
そこで出会ったのはオカルト番組の取材に訪れた男女3人組、
編集者の市原、心霊ライターの久谷、カメラマンの砂子。
彼らはもう1人のメンバー、宮松の到着を待っていた。
彼らが取材していたのは幽霊が出ると噂の館。
その地下には長い通路があり、130m離れた別棟とつながっている。
その通路は中央に閂のついた扉があって東西に二分されていた。
そしてその扉の西側で宮松の死体が発見されるが
犯行時刻には容疑者である3人組はすべて東側の家にいて、
現場へ行くことはできなかったことが分かる・・・
最後に明らかになるトリックは "コロンブスの卵" 的で
"目から鱗が落ちる" ような思い。

「雪と金婚式」
田所雄二・安曇(あずみ)夫妻は金婚式を迎えた。
しかしその翌朝、夫婦と同居している義弟・重森が
自室で絞殺死体となって発見される。
容疑者として2人の人物が浮上するが、どちらにもアリバイが。
そして死体発見から6日後、田所雄二は階段で転倒して側頭部を打撲、
そのため転倒以前の約1年分の記憶を失ってしまう。
転倒する直前、雄二は安曇に対して「犯人の見当がついた」と語っていた。
雄二の記憶を取り戻し、犯人を指摘するために火村が取った行動は・・・
ミステリなんだけど、半世紀にわたって苦楽を共にしてきた夫婦の
"ちょっといい話" でもある。

「天空の眼」
有栖は、彼の住むマンションの隣人で
高校教師の真野沙織から相談を受ける。
卒業生の広沢星子(ほしこ)が撮ったスナップ写真に
"謎の顔" が映りこんでいたのだという。
それを「心霊写真だ」と決めつけけて広沢を怖がらせたのは、
彼女と同じゼミの支倉明徳という男子学生。
そして支倉の友人・富士野研介は
姫路郊外の廃屋の屋上から転落死していた・・・
本作では火村は有栖の回想にだけ登場し、
心霊写真と転落死をつなぐ謎を解くのはあくまで有栖。
こういう回もあるんだね。
この真野沙織さんって、時たま出てくるキャラみたいなんだが
有栖さんとは今後どうにかなるんですかね?
もっとも本シリーズは "サザエさん時空" なので
ずっと隣人のままなのかな。

「ロジカル・デスゲーム」
火村の講義に潜り込んでいたニセ学生・千舟。
彼の父が過去の未解決事件について重大な事実を知っているという。
千舟に招かれ、彼の自宅を訪れた火村だが、
それは千舟の仕掛けた罠だった。
火村は千舟から命をかけた "ゲーム" を挑まれることになるが・・・
本作は他のアンソロジーで既読。初読時は、謎解きの部分の
確率論的なところが今ひとつよく分からなかったのだけど
今回はじっくり読み込んだので前回よりは理解できたと思う(笑)。
あと、火村が仕掛けた "逆転の一手" のシーン。
マジシャン並みの "技" が必要だなあ、って印象は変わらず。

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第五章 煉獄編 "衝撃の結末" とは? [アニメーション]


■「衝撃の結末」大予想(笑)

公式サイトのあらすじには
「巨大な白色彗星の奥に眠る都市帝国の真の姿とは?
 そしてズォーダーより突きつけられる新たな悪魔の選択……
 ラスト五分──涙とともに、あなたは衝撃の結末を目撃する」
とある。

いやあ、いったい何が起こるんだか。
「涙とともに」なんて、どんな悲惨な事態が起こるやら。
こんなこと書かれたら、いろいろ妄想が膨らんでしまう。

旧作の流れに沿うならば、
ガトランティスの前衛艦隊の撃退に成功した地球艦隊が
本隊である白色彗星のガス帯 or 姿を現した都市帝国によって
壊滅してしまう、という展開。

しかしリメイクである「2202」では、
これとはまた異なるストーリーが展開するのだろう。


以下に書くのは、私の個人的な妄想が全開したもので、
何の根拠も無いことをまずお断りしておく。

たぶん当たらないと思うんだが(おいおい)、
ふと思いついてしまい、頭の中に留めておく我慢が
できなくなってしまったので書いてしまった(笑)。
我ながら堪え性のないことで。

