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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第三章 感想・・・のようなもの その9 [アニメーション]


第9話 ズォーダー、悪魔の選択  (4/5)

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください!

■「選ぶ」こと、「選ばせない」こと、そして「選ばない」こと

無線で問い返す雪。答えない古代。
永倉に切り替え、状況を知る。

「聞こえているんだろう、ガトランティスの王!
 俺が選ぶのは・・・」

そのとき、ガミラス艦上に現れる雪。ヘルメットをとり、風が髪をなぶる。

「選んでしまったら、あなたは自分で自分が許せなくなる。」
「古代くん、選ばせない!」艦上から身を投げ出す雪。

「選ばない! 俺は選ばない!」
絶叫しながら雪を追って急降下する100式。

選ぶ理由の中から自分を排除してしまえば
古代がどの艦を選んでも、罪悪感に苛まれることはなくなる。

しかし古代の行動はその予想を超えていて
雪一人を救うことを選んでしまう。
この時の古代は、3隻のガミラス艦の存在は
完全に意識から消え去ってしまっているのだろう。

交信を傍受していた透子。「選ばせないために・・・」
怒りに歯ぎしりをするスォーダー。「ルールの変更は許されない!」

"スイッチ" が入った蘇生体が機関室へ向かい、次々に自爆していく。
動力を失い、惑星崩壊に巻き込まれていくガミラス艦

「これが貴様の選んだ結果。
 人として選ばないという選択をした貴様のエゴが
 助けられたはずの命まで失わせるのだ。
 虚しい。実に虚しい」

落下する雪に追いつき、抱きしめる古代。

■「トロッコ問題」土方の "解"

惑星崩壊の重力中心に大質量を投入することにより
二人を助けようとする真田の提案に、土方は決断する。

シュトラバーゼはミニブラックホールみたいなものになりつつあるのか。
重力源自体を波動砲で消滅させようとしているって解釈したのだが・・・

要するに、作業員に向かって驀進するトロッコに
横からダンプカーをぶつけて線路外へ吹っ飛ばしてしまえ! でOK?

「ガトランティスの王が見物しているなら教えてやろう。
 人間がどれだけしぶとくて諦めの悪い生き物であるかを」

艦長席から波動砲を発射準備に入る土方。
トリガーの格納方法は完結編とは異なる設定ですね。

「沖田、借りるぞ」この台詞にはぐっと来る。

パネルに一瞬だけ現れる文字がわからなかったんだけど
BDを一時停止して確認したら「操舵権限移譲」でした。
たしかに、波動砲発射時は射手に操舵が任されましたよねえ。
ここからは一切台詞無し。効果音のみで進行する。

シュトラバーゼ内核コアを撃ち抜く波動砲。
落下していく100式。コクピットで雪を抱く古代。

ここでの波動砲発射発射までのタメの長さは
ヤマト史上最長ではないだろうか。

■想人

波動砲の光芒が輝いた後、青く染まった空間を漂う100式。
BGMは「想人(おもいで)」のメロディー。
「さらば」の劇中では「永遠の生命」という名で流れた曲の
2202バージョンのようですね。

目覚めた雪が頬を染めて「・・・ばか」
目の前にいる男は、避難民も何もかも放り投げて
自分を救いに来てしまったからね。

そして改めて結婚を申し込む古代。
思えば古代が雪に正式にプロポーズしたシーンは
今まで描かれたことがなかったように思う。

この時の二人は、今自分たちが置かれてる状況を
どの程度認識してたんだろう。

惑星に向かって落下していく雪、それを追った古代。
普通ならそのまま地表に激突しまうはずだが
周囲は青色の謎空間に変化していって。
シュトラバーゼが崩壊した結果の重力嵐の中?

まあ、自分たちが助かるとは思ってないだろう。
実際、まもなく重力嵐に飲み込まれて消滅する運命にあったのだが。

自分たちの "愛" が引き起こした結果を思いながら、
でもおそらく二人は後悔はしていない。
結果的には「全てを擲っても、目の前の愛を選ぶ」
という極致にまで突っ走ってしまったのだから。

このシーンが「さらば」のラストシーンを思わせるのは、
意識してやってるんだろうなぁ。

■サーベラー

ラスト近く、透子のシーンに続いて
サーベラーらしき女性が赤子を抱く姿が挿入され
大帝の「サーベラー、また繰り返すのか・・・」の独白が。

ガトランティス人にも「親子の愛」みたいに
個体間の愛情が存在した時期があったのか・・・?
それとも?

■「ヤマトより愛を込めて」

物語のこの時点で古代とズォーダーの
直接対決を描いたのは何故なのだろう。

「2202」における大帝は、"個人の愛" を徹底的に否定する。
その愛こそエゴそのものであり、宇宙を滅ぼす根源だと。
そして自らの唱える "大いなる愛" こそが
宇宙に永遠の平和と安寧をもたらすのだと。

そして今回、古代は大帝に翻弄されるままに
自らの愛に従って行動し、雪もまた自らの愛に殉じようとした。
そしてそれが事態の解決に全く寄与していなかったこと、
さらに言えば(回避されはしたが)
最悪の事態を招いてしまったことも描かれた。

「さらば宇宙戦艦ヤマト」のEDテーマ「ヤマトより愛をこめて」
の歌詞にこうある。

その人のやさしさが花にまさるなら その人の美しさが星にまさるなら
君は手をひろげて守るがいい からだを投げ出す値打ちがある
ひとりひとりが思うことは 愛する人のためだけでいい

今回の二人の行動は、この歌詞をそのままなぞっているようにも思う。
そしてその結果は、見ての通りである。

「2202」は「さらば」のリメイクではあるのだけど
同じ "愛" という言葉を掲げながら、
その描く中身はいささか異なっている。

大帝の "大いなる愛"、
古代と雪の「愛する人のためだけでいい」。

物語の後半に向けて、
異なる2つの "愛" の相剋が描かれていくのだろうか。

そして、二番の歌詞にはこうある。

いつの日か唇に歌がよみがえり いつの日か人の胸に愛がよみがえり
君は手をひろげて抱(いだ)くがいい たしかに愛した証(あか)しがある
遠い明日を思うことは 愛する人のためだけでいい

これが誰を指すのかが問題だが、なんとなく「2202」は
ガトランティスがこのような結末を迎えるラストを
目指しているのかも知れない、なんて思ったりする。

                                                            (つづく)

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