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怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関 [読書・ミステリ]


怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関 (講談社文庫)

怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 文庫
評価:★★

「怪盗グリフィン、絶体絶命」に続く、シリーズ第2弾。

グリフィンの元に持ち込まれた依頼は
「トロッターの未発表作品『多世界の猫』の原稿を盗んでほしい」
というもの。

P・K・トロッターはヒューゴー賞/ネビュラ賞の常連で
(どちらもアメリカSF界では権威ある文学賞)
53歳で物故したが、死後になって
彼の作品が多く映画化されたという人気作家。

 これは明らかにP・K・ディックがモデルだね。
 「ブレードランナー」「トータル・リコール」
 「マイノリティ・リポート」などの映画の原作者だ。

依頼者はスタンフォード大学の英語学教授エリック・ケンドール。
彼によると、実はその遺稿はトロッターの作ではなく、
エリックの教え子がオートポエティックスによって
作り出した贋作なのだという。

 オートポエティックスとは、数理文学解析によって
 人工的に物語を創作するテクノロジーだ。

それがネット上に流出してしまったので、
偽物であることが知られる前に回収しようというものだった。

活動を開始したグリフィンだが、やがて彼以外にも
なぜか政府機関(CIA)や動物愛護団体なども
原稿の行方を追っていることが判明する・・・


ミステリにSF要素を持ち込んだ作品は、
最近作者が得意(?)とするところなんだけど
パラレルワールドや歴史改変とかが絡んでくると
一気に難解になってくる。
私のアタマが悪いせいか知れないが(たぶんそうだね)。

作中に出てくる「シュレディンガーの猫」みたいに
「箱の中身はいったいどうなってるんだ?」て感じである。

文章がわかりにくいわけではないんだけど、
物語中で何が起こって何が問題なのかがだんだん分からなくなってくる。
結局のところ、途中から ”理解” を諦めて
とにかくストーリーを追うことだけにした。

文庫で330ページと決して長くないだけど
全部で64章もあって、章立てが細かい。
平均すると1章あたり5ページほどと短い。
頻繁に賞の区分が入るのも、よく分からなくなる
原因の一つかも知れない(そんなことはない?)。

前作でグリフィンと偽装夫婦を演じた
CIA諜報員アグネスの再登場は嬉しかったけど、
全体的な見通しが(私にとっては)よくなかったので評価も辛め。

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