まあ、お時間がありましたら御笑覧ください。


■「白色彗星の奥に眠る都市帝国の真の姿」

私が思うに、第五章のラストで起こるのは
「超巨大戦艦」の登場ではないかと思う。

例えば、第五章のラストで「都市帝国」が姿を現しても
旧作を知る人は「そだねーww」って驚かないだろう。

 まあ、旧作とはスケールが違うので(何せコアが6800kmあるから)、
 異なるビジュアルになるのだろうとは思うけど。

さらに言えば、第六章や第七章で「超巨大戦艦」が登場しても
「ああ、やっぱりねぇ」って思うだけじゃないかな。

 今回の彗星コア並みの6000kmくらいの戦艦が出てきたら
 さすがにそのサイズに驚くことはあるかも知れないが。

最後まで引っ張っても旧作の再現にしかならないのなら
いっそのことこの第五章までで旧作準拠のネタは使い切ってしまい、
第六章からはオリジナルのネタをぶち込んでくるんじゃないかなぁ、
って思った次第。

「2202」の第四章で彗星コアを見せてしまったように
"彗星内部の設定披露の前倒し" が起こってるので
第五章でまず「都市帝国」を登場させ、さらに間を置かずに
先出しで「超巨大戦艦」までいってしまう。

 別に都市帝国が崩壊しなくてもいいんだ。
 例えば都市帝国の形状が旧作に殉じるなら、
 半球形の下部のどこかがパカッと開いて出てくるとか(笑)。

もちろんここで終わりではなく、この後にも
さらなる「何か」が仕込んである、という予想をしている。


■地球艦隊を壊滅させるもの

さらに妄想は続く。

登場する超巨大戦艦もまた旧作準拠の形状とするなら、
艦首にある、あの謎の10蓮砲口(笑)が使われるだろう。

あれは実はガトランティス版デスラー砲で、一度に10発の砲撃が可能。
そしてその標的は地球艦隊。
つまり今回の地球艦隊はデスラー砲(波動砲)で壊滅する、という流れ。
これなら「衝撃の結末」にならないかな?

「2202」において、波動砲艦隊は "作中悪"。
古代たちヤマトのクルーは "波動砲艦隊構想" に
"否" を唱えて地球を飛び出した。

そのヤマトは13話に於いて波動砲を使用したけれど、
止むに止まれぬ事情のもと。
決して波動砲の存在を "是" としたわけではないだろう。
認めたくはないけれど、ヤマトの使命を完遂するには必要なもの。
罪の意識を持ちながら "共存" していく運命を背負う覚悟をした。
(と私は理解している。)

決して "波動砲艦隊" という存在が肯定されたわけではないと思う。
ならば、作中に於いて波動砲艦隊は否定されなければならない。
その手段として、ガトランティスのデスラー砲(波動砲)によって
消し去られるというのは理に適っているのではないか。

「力に頼る者は、より大きな力を持つ者によって倒される」

これが地球艦隊の辿る運命のような気がしてる。


ちなみに、「新たな悪魔の選択」については全く見当がつきません(笑)。


■第六章以後

まあ、地球艦隊が全滅してしまってはあとがたいへん(笑)なので
艦隊の一部は生き残るのだろう。山南もなんとか生存するんじゃないかな。

そして第六章では、帰還したヤマトと地球の残存艦隊が合流し、
ガトランティスに乾坤一擲の最後の勝負を挑む、
って流れになるんじゃないか。

テレサの預言に従うならば、そこではデスラーも参戦し、
ガミラスからもメルダやバーガーあたりの援軍が来るのだろう。


■月の運命

ちょっと心配なのは月の扱い。
旧作でも地球艦隊が壊滅した後、月はガトランティスによって
ひどい扱いを受けたからねえ。

そして何より「2202」では、ここに真琴と翼くんがいる。
二人が "悪魔の選択" の対象に含まれたりしないように祈る。
それでなくても、流れ弾の一発でも当たったら
エラいことになるんだから。

なんとか無事に済んで欲しいが
そういう予想ほど外れたりするからなあ・・・
なんといっても「涙とともに」ってフレーズが限りない不安を煽る。


■終わりに

さて、妄想全開で好き勝手なことを書いてきましたが
多分外れるでしょう(笑)。


私なんぞの妄想を遙かに超える展開が拝めるものと期待してます。

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第五章 煉獄編 特報(30秒ver.)公開 [アニメーション]


■特報(30秒ver.)公開

公開されましたねぇ特報。思ったより早かったかな。
なんだか公式より早くYouTubeでフライング公開されてたとか(笑)。




第四章と第五章のインターバルが今回はまるまる4ヶ月もあるので、
情報を小出しにしてファンの関心をつないでおこう、
っていうところですかね。

4月に入ったら60秒ver.の「予告編その1」がでて
5月に入ったら90~120秒くらいの「予告編その2」、
くらいのスケジュールではないかと予想。


■その内容は

例によって、台詞とシーンをダラダラ書き出してみる。
抜けてるところがあるかも知れないが大目に見てください(笑)。

・初っぱなから滴るのは・・・ガミラス人の血?
・「イスカンダル・・・スターシャ・・・」
 振り返るのは若き日のデスラー?  声も心なしか若く聞こえるし。
・遺跡内に進入するのはノイ・デウスーラと同じ
 青い配色のニードルスレイブ。
 もともとガミロイドの技術を用いて創ったものだから
 本来の持ち主に戻ったとも言える。
・「デスラー総統」 ←誰の台詞? 古代かな?
・銃を構える総統、振り返る古代。
・パルスレーザーを撃ちまくりながら降下するヤマト、
 そして艦首魚雷一斉射。
・「全ての命には定めがあります」女神様の声が響く。
・デスラーのアップ、そして主砲を撃つゲルバデス級。
 乗っているのは太タラン?
・「でもそれは自らの選択の結果」相変わらず超然としていなさる。
・斉藤、そして謎の少年(誰?)、
・腕部のカノン砲を撃つ機動甲冑、被弾するニードルスレイブ。
・パイロット席のキーマン。
・「終わりにしないか、デスラー総統」15話の予告にあった台詞。
・艦体を傾けながら海面すれすれを飛ぶヤマト、
 ゲルバデス級の下に滑り込んでの反撃か。
・「デスラー総統に伺いたい」キーマン、いよいよデスラーと対面か。
・少年の瞳のアップ。
・キーマンのツヴァルケ、そして古代。
・「あなたは何を願ってここに来られたのか」とりあえずは敬語?(笑)
・海面すれすれを並走して飛ぶヤマトとノイ・デウスーラ。
・何か(テレサ?)をふり仰ぐデスラー。
・そしてタイトル 第五章「煉獄編」
・「テレサに呼ばれた者は」
・銃を構える斉藤、そして山本は口もとがちょい強ばってる?そして島。
・ミサイル全弾発射(?)するノイ・デウスーラ。
・「あるべき未来に従って為すべきを為す」
・振り返るデスラー、古代、そして振り返る少年
・そして意味深な
「ラスト五分──涙とともに、あなたは衝撃の結末を目撃する。
 5.25 劇場上映」


相変わらず巧みな(笑)編集で、さっぱり展開の予想がつかない。
しかもここに出てるのは、前半の15・16話の部分だけ。

おそらく太陽系を戦場としてガトランティスと地球の主力艦隊同士の激突となる後半17・18話のシーンは多分入ってない。
ま、そちらは4月以降のお楽しみなのだろう。

そして時折挿入される謎の少年。
デウラーなのかキーマンなのか、それとも両方いるのか?
もしデスラーだったら、幼少期のスターシャやら
サーシャやらユリーシャも出てくるのでしょうかね?


■最後に余計なことを

アンドロメダ級三番艦「アポロノーム」のネーミングの元ネタが
マンガ「サブマリン707」(小澤さとる)にあることは
以前の記事で書いたが、この特報の中にある

・海面すれすれを並走して飛ぶヤマトとノイ・デウスーラ。

のシーンを見ていたら、「707」のあるシーンを思い出した。

第二部「謎のムウ潜団篇」での最終決戦、
敵の首領レッド大佐率いるブラックジャックと707が
一騎打ちするシーンだ。
20180310.jpg

まあ、私が勝手に連想しただけですが(笑)。

「2202」本編中でのこのシーンが
どういうシチュエーションなのかがさっぱり分からないんだが、
どんな状況なのかでどんなふうに描かれるのか、今から楽しみである。


■次回予告(笑)

この特報を見ながら、キャッチコピーにある「衝撃の結末」について
ちょっと考えてみた。
次回はこれについて書いてみたい。

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白戸修の狼狽 [読書・ミステリ]


白戸修の狼狽 (双葉文庫)

白戸修の狼狽 (双葉文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/05/16
  • メディア: 文庫
評価:★★★

なぜか "中野" に行くとトラブルに巻き込まれてしまうという
不思議な "体質" をもっている主人公・白戸修。
そんな彼の出会う事件を綴ったシリーズ第二弾。

「ウォールアート」
なんとか中堅出版社への就職を果たした白戸。
模型雑誌の表紙を描いているイラストレーター・轟のところへ
届け物を言いつかるのだが、最寄りの中野駅を降りたあと
道に迷ってしまう。時は既に真夜中。
そこで白戸は、スプレーで落書きをしている謎の人物を目撃する。
そして白戸は落書き犯を見張っていた七倉という男に
犯人と思われて捕まってしまうのだった・・・

「ベストスタッフ」
就職して三ヶ月。やっと訪れた休日なのに、
大学時代の先輩・仙道に呼び出された白戸。
中野にある新日本会館で開かれる、アイドル・雛美(ひなみ)紀子の
コンサートのステージ設営に無理矢理駆り出されてしまったのだった。
そして、スタッフの間にはある噂が。
雛美紀子を狙うストーカーがコンサートの妨害を企んでいるらしい。
その噂を裏付けるように、準備中にもトラブルが起こって・・・

「タップ」
中野の駅前でポーチを拾った白戸。そこに現れた女性・諸刃冴子は
「そのポーチには盗聴電波が出ている」と告げる。
二人はそのままポーチの持ち主・柳沢由美のマンションへ向かう。
由美の部屋で二人はさらに盗聴器を発見するが・・・
ここから先は予想のつかない展開の連続なんだが、
ラストはちょっぴりほっこりする。

「ラリー」
白戸が中野駅ですれ違った男は定期入れを落とした。
拾った白戸は男を追いかけるが、なぜか相手は悲鳴を上げて逃げていく。
そこへ現れた男・宇田川は、白戸にアルバイトを持ちかける。
それは複数のグループが都内を巡る、謎の "ラリー" だった。
宇田川は現在一位。そして、他のグループが
宇田川と白戸を標的に次々と襲ってくるのだった・・・
ラリーの賞品もユニークだが、この価値が分かる人は少なそう。
そしてもちろん、宇田川の意外な "目的" に気づく白戸くんだった。

「ベストスタッフ2 オリキ」
仙道から再びアルバイトへ無理矢理駆り出されてしまった白戸。
こんどは男性アイドルグループのコンサートの警備だ。
一回目のコンサートのラスト、興奮する観客を押し止めていた仙道は
負傷して病院送りになってしまう。
コンサートの客である君川結花と知り合った白戸は、
彼女の話から仙道の負傷は何者かの陰謀であった可能性に気づく・・・
私はこの手のアイドルコンサートやロック系のコンサートに
行ったことがないんだが、イベントの裏側の描写もけっこうあって
意外な仕組みが分かったりするのも面白いところ。
今回のゲストの結花さんは最優秀助演女優賞なみの大活躍。


白戸くんは毎回毎回、四苦八苦する羽目になるのだけど、
だからといって他人を恨むことのないお人好しな性格。
そしてなぜか洞察力は鋭く、トラブルに振り回されているうちに
いつの間にかその裏に潜む事情を見抜いてしまう。
そんな主人公の穏やかな性格故か、どの物語も
収まるところに収まっていい案配の結末を迎える。

いやあ、やっぱり最後は人間性の問題になるのだね。

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化学探偵Mr.キュリー2 [読書・ミステリ]


