SSブログ

刑事の矜持 日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集 [読書・ミステリ]


刑事の矜持-日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(7) (双葉文庫)

刑事の矜持-日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(7) (双葉文庫)

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

『探偵の誇り』に続く、
日本推理作家協会賞を受賞した作家さんによる短編アンソロジー。
前回もそうだったが、発表年代がかなり古いものが集められてる。
参考までに、タイトルの前に発表年を記してみた。

2009「亡霊」大沢在昌
キャリアでありながら、現場の警官であり続ける
孤高の刑事・鮫島を主役とした『新宿鮫』シリーズの一編。
組の金に手をつけて、”消された” と思われていた
暴力団員・須藤錠治が新宿の街に現れた。
半年前に起きた宝石店強盗との関係を疑う鮫島だったが・・・
『新宿鮫』も4作めか5作めくらいまでは読んだかなあ。
大沢在昌はやっぱり私とは合わないなあとも思った。

1988「帰り道は遠かった」黒川博行
大量の血痕が残るタクシーが発見されたが、運転手の柴田の姿はない。
タクシーの後部には真新しい衝突痕があり、分析の結果
相手はSクラスのベンツと判明した。
大阪府警の刑事、黒木と亀田のコンビが真相を追う。
自分が関東生まれ関東育ちのせいか、コテコテの関西弁は苦手みたい。
TVで観てるのは大丈夫なんだが、文章で書かれると
内容が頭に入ってこなくて話に乗れない。

1993「有力者の夢」佐野洋
”白の刑事” と呼ばれる相良は、被疑者にかけられた疑いを晴らすべく、
「白」になる証拠を集めようとする風変わりな刑事。
幼児相手の痴漢行為の容疑者として小学校教師・蓬田が逮捕される。
その決め手となったのは元警察署長・菅(すが)の目撃証言だった。
彼は、市議会議員になるという夢を描いていたのだが・・・
弁護士の東谷(とうや)は、相良と相談して一計を案じる。
佐野洋も、20代の頃に長編を4冊くらい読んだかなあ・・・

1956「信号は赤だ」島田一男
白バイで巡邏中の三田巡査はスピード違反のシボレーを発見、追跡する。
しかしその途中で、運転手が射殺されたタクシーが発見される。
赤信号で止まったシボレーから、横にいたタクシーに撃ちこまれたらしい。
そしてそのタクシーの乗客となっていたのが、
三田の婚約者・佐枝子の弟、三郎だった・・・
佐枝子の職業がバス・ガールとか、戦後間もない頃の風俗が描かれてる。
ストーリー運びも犯人像も大仰な感じで、如何にも昭和な雰囲気満載。
だけど、江戸川乱歩から読書人生が始まった私には
それがとても懐かしく感じられるんだよなぁ。

1951「絆」土屋隆夫
小学校教師・千野が担任している6年生・柳河秋夫が書いた作文。
タイトルは『ぼくの父はころされた』。
彼の父・正利は1年前に青酸カリで死亡していた。
ガンがかなり進行していたこと、死んだ日が8月15日だったこと、
そして正利が元陸軍大佐だったことから自殺と思われていた。
たまたま、千野の友人で警視庁で刑事をしている朝霧が
体調を崩して彼のもとへ静養に訪れていた。
千野に協力を求められた朝霧は、真相を確かめるべく動き始める。
メインのトリックはあからさますぎて早々と犯人の見当がついてしまう。
このネタで、いまミステリを書いたら噴飯物だろうなぁ。
犯人当てではなく、犯罪の背景を描くことがメインの作品なのだろう。
復員軍人である被害者の過去が動機に繋がるなど
これも ”時代” を感じさせる作品。
中学校教師と兼業で作家活動を続けた人で、作品数はそう多くないはず。
読んだのは初期の長編3冊くらいかなぁ。

1947「霊魂の足」角田喜久雄
文庫で約90ページと、本書中で最長。
花屋『マドモアゼル』は兄・大滝隆平と妹・マユミ、母親・加代の
3人で経営している。そこへ隆平の弟・正治が
2人の仲間、服部と石川を伴って復員してきた。
しかし3人は定職に就くでもなく、なにやら企んでいる様子。
そして1週間後、『マドモアゼル』が営業しているビルの地階の
隣の区画で服部の銃殺死体が発見される。さらに殺人は続いて・・・
警視庁捜査一課長・加賀美(かがみ)が活躍する一編。
角田喜久雄も懐かしいなあ。『高木家の惨劇』を読んだのは
中3くらいの頃だったかなぁ。内容はよく理解できなかったが(笑)。
親父の蔵書の中にあったんだよねえ。
そういえば、『化人幻戯』(江戸川乱歩、これはエロかったwww)も
『悪魔の手毬歌』(横溝正史、これは怖かった)もあった。
みんな箱入りで立派な製本で、何かの全集だったのかも知れない。
親父の蔵書はほとんどが実用書ばかりで、数少ないノンフィクションは
歴史小説ばっかりだったと記憶してるんだが
実は意外とミステリ好きだったのかも。


なんと後半の3作は私の生まれる前の作品。
ミステリの歴史は長いというのを実感しますねぇ。

nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ: