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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第六章 回生編」感想・・・のようなもの その7 [アニメーション]


例によって、本編を観ながら感じたこと考えたことを
ダラダラ書いた感想もどきです。無駄に長いのはご容赦願います。

※ネタバレ全開です。
 円盤の到着待ち、あるいはTV放映待ちの方はご注意ください。

◆第21話「悪夢からの脱出!!」(3/3)

■福井節、炸裂

この21話は、今までになく作家・福井晴敏のカラーが
色濃く出た回だったと思う。
いわゆる ”福井節” と呼ばれる台詞回しも随所に現れる。

「恐怖を克服するには、自らが恐怖になるしかない」

これ、小説版「終戦のローレライ」にも
同様の台詞があったと記憶している。
まさにここからが福井脚本の真骨頂なのだろう。

「波動砲艦隊も、時間断層による軍拡も、
 それがガミラス戦争で滅びを経験した人類の・・・結論」
「この残酷な世界で生きて行くには・・・人は弱すぎる」

■「ヤマトは生きている!」

G計画が発動され、銀河は戦闘から離れ、
AIの指揮下へ移行しようかというまさにその時。

「アンドロメダより全艦優先通信! 聞こえるか、ヤマト発見!」

全艦優先通信とのことなので、すべての連邦航宙艦に届いているのだろう。
だから銀河にも、そしてヤマトにも。

「一瞬だが光学的に補足した。あれはヤマトだ! ヤマトは生きている!」
「だが、彗星帝国の強大な重力に囚われている。
 ヤマト単独での脱出は困難だ」
「残存艦艇、聞こえていたらヤマト脱出の援護を!」

そして山南は乾坤一擲の戦いへと身を投じる。

「本艦はこれより彗星中心核に突入し、敵重力源の破壊を試みる!」

しかしアンドロメダ単艦では無謀すぎる。

「艦長、意見具申。銀河のコスモリバースで増幅してやれば
 アンドロメダ1隻の波動砲でも重力源にダメージを与えられるはずだ」

しかし真田の意見具申に対してAIの回答は

「期待する効果を得るにはCRSに負荷がかかりすぎる。
 不確実性の高い作戦のためにコスモリバースシステムを失うわけには」

「お前には聞いていない! 艦長!」

真田の一喝が早紀の心を揺さぶり始める。

おそらく「2202」で(今のところ)最高にカッコいい真田さんだろう。
私のかみさんも超感激してた。きっと惚れ直したに違いない(笑)。

■「死んでとれる責任などない」

山南の独白は続く。

「多くの、多すぎる命が失われた。今更責任をとれるものではないが、
 せめて俺とアンドロメダの命と引き換えに、戻ってきてくれ、ヤマト!」

「山南、死んで取れる責任などないぞ、山南」

第六章の白眉ともう言えるシーンがここから始まる。

映画館で観ているときはもう夢中だったので考えもしなかったのだけど
冷静になってからこの一連のシーンを思い返してみる。

まず、この土方の台詞は山南の独白に対するものだよねえ。

ということは、山南は通信を切り忘れて独り言を言っていたのか、
それとも、これからも戦い続ける人々にも聞かせようとして
あえて通信を切らずにいたのか。

もし前者だったら、あとで山南は猛烈に恥ずかしい思いをしたかも(笑)。
だけども、そのお陰でヤマトも救えて自分も救われたのだけどね。

これに続く、一連の土方の台詞も、アンドロメダを中継して
銀河に届いていたっていう解釈でいいのだろうな。

もっとも、土方はあくまで山南に向かって説いていたわけで
自らの言葉が銀河の艦橋に響いていたとは思わなかったのだろうが。

■「俺たちは機械じゃない!」

崩壊するゼムリアをバックに飛び立つヤマト。
ここから始まるBGMが、否が応にもクライマックスを盛り上げていく。
13話の波動砲シーンのBGMと双璧だね。サントラ第二集待ってます。

「生きろ!」上方からの直撃を受けるヤマト。これも旧作のオマージュか。
「生きて恥をかけ」この通信は加藤にも聞こえているのか。
「どんな屈辱にまみれても生き抜くんだ」顔を上げる加藤
「人間は弱い。間違える。それがどうした?
 俺たちは・・・機械じゃない!」
「優先すべきはG計画」
「機械は恥を知らない」
「人類存続のために」
「恥をかくのも、間違えるのも、全部人間の特権なんだ!」