化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/07/23
  • メディア: 文庫
評価:★★★

四宮大学理学部化学科の准教授にして
"Mr.キュリー" の異名を持つ沖野春彦准教授と、
庶務課の新人職員・七瀬舞衣のコンビが
大学内外で起こる事件に巻き込まれるシリーズ、第2弾。

タイトルの「化学」という単語に腰が引けてしまう人もいるかも。
でも、前巻の時も書いたけど化学が苦手の方でも楽しめるので大丈夫。


「第一話 化学探偵と炎の魔術師」
四宮大学で、近くの小学校を対象にした施設見学会が開かれる。
それに参加した小学生・勇太は沖野に願い出る。
僕は魔法を使いたい、と。
彼は、謎の老人が鉄をも溶かす
<炎の魔法>を使うところを見たのだという・・・
偏屈な変人である沖野だが、子供のために一肌脱ぐ姿がお茶目。

「第二話 化学探偵と盗まれた試薬の使途」
学生アイドルを大募集している<四宮大学アイドル研究会>に、
"オーディションを延期せよ" との脅迫状が舞い込む。
同じ頃、沖野の研究室から過酸化水素のビンが盗まれていたことが発覚。
過酸化水素は爆発物の材料にもなることから
沖野と舞衣は犯人捜しを始めるが・・・
シチュエーションは深刻なんだが、中身はコメディ。

「第三話 化学探偵と疑惑の記憶」
人気女優・東雲(しののめ)英梨子には、謎の記憶がある。
小学生の頃、学校の授業でつくったクッキーを家に持ち帰り、
それを食べた祖母が苦しみ出す・・・というもの。
その後の経緯については記憶がないのだが、
祖母はその時期に亡くなっていた。
自分のつくったクッキーには毒物が入っていたのではないか?
相談を受けた舞衣は、英梨子と共に沖野の研究室を訪れるが・・・
人は正しいことを信じるのではなく、自分の信じたいことを信じる。
そんな人の心の有り様に沿って解決を図ろうとする沖野。

「第四話 化学探偵と幻を見た者たち」
四宮大学農学部が産学協同で開発中の健康飲料『超脳力水』。
しかし、大学関係者を名乗る匿名の電話が
『超脳力水』には重大なコンプライアンス違反がある、と告発する。
同じ頃、『超脳力水』を飲んだ学生が錯乱状態になったことが明らかに。
状況はかなりシリアスなんだが、ゲストキャラ・"みゅーたん" の
破壊的なビジュアルに圧倒される(笑)。
本書の中ではいちばん化学的な謎解きが行われるが
化学の知識がなくても説明は理解はできるので大丈夫。

「第五話 化学探偵と人魂の正体」
四宮大学三年生の国見千里は占いに凝っている。
PCの画面上に複数の単語をランダムに表示させる "CRP占い" を
自ら考案したほどだ。そしてその日、画面上に表示されたのは
「人魂」「を」「一緒」「に」「見た」「相手」「と」「結ばれる」
そして彼女は、部屋から見える洋館の窓に人魂が現れるのを目撃した。
千里から相談を受けた舞衣は、二人で沖野の研究室を訪れるが・・・
人魂の正体は素人では絶対に思いつかないものなので横に置いといて、
千里を巡る恋愛模様が楽しい。ラスト一行の "その次" が知りたくなる。


「日常の謎」と「学生たちのバカ騒ぎ」と「ラブコメ」と
「沖野と舞衣の同僚以上恋人未満の関係」を良い具合にミックスし、
それに「化学」というスパイスを効かせた感じの作品集。
肩の凝らない読み物として楽しい。

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臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件 [読書・ミステリ]


臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件 (講談社タイガ)

臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件 (講談社タイガ)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/19
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

言葉の真偽を完璧に判別する "特殊能力" をもつ大学院生・本多唯花。
「臨床真実士」の異名を持つ(本人は嫌がっているが)彼女と、
その友人の法学部3年・鈴木晴彦のコンビが活躍するシリーズ第2作。

唯花の元に、"ABX" と名乗る者から挑戦状が届く。
そしてその内容通り、赤坂で芦屋雄次という高校生が殺される。
頭文字Aの地で、頭文字Aの人間が殺され、そして被害者の血液型もA型。

