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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第三章 感想・・・のようなもの その6 [アニメーション]


第9話 ズォーダー、悪魔の選択  (1/5)

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください!

ズォーダーを中心にまとめようと思って、大帝陛下の台詞を抜き書きしていたら
もう喋ること喋ること。しかも大帝陛下の口から開示される情報も多い。
そんなわけで、1話あたりの分量としては過去最大に。

■ヤマトvs反乱軍  その1

上昇するヤマト。両弦ミサイルそして艦首魚雷を発射、応戦する。
流れ弾が地表の避難民へ降り注ぐ。その中を進む雪。

そして反乱軍の後方に惑星間弾道弾の群れが。

■ズォーダーvs古代  その1

遺跡内では、古代の眼前に現れた大帝が長々と語り始める。

「愛故に奪い合い、殺し合う人間たちの無惨は見るに堪えない。
 我らの真実の愛に包まれてこそ、人間は新の幸福と安寧を得られる。
 我らはガトランティス。つくられし命」

ガトランティスが人工的に作られた生命体だった、
という事実が明かされるが、
あまり意外性を感じずに納得してる自分がいる・

39年前の「さらば」で描かれた白色彗星帝国に
生活感が全くといっていいほどなく、それに加えて
ラストにおける、ズォーダーの揺るぎない絶対的な自己肯定の長広舌。

観終わって映画館を出たときにはラストの衝撃ばかり残っていたが
時間が経っていろいろ考えているうちに
ズォーダーって実は人間(生き物)じゃないんじゃないか、
なぁんて思ったものだ。

大帝が実はロボットで、居室の奥がメンテナンスルームになってて
スペアのボディが並んでるんじゃないか、なんて妄想を
「ヤマト2」の序盤あたりまで抱いていたくらいだからね。

だから今回も「ああ、そうくるか」という感じで
それほどの驚きはなかったように思う。

■ガトランティスの正体

ここまでの段階で分かったことは
(1)人工的に作られた戦闘民族
(2)一個体としては生殖能力を持たない
(3)よって、個人の間に "愛" という感情は存在しない。

「人工的に産み出され、戦闘に特化して進化し、
 他の文明を破壊し続ける存在」

この設定に過去のアニメ作品「超時空要塞マクロス」を、
あるいは「無敵超人ザンボット3」を連想する人は多いだろう。
パクリじゃないかって怒る人もいるかも知れないが
このアイデア自体はマクロスやザンボットの専売特許ではない。

例えば、アメリカのSF作家フレッド・セイバーハーゲンが
1967年から発表し始めた「バーサーカー」シリーズだろう。
"バーサーカー"(Berserker)とは、
シリーズを通して登場する人類の "敵" で一種の機械生命体。

 滅び去った星間帝国が残した遺産、
 自己増殖と進化を繰り返し、生あるものをすべて滅ぼすことを
 至上命令としてプログラムされ、何度撃退されても再び襲来する、
 死そのもののような無人の殺戮機械軍団  (wikiより)

邦訳は1973年(ヤマト第1作の前年)に1冊目、
そして1980年に2冊目が刊行されている。
私はたしか1冊めは未読で、2冊目の方は読んだ記憶はあるものの、
詳しい内容はすっぽり抜けてる(おいおい)。
これ以前にも類似のアイデアはあったかも知れないが
私の記憶ではこれが一番古い。

ちなみに「ザンボット3」の放映は1977年。
「マクロス」第1作が1982年。

およそSFにしろミステリにしろ、ジャンルとして確立してから
100年くらいは経っているのだから、
めぼしいトリックやアイデアはほぼ出尽くしていると言っていい。

彗星が敵の本拠地になってる作品だってエドモンド・ハミルトンの
「キャプテン・フューチャー」シリーズ(1940~51年)にあったはず。

にもかかわらず現在でも大量の作品が産み出さているのは
既存のアイデアの組み合わせや、
ストーリー展開や物語の中での位置づけの工夫など
後発の作品群が常に新しい切り口を考え出しているからだ。

SFもミステリも、先達のアイデアを再利用している作品には事欠かない。
というか、SFの場合は有名な設定やアイデアであるほど、
多くの作品に取り入れられるようになり、
SFの普遍的なギミックと化している場合も少なくない。
ワープ航法などの空間歪曲による超光速航行なんかその典型だ。

だから、ガトランティスの正体として
このアイデアを持ってきたこと自体に問題があるとは思わない。

それよりも、
「このアイデアをもってくる必然性があるのか」
「これによってどんなストーリーが語れるのか」
ということが問われるだろう。

これは、「2202」という作品の根源に関わる部分なので
製作スタッフの中でももちろん検討されたはずだ。
当然、「マクロス」や「ザンボット」という先行作品があることも
指摘されたはずだから、それによるマイナス面だって予想されたはず。

上記のように、このアイデア自体は両作品のオリジナルではないけれど
特に「マクロス」は現在でもシリーズが継続しているからね。
そういう意味では "分が悪い" 設定であるとは言えるだろう。

しかし、おそらくそのあたりも十分承知の上で
この設定を採用しているのだろうから、
それなりの必然性、そしてこの設定でしか語れないストーリーが
あるはずだ。というかそう思いたい(笑)。

願わくば、最終章まで見た段階で思わせていただきたいものだ。
「たしかにこの設定が必要だった」って。
どちらにしろ、評価は今後の展開待ちになるだろう。

                                                            (つづく)

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