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今昔百鬼拾遺 河童 [読書・ミステリ]


今昔百鬼拾遺 河童 (角川文庫)

今昔百鬼拾遺 河童 (角川文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/05/24
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

百鬼夜行シリーズの最新作3作を3ヶ月連続刊行、
しかもすべて初文庫化という、なんとも景気のいいイベントの第2弾。

今回の3冊で探偵役を務めるのは中禅寺秋彦の妹にして
中堅出版社である奇譚社の記者・敦子。
その相棒は長編「絡新婦の理」の登場人物で
社長令嬢にして都内の女学園高等部1年の呉美由紀(くれ・みゆき)。


敦子のもとに持ち込まれたのは宝石窃盗グループがらみの話。
それに関わって殺人事件まで起こっているという。

一方、郷里の千葉へ旅行に行った美由紀は
妖怪研究家・多々良勝五郎と知り合う。
二人は房総半島中部を流れる夷隅川で水死体を発見するが
実はその周辺で起こった水死事件はそれで3件目。
さらに、なぜか遺体の下半身はみな裸だった・・・


冒頭の美由紀とその学友たちの「河童」を巡る他愛ない話から始まり、
男の裸ばかり狙う謎の覗き魔とか、宝石泥棒の仲間割れとか
一見バラバラにみえるいくつもの要素が
終盤になってきれいに組み上がり、
ひとつながりのストーリーになるところは毎回ながらよくできてる。

河童だけに、「尻」がキーワード。
何せ河童は人の肛門から手を突っ込んで
”尻子玉” を抜いてしまう、っていいますから。
なので、妙齢の女性である美由紀さん敦子さんの周囲でも
やたらと ”尻” という単語が飛び交う。
彼女たちの反応もまた楽しいのだが、それは正しい読み方ではないよね。

前作「鬼」よりはミステリっぽさは上だけど、
犯人当てとか真相を推理で見破る等の要素は薄いので、
河童絡みの伝奇ストーリーを楽しむのが正解かと思う。

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