そして一週間後、再び届いた挑戦状の通りに頭文字Bの分倍河原で、
頭文字Bの尾藤三津子が殺され、そして彼女の血液型はB型。

さらに続く第三の殺人、今度の頭文字は "O" だった・・・


ここまで読んできたら、というか本書のタイトルからもバレバレだが
アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」を思い浮かべる人が多いだろう。

"ABC" と名乗る犯人が、頭文字Aの地で頭文字Aの人を殺し・・・って、
パターンは全く同じである。

「ABC-」を既読の方なら、このパターンの殺人に込められた
"犯人の意図" をご存じだろう。
ミステリにはまり始めた頃に読んで、
ラストの謎解きで驚いた経験を持つ人も多いのではないか。

本書は一見して古典的名作の "本歌取り" のように見える。
しかし、もちろんそれだけで終わらないし、
本作ならではの "仕込み" がある。

本書「ABX-」にも、この連続殺人に秘めた "意味" がある。
そして、その "意味" を見抜くのは実は難しくない。
なぜかって? だって私にも分かったんだもん(笑)。

ただ、それが分かったからといって、
真相も犯人も分かるかと言えばそんなことは全然ないんだよねえ。

 往年の名作野球マンガ『巨人の星』で、
 花形満が大リーグボール二号の秘密を80%まで見破っていても、
 残り20%に届かなかったが故に星飛雄馬に破れたみたいに(おいおい)。

 知らない人には全く分からない例え話で申し訳ない。

作者も、そこまで気づかれるのは織り込み済みなのだろう。
その上で、さらに読者の予想を上回る高難度の事件を構築している。

そして解決編の直前には、由緒正しく「読者への挑戦状」が挿入される。

高密度の事件だけに、唯花嬢による解明もじっくりと行われる。
本書の解決編は、本編全体で約360ページあるうち、
およそ1/4の90ページ強も占める。

前作が「犬神家の一族」ばりの
"館もの" & "クローズトサークルもの" だったように、
このシリーズはライトノベルの体裁を取ってはいるが、
中身は驚くほど骨太のミステリだ。

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Love 恋、すなわち罠 ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]


Love 恋、すなわち罠 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Love 恋、すなわち罠 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: 文庫
評価:★★★

2013年に発表された短編ミステリから選ばれた10編を収録した
ベスト・アンソロジーの二冊目。
前巻収録の5編に続き、本書では残りの5編が収録されている。

「人魚姫の泡沫(うたかた)」森晶麿
新人恋愛小説家・夢宮宇多とその担当編集者・井上月子のコンビが
出会う事件を描いた連作短編集「偽恋愛小説家」中の一編。
新作執筆を迫る月子から逃れ、夢宮は行方をくらましてしまう。
月子は彼を追って伊豆高原へ向かうが
そこで彼女は高校時代の片思いの相手・美船と再会。
そして美船の婚約者は、月子のかつての親友・喜代だった。
穏やかではない心を抱えて、二人と同じ宿に泊まる月子だが・・・
意外な出会いから明らかになる過去の秘密。
そしてそこから生まれる殺意。やっぱり嘘はいけませんね。
自分を偽って生きても幸せをつかむことはできないという教訓(笑)。

「言えない言葉~The words in a capsule」本田孝好
"死神狩り" に誘われた小学四年生のボク。
同級生の仲間たちと一緒に出かけるが、出会った死神は
制服を着た女子中学生、そして葬儀店の一人娘だった。
その "死神" に掴まってしまったボクは、
ある事件の犯人捜しを手伝わされることに・・・
ラストに登場するのはこの "事件" から6年後、高校一年生のボク。
そして明らかになる意外な事実。うーん、これは一杯食わされた。
連作シリーズの中の一編。この作者、何年か前に
読むのをやめてしまったのだけど、このシリーズだけでも
読んでみようかな、ってちょっと思ってる。

「恋文」西澤保彦
エミールこと日柳永美(ひさなぎ・えみ)は高校一年生。
彼女は祖母・道子の蔵書に挟まっていた手紙を見つける。
37年前の学生時代に道子のルームメイトだった友人・工富多津子が
書いたものらしい。しかしその内容は
「もしも私が不審死を遂げたら、犯人は以下のどちらかの男です」と
実名を挙げて "告発" するものだった・・・
一通の手紙が時を超えて青春の思いを甦らせる。
"暗号もの" としても面白い。

「春の十字架」東川篤哉
雑誌記者の村崎は遠戚の緑川静子に頼まれ、鎌倉の緑川邸を訪れる。
静子が言うには、彼女の夫・隆文が浮気をしており、今晩あたり
離れにその相手を連れ込むか、抜け出して会いに行くと睨んでいる。
その離れを一晩中監視する役目を押しつけられた村崎。
しかしその翌朝、離れの中で隆文が絞殺死体で発見される。
しかも遺体は十字架に縛り付けられた状態で。
現場のドアはロックされ、出入り可能なのは天窓のみだった・・・
"準" 密室な殺人の謎解きも面白いが、
一番驚くのは、探偵役として登場する人物の名前。
いやあこいつは「いくらなんでもそれはないだろう」
奇抜すぎるネーミングに、思わずぎゃふん(笑)。

「不惑」薬丸岳
結婚式のビデオ撮影を生業とする窪田。
彼の婚約者・麻里子は13年前に強盗に襲われた。
それが原因で彼女は自殺を図り、一命は取り留めたものの
病院で寝たきりの状態になってしまっていた。
犯人は当時17歳。少年法の壁に阻まれてその素性を知ることは
できなかったが、窪田は独自に調査を続けていた。
そして今日、結婚式を挙げるカップルの新郎が
13年前の事件の犯人だと窪田は知ってしまう・・・
ラストに明かされる、窪田の心の中にあった真の "思い"。
自らの身に置き換えてみると、なんとも重く苦しい。
ミステリとしてはありだと思うが、物語としてこれを読むのは辛いなあ。

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アルスラーン戦記 13~16(完結) [読書・ファンタジー]


蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス)

蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス)

  • 作者: 田中 芳樹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/10/07
  • メディア: 新書
天鳴地動(てんめいちどう) アルスラーン戦記14 (カッパノベルス)

天鳴地動 アルスラーン戦記14 (カッパノベルス)

  • 作者: 田中 芳樹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/05/16
  • メディア: 新書
戦旗不倒  アルスラーン戦記15 (カッパノベルス)

戦旗不倒 アルスラーン戦記15 (カッパノベルス)

  • 作者: 田中 芳樹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/05/18
  • メディア: 新書
天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)

天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)

  • 作者: 田中芳樹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/12/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
大河ファンタジー・シリーズ、「アルスラーン戦記」の記事その4。
今回は第13巻から最終巻となる第16巻までを採り上げる。

前の記事に倣って初刊の発行年を掲げてみると

13巻「蛇王再臨」(2008年)、14巻「天鳴地動」(2014年)
15巻「戦旗不倒」(2016年)、16巻「天涯無限」(2017年)

13巻と14巻の間こそ6年空いてるが
ラストの3巻分は比較的短期間に刊行された。


以下に、最終巻までの内容紹介および感想もどきを書く。
致命的なネタバレはないようにしてるつもりだが
ラストの内容に一部触れているので、
これから本編を読もうと思ってる方は、
読了後に目を通されることを推奨する。


まずは完結させてもらったことについては「お疲れ様」と言っておこう。
しかし、内容の評価についてはかなり辛口にならざるを得ない。
私のように、残りの人生が逆算できる年齢になって
こういう話を読むのは正直辛いものがある。


「解放王アルスラーンの十六翼将」と言われ続けてきたが
ずっと15人のままで16人目がいなかった。
たぶん読者は○○だ、いや✕✕だろう、意外なところで△△じゃないか
なぁんて20年くらいの間、予想しまくってた(笑)と思うのだが、
13巻にしてやっと最後の一人が揃うことになる。
そして、予想が当たった人はほとんどいないんじゃないかと思う。
私自身、意外すぎてびっくりだったよ。
逆に「この人でいいの?」とも思う。
他の15人とバランスが取れているとは思えない "人選" ではないか?