 長く人間をやってると、恥をかいたことは数知れず。
 間違えて頭を下げて回ったことも数知れず。
 でもそれでこそ血の通った人間、と認めてくれる。
 私みたいなポンコツな男には、この台詞は沁みるなあ・・・

その土方の言葉がついに早紀を動かす。

「本艦は直ちに」早紀の銃がAIを打ち砕く。

「現時点を以て指揮AIを更迭。本艦の指揮は私が執る!
 銀河、火星星圏へ!」

この一連の流れも福井節全開で、いろいろ書きたいこともあるのだけど
もういい加減、長い文章になったのでこれ以上はやめておこう。
ああ、「終戦のローレライ」をもう一度読み返したくなってきたよ。

■人馬(人艦?)一体

イーターが盛大に突き刺さっても、さらにはブリッジを直撃しても
突進をやめない山南&アンドロメダ。

速射魚雷で後方から迫るイーターを迎撃、そして波動砲発射機構も健在。

「お前もしぶといな、アンドロメダよ」もうこの台詞、最高である。

発射態勢に入ったアンドロメダ後方にワープアウトする銀河

「山南艦長、お供します。共に、生き抜くために」
「コスモリバース限界稼働」「この一撃でもう使い物に」
「かまわない。これは我たちの、人間のフネだ!」
「コスモリバース、発動」「波動砲、発射!」

アンドロメダ&銀河の合体技だね。

CRSによって増幅された波動砲が重力源を破壊。

それによって生じた波動共鳴(?)に翻弄されるカラクルム級。

■ヤマト、脱出

機関が今ひとつ不調なのか、もたもたと飛ぶヤマト。
でもいかにも艦体が重そうなのがヤマトらしくて、これもいい。

崩壊したゼムリアの破片が接近。逃げられないかと思いきや
そこへロケットアンカーが飛来、強制的に接続される。
牽引しているのはアンドロメダ

「全艦、白色彗星より脱出!」

ガス帯を抜け、火星上空へ逃れてくるが
アンドロメダはすでに瀕死の状態のようだ。

「ヤマト・・・生きて・・・生きていてくれた」感涙にむせぶ加藤。
まあ自分がしでかしたことを思えばそうなるだろう。

■「山南艦長救出に成功!」

誘爆を引き起こしながら火星へ落下していくアンドロメダ。
「ここまでか」山南はヤマトとの牽引を切り離し、雲海の下へ。
やがて艦体は爆発、轟沈する。思わず立ち上がる土方

しかし立ち上る噴煙から姿を現すブラックバード隊。
加藤機の上には山南の姿が。
山南救出を伝える加藤の声が、またいい。
そしてそれを聞き、口元を緩めて敬礼する土方も。

ブラックバードって3機しか生き残ってないのかと思ったんだが
ラストシーンを観るとヤマトと銀河の周囲に
10機以上の機影が見える。思ったより残ってたのか、補充したのか。

■アンドロメダ最強伝説

思えばアンドロメダというのは不運なフネなのかも知れない。
「さらば」の公開直前頃に、アニメ雑誌かなんかに設定画が載ってて
やたらカッコいいその姿に、心ときめいた人も多かろう。

しかし本編中では目覚ましい活躍と呼べるものはほとんど無く、
彗星帝国の強大さを強調させるための ”やられ役”、
結果的にはヤマトの前座的な扱いに終始した。

本来、ヤマトを凌駕するスペックを与えられながら
それを発揮する場を与えられずに退場していった。まさに不運のフネ。

しかし2202においては、その ”前世” の鬱憤を晴らすかのような
文字通り獅子奮迅の大活躍、危機に陥ったヤマトを救うべく
彗星帝国に単艦で突入し、見事ヤマトを連れ帰る。
そしてヤマトの復活と入れ替わるように自らは宇宙に散る。

ある意味、最高の舞台を与えられて、しかもその役割を全うしたわけで
(ヤマトを除けば)「山南の駆るアンドロメダは地球防衛軍最強」
と呼んでも、異論を唱える者は少なかろう。

■第21話まとめ

9話とか18話みたいな話ではないので、あまり悩まずに
短くスッキリ書けると思ってたんだけど、
熱い台詞が満載で、しかも最終章へ向けて制作陣が語りたいテーマも
見えてきたような気がして、実際書いたら他の回の五割増しに。
まあ、内容の密度も高かったし。

とは言っても、まだ油断はできませんよねぇ。
なんと言ってもあの監督とシリーズ構成は ”えげつない” んですから(笑)。

(つづく)

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