そして、月というものは満月になった瞬間から欠け始めるもの。
十六翼将もまたその例に漏れず、全員揃ったのも束の間、
櫛の歯が欠けるようにぽろぽろとその数を減じていく。
およそ人間相手ならば後れをとるような者たちではないが
何せ相手は人外の魔物。
ある者は妖魔の奸計に嵌まり、またある者は天変地異に巻き込まれ、
そしてまたある者は圧倒的な妖魔の猛攻の前に
善戦虚しく刀折れ矢尽きて、その命を散らしていく。

そしてそれは十六翼将以外のキャラについても同様で
14巻以降になると、もうホントに情け容赦もなく・・・
さすが "皆殺しの田中" の二つ名は伊達ではない(おいおい)
かなりの "鬱展開" と言っていいだろう。

 最終16巻の冒頭に「主要登場人物一覧」があって
 ここには(15巻までにお亡くなりになった人も含めて)
 28人の(ザッハークも "一人" と数えてwww)名前が載っているのだが
 読了後、この中で生き残った人数を数えてみた。
 そのあまりの少なさに愕然としてしまったよ。

全16巻、31年を費やしてこの物語は完結を迎えるのだが
物語の終わり方としてこの結末はどうだろう。
おそらく大方の読者が望む方向でのエンディングには
なっていないのではないかと思う。

同じ作者の『銀河英雄伝説』を読んでいれば
作者の "皆殺し" ぶりに対して
ちょっとは "免疫" がついてるかも知れないが(笑)、
最近放送されたTVアニメや荒川弘のマンガ版からこの物語に
入ってきた読者は、いささかショックを受けるのではないかと思う。

作者はなぜこのような結末を選択したか。
その根幹には、田中芳樹という作家の "価値観" があるように思う。

この人は "君主制" というものをとことん肯定できないのだろう。
たとえフィクションの世界であっても。

『銀河-』の中でも再三、キャラの口を借りて述べてる。
「最悪の民主政治でも、最良の専制政治に勝る」と。
その "信条" は30年経ってもいささかも変わってはいないみたいだ。

ならば、
「名君であるアルスラーン王が悪の帝王を倒し、
 そのおかげでみんなは末代まで幸せに暮らしました」
なぁんてベタなエンディングを描くはずがない。

しかし、大多数の読者は作者の "理想の政治体制" を読みたいのではなく
上記のようなベタな結末を望んでるんじゃないかって思うんだが、
この作者にはそれができないのだろう。"信条" として。

 そんな結末を描こうものなら、日本中に王政賛美者が大増殖してしまう、
 なんて強迫観念でも持ってるんじゃないかって思ってしまう。

作品は第一義的には「作者のもの」であるのは間違いないが
完結まで30年も辛抱強く待っていてくれたファンのことを考えれば
半ば以上、「ファンのもの」でもあると言えるのではないか。

作者が作品にどのようなメッセージを込めようが自由だが
30年にわたってつき合って読者からすれば、
アルスラーンを始め、メインキャラたちには
凡百の作品にはない愛着を覚えていたと思う。

そういう思い入れたっぷりのキャラたちが
(読者から見れば)いささか呆気ない形でどんどん退場していく。
熱心なファンであればあるほど、この展開は受け容れがたいだろう。

 逆に言えば、続刊が出るまで時間がかかりすぎたが故に
 ファンの脳内での第二部への期待(妄想?)が過剰に大きくなり、
 作者の構想との乖離が予想以上に広がってしまった、
 と言う面はあるだろうが。


年齢から来たであろう筆力の衰えもあるだろう。
それが原因か分からないが、構成が粗いところも見受けられる。
あるいは健康面に問題があって、完結を急いだのかも知れない。
30年前、作家として絶好調の時期にこの展開を描いていたら
ストーリーは同じでも、また違った評価もあったかも知れない。

第一部が傑作であったがゆえに、第二部の展開が残念でならない。
作者は当初の予定通りの物語を描ききったのかも知れないが
その展開、そして結末を読者に納得させるだけの
ストーリーテリングの力はもはや失われていた、ということなのだろう。

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